カテゴリ:運動器( 2 )


2008年 11月 07日

グルコサミンとコンドロイチン

グルコサミンおよびコンドロイチンに関する研究のさらなる結果
More Results from a Study of Glucosamine and Chondroitin
2008 October 16


GAIT試験は、広く知られた米国のランダム化試験であり、変形性膝関節症患者1,583人を対象にglucosamine、chondroitin sulfate、glucosamine+chondroitin sulfate、celecoxib、またはプラセボのいずれかを投与した。
GAIT試験の最初の報告(2006年発表)では、glucosamine、chondroitin sulfate、および両者の併用投与には、6ヵ月間の治療中、プラセボとの比較で疼痛緩和について有意な優越性が認められなかった(日本語版Journal Watch Feb 28 2006)。

今回、別のアウトカムであるX線画像における進行が、2年間の二重盲検投与を完了した患者357人について発表された。
平均関節腔幅(脛骨大腿関節内側コンパートメントにおいて測定)は、5群すべてで減少し、どの投与群もプラセボ群との間に有意差は認められなかった。
さらに、かなりの進行が認められた(膝関節腔幅の減少>0.48 mmと定義)患者の割合は、各群で約20%であった。

コメント:
GAIT試験の最初の結果では、glucosamine、chondroitin sulfate、または両者の併用投与を受けた患者に有意な症状改善は認めらなかったが、これらの薬物が、それでも変形性膝関節症の進行を遅らせるかもしれないといういくらかの望みがあった。
この新たな報告は、その楽観を否定するものであろう。
しかしこの結果は、glucosamine単独療法が、プラセボ群と比較して関節腔狭小化の進行遅延を伴った過去の2件のヨーロッパの試験と相反するものである。
この相違の理由は明らかでない。

Allan S. Brett, MD
Published in Journal Watch General Medicine October 16, 2008

Citation(s):
Sawitzke AD et al. The effect of glucosamine and/or chondroitin sulfate on the progression of knee osteoarthritis: A report from the Glucosamine/chondroitin Arthritis Intervention Trial. Arthritis Rheum 2008 Oct; 58:3183.

出典 Journal Watch  2008 October 16


<GAIT試験、GAIT II試験 関連サイト>
グルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用が症状の重い膝骨関節炎の痛みに有効
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acr2005/200511/413597.html
(日経メディカル オンライン http://medical.nikkeibp.co.jp/
2005. 11. 15
グルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用が膝の骨関節炎の中等度から重度の痛みを持つ患者に有効である可能性が大規模臨床試験で報告された。
グルコサミンとコンドロイチン硫酸を併用した場合とそれぞれを服用した場合に、安全性と有効性を評価するGAIT(The Glucosamine/Chondroitin Arthritis Intervention Trial)試験の結果明らかとなったものだ。

(その後の2008年のGAIT II試験でこの結果は覆された )

NIHのグルコサミン/コンドロイチンの関節症に対する臨床介入試験(GAIT) に関する質問と答
http://www.supplerank.com/nccam/glucosamine.html

GAIT II Results on Glucosamine/Chondroitin Supplements Inconclusive
2008-10-01 - Natural Products Association
http://www.npicenter.com/anm/templates/newsATemp.aspx?articleid=22262&zoneid=26
The researchers concluded that supplements of chondroitin sulphate and glucosamine, alone or in combination, may not positively affect joint health.
(The first GAIT study concluded that glucosamine and chondroitin were statistically more effective than COX-2 inhibitors in the subgroup of people who suffer the most from osteoarthritis, those who experience moderate to extreme pain. )

GAIT II: No Benefit from Glucosamine/Chondroitin
http://hsrmagazine.com/hotnews/gait-ii--no-benefit-from-glucosamine-chondroi.html

<きょうの一曲> 
”ワルツ・フォー・デビー”
「ワルツ・フォー・デビー」
http://ja.weshow.com/categories/editorial/音楽/video/ビル・エバンス 「ワルツ・フォー・デビー」-154978
"Autumn Leaves / Cannonball Adderley with Miles Davis"
http://jp.youtube.com/watch?v=xvL-i0VE7Co&feature=related


<「ワルツ・フォー・デビー」/ビル・エバンス 関連サイト>
http://www.ojihall.jp/topics/interview/jazz/evans1.html
http://www.ne.jp/asahi/matsuwa/home/waltzfordebby.html
http://ameblo.jp/hiroharu/entry-10038973058.html

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by wellfrog2 | 2008-11-07 00:30 | 運動器
2008年 09月 02日

変性腰部脊柱管狭窄症に診療ガイドライン

〔ニューヨーク〕北米脊椎学会(NASS)は,エビデンスに基づく変性腰部脊柱管狭窄症(LSS)の診断・治療に関する診療ガイドラインを発表した。

良好な自然経過
NASSガイドラインでは,変性LSSを「腰椎の神経または血管スペースの減少に伴う臀部または下肢の疼痛を主症状とし,腰痛を伴う場合と伴わない場合がある」と定義している。
症候性LSSでは症状の誘発,緩和は特徴的であり,運動または体位で誘発される神経性跛行が見られ,通常,症状は前屈,坐位,臥位などで緩和される。
 
ガイドラインに記された重要な点は,多くの患者の予後は良好で,急激な重症の機能低下はまれなことである。
すなわち,軽症〜中等症の変性LSS患者の 3 分の 1〜 2 分の 1 では,望ましい自然経過を示す。
 
ガイドラインで引用されているすべてのエビデンスは,軽症〜中等症の変性LSS患者に関するものであり,重症患者の自然経過に関するデータは十分ではない。
また,変性LSSの診断を裏づける最も適した経過と身体症状に関するエビデンスは不十分である。
坐位により改善または軽快する重度の下肢痛と両脚をO字形にした歩行などの姿勢異常が見られる高齢者では,LSSを疑うべきである。
これらのほか,ロンベルク徴候陽性,伸展時の大腿痛の悪化,神経筋障害などにも注意する。一方,歩行時に疼痛が悪化しない患者ではLSSの可能性は低い。
 
変性LSSの非侵襲的画像診断法として最適なものはMRIである。
MRIが禁忌となる患者,MRI所見で確定診断ができない患者,症状とMRI所見が相関しない患者ではCT脊髄造影法が有用となる。
 
治療のゴールに関連するものとして,Oswestry Disability Index(ODI)とSwiss Spinal Stenosis Questionnaire(SSS)/Zurich Claudication Questionnaire(ZCQ)がLSSのアウトカムの評価法として適切な尺度となる。

エビデンスはいずれも不十分
ガイドラインでは,内科的治療および介入的療法が自然経過と比べてアウトカムを改善するかどうかを裏づけるエビデンスはないことが記されている。
 
カルシトニン点鼻,カルシトニン筋注,メチルコバラミン,リポプロスタグランジンE1静脈内投与といった薬物治療が,LSS患者に長期的効果をもたらすことを裏づけるエビデンスもほとんどない。
しかし,カルシトニン筋注がある程度の短期的な効果をもたらすことを裏づける弱いエビデンスは存在する。
 
物理療法および運動療法単独の効果を裏づけるエビデンスも不十分である。
 
しかし,ガイドラインは,物理療法や運動療法が特定の患者集団で神経性跛行を伴うLSSの症状コントロールに有効である可能性があるとして推奨している。整体に関しても十分なエビデンスはない。
 
通常の硬膜外ステロイド注射をコントラスト増強蛍光透視下で行うことにより,薬剤を正確に患部へ送達できることを示すエビデンスがある。
非透視下の硬膜外ステロイド注射の症状緩和効果は 2 〜 3 週間持続するが,長期的な効果に関するエビデンスは一貫していない。
単回X線透視下硬膜外ステロイド注射は,LSSに起因する神経根症を短期的に緩和する可能性がある。
しかし,このような単回注射の長期的効果に関するエビデンスも一貫していない。
 
対照的に,レベルの高いエビデンスは存在しないものの,ガイドラインではX線透視下硬膜外注射や仙骨へのステロイド反復投与は,LSSに起因する神経根症や神経性間欠跛行が見られる患者の長期的な疼痛緩和に有効である可能性が示されている。
 
ガイドラインは,装具使用,牽引療法,電気刺激療法,経皮的神経電気刺激療法(TENS)などの補助的療法について,腰仙部コルセットの使用により歩行距離の増加と疼痛軽減が期待できるとしながらも,コルセットを外した後も効果が持続するか否かは不明であるとしている。
ほかの補助的療法に関するエビデンスも不十分である。

80%で減圧手術が有効
非外科的治療の長期的有効性についてもエビデンスは十分ではない。
ガイドラインでは,初期治療として内科的治療および介入療法を受け, 2 〜10年間観察された軽症〜中等症のLSS患者の約20〜40%では,最終的に外科的介入が必要になるとしている。
外科的治療を要しない患者の50〜70%では,疼痛緩和が期待できる。
 
外科的治療がLSS患者の自然経過と比べて良好なアウトカムをもたらすかどうかについては,エビデンス的には弱いものの以下の 3 つの結論が示されている。
 (1)重症の患者では約80%で減圧手術単独が有効である
 (2)中等症〜重症の患者では,減圧手術は内科的治療および介入療法よりも効果的である
 (3)軽症〜中等症の患者では,約70%で内科的治療および介入療法が有効である
軽症〜中等症のLSS患者では,棘突起間固定減圧手術(X-stop手術)が内科的治療および介入療法より効果的であることを示す研究もある。
ガイドラインは,この研究を優れていると評価しているものの,ほかに類似する研究がないため同治療を推奨するエビデンスとしては不十分だとしている。
 
長期追跡( 8 〜10年間)に基づくLSSに対する減圧手術の効果については,内科的治療および介入療法と比べて一貫した研究結果が示されている。
エビデンスのレベルは高くはないが,75歳以上のLSS患者では65〜74歳の患者と同等の効果が得られる。
さらに,65歳以上の糖尿病合併LSS患者でも効果があるとしている。
 
LSSと脊椎すべり症の併発患者では,減圧手術と癒合術の組み合わせが減圧手術単独よりも治療成績が優れている。
この結論は,器具使用の有無にかかわらず,すべての腰椎固定術に当てはまる。
 
LSSと脊椎すべり症に対する腰椎固定術後のX線検査で確認される偽関節の存在は,2 年後のアウトカムに影響しなかった。
さらに,器具を使用した腰椎後方固定術はX線所見に基づく固定率を上昇させる。

今後も研究が必要な領域
NASSガイドラインでは,不十分なエビデンスに基づくものではあるが,以下の 3 点を推奨している。
 (1)LSSと脊椎すべり症の併発例では,腰椎固定後の偽関節のX線所見は 5 年後以降の治療成績悪化の予測因子となる
 (2)Posnerの脊椎不安定性診断基準を満たすLSS患者では,減圧手術と固定術の組み合わせは減圧手術単独と比べて 2 年後以降のアウトカムを向上させる
 (3)脊椎すべり症や脊椎不安定性を伴わないLSS患者で固定術の効果を裏づけるエビデンスは存在しない
最終的に,ガイドラインでは,外科的治療後に 4 年間以上の追跡期間を設けた研究結果により,LSS患者の50〜79%で,良好または優れたアウトカムが得られたことが記されている。
 
また,NASSガイドラインは,この領域での将来的な研究に対する数多くの提案も行っている。
出典 Medical Tribune 2008.1.17
版権 メディカル・トリビューン社


<自遊時間>
いよいよ「特定保健指導」がスタートします。
この説明会が8月30日に開催され、当院の職員(看護師、事務員)2名に参加してもらいました。
その時の様子を今朝聞きました(私は所用のため欠席)。
返ってきたのが、「ややこしくてとても出来ません」という言葉でした。
「特定保健指導」受諾医療機関として登録し、ネットでも公開されているのですが、明日にでも電話して取り消しの手続きをするつもりです。
患者さんが実際来院されてからでは遅いですから。

従来の診療に混乱をきたすのは必至です。
どうやら小規模の無床診療所では難しそうです。
そしてその指導の効果も疑問視されています。


取り組み進むが実効性に疑問も
メタボリックシンドロームの概念を取り入れ,保健指導による心血管疾患予防を目指した特定健診・特定保健指導がこの4月から開始されました。
この制度に対する医師の取り組みの実態と課題を探る目的で,「MTアンケート」として,6月25日~7月1日にMTproの会員から抽出した内科系開業医2,200人を対象にアンケートを実施したところ,300の有効回答を得ました。
それによると,現場の取り組みが進みつつある実態が明らかとなる一方,心血管疾患予防対策としての実効性については,懐疑的な意見や疑問が多く寄せられました。
具体的には,8割以上が特定健診・特定保健指導を実施していると回答しました。
しかし,「心血管疾患予防の有用な手段となりうると思いますか」の問いに対しては,「ならないと思う」「不確か」との回答が合わせて8割を占め,「なると思う」と回答したのは2割にとどまりました。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/enq/enq080801.html


読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog2 | 2008-09-02 00:39 | 運動器