井蛙内科開業医/診療録(2)

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カテゴリ:腎臓病( 9 )


2008年 10月 01日

CKDの脂質管理としてのスタチン その2(2/2)

慢性腎臓病の脂質管理におけるスタチンの役割 (後編)
ハイリスク患者ではより厳格なLDL-Cの管理を

斉藤 
続いて,LDL-Cをどこまで下げるべきかについてお話を伺います。CKDにおけるLDL-C管理目標値は,NKFのK/DOQI(Kidney Disease Outcomes Quality Initiative)ガイドラインにおいて100 mg/dL未満,日本腎臓学会によるCKD診療ガイドにおいて120mg/dL未満(可能であれば100mg/dL未満)と設定されていますが(),この目標値について,ご意見をお聞かせください。
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Campese 
K/DOQIガイドラインの目標値は,介入試験によるエビデンスに基づいた数値ではなく,疫学研究のデータにCKD患者をハイリスク群として当てはめたに過ぎません。
したがって,エビデンスに基づいてガイドラインを見直す必要があると思います。
TNTでは,より低いLDL-C値を達成した群で心血管イベントや腎機能への好影響が認められました。
こうした積極的脂質低下療法の影響はGREACE(Greek atorvastatin and coronary heart disease evaluation)試験4)でも認められています。
これらのエビデンスに基づき,LDL-Cの管理目標値は少なくとも100mg/dL未満とすべきだと思います。
そして,特に著明な蛋白尿を呈するCKD患者に関しては,管理目標値を70mg/dL未満とし,より積極的な脂質低下を図るのが理想的だと思います。

斉藤 
先生はすべてのCKD患者に対して,LDL-Cを70mg/dLまで下げたほうがよいとお考えですか。

Campese 
リスクの低い患者も含めて70mg/dLまで下げるのが妥当であるかはエビデンスがないのでわかりません。
しかし,少なくともハイリスクCKD患者においては,LDL-Cを100mg/dLよりも70mg/dLまで下げることにより,大きなメリットがあると考えています。

斉藤 
日本では欧米のように高用量のスタチンを投与できないという問題があります。

Campese 
通常用量でLDL-C値70mg/dL未満を達成できるならば,それに越したことはありません。

斉藤 
日本では依然として「コレステロールは生体の重要な構成要素であるため,下げ過ぎはよくない」という考えが根強くありますが,これについていかが思われますか。

Campese 
介入研究においてはそうした事実はありません。
LDL-Cを十分下げることの有用性は,スタチンによるメタ解析でも裏付けられています。
特にリスクのある症例においては「the lower, the better」だと思います。

早期からの脂質管理が重要
斉藤 
血液透析患者の場合,HDLコレステロールの著明な低下が見られるものの,総コレステロールやトリグリセリドはさほど高くないことも多いと思います。
ステージ3までのCKD症例に対するスタチンの有用性についてはエビデンスがありますが,ステージ4~5のCKD症例に対するスタチンの投与についてはいかがお考えですか。

Campese 
透析中の2型糖尿病患者を対象に,スタチンの心血管イベントに対する有効性を検討した4D(Deutsche Diabetes and Dialyse Studie)では,心血管イベント発症抑制作用は確認されませんでした。
また,ESRDに対してスタチンの投与を控えるべきか否かについてはエビデンスがありません。
しかし,個人的には,心血管リスクの高いESRD患者に対しては,スタチンを使用したほうがよいと考えています。
少なくとも現時点のエビデンスに基づいて言えるのは,CKD患者に対しては,ESRDになるよりさらに早い段階から,スタチンによるLDL-C管理を開始すべきだということです。

CKDのLDL-C管理には積極的にスタチンを
斉藤 
CKDの診療においては,腎臓専門医とかかりつけ医の連携が不可欠ですが,腎臓専門医に紹介するタイミングを教えてください。

Campese 
ステージ3以上のCKD患者については,腎臓専門医へ紹介し,適切な診療を仰ぐべきだと思います。

斉藤 
最後にCKDにおける脂質管理に関して,日本の実地医家の先生方にメッセージをお願いします。

Campese 
TNTでも明らかにされたように,CKD患者へのスタチンによる積極的LDL-C低下療法は,心血管保護のみならず腎にも好影響を与えることが示されています。
CKD患者に対して,血圧値,血糖値のみならずLDL-Cの値に注意し,高値であれば積極的にスタチンを使用してLDL-Cをコントロールしていただきたいと思います。

(文献4)J Clin Pathol 57: 728-734, 2004


出典 Medical Tribune 2008.9.25
版権 メディカル・トリビューン社




<きょうの一曲> Without You

I can't live (without you)
http://jp.youtube.com/watch?v=orA_c2M-5KE&feature=related

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by wellfrog2 | 2008-10-01 00:20 | 腎臓病
2008年 09月 30日

CKDの脂質管理としてのスタチン その1(1/2)

慢性腎臓病の脂質管理におけるスタチンの役割 (前編)
慢性腎臓病(CKD)は,米国腎臓財団(NKF)より提唱された疾患概念で,「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示す所見」あるいは「腎機能低下[糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73m2㎡未満]が3か月以上持続する状態」と定義されている。
CKDは末期腎不全(ESRD)発症の危険因子であるばかりでなく,心血管疾患発症の重要な危険因子であることからも,世界規模で対策が進められている。
 
アトルバスタチンをはじめとするHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は,近年の大規模臨床試験においてLDLコレステロール(LDL-C)を低下させることに加え,eGFRを上昇させることが明らかにされつつある。 

福岡大学腎臓・膠原病内科主任教授
斉藤 喬雄 氏
Professor, Chief, Division of Nephrology/Hypertension, Keck School of Medicine,University of Southern California
Vito Campese氏
 
CKDは心血管イベントの独立した危険因子
斉藤 
CKDの発症頻度は,近年日本においても増加しています。
久山町研究では,1974年から2002年にかけて男女ともにCKDの発症頻度が有意に増加していることが示されました(図1)。
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その要因として,食生活をはじめとする生活習慣の欧米化により,肥満,高コレステロール血症,耐糖能異常などの代謝性疾患が大幅に増加したことが挙げられています。
 
また,同研究において心血管疾患の累積発症率を12年間にわたり前向きに追跡した結果,CKDのある群はCKDがない群に比べて心血管疾患の発症率が有意に高く(図2),CKDが心血管疾患の独立した危険因子であることが明らかとなりました。
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Campese 
CKD患者において心血管疾患のリスクが高いことは,近年のスタチンの大規模臨床試験においても明らかにされています。
例えば,TNT(The Treating to New Targets)において,冠動脈疾患(CHD)を有するCKD患者の心血管イベントリスクは,CKDのない患者に比べて有意に高いことが示されています(文献1)。
これらはいずれも,久山町研究を裏付ける知見です。CKDが心血管イベントの危険因子であることに関しては,今や世界中でコンセンサスが得られていると言えるでしょう。

CKDと脂質異常症
斉藤 
CKDは以前より高血圧や糖尿病との関連が指摘されています。
しかし,近年,脂質との関連性も注目され始めました。
CKDにおいては,心血管イベント発症リスクが高いことからも厳格な脂質管理が必要となります。
CKDに対するスタチンのエビデンスはいかがでしょうか。

Campese 
CKDにおけるスタチンの有用性は,高血圧患者におけるLDL-C低下療法による冠動脈イベント発症に与える影響を検討したASCOT-LLA(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Lipid Lowering Arm)(文献2)やCHD症例における積極的LDL-C低下療法による心血管イベントに与える影響を検討したTNTのサブ解析(文献1)などで報告されています。

LDL-C低下療法の腎機能および蛋白尿に与える影響
斉藤 たいへん興味深い知見ですね。
CKDに対するスタチンのLDL-C低下療法は,腎保護の面からも注目されていますが,これに関してはどのようなエビデンスがありますか。

Campese 
TNTでは,CKD症例および腎機能正常例のいずれにおいても,アトルバスタチンのLDL-C低下療法により推定糸球体濾過量(eGFR)が試験開始前に比べて上昇しました(図3)。
また,その上昇率は,積極的にLDL-Cを管理したほうが高いことがわかりました。
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われわれもCKD患者56例を対象とした前向き試験において,アトルバスタチンによるLDL-C低下療法が蛋白尿の排泄を抑制することを報告しています。
同試験では,蛋白尿を有するCKD合併高コレステロール血症患者にレニン‐アンジオテンシン系阻害薬で血圧をコントロールしたうえで,アトルバスタチン投与群と非投与群に無作為に割り付けて1年間観察しました。
その結果,アトルバスタチン群においてLDL-Cが203mg/dLから121mg/dLまで低下し,尿蛋白排泄量も有意に減少しました(図4)。
CKDの進行が抑制されたのではないかと考えます。
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斉藤 
スタチンによる腎保護の機序としては,どのようなことが考えられるのでしょうか。

Campese 
腎細胞の炎症反応や線維化は,脂質異常により促進されますので,スタチンによる腎保護作用の一部は脂質低下を介したものだと考えられます。
一方で,スタチンは,脂質低下とは独立した機序で腎保護作用を表すこともin vitroの実験や腎疾患モデル動物を用いた研究から認められています。
スタチンには,炎症性サイトカインやケモカインの発現抑制,メサンギウム細胞や血管平滑筋細胞の増殖抑制,血管内皮機能改善などのさまざまな影響が知られています。
例えばCooperらは,部分腎摘ラットにおいて,アトルバスタチンの投与により蛋白尿や糸球体硬化が抑制され,同時に腎臓のTGFβ1遺伝子発現やマクロファージ集積が抑制されたことを報告しています(文献3)。

(文献1)J Am Coll Cardiol 51: 1448-1454, 2008
(文献2)LANCET 361: 1149-1158, 2003
(文献3)Kidney Int 56 (Suppl 71): S31-S36, 1999


出典 Medical Tribune 2008.9.25
版権 メディカル・トリビューン社


<自遊時間>
最初CKD(kidney)という言葉を聞いた時、どうしてCRD(renal)でないかと違和感がありました。
COPD(pulmonary)は形容詞です。
そんな中、患者さんで元高校英語教師(直接は教わってはいませんが、偶然にも私の出身高校の教師もしてみえた方で最近「英語ことわざ」関係の本も出版されました)が来院された時にこのことを訊いてみました。
即座に「名詞の形容詞化は普通にあること。たとえばboy friendとか」という返事がかえってきました。
目から鱗(うろこ)でしたが、でもなんだかまだ心にシコリが残ります。
(英語圏で使われているので何の文句もないのですが)


<きょうの一曲> 「それが大事」
YouTube - 大事MANブラザーズバンド / 「それが大事」LIVE
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by wellfrog2 | 2008-09-30 00:19 | 腎臓病
2008年 09月 18日

CHD女性の心臓突然死

CHD女性の心臓突然死
腎不全が独立予測因子に

〔ニューヨーク〕ジョンズホプキンス大学(メリーランド州ボルティモア)心臓病学のRajat Deo博士らによる研究で,軽度の腎疾患は突然死と関連しないが,進行した腎不全は女性の冠動脈性心疾患(CHD)患者の心臓突然死(SCD)の独立予測因子となることがわかった。詳細はHypertension(2008; 51: 1578-1582)に発表された。

eGFR 40mL/分未満でHR3.16
今回の研究では,Heart and Estrogen/Progestin Replacement Study(HERS)に参加している心疾患既往歴がある閉経後女性2,760例のデータを分析した。
 
子宮摘出術を受けていない対象女性(平均年齢67歳,最高年齢79歳)には,心筋梗塞に続発するCHD,冠動脈バイパス術,血管形成術,50%狭窄以上の冠動脈が1本以上存在―のいずれかの既往歴があった。
軽度の心不全の既往歴を有する者はいたが,重度の心不全または末期腎疾患(ESRD)の患者はいなかった。
 
試験開始前時の推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分超であったのは1,027例(37%),40?60mL/分は1,503例(54%),40mL/分未満は230例(8%)であった。
 
6.8年のフォローアップ期間中,135例にSCDが発生した。そのうち36例(3.5%)の腎機能は正常(eGFR>60mL/分)で,69例(4.6%)は中等度の腎不全(同40?60mL/分),30例(13%)が進行性腎不全(同<40mL/分)であった。
 
また,データの多変量解析では,eGFR 40mL/分未満とSCDが強く関連することが示された〔ハザード比(HR)3.16,95%信頼区間(CI)1.88~5.33〕。
 
この関連は偶発的なうっ血性心不全(CHF)や心筋梗塞で調整すると弱まるため(HR 2.27,95%CI 1.33~3.88),CHFや心筋梗塞は腎不全とSCDの関連に部分的に介在すると考えられる。
なお,HRはeGFRが60 mL/分超の者との比較で算出された。
 
一方,40~60mL/分のeGFRはSCDの有意な予測因子とはならず(HR 1.14,95%CI 0.75~1.74),CHFと心筋梗塞による調整後も同様であった(HR 1.08,95%CI 0.70?1.65)。
 
SCDの年間発生率は,eGFRが60 mL/分超で0.5%,40?60mL/分で0.6%,40mL/分未満で1.7%であった(P<0.001)。
 
今回の研究では,先行研究が対象とした植え込み型除細動器(ICD)を使用している患者よりもはるかに健康な患者集団において,腎機能の低下がSCDの予測因子となることが示された。
先行研究での女性対象者は全体の30%未満で,左室駆出率の平均値は20?25%であった。

透析患者で高いSCDリスク
SCDは重要な公衆衛生上の問題であるが,特に女性に関しては詳しいことはわかっておらず,研究もこれまであまり行われていなかった。
 
腎疾患患者では心筋梗塞,心不全,脳卒中リスクが高くなることが知られているが,SCDリスクも高まる恐れがあるとする今回の研究は,心危険因子を積極的にモニターすべきだというこれまでの推奨を支持するものとなった。
 
人工透析を受けている末期腎疾患患者では特にSCDリスクが高まることや,進行性心不全患者では慢性腎疾患とSCDが関連することは既に知られている。
 
心筋梗塞の既往歴がある女性やフォローアップ期間中に心不全のため1回以上入院した女性では,SCDリスクが上昇した。
エストロゲン/プロゲステロン補充療法やプラセボの使用は,SCDリスクに影響しなかった。

悪性心室性不整脈に起因
今回対象となった腎不全患者は年齢が高く,非喫煙者・非飲酒者である傾向が強かった。
また,腎不全患者では高血圧,空腹時血糖値の上昇,糖尿病,冠動脈バイパス術や心不全の既往歴が多く見られ,アスピリンの使用率が低く,利尿薬,ACE阻害薬,スタチン系薬の使用率が高かった。
 
女性の腎不全患者でSCDリスクが上昇することは,悪性心室性不整脈の罹患率が高くなることに起因すると考えられる。
腎不全は左室肥大,左室収縮・拡張機能障害,心筋線維症など心臓の構造変化の原因となることがある。
このような心臓の構造変化は,不整脈リスクを上昇させる。
また,自律神経機能障害,心筋細胞機能障害,電解質代謝の変化は,腎不全入院患者の不整脈リスクと関連する。

出典 Medical Tribune2008.9.4
版権 メディカル・トリビューン社


<番外編>
速やかにABI測定を 真菌症と足の冷えは血管の警報
〔独ミュンヘン〕ミュンヘンの脈管医であるAndreas Mietaschk博士は「蒼白で冷たい足,栄養障害,爪や足に生じた真菌症―これらの症状が認められる患者では,心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクが高いため,速やかに足関節上腕血圧比(ABI)を測定すべきである」とBristol-Myers Squibb社のプレスワークショップで説明した。

ABI 0.9未満で跛行症状を確認
ABIが0.9未満であれば,末梢動脈疾患(PAD)の発症率が非常に高いため,アテローム動脈硬化症の症状が発現していないかどうかも検査すべきである。
また,典型的な跛行症状が認められない場合でも,患者が心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクは高い。Reduction of Atherothrombosis for Continued Health(REACH)Registryの対象患者のうちPAD患者の60%以上で,冠動脈性心疾患(CHD)あるいは脳虚血が認められた。
 
同様にミュンヘンの脈管医であるWolfram Kaiser博士は,45歳以上の男性と55歳以上の女性に対しては5年ごと,喫煙者,高血圧患者,糖尿病患者には3年ごとのABI測定を推奨している。
 
アテローム血栓症を引き起こす過程で血小板の活性と凝集は大きな役割を果たしているため,クロピドグレルは,リスクプロファイルの改善とともに,PAD二次予防の柱となっている。
CAPRIE試験では,PAD患者に対するクロピドグレル投与により,血管死,心筋梗塞,脳卒中発作から成る複合一次エンドポイントの相対リスクが23.8%低下し,有意差が確認されている。

出典 Medical Tribune2008.9.4
版権 メディカル・トリビューン社



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by wellfrog2 | 2008-09-18 00:20 | 腎臓病
2008年 09月 15日

腎障害検査と尿中NGAL

CKDの啓蒙活動が一段落して、腎臓病関連の話題を急性腎障害(AKI)にシフトしつつあります。
先日も「AKI」に関する学術講演会がありましたが、開業医としてはあまり関係なさそうなのでパスしました。
後でMRさんに当日の講演内容を聞きましたが、どうやらバイオマーカーの話が中心だったようです。

さて、最新のMedical Tribune誌に尿中NGALの記事が出ていました。
以前、肉眼的血尿で膀胱壁と思われる肉片が混じる患者さんが来院しました。
尿中NMP22をオーダーし、とんでもない高値の結果が帰って来ました。
後で急性膀胱炎でも高値が出ることを知ったのですが、尿中NGALも
AKIと思っていたら逆に膀胱がんだったりすることがあるかも知れません。

<参考>
NGAL ( Neutrophilgelatinase-associated lipocalin )はリポカリンファミリーに属する 22kDa のタンパク質で,主に活性化した好中球より分泌されます。
腸腺腫や炎症腸上皮,乳腺癌,尿路上皮癌組織での発現亢進が見られるほか,腎臓に障害を受けると尿中の NGAL 濃度が顕著に上昇することから,近年,腎不全など各種腎疾患の初期マーカーとして注目を集めています。
http://www.funakoshi.co.jp/shiyaku/entry/3902.php


腎障害検査に尿中NGALは有用
クレアチニンより迅速で正確

〔ニューヨーク〕コロンビア大学医療センター(ニューヨーク)内科のJonathan Barasch准教授と臨床内科のThomas Nickolas講師らは,急性腎不全患者の尿中に排泄される小分子量蛋白である好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)を用いた腎障害検査の有効性を検討した結果,クレアチニン検査よりも迅速かつ正確に急性腎障害を鑑別できたとAnnals of Internal Medicine(2008; 148: 810-819)に発表した。

1回の検査で高い鑑別精度胸痛で搬送されてきた患者にはどこの救急部でも血液検査が行われ,血清酵素値を基準に,原因が急性心筋梗塞に付随する組織損傷なのか,あるいは別の心イベントなのかを1時間以内に鑑別するはずだ。
 
しかし,生命にかかわる腎障害で救急部に収容された場合は別である。
まず,効率よく適時に腎障害を診断する方法がない。
現行の標準的な腎障害検査法は血清クレアチニン値検査であるが,クレアチニンは1日や2日では臨床的に重要な濃度まで上昇しない。
診断が下されるころには,取り返しの付かない障害が既に進行している可能性がある。
また,血清クレアチニン値は突発的な薬剤反応による急性腎不全や感染症,腎疾患の再燃のいずれの場合でも上昇する可能性があり,障害の原因までは特定できない。
 
今回の研究は腎障害と診断,治療の間のこうしたギャップを克服するために,基礎研究者,医師,医学生,医学部以外の大学生から成るユニークなチームにより実施された。
NGALの尿中排泄量を調べるだけの簡単な検査では,クレアチニン値検査よりも1~2日早く腎不全による腎障害を検出できるため,集中治療室(ICU)への入院や透析を必要としたり,死亡リスクの高い腎不全を救急部で正確かつ迅速に診断できる。
また,専門医がこの検査の結果を受けてエビデンスに基づいた治療判断を下せば,救命率も改善される。
 
重篤な疾患を正確に診断できなければ生命にかかわることになるが,救急部でNGAL検査がルーチンとして普及すれば,積極治療が必要な急性腎障害と,必ずしも緊急処置を必要としない糖尿病など多くの慢性疾患に伴う腎障害を正確に鑑別できるようになると思われる。
今回の検討では,尿中にNGALが認められた患者の約65%で腎臓専門医の処置,32%で透析,29%でICUでの処置が必要であった。

腎障害患者での発現量は30倍
今回の研究責任者でNGALと腎との関係を数年前に見出したBarasch准教授は「血清クレアチニン検査は1回で急性腎不全と慢性腎疾患を鑑別できないが,NGALは1回で診断が付く。今回の知見は,NGALで急性腎障害と他の原因を鑑別できることを示唆しており,NGAL検査を日常の臨床現場で実施するための第一歩と言える」と述べている。
 
試験はニューヨーク長老派教会病院(ニューヨーク)の救急部に収容された患者600例以上を対象に実施された。
 
実際に試験を行った同大学レジデントのPietro Canetta博士は「のちに急性腎不全と診断された患者のNGAL値は,腎障害のない患者の30倍であった。
疾患進行の早期に1滴の尿からこれほど質の高い情報を入手できれば,臨床医は助かるだろう。これまでしばしば推量や不確定な要素に基づいて臨床判断が行われていたが,具体的データが手に入ることになる」と述べている。
 
尿中NGALが明確なマーカーで,急性腎障害で大量に発現することは,シンシナティ小児病院(オハイオ州シンシナティ)腎臓・高血圧科のPrasad Devarajan部長らの成人・小児を対象とした以前の研究で確認されている。

出典 Medical Tribune 2008.9.11
版権 メディカル・トリビューン社


<関連サイト>
Review:Improving outcomes of acute kidney injury: report of an initiative
http://www.nature.com/ncpneph/journal/v3/n8/full/ncpneph0551.html
Acute renal failure ? definition, outcome measures, animal models, fluid therapy and information technology needs: the Second International Consensus Conference of the Acute Dialysis Quality Initiative (ADQI) Group
http://ccforum.com/content/8/4/R204
そろそろ AKI(Acute Kidney Injury) ?
http://intmed.exblog.jp/6084433/
尿中リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin)の救急部での単回測定による急性腎障害診断の感度と特異度
Sensitivity and Specificity of a Single Emergency Department Measurement of Urinary Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin for Diagnosing Acute Kidney Injury
[PDF] PowerPoint Presentation
http://www.cmic.co.jp/ir/pdf/cmic080516_3.pdf

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by wellfrog2 | 2008-09-15 00:22 | 腎臓病
2008年 08月 05日

「CKD診療ガイド 高血圧編」

きょう、MRが「CKD診療ガイド 高血圧編」を持ってきてくれました。
プレゼンテーション用のCDが付録についていました。
どこが、目新しいのか少しずつ読んでいくつもりです。

>「CKD診療ガイド 高血圧編」まとまる
日本腎臓学会・日本高血圧学会 130/80mmHg目指した積極的な降圧療法を後押し
http://www.japan-medicine.com/news/news2.html

出典 Japan Medicine 2008.8.4
版権 (株)じほう
日本腎臓学会と日本高血圧学会は7月31日、「CKD(慢性腎臓病)診療ガイド-高血圧編」をまとめた。
日本腎臓学会は、昨年5月に「CKD診療ガイド」を公表したが、今回は治療の柱となる“降圧療法”に焦点を当て、薬剤選択や留意点などを具体的に示した。降圧目標は130/80mmHg未満とし、積極的な降圧療法の重要性を強調している。
ステージ早期のCKDを治療することが多いプライマリケア医に、早期治療の意義を伝え、末期腎不全への移行や心血管イベントの発症を抑制したい考えだ。

「診療ガイド-高血圧編」は、
<1>高血圧治療の進め方
<2>降圧目標と原疾患/タンパク尿の程度
<3>生活習慣の改善
<4>RA(レニン・アンジオテンシン)系抑制薬投与時の注意点
<5>長期的にみた腎保護作用獲得のとらえ方
<6>CKD発症あるいは進行のリスクファクタ
--- の6章からなる。

プライマリケア医にも分かりやすいよう治療方針のアルゴリズムや、要約、腎機能低下時の降圧薬投与量についての一覧表を掲載した。

CKD治療における降圧の意義について、ガイドでは「CKD進展の抑制と心疾患イベント(CVD)発症の予防にある」と明記した。

CKDをめぐっては、腎不全に進行する病態としてだけでなく、心血管イベントを発症する原因となる“心腎連関”の重要性が報告されており、注目を集めている。

ガイドでは、高血圧とCKDは相互に連関する“悪循環の関係”にあると説明。
「適切な降圧療法は心-腎連関の悪循環を断ち切ることになる」と降圧の意義を強調した。

もちろん、CKDのステージが進行するのを抑制し、末期腎不全への進展を抑制する上でも降圧の意義は大きい。
ガイドでも、「血圧が低いほどGFRの低下速度が小さくなることが示されている」とし、積極的な降圧療法の重要性を説明している。

降圧目標は、130/80mmHg未満と明記。尿タンパクが1g/日以上のケースでは125/75mmHg未満を目指した治療をすべきとした。
尿タンパクも血圧値と同様、重要な指標とし、「降圧と同時に尿タンパクを減少させることを目指す」とした。

● 第1選択薬はRA系抑制薬 第2選択薬はCa拮抗薬
治療方針については、第1選択薬はRA系抑制薬(ACE阻害薬またはARB)とした。
これは、日本人を対象に、ARBの腎保護効果を検討した「SMART」研究や「INNOVATION」試験などにより、ARBの腎保護効果についてのエビデンスが構築されたことが大きい。

第2選択薬については、体液過剰(食塩感受性)の症例では利尿薬、心血管イベント発症のリスクが高い人にはCa拮抗薬を推奨した。

Ca拮抗薬についても、「JATOS」試験や「CARTER」研究などで、腎保護効果があることが報告されている。
しかし、今回策定されたガイドでは、明確な薬剤の推奨にまでは至らなかった。

CKD患者では、1剤の投与だけでは、降圧目標に至らないケースが多いことも指摘されているが、降圧薬の増加・追加の際には「1~2週間程度腎機能や血清Kの推移を観察」する必要性も示した。

特に、RA系抑制薬投与時に、血清クレアチニンの上昇や高K血症に留意することが求められている。そのため、
<1>血清クレアチニン値が30%以上、上昇した
<2>血清K値が5.5mEq/L以上となった
--- 症例については、高血圧専門医や腎臓専門医に患者を紹介することを推奨している。


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木下孝則 「すみれ」 油彩4号
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t82161233


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by wellfrog2 | 2008-08-05 00:19 | 腎臓病
2008年 06月 26日

充実するCKD関連領域の診療指針

『CKD診療ガイド高血圧編』 『CKD診療ガイドライン』など続々
慢性腎臓病(CKD)の関連領域の診療指針が充実しつつある。
昨年(2007年),日本腎臓学会から発刊された『CKD診療ガイド』は医学書としては異例の14万部のベストセラーとなったが,同ガイドの高血圧に関する記述をより詳細にした『CKD診療ガイド高血圧編』が近日発行される。
また,専門医向けの『CKD診療ガイドライン』も今秋発行予定だ。
一方,厚生労働省の「進行性腎障害に関する調査研究班」(以下,厚労省研究班)では,IgA腎症などCKDを構成する各種腎疾患に関する診療指針の改訂を進めている。


専門医向けにエビデンスに基づいた「ガイドライン」を作成
第51回日本腎臓学会(5月30~6月1日,福岡市,総会長=福岡大学教授・斉藤喬雄氏)の特別企画「進行性腎障害における診療指針の作成」で,CKD関連領域における各種診療指針の作成・改訂状況が報告された。

昨年,日本腎臓学会が発行した『CKD診療ガイド』はベストセラーになったが,同学会では今秋,『CKD診療ガイドライン』を発行する予定である。
 
東京医科歯科大学(腎臓内科)教授の佐々木成氏によると,「診療ガイド」はかかりつけ医(一般医)が対象で,専門家のコンセンサスに基づいて記述されるのに対し,「診療ガイドライン」は専門医が対象で,おもにエビデンスに基づいて記述されるという。
診療ガイドラインと診療ガイドが並存する実例としては,日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン』と『糖尿病治療ガイド』がある。

『CKD診療ガイドライン』は,テーマごとにエビデンスレベル,ステートメント,解説,アブストラクトテーブルを記載。
ステートメントでは,勧告の強さを4段階で表記する。
今秋,書籍として出版するほか,日本腎臓学会誌に掲載。
また,日本腎臓学会のホームページでも公開する。
3~4年後をめどに改訂を行う予定だという。


「高血圧編」では降圧薬の選択を明確化
全体で116ページの『CKD診療ガイド』だが,「降圧療法」に充てられたのは3ページ。
そこで,日本腎臓学会では日本高血圧学会とともに「CKD対策合同委員会」(委員長=名古屋市立大学教授・木村玄次郎氏)を組織し,より詳しく使いやすい内容のガイドの作成を進めてきた。
近日中に『CKD診療ガイド高血圧編』として発刊される。

委員の1人,防衛医科大学校(内科2部門)准教授の熊谷裕生氏は,『CKD診療ガイド高血圧編』で新たに詳述した重要なテーマとして降圧薬の選択を挙げる。
『CKD診療ガイド』では,ACE阻害薬およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を推奨し,降圧目標が達成できない場合は他剤(Ca拮抗薬や利尿薬など)併用の必要性を指摘していたが,『高血圧編』では,選択法をより明確に記載する方針である。

すなわち,
(1)第1選択薬:ACE阻害薬またはARB,
(2)第2選択薬:利尿薬とCa拮抗薬を同等に位置付ける。体液過剰(食塩感受性)が認められる場合は利尿薬,心血管疾患(CVD)の危険因子を多数保有する場合はCa拮抗薬,
(3)第3選択薬:第2選択薬と逆の薬剤
―とのステップを提案する。
ただし,腎硬化症や間質性腎障害では,推奨する降圧薬の種類を問わないという。


原疾患別診療指針の改訂も進む
一方,CKDを構成する各種原疾患についても,診療指針の作成が進められている。
最近まで厚労省研究班の班長として診療指針の作成を主導し,同セッションの司会を務めた順天堂大学(腎臓内科学)教授の富野康日己氏によると,厚労省研究班では,IgA腎症,急速進行性糸球体腎炎(RPGN),難治性ネフローゼ症候群,多発性嚢胞腎の4疾患の診療指針を作成しており,改訂作業を重ねている。
今後,改訂案は日本腎臓学会のホームページに掲載し,学会員の意見を聞いた後,正式発表されるという。さらに,日本腎臓学会では関連学会と合同で糖尿病性腎症の診療指針も新たに作成中で,腎硬化症については『CKD診療ガイドライン』のなかで取り上げられる。

課題は診療指針間の整合性である。
原疾患別の診療指針と「CKD診療ガイド(ガイドライン)」,あるいは関連学会のガイドラインなどとの間で,記載内容に異同があれば利用する医師を混乱させることになるだけに,指針作成者間の連携が求められている。

CKD診療の目的は,末期腎不全への進展抑制とCVDの発症予防。
診療指針が充実し,整備されることで,これらの目標達成に近づくことが期待される。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0806/080610.html

国を挙げたCKD対策が始まる
-積極指導による全国規模の介入試験を実施
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0804/080408.html


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柏本龍太『花鳥風月』
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x37776836

<自遊時間>
日本医事新報 No.4391 2008.6.21 P14
厚労省課長が「総合科」創設に改めて意欲
日医の藤原氏、国主導の構想に反対表明

記事の内容を読むと厚労省と日医が全くの対立関係にあることが分かります。

同床異夢ならぬ異床異夢。
日本の医療は崩壊の真っただ中です。


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by wellfrog2 | 2008-06-26 00:14 | 腎臓病
2008年 06月 17日

CKD+高血圧・糖尿病でCADリスクは6.5倍に

第51回日本腎臓学会(2008年5月30日〜6月1日 福岡)の記事で勉強しました。

GFRはCADの重症度に関連、早期の対策を
CKD+高血圧・糖尿病でCADリスクは6.5倍に

 
慢性腎臓病(CKD)に高血圧と糖尿病が合併していると、合併していない場合に比べ、冠動脈疾患(CAD)の発症リスクは6.5倍にも跳ね上がることが分かった。
第51回日本腎臓学会のシンポジウム4「メタボリック症候群による腎障害の機序と対策」で、福岡大学心臓・血管内科学教授の朔啓二郎氏が報告したもので、「
早期からCKDの有無に注目し、高血圧や糖尿病を合併している場合は、冠動脈造影CTなどを行い、イベント発生の予防に努める必要がある>」と朔氏は強調した。

朔氏らは、CKDとCADでは、同じような機序でHDLコレステロールが低下している点に注目、CKDとCADに、メタボリック症候群の診断基準の4因子(内臓脂肪、高血圧、脂質異常、糖尿病)がどう関与しているかを検討した。
 
福岡大病院心臓・血管内科を受診した、CADが疑われる313人を対象に冠動脈造影CTを実施し、冠動脈狭窄度や石灰化スコアを求めた。
また、CTにより内臓脂肪や皮下脂肪の面積も求めた。
腎機能障害の重症例(Cr≧1.5mg/dL)や透析中の患者、心機能低下症例(EF≦40%)など、腎機能、心機能が大きく低下している患者は除外した。

 
患者背景を、CKDあり(218人)とCKDなし(95人)に分けて比較したところ、CKDなしではGFRが49mL/min/1.73㎡で、CKDありの76mL/min/1.73㎡に比べ、有意に低値だった。年齢(CKDなし63歳、CKDあり68歳)、高血圧(同68%、79%)、高尿酸血症(同7%、25%)にも有意差が認められたが、腹囲や内臓脂肪面積には有意差はなかった。

また、冠動脈病変枝数が多いほど、メタボリック症候群の4つの因子の数も多かった。
病変枝数が多いとGFRも有意に低く、GFRがCADの重症度に関連していることが示された。
 
次に、CADありとCKDありの症例について、メタボリック症候群の4因子の関与を検討した結果、CKDには高血圧と糖尿病が関与していた(有意差あり)。
CADにも高血圧が関与し(有意差あり)、糖尿病とも関連がみられた。
さらに、冠動脈の石灰化の進展にはCKDの有無、GFRとの関連性も認められた(いずれも有意差あり)。

 
そして、CKDの患者で、高血圧も糖尿病もない患者のCADのリスクを1とすると、CKDに高血圧を合併した場合の相対リスクは4.0倍、糖尿病の合併は1.8倍、両者を合併していると6.5倍に上ることが明らかになった。
以上から、朔氏は「
ローステージのCKDでも、高血圧や糖尿病が合併すると、CADが加速される」と注意を喚起した。

さらに、朔氏らはCKD患者では、HDLコレステロールもLDLコレステロールも低下する低脂血症になっているのに、CADリスクが高まる理由を調べた。
 
血漿リポ蛋白のプロフィールをキャピラリ等速電気泳動(cITP)法という独自の手法で解析したところ、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)のうち、small dense LDL(超悪玉)分画の、陰性荷電LDL(超超悪玉)だけが増加していることを突き止めた。
 
朔氏は「HDLコレステロールの低下に加え、この超超悪玉LDLコレステロールの増加が、CKDでは問題だ。
これに対しては、高用量のスタチンが有効との報告があり、CADとCKDは同じような病態ととらえることもできる。
それだけに、早期からのCKD対策が求められる」と述べた。
出典 日経メディカル オンライン 2008.6.2
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsn2008/200806/506669.html
版権 日経BP社

<コメント>
患者背景を、CKDあり(218人)とCKDなし(95人)に分けて比較したところ、CKDなしではGFRが49mL/min/1.73㎡で、CKDありの76mL/min/1.73㎡に比べ、有意に低値だった。
・・・?

<参考サイト>
CKDガイドライン
http://www.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/kaiin/free/primers/pdf/CKD-web070926_30.pdf
CKDにおける脂質異常症治療目標については,日本人のエビデンスは不十分であり,今後の検討課題である。


慢性腎臓病
http://www.nara.med.or.jp/uda/kouennaiyo19.9.8.htm
日本腎臓学会の「CKD治療ガイド」では、CKD患者の脂質管理目標値として、LDL-C<120mg/dL (できれば<100mg/dL)が示されました。GFRが低下するとCKDでは、LDLの上昇よりも、VLDL、IDLなどのTG-rich リポ蛋白の上昇が顕著ですので、これらの総和として Non-HDL-C (総コレステロール マイナス HDL-C)を指標にする方法も考えられ、米国腎臓財団のガイドラインでは、LDL-C<100 mg/dL と並んで Non-HDL-C<130 mg/dL が挙げられています。


メタボリックシンドロームは慢性腎疾患の有意な危険因子
http://epi-c.jp/entry/e001_0_0147.html
CKDの累積発症率は,非MetS群に対し,MetS群では有意に高かった。
MetS診断基準に該当する要素が多いほど,CKDの累積発症率は増加した。
MetSとCKDとの相関に対し,血圧コントロールが及ぼす影響はわずかである。


<追記>

日本腎臓学会が新たな腎臓機能の評価推算式(eGFR式)を発表

http://www.gclew.com/press/20080605_02.php1.
新しいeGFR式について
日本腎臓学会(事務局:東京都文京区、理事長:槇野博史)は、2008年5月30日開催の第51回日本腎臓学会学術総会において、腎臓機能を評価するための新たな推算式(eGFR式)を正式に発表した。
この推算式は、腎臓がどれくらい機能しているかを評価・推定するために利用される数式である。従来は米国人向けに作成されたMDRD注2という方式の計算式に日本人係数をかけて腎機能の評価を行っていたが、より精度をあげるために、日本人独自の新たな計算式を作る必要があった。
そこで学会内に特別プロジェクト「日本人のGFR推算式」を結成し、1年かけて作成に取り組んだ。

新たな推算式:
eGFR(ml/分/1.73m2) = 194×Cr-1.094×年齢-0.287(男性)
eGFR(ml/分/1.73m2) = 194×Cr-1.094×年齢-0.287×0.739(女性)

この推算式は、血液検査の項目の一つである血清クレアチニン値(Cr)の数値と、患者の年齢を代入すれば、その患者の腎臓が何%機能しているかが算出できる仕組みである。


2. eGFRで診断を行う意義
従来、腎機能の評価にはCr値が用いられてきたが、年齢・性別による筋肉量の多寡を考慮せずに一律で基準値を設定しているために、不正確な評価となってしまう問題があった。たとえばCr値が1.00mg/dLの男性は、全員異常なしと診断されていたが、eGFR式の利用により、同じCr値でも20歳男性ならば、eGFR82.1ml/分/1.73m2(=健康に問題ない軽度の腎障害)、70歳男性ならばeGFR57.3ml/分/1.73m2(=中程度の腎機能低下)と、より細分化した正確な診断が行える《さらに70歳女性では同じCr値1.00でもeGFRは42.4ml/分/1.73m2となり、すでに腎機能は半分以下にまで低下していることになる》。
このようにCrではなくeGFRで腎機能を評価することは極めて重要であり、現在国際標準となりつつある。日本腎臓学会ではeGFR式の普及に努めており、普及啓発に連携している人間ドック学会では平成20年度からeGFRを用いた腎障害診断を行っている。
日本腎臓学会は、「このたび、より精度の高いeGFR式が完成したことで、一層この流れを促進したいと考えています。ただしeGFRはあくまで腎機能の推算値であるため、より正確な腎機能の評価のためには、医療機関でのクレアチニンクリアランスやイヌリンクリアランス検査など、実測のできる検査を受ける必要があります。」と述べている。

例: 20歳男性、Cr値1.00の腎臓は、健常人を100%としたとき、約82.1%機能している
計算式: 194×1.00-1.094×20-0.287=82.1ml/分/1.73m2

例: 70歳男性、Cr値1.00の腎臓は、健常人を100%としたとき、約57.3%機能している
計算式: 194×1.00-1.094×70-0.287=57.3ml/分/1.73m2

例: 70歳女性、Cr値1.00の腎臓は、健常人を100%としたとき、約42,4%機能している
計算式: 194×1.00-1.094×70-0.287×0.739=42.4ml/分/1.73m2

日本人のGFR推算式作成グループの中心メンバーである今井圓裕 大阪大学腎臓内科病院教授は、以下のように述べている。
「新しいeGFR式の導入によって、患者さんの腎臓機能を簡便かつ今までより正確に評価できるようになります。式の公開により、一般のかかりつけ医が患者さんの比較的正確な腎機能判定を行うことができ、CKD患者のスクリーニングをより高い精度をもって行うことはもちろん、患者さん自らが、健診結果などから、自分の正確な腎臓機能を推定することができるため、式を利用できるWebサイトなどで積極的に自分の腎臓機能を把握して、腎臓に対する意識を高くもってもらえれば、と考えています。」


<コメント>
ある日のMR面会日。
あるメーカーのMRが「腎臓病診療支援ツール『Jポケットクリアランス』という計算機を持って来てくれました。
血清Cr値と年齢、性別を入れるだけで「新しい日本人のGFR推算式」が計算されるというものです。
無料でもらえるのはそれはそれで嬉しいことです。
しかし「CKD」には「メタボ」同様、新規マーケット開拓を目論んだ(?)医療関係業者が数多く協賛して(ぶらさがって)います。
その御裾分けみたいで何だか複雑な心境です。

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by wellfrog2 | 2008-06-17 00:21 | 腎臓病
2008年 06月 12日

日本人のGFR推算式が決定

第51回日本腎臓学会(2008年5月30日〜6月1日 福岡)の記事で勉強しました。

心血管死の予防を非専門医との連携で実現へ 
日本人のGFR推算式が決定、連携の礎に
浜松医大第一内科教授・菱田明氏

腎臓専門医の役割は、一人でも多くの慢性腎臓病(CKD)患者を診ることではない。
かかりつけ医や腎臓以外の専門医、さらには栄養士や保健師を含めた、CKD患者を診る仕組み作りのオーガナイザーになり、心血管疾患による死亡を予防することだ・・・。
5月30日から始まった第51回日本腎臓学会の特別講演1「慢性腎臓病対策の現状と今後の展望」で、同学会理事長の浜松医大第一内科教授・菱田明氏(写真)は、CKD診療に対して腎臓専門医がどう向き合い、その役割を果たして行くべきかについて、方向性を明示した。

学会初日の午前のセッションで、日本腎臓学会「日本人のGFR推算式プロジェクト」から、日本人のGFR推算式が発表された。
この新しい推算式を基に、わが国のCKD患者数(尿蛋白陽性またはGFR60未満)を推計したところ、約1330万人(全人口の12.9%)になることが明らかになった。

日本人のGFR推算式
GFR=194 X Cr-1.094 X 年齢-0.287
X 0.739(女性の場合)
Cr:酵素法で測定した血清クレアチニン


これに対し、腎臓専門医は3000人弱に過ぎず、CKD患者の診療をすべて担うことは不可能だ。
しかし一方で、社会からは、透析患者の増加抑制、心血管疾患の発症とそれによる死亡の抑制が求められるようになった。
しかも、この双方にCKDは深く関与している。
さらに、上記のようにCKD患者が上述のように推計で1330万人もいることが分かってきた。

菱田氏は、こうした背景を踏まえ「CKDの治療が進歩し、CKDの進行抑制は可能になっている」とした上で、「これまで腎臓専門医は、CKDの患者が透析導入にならないように努力してきたが、CKD患者では透析導入数をはるかに上回る人が、心血管疾患によって死亡していることを認識することが重要だ」と指摘した。

実際、高血圧患者の心血管リスクの中で、CKDのリスクのハザード比は、脳血管疾患の既往、心疾患の既往、糖尿病の罹患より高い。一方で、CKDの患者に対し、血糖や血圧のコントロールを早期に開始することが予後を改善することは、数多くの研究結果から明らかになっている。
従って、腎臓専門医は「学術的課題を解決し、エビデンスと実践とのギャップを解消しながら、CKD対策を推進するという、重大な役割を追うことになった」と強調した。

菱田氏は、学術的課題を4つ挙げた。
第一の課題は、CKD診療に必須のツールである日本人のGFR推算式だが、それは上述のように決定され、二つ目の課題である、治療のターゲットとなる患者数も1330万人と推計された。
従って、残る二つの課題は「末期腎不全への進行や心血管イベントの発症リスクが高くなる、尿蛋白、GFRのレベルを決定すること、そして新しいCKDの治療法を開発することだ」と提示した。

一方、エビデンスと臨床現場のギャップの中で最も問題となっているのは、1330万人と推計されるCKD患者をどう診療していくかだ。
対策として、腎臓専門医を増やすのも一つだが、「かかりつけ医との連携、糖尿病や循環器疾患の専門医との連携をシステム化することによって、腎臓専門医以外の医師にCKDを診てもらうことが不可欠」とした。
このうち、かかりつけ医との連携による診療システムについては、戦略研究「FROM-J」によって、連携のモデルを構築できるとの見通しを語った。

学会レベルでの連携は、既に始まっている。
糖尿病学会、循環器学会、高血圧学会、脳卒中学会、人間ドック学会、産業衛生学会などと合同で日本CKD対策協議会を発足させ、学際的協力体制を整えつつある。
これまでに、日本CKD対策協議会を設立するなど、活動実績も重ねてきた。
そして「今後は、腎臓病療養指導のための講習会を開催したり、栄養士学会との協力関係を強化するなど、コメディカルスタッフへの啓発活動も推進していく」と語った。

こうしたことから、CKDの概念は腎臓専門医のためのものではなく、かかりつけ医、糖尿病や循環器疾患の専門医、コメディカルスタッフらが、腎臓の病気に取り組む際に分かりやすい概念として提案されたものだとし、「腎臓専門医は、多くの医療関係者がCKD対策に参加するよう促進するオーガナイザーだ」と位置づけた。

この4月から始まった「特定健診」で、尿蛋白は検査項目に入ったものの、血清クレアチニン値が外されたのは、厚労省のCKDに対する認識を示したものであり、その事実を受け止め、「メタボリック症候群や生活習慣病と、CKDは密接に関係していることを示すエビデンスを強化し、明確に示す必要がある。減塩、禁煙、メタボ対策、さらには特定健診への参加など、生活習慣の是正に、腎臓専門医も積極的に取り組むべきだ」と語った。

今後は、「究極的な総合」を目的とした腎臓学会創立の原点を見つめ、「社会や行政の要望へのアンテナを高くし、10年後、20年後に向けた課題に挑戦していくべきことを、一連のCKD対策が私たちに教えてくれた」と締めくくった。

出典  日経メディカル オンライン 2008.6.3
版権  日経BP社


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by wellfrog2 | 2008-06-12 00:24 | 腎臓病
2008年 06月 11日

親が長寿だと子も長寿

長寿が遺伝するかどうかは大いに気になるところです。
結論は両親が長寿ということが重要なようです。
心血管イベントが日本と欧米では異なるため外国のデータをそのまま敷衍することはできません。
しかし参考にはなると思います。

〔米オハイオ州クリーブランド〕ボストン大学(ボストン)老人病学のDellara F. Terry博士らは,マサチューセッツ州フラミンガムの住民を対象に1948年から心血管リスクなどの健康関連因子の情報を収集している長期フラミンガム研究の最新知見をArchives of Internal Medicine(2007; 167: 438-444)に発表した。
親が長寿だった被験者は,同様に長寿者が多かったとしている。


両親とも長寿が最高に有利
Terry博士らは,親もフラミンガム研究に参加した85歳以上の長寿者,または1985年1月1日以前に死亡した1,697例の分析を行った。
このうち両親とも,あるいは片親が85歳以上の長寿であったのはそれぞれ11%,47%であった。
血圧と総コレステロール/HDLコレステロール比が最適あるいは正常で,フラミンガム・リスクスコアが低値の住民の割合は,両親とも85歳以上の長寿の群が最高であった。
body mass index(BMI)との関係は明らかではなかったが,肥満住民で両親とも存命していた人は少なかった。
両親とも長寿の群では高血圧リスクが低く,経時的なフラミンガム・リスクスコアの進行が遅かった。
同博士らは「これらの知見は,親が長寿の人は長寿でない人と比べて中年期の心血管リスクの点で有利で,この利点は持続するものであることを示唆している」と結論。
心血管リスクが低いことと,親が長寿であることの遺伝的背景を理解することは,リスクが低い人の寿命を延ばす新たな方法につながるのではないか」と述べている。

アルバートアインシュタイン医科大学(ニューヨーク州ブロンクス)のClyde B. Schecter博士は,同誌の論評(2007; 167: 428-429)でフラミンガム研究は重要であるとコメント。
心疾患が原因で多くの人が死亡する。長寿を促進する因子は,当然,心疾患による死亡リスクを低下させるはずである。これが心血管疾患を長寿研究の主領域とする理由の1つである」と述べている。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4022023&year=2007

出典 Medical Tribune 2007.3.31
版権 メディカル・トリビューン社


<フラミンガムスコア関連サイト>
Estimating Coronary Heart Disease (CHD) Risk Using Framingham Heart Study Prediction Score Sheets
http://www.nhlbi.nih.gov/about/framingham/riskabs.htm

全世界がフラミンガムスコアで良いのか?
英国人にとってはフラミンガムよりQRISKが有用
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200707/503894.html
心血管リスク推算には、米国のフラミンガムコホート研究に基づく算出法が広く用いられている。しかし、人種差や社会環境の差を考えると、最適なリスク推算法は国ごとに異なるのではないだろうか。
英国Nottingham大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、英国の一般開業医の診療データベースを利用して、独自のリスク予測指標を開発、この指標が英国人にとってはフラミンガムスコアよりも有用であることを確認した。

Framingham Heart Studyによる男性の10年間の冠動脈疾患発症(心筋梗塞発症や冠動脈疾患による死亡)のリスク予測
http://www.gik.gr.jp/~skj/HL/framingham-men.php3

Framingham Heart Studyによる女性の10年間の冠動脈疾患発症(心筋梗塞発症や冠動脈疾患による死亡)のリスク予測
http://www.gik.gr.jp/~skj/HL/framingham-women.php3

フラミンガムリスクスコア
http://www.drnasu.com/health/framingham_male.htm

<長寿・遺伝 関連サイト>
遺伝からみた老化
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000500/hpg000000478.htm
線虫とよばれる生物において、エネルギー代謝の調節と密接に関連するタンパク質の遺伝子の変異によって老化が早くなったり、または遅延することによって健康寿命が変化することが明らかになってきています。興味深いことにこの代謝調節の経路は、下等な動物から私たち人類まで非常によく保存されています。


老いとは何か
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/aging/doc1/doc1-032.html
「老化」 は遺伝支配を受けていると思われますが、今のところ哺乳類では“老化遺伝子”や“抗老化遺伝子”あるいは“長寿遺伝子”のような特別な遺伝子は見つかっていません。

長寿のギネス記録
http://www.yobouigaku-kanagawa.or.jp/kenkana/430-3.html
長生きの人のことを知ることは長寿の秘訣を探る上で参考になる。
ギネスブックが世界一の長生きと認定したのはフランス人女性のカルマンさん。
1875年2月、南フランスのアルルに生まれ、1997年8月に122才で亡くなった。
カルマンさんの場合、いったい何が長生きの秘訣だったのだろうか?
まず、彼女の遺伝的要因に注目したい。彼女の両親は母親が86才、父親が93才まで長生きしている。
その当時の平均寿命をを考えあわせると、両親は相当の長寿者ということになる。
カルマンさんは遺伝的に長寿に有利な要因を持っていたことになる。
しかも、それは両方の親から引き継いだに違いない。
カルマンさんは結婚して娘を出産した。
しかし、その娘イボンヌさんは1934年に死亡。夫も38年に、唯一の孫も63年にそれぞれ亡くなった。
長生きしたカルマンさんを母や祖母に持ちながら、なぜ彼女の子孫は長生きできなったのか?カルマンさんと彼女の子孫の関係を考えると、長寿者になるには父親も母親も長生きであることが必要で、一方の親だけが長寿であっても十分でないのかも知れない。


長く楽しく生きる ~100歳以上の長寿者に見られる隠れた遺伝子~
http://www.kenko.org/2007/03/

長寿の根拠を求めて(2) 生活習慣病『遺伝』より『環境』に比重
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/food/list/2007/CK2007032702003935.html
(過去の記事で「シリーズ長寿の根拠」の記事をみることができます)

<コメント>
日本には久山町研究という立派な研究があります。
貴重な研究データは大いに活用して実地医療にも生かしたいものです。

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西村計雄  「南フランス」油彩3号
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p111661625

<自遊時間>
点滴治療:患者1人死亡14人発熱、嘔吐 三重・伊賀
三重県は10日、同県伊賀市の診療所で5月23日から9日まで鎮痛薬の点滴治療を受けた14人の患者が腹痛、発熱、おう吐、ふるえ、白血球の減少などの症状を訴え、1人が死亡したと発表した。
同県は医療ミスなどの可能性があるとみて調べている。
三重県警によると、死亡したのは女性I さん(73)。
県警は事件事故の両面で捜査を始めた。

三重県などによると、死亡したI さん以外に症状を訴えた13人は60~80歳代の男女。
23日に3人、6月2日に2人、6日に1人、9日に7人が伊賀市内の病院に入院した。
いずれも快方に向かっているが、11人はまだ入院中。

患者が共通して受けた治療は生理食塩水100ミリリットルに鎮痛薬「ノイロトロピン」3ミリリットルとビタミン剤「メチコバール」1ミリリットルを混合した薬剤の点滴とみられる。
敗血症の症状を示している患者がいることから、県などは点滴の際に細菌感染などがあった可能性もあると見て調べている。

I さんは9日にT整形で治療を受け、10日に自宅で亡くなっているのを家族が見つけた。
県警は11日、司法解剖をして死因の解明を目指す。

毎日新聞 2008年6月11日 0時08分
(最終更新 6月11日 0時11分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080611k0000m040146000c.html


<コメント>
今日、当院には「微量採血のための穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)及び採血器具(単回使用採血ホルダー)の取り扱いに係わる周知徹底」という調査依頼が郵送されて来ました。
もし薬剤ではなく「点滴の際の細菌感染」ということになれば余りにもタイミングのいい「事故」です。
秋葉原の事件もHBV感染拡大の可能性という、血液がらみの話になってきています。

さらに気になったことがあります。
それは、もし薬剤が原因の場合、対応や補償に先発品とジェネッリクで相違がないことが医療提供者には担保されているかということです。



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by wellfrog2 | 2008-06-11 00:42 | 腎臓病