井蛙内科開業医/診療録(2)

wellfrog2.exblog.jp
ブログトップ
2008年 09月 21日

高学歴者の認知症診断


MMSEカットオフ値の高位設定で精度改善
〔シカゴ〕テキサス工科大学保健科学センター(テキサス州ルーバック)のSid E. O'Bryant博士らは,認知機能検査のMini-Mental State Examination(MMSE)を用いて高学歴高齢者の認知症リスクを評価する場合,カットオフ値を高く設定することで,より効果的に診断を下せることが示唆されたとArchives of Neurology(2008; 65: 963-967)に発表した。

標準の24点から27点に
MMSEは認知機能(思考力・学習能力・記憶力)評価に最も一般的に使用されている検査である。
満点は30点で,一般的に24点以下で認知機能障害と診断される。
 
O'Bryant博士は「MMSEは認知機能障害患者のスクリーニングや長期的な認知機能変化の追跡に用いられており,認知機能に対する薬剤の影響を評価する際にもしばしば活用されている。
しかし,MMSEの得点は患者背景に影響され,高齢者や低学歴者では得点が低い」と述べている。
 
今回の研究では,メイヨー・クリニック・アルツハイマー病研究センターとアルツハイマー病(AD)患者登録から,就学期間が16年以上の1,141例(白人93%,平均年齢75.9歳)のデータを抽出し,MMSEスコアを比較した。
データの内訳は,認知症307例,軽度認知障害176例,非認知症の対照群658例であった。
 
認知機能障害診断の標準的なカットオフ値である24点で区切った場合,認知症の感度は66%,特異度は99%で,正診率は89%であった。カットオフ値を27点に変更した場合,感度は89%,特異度は91%となり,正診率は90%に改善された。
 
同博士は「今回の知見は,MMSEの総合スコアのみに基づいた認知障害・認知症の診断を奨励しようというものではなく,高学歴の高齢白人患者を適切に治療するための改訂基準を臨床医に提供しようというものである。
特に,本人の訴えか他人からの指摘であるかにかかわらず,記憶力に問題のある高齢患者で,大卒以上の学歴を有する者は,MMSEスコアが27点未満の場合,認知機能障害と認知症リスクが高くなるため,本格的な神経心理学的検査を含む包括的検査の対象とすべきである」と述べている。
 
さらに「今回の新たなカットオフ値を用いることで,高学歴者における認知症の早期発見が容易になると思われる。
高学歴者はADと診断された後,短期間で衰弱や死亡に至る例が多いことから,早期の対応は特に重要である」と指摘している。

出典 Medical Tribune 2008.9.18
版権 メディカル・トリビューン社
[PR]

by wellfrog2 | 2008-09-21 00:30 | 認知症


<< 2型糖尿病病態研究の最前線 そ...      高齢者へのインフルエンザワクチン >>