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2008年 07月 23日

長時間作用型βアゴニスト

長時間作用型βアゴニストに関する論争は決着するか?Settling the Controversy About Long-Acting β-Agonists?
2008 June 03

業界とのつながりのない研究者によって実施された2006年のメタアナリシスにおいて、長時間作用型βアゴニスト(long-acting β-agonist:LABA)の使用は喘息関連死と関連していた(日本語版Journal Watch Jul 18 2006)。
この研究の制限は、LABAを投与された多くの患者が、吸入コルチコステロイドを併用していなかったことである。
今回、喘息患者を対象に吸入コルチコステロイド+salmeterolをコルチコステロイド単剤と比較した、業界の資金提供によるランダム化試験のメタアナリシスの結果が報告されている。
66件の試験(参加者計20,966人)はGlaxoSmithKline(AdvairおよびSereventの製造業者)、7件の試験(参加者計503人)は他の企業による援助を受けていた。

喘息による入院と全死因死亡は、併用療法を受けた患者とコルチコステロイド単剤を投与された患者とのあいだに有意差は認められなかった(入院は35件および34件、死亡は両群とも6例)。
併用療法を受けた患者1人において、1件の挿管が報告された。
併用療法は、コルチコステロイド単剤よりも重度の増悪が有意に少なかった(4.9%対8.3%)。

コメント
LABAと吸入コルチコステロイドとの併用により、重篤な有害事象のリスクは増加しないようである。
また、併用療法は重度の増悪が少なく、症状が緩和された。
エディトリアル執筆者は、このメタアナリシスに含められた研究は有効性を検討するものとしてデザインされており(すなわち頻度の低い有害事象は検出できない)、現実というよりも理想的な診療を反映していると述べている。
LABA-ステロイド併用療法は、吸入ステロイド単剤では喘息を適切にコントロールできない患者、および喘息がコントロールできないときに、密接なモニターとケアを受ける意思のある患者にとどめることが推奨される。
— Richard Saitz, MD, MPH, FACP, FASAM
Published in Journal Watch General Medicine June 3, 2008

Citation(s):
Bateman E et al. Effects of adding salmeterol to inhaled corticosteroids on serious asthma-related events. Ann Intern Med 2008 Jun 3; [E-pub ahead of print]. (http://www.annals.org/cgi/content/full/0000605-200807010-00229v1)

Weiss KB. Drug safety and salmeterol: The controversy continues. Ann Intern Med 2008 Jun 3; [E-pub ahead of print]. (http://www.annals.org/cgi/content/full/0000605-200807010-00230v1)

http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW08-0603-01.html


<コメント>
”業界とのつながりのない研究者によって実施された2006年のメタアナリシス” と ”業界の資金提供によるランダム化試験のメタアナリシス” のhead to head の様相を呈しています。
前者がnegative,後者がpositiveな結果というのもむべなるかなです。
しかしcommentが少し辛口過ぎるような気がします。

読んでいただいてありがとうございます。

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by wellfrog2 | 2008-07-23 00:10 | 呼吸器科


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