井蛙内科開業医/診療録(2)

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カテゴリ:小児科( 5 )


2008年 10月 28日

アセトアミノフェンと小児喘息

アセトアミノフェンが小児の喘息リスクを高める?
31カ国の6~7歳児20万人の調査結果、作用機序は不明

小児の発熱に対して広く用いられているアセトアミノフェン(海外での別名:パラセタモール)が喘息の危険因子になり得るという、気がかりな研究結果が報告された。
ニュージーランドMedical Research InstituteのRichard Beasley氏らが、生後12カ月間、あるいは過去12カ月間にアセトアミノフェンの投与を受けた6~7歳児を対象に喘息症状の有無を調査したもので、どちらの期間のアセトアミノフェン使用も、喘息症状リスクを有意に上昇させることが示された。
詳細は、Lancet誌2008年9月20日号に報告された。

この半世紀に喘息の罹患率が上昇した理由には諸説あり、多くの危険因子の関与が想定されている。新たな危険因子の同定を試みた著者らは、アセトアミノフェンに注目した。
アセトアミノフェンに胎内で、または小児期や成人以降に曝露すると、喘息罹患リスクが上昇するとの報告が複数あったからだ。
また、喘息の小児に対し、解熱を目的としてアセトアミノフェンを投与した場合、イブプロフェンに比べて喘息による外来受診が倍化するとの報告もあった。

アセトアミノフェンは非常に広範に用いられているだけに、喘息リスク上昇が有意なら問題は大きい。

著者らは、International Study of Asthma and Allergies in Childhood(ISAAC;喘息とアレルギー疾患の国際共同疫学調査)プログラムの第3期に、アセトアミノフェンの使用と喘息の関係を調べた。
第3期ISAACは、無作為に選んだ学校に在籍する6~7歳と13~14歳の小児を対象に行われたが、著者らはこのうち6~7歳児を分析対象とした。

6~7歳の小児の両親または保護者に質問票への回答を依頼し、喘息、鼻結膜炎、湿疹の症状について、また、生後12カ月間の発熱に対するアセトアミノフェンの使用歴、過去12カ月アセトアミノフェン使用頻度(使用なし、1年に1回以上、1カ月に1回以上)などについて尋ねた。

主要アウトカム評価指標は、解熱を目的とする生後12カ月以内のアセトアミノフェン使用と、6~7歳時点の喘息症状の関係に設定。ロジスティック回帰分析によりオッズ比を求めた。

31カ国の73医療機関が調査対象にした、6~7歳の小児20万5487人が条件を満たした。

まず、生後12カ月までのアセトアミノフェン使用と現在の喘息症状については、性別、居住国、言語、国民総所得で調整した多変量解析で、6~7歳時の喘息症状のリスク上昇と有意に関係していることが明らかになった。
オッズ比は1.46(95%信頼区間1.36-1.56)。生後12カ月間のパラセタモール使用の喘息に対する人口寄与リスク(注)は21%だった。
喘息症状のリスク上昇は、世界のどの国でも見られた(地域間の不均質性のp<0.005)。

生後12カ月間のアセトアミノフェン使用は、6~7歳時の重症喘息症状(過去12カ月間の喘鳴の頻度が4回以上または喘鳴による睡眠障害が週1回以上、もしくは喘鳴により呼吸の間に1語か2語しか発音できない状態を経験)のリスクも有意に上昇させていた。
オッズ比は1.43(1.30-1.58)、人口寄与リスクは22%。

生後12カ月間のアセトアミノフェン使用により、6~7歳時の鼻結膜炎のリスク(1.48、1.38-1.60)、湿疹のリスク(1.35、1.26-1.45)も有意に上昇していた。
人口寄与リスクはそれぞれ22%と17%だった。
喘息症状の場合に比べ、これらのリスク上昇の地域差は大きかった。

(注)人口寄与リスク(PAR: population attributable risk、人口寄与危険度ともいう):
その疾患の中で問題となっている危険因子によって発症したと考えられる患者の割合(%)

一方、過去12カ月間のアセトアミノフェンの使用も、用量依存的に6~7歳児の喘息症状リスクを高めていた。
使用なし群に比べ、中頻度(1年に1回以上)使用群のオッズ比は1.61(1.46-1.77)、高頻度(1カ月に1回以上)使用群では3.23(2.91-3.60)で、重症喘息症状に対する人口寄与リスクは40%だった。

過去12カ月間のアセトアミノフェン使用は、鼻結膜炎、湿疹のリスクも有意に上昇させた。高頻度使用群のオッズ比はそれぞれ2.81(2.52-3.14)と1.87(1.68-2.08)、人口寄与リスクは32%と20%だった。

重症喘息症状のリスクは、中頻度使用群では1.33(1.15-1.53)、高頻度使用群では3.54(3.05-4.11)。
過去12カ月間のアセトアミノフェン使用の重症喘息症状に対する人口寄与リスクは38%となった。

得られた結果は、アセトアミノフェン曝露が小児喘息発症の危険因子であることを示唆した。
だが、作用機序は不明で、医療従事者や親にアセトアミノフェンのリスクとベネフィットを説明するに十分なエビデンスはなく、代替となる薬剤との差違についても情報が不足している。

使用頻度が高いだけに、小児に対するアセトアミノフェン使用のガイドラインを早急に構築するため、無作為化試験を含むさらに踏み込んだ研究が緊要だ。

原題は「Association between paracetamol use in infancy and childhood, and risk of asthma, rhinoconjunctivitis, and eczema in children aged 6-7 years: analysis from Phase Three of the ISAAC programme」
The Lancet 2008; 372:1039-1048
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673608614452/abstract
出典 NM online 2008. 10. 24
版権 日経BP社


<きょうのサイト>
ホクナリンテープの後発品で喘息が増悪?
皮膚吸収システムの違いが血中濃度に影響か
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200809/507717.html
後発品を先発品に戻した事例の分析発表が相次ぐ
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/200810/508260.html

<自遊時間 その1>
10月26日の夜8時からNHK教育テレビで「新日本美術館」の放送をやっていました。
時間的に「篤姫」とかぶるので、再放送はきっと視聴率は低いと思います。

さてタイトルは
「ウィーン 美の旅?栄光と退廃の帝都」
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http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2008/1026/index.html

ゲストはドイツ文学者の池内紀さんでした。

13世紀から600年以上にわたってヨーロッパに君臨したハプスブルク帝国が集めたブリューゲル、ラファエロ、ベラスケスなどの珠玉のコレクションから始まり、19世紀末のクリムトを中心とするウィーン世紀末芸術が紹介されました。

もう1つのテーマは、街自体が芸術作品といわれる世界屈指の芸術の都ウイーンの街。

ウイーンにも住んだことのある、ゲストの池内さんが興味深いことを言っていました。
「ウイーンは人間の大きさに合った街。逢いたい人に逢い、逢いたくない人に逢わなくても済む。パリは大きすぎて逢いたい人にも逢えない」。

私もかつて観光旅行ではありますが、何だか神経質そうでウイーン市民はあまり好きにはなれませんでした。
しかし、「街の大きさ」という話はなかなか興味深いものでした。

皆さんのお住みになっている街はいかがでしょうか。
私は現在の街の規模には大変満足しています。

こんな放送を見ると、つい最近NHKの悪口を言ったばかりですが、やはりNHKは必要かなと思ってしまいます。


<自遊時間 その2>
舛添厚労相は閣議後の会見で、「週末に1人しか当直医がいなくて総合周産期母子医療センターと言えるのか」と批判。
「事故の情報も都から上がってこない。とてもじゃないけど任せられない」と声を張り上げた。
これに対し、石原知事は定例会見で、年金問題への舛添厚労相の対応を踏まえて「あの人は大見えきったつもりでいつも空振りする」とし、「医師不足にしたのは誰だ。東京に任せられないじゃなく、国に任せられない。
厚労省の医療行政が間違って、こういう体たらくになった」と言い返した。
http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY200810240251.html
<コメント>
さて、どちらの言い分が正しいのでしょうか。

舛添厚労相が地元医師会に協力要請、妊婦死亡問題で
8病院に診察を断られた妊婦(36)が死亡した問題で、舛添要一厚生労働相は27日午前、東京都江戸川区医師会(徳永文雄会長)を訪問し、都立墨東病院の産科医不足問題への協力を要請した。
舛添厚労相は冒頭、「国と都、医師会が協力して、安心してお産ができる連携を作らないといけない。
そのためのご意見を伺いたい」とあいさつ。
徳永会長は「高度な異常分娩(ぶんべん)を扱う墨東病院をお手伝いできる開業医は限られる。背景には医師不足があり、良い方法を考えたい」と述べた。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20081027AT1G2700M27102008.html
<コメント>
散々医師会を袖にした厚労省が、卒後研修という医療史上に残る愚策をさしおいて医師会に泣きついても。
それにこの行動は、本来都立病院の設立者の都知事の仕事では?
総論と各論を勘違いしています。
舛添厚労相がドンキホーテに見えてきます。

医師不足 
全国医学部長病院長会議のまとめによると、2004年度の研修義務化以前は、新人医師の7割が大学に残っていたのに対し、義務化後は5割に減少。特に東北、四国地方などでは3割前後と激減した。
人手不足に陥った大学医局は、他の医療機関に派遣していた医師を引き揚げ、医師不足が顕在化した。日本医師会の調査では、大学医局の77%が、約3000医療機関への医師の派遣中止や減員を行い、約500施設が診療科の閉鎖を余儀なくされた。
読売新聞 2008.10.16


<きょうの一曲>  ”How Deep Is Your Love”Bee Gees - How Deep Is Your Love
http://hangloose.ti-da.net/c125875.html


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by wellfrog2 | 2008-10-28 00:24 | 小児科
2008年 10月 21日

小児と鎮咳薬・風邪薬

鎮咳薬・風邪薬は4歳未満の小児に使用してはならない
OTC薬メーカーの業界団体Consumer Healthcare Products Association(CHPA)によれば、OTC小児用鎮咳薬・風邪薬の大手各社は、製品に「使用禁止」の文言を表示し始めている。

この表示変更は、OTC小児用鎮咳薬・風邪薬の安全性を審査してきたFDAとの協議後に行われている。
しかし、表示変更はFDAが命じたのではなく、製薬メーカーが自主的に対応したものである。

「われわれは、業界が講じたこの自主的対応を支持する」とFDA医薬品評価センターのディレクターJanet Woodcock MDは今日の記者会見で述べた。
「両親はパッケージに記載されている指示にごく慎重に従うべきであり」小児に複数の製品を同時に服用させてはならない」と同博士は述べている。

一般用の小児用鎮咳薬・風邪薬には、30-40年前も前に定められた規定が適用されているため、これらの薬剤の試験方法を今日に合ったもの(小児を対象とした臨床試験など)にする必要があると、同博士は指摘し、そのプロセスには数年を要するであろうと付け加えた。

問題は薬剤中の成分でなく、用法・用量のミスにあるとCHPAは指摘している。
小児用鎮咳薬・風邪薬は、「指示に従って使用している限りは安全かつ有効」であるとCHPAは述べ、服用ミスおよび誤飲は「幼児にまれに発生する有害事象の主な原因」であると付け加えた。

米疾病管理センター(CDC)によれば、鎮咳薬・風邪薬服用後に緊急救命室に搬送される11歳未満の小児は、毎年約7,000人にのぼり、このうち約2/3は両親が目を離した隙に小児が薬剤を誤飲した後に発生したものである。

表示変更の目的は、「これらの薬剤の適切な使用」を推進することにあるとCHPAは述べている。

新たな表示は今年中には店頭に並び始める予定である。CHPAによれば、FDAは古い表示の製品を店頭から回収する必要性を指示していないことから、そのような措置を講じる計画はないとのことである。

FDAは1月、両親および保育者に対し、2歳未満の小児にOTC鎮咳薬・風邪薬を服用させないよう求めた。
製薬メーカーは2007年10月、OTC乳幼児用鎮咳薬・風邪薬を市場から自主回収した。

小児に催眠作用のある製品を使用してはならない
小児に鎮静作用および催眠作用のある抗ヒスタミン薬を含有するOTC小児用鎮咳薬・風邪薬を使用してはならない。
小児用鎮咳薬・風邪薬のメーカーは、ある種の抗ヒスタミン薬を含有する製品の表示に、そのような作用に関する文言を自主的に追加し始めている。

CHPAは両親、保育者および医療提供者に対しても、これらの重要な点を強調している。

推奨用法・用量に正しく従い、薬剤に同封されている計量容器を使用すること。
成人専用の薬剤を小児に投与しないこと。
同じ成分を含有する2種類の薬剤を同時に投与しないこと。
すべての薬剤を小児の手および目の届かない場所に保管することにより、目を離した隙の誤飲を防止すること。
小児に催眠作用のある抗ヒスタミン薬製品を使用しないこと。
疑問がある場合には、医師または医療専門家に相談すること。

何を小児に投与すればよいか
OTC鎮咳薬・風邪薬を4歳未満の小児に使用できないとすれば、これらの小児には何を投与すればよいのか。

風邪を治癒できる薬剤は存在しないが、小児科医は次の方法が有用と話している。

水分補給を続けること
適切な薬剤を用いて熱を下げること(医師に相談すること)

1歳以上の乳児の咳または咽頭痛には、ハチミツの使用を検討すること。
鼻閉を緩和するには、生理食塩水の点鼻または加湿器の使用を検討し、頭部を高くした状態で休ませること(幼児の場合には、ベビーベッドのマットレスの下、それより年長の小児の場合には、マットレスとベッドのボックススプリングの間にタオルを巻いたものを入れる)。
両親は当然、必要に応じて医師を受診し、遠慮せず質問すべきである。
http://www.m3.com/news/news.jsp?articleLang=ja&articleId=81299&categoryId=580&sourceType=SPECIALTY

出典 WebMD Medical News 2008.10.7

<コメント>
OTCに限らず医師が処方する場合も、風邪に対する小児へのこれらの薬剤の投与は規制される動きがあります。
また小児に対するホクナリンテープ(気管支拡張剤)の安易な処方(乱用?)は慎むべきと以前から思っていました。
後は母親の納得をいかに納得していただくかということだと思います。

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ジャン・ジャンセン 版画 ソフィー・バレリーナ / リトグラフ絵画
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n63474411

<自遊時間>
私自身、循環器科が専門ですが、胃カメラは行っています。
先日、心窩部痛の患者さんに胃カメラを行いました。
十二指腸球部を観察しましたが、奥までどんどん入るので乳頭まで観察することが出来ました。
私にとっては未体験ゾーンでした。
何か隆起性病変があるのでドキッとしました。
早速紹介状を書いて専門病院に行っていただきました。
昨日その返事が届きました。
「側視鏡で観察しました。悪性を思わせる所見なく“はちまきひだ”と最終診断しました」という返書でした。

はちまきひだhooding fold, encircling fold, covering fold

<関連サイト>[PDF] Technical Spotlight Vol.7
http://www.bostonscientific.jp/templatedata/imports/HTML/EndoNews_BackNO/pdf/TS/pdf_TS_vl7_jp.pdf
[PDF] (1) 膵管口切開の適応と実際
http://www.nmckk.jp/pdf/thesis/CLGA/023/008/CLGA_023_008_0847.pdf

<きょうの一曲> ”Ne Me Quitte Pas”
Jacques Brel - Ne Me Quitte Pas
http://jp.youtube.com/watch?v=i2wmKcBm4Ik&feature=related
Jacques Brel - Ne me quitte pas (NL ondertitel)
http://jp.youtube.com/watch?v=zfqgFoIdeUE&feature=related
Jacques Brel - Ne Me Quitte Pas
http://jp.youtube.com/watch?v=RKMqCqjixyo&feature=related


読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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by wellfrog2 | 2008-10-21 00:18 | 小児科
2008年 10月 13日

小児の解熱とイブプロフェン

■小児の解熱にはまずイブプロフェンの単独投与が効果的
発熱は就学前の小児によく見られる症状だが、本人にとっては深刻で、親には不安を与え、医療費全体の増加につながる。
イギリスでは毎年、就学前の小児の7割が発熱に見舞われ、4割が医療機関を受診し、しばしばパラセタモール(別名アセトアミノフェン)とイブプロフェンが併用または単独で投与されるが、これまで各処方のエビデンスはなかった。
そこで、各薬剤の単独投与と併用した場合の効果を比較研究(PITCH)したブリストル大学のAlastair D Hay氏らは、「子供にはまずイブプロフェンを与え、24時間経過したら両剤併用を」と報告した。BMJ誌2008年9月2日号(オンライン版7月4日号)より。

熱のある6ヵ月~6歳の小児を対象に各処方を比較
PITCH(Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children)は、イングランドにおけるプライマリ・ケア受診者と一般家庭から募集した、腋窩体温37.8度以上41.0度以下の生後6ヵ月~6歳児を対象とした研究。
保護者に対し、体温を下げるための物理的手段と、パラセタモール+イブプロフェン、およびパラセタモールかイブプロフェンの単独投与についてアドバイスを行い検証した。

主要転帰尺度は、初回の投与から4時間で熱がない(37.2度未満)状態、48時間時点で「discomfort scale」に基づき「正常に回復した」と報告した小児の比率とした。
副次転帰は、最初に正常体温に戻るまでの時間、24時間以上の熱がない状態、熱に関連する症状、副作用とした。

イブプロフェンは早く効き併用は効果が持続
intention to treat解析に基づき、4時間時点では、パラセタモール+イブプロフェン併用群はパラセタモール単独群より解熱効果が高かった(補正後の時間差55分、95%信頼区間:33~77分、P<0.001)。
イブプロフェン単独群でも同程度の解熱効果がある可能性があった(同16分、-7~39分、P=0.2)。

24時間以内の解熱時間は、併用群がパラセタモール単独群より優れ(4.4時間、2.4~6.3時間、P<0.001)、イブプロフェン群よりも優れていた(2.5時間、0.6~4.4時間、P=0.008)。

解熱までの時間は、併用群がパラセタモール単独群より早かったが(-3分、18~-24、P=0.8)、イブプロフェン単独群よりは遅い(23分、2~45、P=0.025)。
不快感や他の症状の改善は見られなかったが、これらの転帰への影響は小さかった。有害事象は、3群間に差はなかった。

こうした結果からHay氏は「すみやかに小児の解熱を図るには、まずイブプロフェンを投与すべきで、24時間経過後にパラセタモール+イブプロフェンを、有益性とリスクを考慮しながら投与すべきである」と結論している。
Hay AD et al. Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children (PITCH): randomised controlled trial. BMJ. 2008 Sep 2;337:a1302. doi: 10.1136/bmj.a1302.
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=6123
出典 Care Net.com 2008/10/10(金) No.J000531

■小児の解熱にパラセタモール+イブプロフェン併用が経済的
本論は、イギリスの国民医療保健サービス(NHS)で、就学前の小児の解熱によく処方されるパラセタモール(別名アセトアミノフェン)とイブプロフェンに関する有効性等の比較研究(PITCH:Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children)の報告の一つ。
Sandra Hollinghurst氏ら効果とコストについて分析結果で、「両剤の併用がコスト面では最も効果が大きい」と報告した。
BMJ誌2008年9月9日号に掲載された。

48時間と5日後の効果と費用を比較検討
3肢無作為化試験の一部として、コスト分析と費用対効果分析を行った。
対象はプライマリ・ケアおよび地域から集められた、腋窩体温が37.8度以上41度以下の生後6ヵ月~6歳児で、パラセタモールとイブプロフェンを単独または併用で投与した。

主要転帰尺度は、NHSと保護者が投じたコスト。
コストと体温、不快感、活力、食欲、睡眠状態との比較を、投与後48時間時点と5日時点とで行ったコスト分析と、48時間時点のコストと小児が回復した割合とを比較した費用対効果分析を行った。

併用は効果もありNHSと親の費用負担を軽減
NHSの負担するコストは、48時間時点では、パラセタモール単独投与が11.33ポンド、イブプロフェン単独投与が8.49ポンド、併用は8.16ポンドだった。5日時点ではそれぞれ19.63ポンド、18.36ポンド、13.92ポンドに増加した。
保護者が支払う経費は、48時間では、パラセタモール単独が23.86ポンド、イブプロフェン単独が20.60ポンド、併用では25.07ポンドだった、5日時点ではそれぞれ26.35ポンド、29.90ポンド、24.02ポンド。
48時間時点、5日時点で示された結果では不十分で、結論を断定するには至らず、特に48時間時点の費用対効果分析は、ある処置選択が他方より有意に費用対効果があったというエビデンスを得ることはほとんどできなかった。
しかし4時間時点では、解熱時間を評価する主要項目に関して、イブプロフェン単独投与と併用治療は、パラセタモール単独投与より優れており、24時間時点では、併用治療が、この項目では最も効果があることが示された。

各処置間にコストの違いに関する明確なエビデンスはないが、臨床データおよびコストデータともに、両剤併用が最も費用対効果に優れていることを示唆した。
Hollinghurst氏は「この処置選択は、ヘルスケア資源の消費がより少なく済みかつ効果があり、NHSと保護者とのに負担が軽減される」と結論している。

Hollinghurst S et al. Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children (PITCH): economic evaluation of a randomised controlled trial. BMJ. 2008 Sep 9;337:a1490. doi: 10.1136/bmj.a1490.
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=6124
出典 Care Net.com 2008/10/10(金)
No.J000532


<きょうのブログ>
小児の解熱:初日はイブプロフェン主体、それ以上はイブプロフェン+アセトアミノフェン併用が良い
http://intmed.exblog.jp/7459116/
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by wellfrog2 | 2008-10-13 00:02 | 小児科
2008年 10月 09日

小児のacetaminophenと喘息


Acetaminophen and Asthma in Children
いくつかの観察研究は、acetaminophenの使用と小児喘息の発症との関連性を示唆している。
この研究では、31ヵ国の6~7歳の小児205,487人について、親または保護者の思い出しによる、生後1年間または研究前12ヵ月間のacetaminophen使用と、喘鳴の発症との関係を評価した。
さまざまな分析が行われ、多くの交絡変数やデータの完全性について調節したところ、生後1年間のacetaminophenの使用は、使用しない場合と比較して、喘鳴と有意に関連していた(オッズ比[odds ratio:OR]、もっとも完全な分析で1.46)。
過去12ヵ月間の使用は喘息症状と有意な用量反応関係を示した(ORは、前年に1回使用の1.61から毎月の使用での3.23までの範囲であった)。
さらに、acetaminophenの使用は湿疹や鼻結膜炎症状のリスクの上昇とも関連していた。

コメント:著者は、研究の規模や幅広い国における所見の一貫性からみて、acetaminophen曝露と喘息の発症の関連性が示唆されていると述べているのは正当であろう。
しかし、関連性は必ずしも原因と結果を証明するものではない。エディトリアルで述べられているように、この分析では2つの重要な変数について調節することができなかった。
すなわち、報告バイアス(喘鳴のある小児の親はacetaminophenを与える割合が高いかもしれない)と想起バイアス(喘息のある小児の親はacetaminophenを与えたことを思い出す割合が高いかもしれない)である。
私は今回の所見が、適応がある場合のacetaminophenの使用を妨げるものではないと考える。

Beasley R et al. Association between paracetamol use in infancy and childhood, and risk of asthma, rhinoconjunctivitis, and eczema in children aged 6–7 years: Analysis from Phase Three of the ISAAC programme.
Lancet 2008 Sep 20; 372:1039.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18805332?dopt=Abstract
出典 Journal Wacth On Line 日本語版 2008年10月06日号
版権 Massachusetts Medical Society


<番外編>
アカデミーが発表した公式リリースには、小林氏、益川氏は日本国籍で、南部氏はアメリカ国籍とはっきり記されている。
南部氏は1921年に東京で生まれたが、70年に物理学の研究を続けるために米国に帰化。シカゴ大学で半世紀に渡り研究に打ち込んで、現在はシカゴ大学名誉教授。
「日本人3人がノーベル賞を受賞」や「日本人のノーベル賞受賞は15人」という表現が正確なのか疑問が残る。
確かに、日本人という定義はあいまいだ。
日本の国籍ありなしは関係ないというのが日本の新聞社の考え。外国に帰化しても日本人。
つまり「民族」に重きを置いているのだろう。ただ、国際社会では国籍で判断するようだ。帰化した時点で、南部氏も日系の米国人と呼ぶのが正しいことになる。

http://www.excite.co.jp/News/society/20081008/JCast_28248.html

<ノーベル化学賞>下村氏、研究一筋半世紀 自宅にも実験室
日本人研究者の頭脳が、2日連続で世界に認められた。
ノーベル物理学賞の3氏に続き8日、緑色蛍光たんぱく質(GFP)を発見した元ウッズホール海洋生物学研究所上席研究員、下村脩さん(80)の化学賞受賞が決まった。
日本人の化学賞受賞は、故福井謙一博士、田中耕一さん(49)らに次いで5人目。
02年の田中さんと小柴昌俊・東大特別栄誉教授(82)に続き、今年も物理学賞と化学賞のダブル受賞となる。
受賞経験者からは祝福の声が寄せられ、知人らも地道な研究がもたらした偉業を喜んだ。

「研究は、やり始めたらやり遂げることが大事。難しいからといって、最初からあきらめてはいけない」。
下村さんは6日、毎日新聞の取材に、自身の研究姿勢をこう語っていた。
生物発光の研究に取り組み始めてから約50年。
まさに研究一筋の厳しい姿勢を貫いてきた人生だった。

米プリンストン大の研究員時代。
「なぜオワンクラゲは発光するのか」という謎に迫ろうと、研究を始めた。
捕ったオワンクラゲは実に約5万匹。
その中から「イクオリン」という発光物質を取り出すことに成功した。だが、イクオリンは青く光る物質で、オワンクラゲは緑色に光る。
研究を続け、イクオリンの精製時に、わずかだが緑色に光る物質を見つけた。
これがGFPの発見につながった。研究は「やって少しでも分かってくると、それがまた魅力となり、面白さとなって研究をしたくなるんです」と語った。

中学生の時、長崎県・諫早に疎開。軍需工場に動員された。
戦後は中学の卒業証書がないため、高校へ進学できなかった。
たまたま近所にできた長崎医科大薬学専門部(現長崎大)に入学。卒業後、民間会社には就職しなかった。
「人の言うことは聞かないですから、民間の会社では勤まらないと思った」と当時を振り返る。

趣味は、水彩画やデッサンなどの絵画を購入すること。
「人間は自分の意見が正しいか反省しなければならない。研究とまったく違う分野の絵画は、そのための基準を与えてくれる」とその魅力を語る。
ただ「研究と同じで、購入する時も徹底して調べます」。
最近まで自宅の実験室で研究を続けていたが、いまは自らの研究を書き残す著作活動に忙しい日々を過ごしている。

最近の科学研究をめぐる状況に不安を感じる時もあるという。
「今の研究者は、結果の出やすい目先の成果を追うことが多い」と嘆く。
「元気のない若い研究者が多く、もっと根本原理に迫る研究者が出てきてほしい」と期待を示した。


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http://www.excite.co.jp/News/society/20081008/20081009M40.093.html

<きょうの一曲> “Leaving on a jet plane”
Leaving on a jet plane- peter, paul and mary
http://jp.youtube.com/watch?v=Fa3h3pnhg8s



読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)


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by wellfrog2 | 2008-10-09 00:06 | 小児科
2008年 09月 24日

かえる切り抜き帖 2008.9.24

後発医薬品、世界最大手が日本進出 イスラエルのテバ・ファーマ
特許切れ成分を使った後発医薬品で世界最大手のテバ・ファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)が日本市場に本格参入する。
近く中堅製薬会社の興和と開発・販売の合弁会社を設立する。
新薬に比べ価格の安い後発薬は医療費削減の流れを受けて4、5年後に国内で1兆円超の市場規模となる見通し。
豊富な品種を持つテバの参入で需要増に弾みがつきそうだ。成長市場を巡り、国内の製薬再編が加速する可能性もある。
 
テバと興和は合弁会社の出資比率や幹部人事などで最終調整を進めており、月内に合意する見通し。早ければ2010年にもテバの製品を日本で販売するとみられる。

テバは年間売上高が約1兆円で、後発薬国内最大手の沢井製薬の約27倍の規模。
血圧降下剤や抗がん剤など主要な疾患領域をほぼカバーし、同業への買収攻勢で事業規模を急拡大している。

出典 日経新聞・朝刊 2008.9.23
版権 日経新聞社


<コメント>
当院は院内処方ですが、原則的に後発品を処方していません。
その理由はここでは述べません。
希望される患者さんには院外処方を書いていますが、その際にはかえって支払い額が高くなる可能性もお話します。

ジェネリックについては国策(?)もあり”馬の鼻先にニンジン”という医療政策がとられています。
しかし、”笛吹けど踊らず”というのが実情です。
まずは”隗より始めよ”です。
厚生省管轄の医療機関がジェネリックに変えた時点でゆっくり考えればいいと思います。

”独立”法人だからそんなの関係ない???

以下は心ある先生方の本音トークです。
<関連サイト>
よっしぃの独り言
http://blog.m3.com/yosshi/20080809/1
今、ジェネリックに何が・・?
http://blog.m3.com/DrTakechan/20080501/2
知らぬ間にジェネリック
http://blog.m3.com/yosshi/20080108/1
ジェネリックって安い?
http://blog.m3.com/yosshi/20071201/2
日本のジェネリックは?
http://blog.m3.com/DocMIHINani/20080615/1
<ボクの中のゾロとジェネリック>
http://blog.m3.com/DocMIHINani/20070808/1
ジェネリック推進 追記あり
http://blog.m3.com/yosshi/20080429/1

<きょうの一曲>My Way
Frank Sinatra-My Way
http://jp.youtube.com/watch?v=sEbgB6X6S5c&feature=related



読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他にもブログがあります。
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(一般の方または患者さん向き)
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by wellfrog2 | 2008-09-24 00:30 | 小児科