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2008年 06月 01日

小児の牛乳と卵アレルギー

自然寛解がより困難に
〔米オハイオ州クリーブランド〕 ジョンズホプキンス大学(メリーランド州ボルティモア)小児科アレルギー・免疫学のRobert Wood教授らは,小児では牛乳と卵のアレルギーは自然に寛解するとされていた一世代前の考え方は改める必要があるとの知見をJournal of Allergy and Clinical Immunology(2007; 120: 1413-1417)に発表した。

自然寛解の年齢が上昇
牛乳と卵アレルギーの患児を対象とするこれまでで最大規模の今回の研究は,牛乳アレルギーの患児800例以上と卵アレルギーの患児約900例を13年間追跡調査したもの。
 
Wood教授は「アレルギーは小児期の早い時期に自然寛解するものと一般的に考えられていた20年前に比べ,アレルギー患児らの予後は悪化しているようだ」と説明。
「アレルギー患児が増えているばかりでなく,自然寛解が得られる患児も少なくなっている。
たとえ寛解が得られても,その時期はさらに遅くなっており,これは悪いニュースである」と述べている。
 
以前の研究では,牛乳アレルギー患児の 4 分の 3 が 3 歳までに寛解が得られたのに対し,今回の研究では4 歳までに寛解が得られた患児は20%,8 歳まででは42%,16歳では79%であった。
 
同様の傾向は卵アレルギーの患児でも認められ,4 歳までに4%,10歳までに37%,16歳時点では68%で寛解が認められたにすぎなかった。

抗体量測定が予後予測に有用
同大学の研究チームは,小児のアレルギーが早期寛解するか否かを見る信頼性の高い予測因子は血中の抗体量であるとしている。
また,親から子供の寛解の見通しについて相談されたときは抗体試験の結果に基づいて説明するよう推奨している。
 
Wood教授らは「以前に比べれば遅れているが,思春期になってからでも寛解が得られた患児が今回の研究対象にいたことは,われわれに希望を与えてくれた」と述べている。
このことは,患児が10代になった後も(場合によっては青年期に達してからも),寛解の有無を確認するための検査を引き続き行う必要があることを示唆している。
 
原因食物として牛乳と卵がこの研究で取り上げられたのは,これら 2つのアレルゲンが米国で最も多く見られる食物アレルギーであり,小児人口のそれぞれ 3 %と 2 %が罹患しているからである。
 
以前に比べてこれらのアレルギーで自然寛解が難しくなっている理由について,同教授は「われわれにも何が原因なのかわからない。もしかすると,われわれが診療しているのは,20年前とは別の種類の疾患過程なのかもしれない」としている。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4106751&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.2.7
版権 メディカル・トリビューン社



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by wellfrog2 | 2008-06-01 00:30 | 未分類


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