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カテゴリ:皮膚科( 2 )


2008年 09月 04日

乾癬とPUVA療法

乾癬の治療にはPUVA療法を 適応患者の選択が重要
〔ニューヨーク〕乾癬については現在,いくつかの有効な治療法が存在するが,それらをいつ施行するのか,どのくらいの期間施行するのか,またいつその治療を中止して別の治療法を開始するのかを決定することは困難を伴うとされている。
このようななか,ハーバード大学(ボストン)のRobert S. Stern博士は,乾癬に対する経口ソラレンと長波長の紫外線Aを組み合わせたPUVA療法の有用性についてNew England Journal of Medicine(2007; 357: 682-690)に発表した。

不適応の患者ではリスク高い 
軽度の乾癬に対しては局所薬を用いた治療が有効であるが,広範性の皮膚病変や多数の病変が認められる患者では非実用的とされている。
局所薬では不適応または不十分な患者には,狭帯域の紫外線B(UVB)がしばしば用いられる。
この光線療法には全身薬は使用しないが,さらなる効果を得るには,角質溶解薬や皮膚軟化薬を用いて鱗屑を完全に除去する必要がある。
 
UVBが不適応の患者には,しばしばPUVA療法が考慮される。
Stern博士は「PUVA療法は,乾癬管理に大変革をもたらした」と述べているが,一方で関連する臨床試験の大部分は小規模で,適切なランダム化比較試験はほとんどないと指摘している。
 
PUVAは選択した患者集団で有効なことが明らかにされているが,不適切な患者集団に使用した場合には,非黒色腫皮膚癌,特に扁平上皮癌リスクが有意に高く,これらの癌を発症したPUVA施行患者の約 4 %で転移が認められる。
同博士は「男性生殖器は特に扁平上皮癌リスクが高く,治療中は遮へいすべきである。
影響を受けやすい患者では,約200回の治療後に実質的にリスクが上昇する。
以前に相当量のPUVAを受けた患者が,その後シクロスポリン投与や他の免疫抑制療法を受けている場合,扁平上皮癌リスクはさらに高くなる。また,200回以上のPUVAにより,15年の潜伏期間の後に黒色腫リスクが約 5 倍に上昇する」と述べている。

肌質がIII〜VI型の患者には適切
それでは,どのような患者がPUVAの適応となり,どのような患者にならないのか。
適応があるのは肌質がIII〜VI型の患者で,患者の肌が熱傷を起こすことはまれであり,小麦色になるものの皮膚癌発症リスクは低い。
しかし,一部の日本人は肌質が II 型で,PUVAは不適応である。肌質が II 型の患者は通常,熱傷を起こし,小麦色になることはまれである。
 
PUVAは50歳以上の患者が適応となり,それより若年の患者は不適応となる。PUVAの有害作用は累積曝露量と相関し,持続すると考えられるため,若年患者の治療には注意が必要,とStern博士は強調している。
 
既存する熱傷,または表現型の特徴や遺伝的特質が原因で,皮膚癌リスクが高いことが判明している患者の場合も慎重に治療を行うべきである。
 
非黒色腫皮膚癌,黒色腫,または非定型母斑が認められる患者や,黒色腫の家族歴がある患者ではPUVAは相対的禁忌である。

併存疾患で有効性異なる 多数の厚い斑が広範に認められる患者にPUVAは適応となり,爪や頭皮の広範性病変を含む患者では不適応となる。
PUVAは紫外線に曝露された領域にのみ便益を与えることから,身体のこれらの部分では有効性は限定的である。
 
関節炎が併存する一部の患者では,関節炎に対して抗リウマチ薬(DMARD)が処方されるが,この薬剤自体が乾癬の症状を改善すると考えられている。
そのような患者では,PUVAは不適応と考えられるが,当然,DMARDにより乾癬症状が改善されない場合には状況は変化する。
 
一定の健康状態にある患者は,PUVAが有効である可能性が高い。すなわち,HIV感染などの感染症や好中球減少症リスクが高い患者,心不全の既往歴があるにもかかわらず20分間直立可能な患者と肝炎,肝疾患,血液学的異常,リンパ腫,または脱髄疾患の既往歴のある患者などである。
 
対照的に,上記以外の健康状態の患者ではPUVAの有効性は低いと考えられる。
すなわち,妊娠中の患者,無水晶体症の患者(UVA吸収性体内インプラントを有しない場合),全身性エリテマトーデス患者など光線過敏の既往歴のある患者と免疫抑制療法,特にカルシニューリン阻害薬を現在使用しているか,将来使用する可能性が高い患者などである。

以前の治療反応も重要 
当然,患者個々が以前の乾癬治療法に対してどのような反応を示したのかが, PUVAの使用が奏効するか否かについてのヒントとなる。
例えば,UVBすなわち太陽光に対して有効であった患者,UVBまたは他の全身療法後に迅速な再燃が認められた患者,以前のPUVAにより 4 か月以上にわたり迅速な症状消失,寛解または両方が認められた患者と,以前に受けたPUVAが150回未満の患者はPUVAの適応となる可能性が高い。
 
逆に,UVBで病状が悪化した患者では,PUVAが適応となる可能性は低いと考えられる。
以前に症状の消失に35回を超えるPUVAを必要とした患者,または以前のPUVAの終了から 2 か月以内に再燃を経験した患者では,適応となる可能性は低いと考えられる。
 
乾癬のためにおもに1960年以前に広く実施された電離放射線療法を受けた患者はPUVAに最適な対象ではない。
 
前述したように,以前に200回を超えるPUVAを受けた患者は継続的なPUVAに適した対象ではない。
 
患者のPUVAに対する適応を示す指標としては,その患者が日光被曝や治療日の保護眼鏡の使用に関する指示に従う見込みがあるか否かという点がある。

他の薬剤との併用に注意を
抗ヒスタミン薬,非ステロイド抗炎症薬 (NSAID),テトラサイクリンと他の光線感作薬を使用している患者は注意して治療を行わなければならないため,患者がこれら薬剤の使用を報告することは重要である。
 
PUVAは乾癬性関節炎の有効な治療法ではない。
Stern博士は「乾癬性関節炎と広範性皮膚病変の両方が認められる患者では,関節疾患の管理を目的としてUVBまたはPUVAのいずれかとメトトレキサートまたは腫瘍壊死因子(TNF)-α阻害薬の併用を考慮するのが望ましい。
PUVAとメトトレキサートを併用する場合は,光毒性の恐れがあるためPUVAの用量の低減が必要であろう」と述べている。
 
米国で使用されている関連の経口ソラレンはメトキサレン(8-メトキシソラレン)で,同薬のみがこの適応で米食品医薬品局(FDA)の承認を受けている。
同薬は他の適応で何十年間も使用されている。

有害作用に留意
PUVAの一般的な急性有害作用には,軽度〜中等度の悪心,紅斑,掻痒,皮膚乾燥と不規則な色素沈着が含まれる。
そのような有害作用はしばしばPUVA療法の修正,皮膚軟化剤や局所または経口抗掻痒薬の使用,多少のPUVA治療の省略を通じて管理が可能である。
 
保護眼鏡使用の指示に従う患者では,白内障などの眼球異常の罹患率上昇は認められない。
 
PUVAと経口芳香族レチノイドの併用は有効であると考えられる。
しかし,経口レチノイドは催奇形性が高く,重大な有害作用を伴う可能性があるため,同薬とPUVAの併用は通常,PUVA単独では反応しない患者にのみ施行するとされる。
 
Stern博士は「PUVAを開始した患者では,治療に対する反応を判定するために約15回施行後に観察すべきである。
その時点までに改善が認められない患者では,皮膚症状の消失に40回を超える治療を必要とする可能性が高い。
そのような患者は,代替治療法が不適切または無効でない限り,または長期治療での有害作用リスクが低くない限り,PUVAの適応対象とは考えにくい」と述べている。
 
多くの患者では,約24回のPUVA治療で乾癬症状の改善が認められる。
寛解は多くの場合 3 〜 6 か月持続する。同博士は「いったん皮膚の大部分が正常化されたら,治療回数を減らし(一般的に 4 〜12週間),その後通常は治療を中止すべきである。
最も重度の疾患以外は,年間に50回以下の治療に制限するよう努力すべきだ」と推奨している。
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(画像をクリックすると拡大されます)
出典 Medical Tribune 2008.1.17
版権 メディカル・トリビューン社


’’’<関連記事>’’’
’’’ウシオ電機、紫外線皮膚治療器を名古屋市立大と共同開発’’’
ウシオ電機は2日、アトピー性皮膚炎など皮膚の疾患に紫外線を照射して治療する「セラビームUV308」を名古屋市立大学と共同開発し、1日から販売を始めたと発表した。
小型光源を採用することで、蛍光灯を使う従来の紫外線治療器より局部的に光をあて、発がんなどの副作用を抑え治療できるという。
 
共同開発した紫外線治療器は、アトピー性皮膚炎など自己免疫疾患の患部に、波長308ナノ(ナノは10億分の1)メートルの紫外線をあてて治療する。
名古屋市立大の森田明理教授らが研究を重ね、波長311ナノメートル付近の紫外線をあてる従来の治療器よりも効果が高いことも確認したとしている。
出典 日経産業新聞 2008.9.3
版権 日経産業新聞社


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by wellfrog2 | 2008-09-04 00:12 | 皮膚科
2008年 09月 01日

骨棘形成は膝痛と相関なし

札幌市で開かれた第81回日本整形外科学会(会長=北海道大学大学院整形外科学・三浪明男教授)。
シンポジウム「変形性膝関節症のマネージメント―最新の臨床エビデンスとエキスパートオピニオン―」(座長=東京大学整形外科・中村耕三教授,慶應義塾大学整形外科・戸山芳昭教授)で勉強しました。

変形性膝関節症の病態   骨棘形成は膝痛と相関なし
東京大学整形外科の川口浩・准教授は,変形性膝関節症(OA)に関する大規模疫学調査と立位単純X線像のコンピュータ支援診断システムでの解析結果から,OAでの膝痛の危険因子としては骨棘形成ではなく,内側の関節裂隙狭小化と脛骨大腿骨角が影響している可能性が高いことを明らかにした。
また,動物モデルでの検討からOAの分子レベルでの病因として,力学的ストレス負荷により軟骨細胞の肥大分化・アポトーシスなどの軟骨内骨化シグナルが誘導され,この結果誘導される蛋白分解酵素により,軟骨の変性・破壊や骨棘形成が発生するとの見解を示した。

客観的評価基準の確立と分子レベルでの病態解明が課題
変形性関節症および脊椎症に関しては,日本国内で2,000万人以上の患者が存在するとの指摘はあるものの,これまでは大規模な臨床データベースがなく,またOAにそのものの重症度の客観的・定量的評価法や診断基準もあいまいなままである。
 
川口准教授らの東京大学整形外科と同大学22世紀医療センターが協同でOA統合研究プロジェクトROAD(Research on Osteoarthritis Against Disability)を樹立し,臨床情報とゲノム情報を網羅したOAデータベースの蓄積を行っている。
 
ROADは一般住民を対象とした大規模コホートで,10年以上の前向き縦断研究。地域特性が異なる都市型(実施地域:東京都),山村型,漁村型(ともに和歌山県)の3地域で実施し,登録者には400項目以上の聞き取り調査のほか,問診・診察,単純X線撮影,血液・尿検査とゲノム解析用検体採取が行われている。
 
研究では既にベースライン調査を終了し,3,040例のうち50歳以上の2,843例で,X線像からOAを評価する基準 であるKellgren Law(KL)分類(グレード0〜4までの5段階評価。2以上は明らかな骨棘があり,3以上ではこれに加えて明らかな関節裂隙狭小あり)に基づいて,一般的にOAと診断されているKLグレード2以上を有病とした場合の有病率は,男性40%超,女性60%超となっている。
 
これに基づくと,国内の膝OA患者は2,400万人となる。同准教授は,ROADでのKLグレード2以上の登録者のなかで膝痛のある者は3分の1以下で,この有症状の膝OA患者は820万人になると説明した。
 
変形性関節症の痛みや機能性の指標であるWOMACスコアとKLグレードの相関関係をROADの山村・漁村型コホート1,448例でロジスティック回帰分析を行うと,WOMACのサブ項目の膝痛,こわばり,身体機能の各項目のオッズ比からは,膝痛ではKLグレード3以上,こわばりはグレード4,身体機能はグレード3以上となった。
 
こうした検討のばらつきからも診断基準が確立されたものとは言えず,同准教授は「客観的・定量的診断基準の確立は焦眉の急を要する課題と言える」と語った。
 
そのうえで同准教授は,将来的にはMRIによって定量的・定性的診断が可能になるだろうとの見通しを示したものの,現時点では汎用性に欠けるとして,東京大学が開発した内・外側の関節裂隙,骨棘形成,脛骨大腿骨角を自動的かつ瞬時に計測できるコンピュータ支援診断システムKOACAD(Knee OA computer assisted diagnosis)を紹介した。
 
これでROADの都市型コホート1,979膝についてパラメータの相互相関係数で比較すると,関節裂隙と骨棘形成の間には有意な相互相関はなく,この2つは独立した病因で起こる可能性を指摘した。
また,ロジスティック回帰分析による各パラメータと膝痛との相関を検討すると,膝痛の危険因子は内側の関節裂隙狭小化と脛骨大腿骨角であることが明らかになった。
外側関節裂隙や骨棘は膝痛と相関はなかった。
 
OAの分子生物学的レベルでの発症メカニズムを明らかにするため,同准教授らが行ったマウスOAモデルでの実験では,OAマウスでは蛋白分解酵素MMP13の発現が確認されたが,これに先立って肥大化した軟骨細胞で特異的に生成されるX型コラーゲンが発現しており,X型コラーゲンとMMP13の双方に関与する転写因子Runx2を欠損させたヘテロマウスでOA誘導実験を行うと,OAは抑制されたという。
 
一方でホルモンであるオステオプロテジェリンを欠損させたマウスのOAモデルではOAが悪化し,逆にオステオプロテジェリンをマウスの膝に注射すると,症状が抑制されることも明らかになっており,これには軟骨細胞のアポトーシス抑制作用と考えられる。
 
こうしたことから同准教授は,メカニカルストレス負荷によって,軟骨細胞の肥大分化・アポトーシスなど成長板軟骨に見られる軟骨内骨化過程が永久軟骨であるはずの関節軟骨で起こることを示唆した。

出典 Medical Tribune 2008.8.14
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by wellfrog2 | 2008-09-01 00:06 | 皮膚科