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2008年 06月 16日

高齢者高血圧/動脈硬化性腎動脈狭窄

第51回日本腎臓学会(2008年5月30日〜6月1日 )福岡で勉強しました。

高齢者の高血圧では動脈硬化性腎動脈狭窄の見落としに注意
循環器系疾患にしばしば合併することが知られている動脈硬化性腎動脈狭窄(RAS)が見落とされていることが多い──。
北海道循環器病院の菊池健次郎氏は、第51回日本腎臓学会総会の特別企画「一般臨床医のための腎臓学」で、かかりつけ医による高齢者を対象とした慢性腎臓病管理の注意点として、RASの見落としについて語った。


RASの予測因子として知られているのは、 高齢(55歳以上)での発症、血圧高値(特に拡張期血圧)、降圧薬服用していても急に血圧が上昇すること、冠動脈疾患または末梢動脈疾患を合併する慢性腎臓病(CKD)、腹部血管雑音、片側腎萎縮、RA系抑制薬による腎機能の悪化、動揺性の尿異常と腎機能および血圧の変化などだ。

RASは、心カテを受ける冠動脈疾患疑い患者の15〜18%。冠動脈疾患患者のうち、1枝病変患者の10%、2枝患者の20%、3枝患者の30%に合併していると報告されている。
また、70歳以上の高齢者のうっ血性心不全患者では34%、動脈瘤や閉塞性末梢動脈疾患患者の28%に合併している。

心カテを受けた連続532例を対象に解析した調査結果では、腎動脈狭窄例は36例と有病率6.8%で、RASがあった患者(n=36例)となかった患者(n=496)を比較すると、年齢がRAS(+)で71.2±8.0に対してRAS(-)は65.4±11.6(p=0.0031)、高血圧がRAS(+)で74.3%に対してRAS(-)が48.4%(p=0.0003)、冠動脈疾患(+)で72.2%に対して冠動脈疾患(-)が48.4%(p=0.0031)だった。

菊地氏は、「RASを見落としていることで、本態性高血圧として治療されてしまっていることが多く、そのため透析導入になってしまっている例が多いのではないか」とし、高齢者の腎疾患診療で注意すべきと締めくくった。

日経メディカル オンライン 2008.6.3
版権 日経BP社


<参考ブログ>

腎動脈狭窄症にステント治療
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20070126ik08.htm
腎動脈狭窄症では、腎機能の低下による自覚症状が出る前に、高血圧が表れることを知っておきたい。
狭窄で血流が低下すると、腎臓は全身が低血圧状態になっていると判断し、血流を増やそうと、血圧を上昇させるホルモンを分泌するためだ。
一般的な高血圧症では、血圧は40歳代から徐々に上がるが、55歳以上で発症した高血圧や、高齢になって突然悪化した場合、腎動脈狭窄が原因の可能性がある。
腎動脈の狭窄は、体外から血管の様子を見る超音波検査で診断できる。
検査対象として、
〈1〉高血圧が55歳以上で発症、あるいは悪化した
〈2〉2剤以上の薬を使っても血圧が下がらない
〈3〉腎臓の大きさが左右で大きく違う〈4〉原因不明の腎機能障害〈5〉心臓の冠状動脈や足の血管に狭窄がある
が挙げられる。



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by wellfrog2 | 2008-06-16 00:10 | 循環器科


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