2008年 10月 13日

小児の解熱とイブプロフェン

■小児の解熱にはまずイブプロフェンの単独投与が効果的
発熱は就学前の小児によく見られる症状だが、本人にとっては深刻で、親には不安を与え、医療費全体の増加につながる。
イギリスでは毎年、就学前の小児の7割が発熱に見舞われ、4割が医療機関を受診し、しばしばパラセタモール(別名アセトアミノフェン)とイブプロフェンが併用または単独で投与されるが、これまで各処方のエビデンスはなかった。
そこで、各薬剤の単独投与と併用した場合の効果を比較研究(PITCH)したブリストル大学のAlastair D Hay氏らは、「子供にはまずイブプロフェンを与え、24時間経過したら両剤併用を」と報告した。BMJ誌2008年9月2日号(オンライン版7月4日号)より。

熱のある6ヵ月~6歳の小児を対象に各処方を比較
PITCH(Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children)は、イングランドにおけるプライマリ・ケア受診者と一般家庭から募集した、腋窩体温37.8度以上41.0度以下の生後6ヵ月~6歳児を対象とした研究。
保護者に対し、体温を下げるための物理的手段と、パラセタモール+イブプロフェン、およびパラセタモールかイブプロフェンの単独投与についてアドバイスを行い検証した。

主要転帰尺度は、初回の投与から4時間で熱がない(37.2度未満)状態、48時間時点で「discomfort scale」に基づき「正常に回復した」と報告した小児の比率とした。
副次転帰は、最初に正常体温に戻るまでの時間、24時間以上の熱がない状態、熱に関連する症状、副作用とした。

イブプロフェンは早く効き併用は効果が持続
intention to treat解析に基づき、4時間時点では、パラセタモール+イブプロフェン併用群はパラセタモール単独群より解熱効果が高かった(補正後の時間差55分、95%信頼区間:33~77分、P<0.001)。
イブプロフェン単独群でも同程度の解熱効果がある可能性があった(同16分、-7~39分、P=0.2)。

24時間以内の解熱時間は、併用群がパラセタモール単独群より優れ(4.4時間、2.4~6.3時間、P<0.001)、イブプロフェン群よりも優れていた(2.5時間、0.6~4.4時間、P=0.008)。

解熱までの時間は、併用群がパラセタモール単独群より早かったが(-3分、18~-24、P=0.8)、イブプロフェン単独群よりは遅い(23分、2~45、P=0.025)。
不快感や他の症状の改善は見られなかったが、これらの転帰への影響は小さかった。有害事象は、3群間に差はなかった。

こうした結果からHay氏は「すみやかに小児の解熱を図るには、まずイブプロフェンを投与すべきで、24時間経過後にパラセタモール+イブプロフェンを、有益性とリスクを考慮しながら投与すべきである」と結論している。
Hay AD et al. Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children (PITCH): randomised controlled trial. BMJ. 2008 Sep 2;337:a1302. doi: 10.1136/bmj.a1302.
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=6123
出典 Care Net.com 2008/10/10(金) No.J000531

■小児の解熱にパラセタモール+イブプロフェン併用が経済的
本論は、イギリスの国民医療保健サービス(NHS)で、就学前の小児の解熱によく処方されるパラセタモール(別名アセトアミノフェン)とイブプロフェンに関する有効性等の比較研究(PITCH:Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children)の報告の一つ。
Sandra Hollinghurst氏ら効果とコストについて分析結果で、「両剤の併用がコスト面では最も効果が大きい」と報告した。
BMJ誌2008年9月9日号に掲載された。

48時間と5日後の効果と費用を比較検討
3肢無作為化試験の一部として、コスト分析と費用対効果分析を行った。
対象はプライマリ・ケアおよび地域から集められた、腋窩体温が37.8度以上41度以下の生後6ヵ月~6歳児で、パラセタモールとイブプロフェンを単独または併用で投与した。

主要転帰尺度は、NHSと保護者が投じたコスト。
コストと体温、不快感、活力、食欲、睡眠状態との比較を、投与後48時間時点と5日時点とで行ったコスト分析と、48時間時点のコストと小児が回復した割合とを比較した費用対効果分析を行った。

併用は効果もありNHSと親の費用負担を軽減
NHSの負担するコストは、48時間時点では、パラセタモール単独投与が11.33ポンド、イブプロフェン単独投与が8.49ポンド、併用は8.16ポンドだった。5日時点ではそれぞれ19.63ポンド、18.36ポンド、13.92ポンドに増加した。
保護者が支払う経費は、48時間では、パラセタモール単独が23.86ポンド、イブプロフェン単独が20.60ポンド、併用では25.07ポンドだった、5日時点ではそれぞれ26.35ポンド、29.90ポンド、24.02ポンド。
48時間時点、5日時点で示された結果では不十分で、結論を断定するには至らず、特に48時間時点の費用対効果分析は、ある処置選択が他方より有意に費用対効果があったというエビデンスを得ることはほとんどできなかった。
しかし4時間時点では、解熱時間を評価する主要項目に関して、イブプロフェン単独投与と併用治療は、パラセタモール単独投与より優れており、24時間時点では、併用治療が、この項目では最も効果があることが示された。

各処置間にコストの違いに関する明確なエビデンスはないが、臨床データおよびコストデータともに、両剤併用が最も費用対効果に優れていることを示唆した。
Hollinghurst氏は「この処置選択は、ヘルスケア資源の消費がより少なく済みかつ効果があり、NHSと保護者とのに負担が軽減される」と結論している。

Hollinghurst S et al. Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children (PITCH): economic evaluation of a randomised controlled trial. BMJ. 2008 Sep 9;337:a1490. doi: 10.1136/bmj.a1490.
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=6124
出典 Care Net.com 2008/10/10(金)
No.J000532


<きょうのブログ>
小児の解熱:初日はイブプロフェン主体、それ以上はイブプロフェン+アセトアミノフェン併用が良い
http://intmed.exblog.jp/7459116/
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by wellfrog2 | 2008-10-13 00:02 | 小児科


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