井蛙内科開業医/診療録(2)

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カテゴリ:認知症( 8 )


2008年 11月 28日

女性のアルツハイマー病とTSH値

女性のアルツハイマー病に甲状腺刺激ホルモン値が関与
ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターおよびハーバード大学(ともにボストン)のZaldy S.Tan博士らは,甲状腺機能や甲状腺ホルモン値に影響を及ぼす甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低値または高値の女性はアルツハイマー病(AD)発症リスクが増大する可能性があるとArchives of Internal Medicine(2008; 168: 1514-1520)に発表した。

発症リスクが2倍に
臨床的に検出可能な甲状腺機能の亢進と低下が,治療可能な認知障害(思考,学習,記憶)の原因となることは周知の事実である。
これまでにも,複数の研究で甲状腺から分泌され,甲状腺機能調節の役割を担うTSH値が,甲状腺機能が正常な人の認知能力に関係があるか否かについて検討されてきたが,その結論は一貫性を欠いていた。 
そこでTan博士らは,1977~79年に認知機能に問題のない1,864例(平均年齢71歳)のTSH値を測定した。
地域ベースのフラミンガム研究の一環として参加した対象者は,登録時とその後2年ごとに認知症の評価を受けた。
 
その結果,平均12.7年間の追跡調査で209例がADを発症し,このうち142例は女性であった。
同博士らは,そのほかの関連因子を調整後,TSH値が最も低い(<1mIU/L)女性群と最も高い(>2.1mIU/L)女性群では,AD発症リスクが2倍以上高いことを明らかにした。
一方,男性ではTSH値とAD発症リスクとの関連性は認められなかった。 

同博士らは「TSH値がAD発症前後のいずれの時点で変動するのかはわかっておらず,その神経病理学的機序も解明されてはいない」としながらも,「原因としては,ADに起因する脳内の変化がTSH放出量を減少させているか,TSHに対する身体の反応性に影響している可能性が考えられる」と述べている。
 
また,TSH値が高くても低くても神経や血管を損傷し,それが認知的困難につながっている可能性もあるとしている。 

同博士らは,結論として「女性ではTSH高値または低値によりAD発症リスクが増大するが,男性では関連は認められない。これらの知見は新しい仮説で,臨床的な結論を出す前に他の母集団でもその正当性を立証すべきである」と述べている。
出典 Medical Tribune 2008.10.9
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
T3,T4ではなくTSHが単独のアルツハイマー病発症の危険因子であるということが興味深いところです。
女性患者は一度は甲状腺ホルモンをチェックしなければと思いながらも、なかなか出来ません。
潜在性の甲状腺異常患者は結構いると思うのですが。
少なくともコレステロール値異常の方、特に女性では必要な検査と思われます。
TSHの解釈も奥が深くなってきました。


認知機能障害は糖尿病の罹病期間と重症度に相関
メイヨー・クリニック(ミネソタ州ロチェスター)のRosebud O. Roberts氏らが,軽度認知機能障害を有する人は,早期から糖尿病を発症し,罹病期間も長く,より重度であるとArchives of Neurology(2008; 65: 1066-1073)に発表した。

65歳未満の糖尿病発症と相関
今回の論文の背景情報によると,軽度認知機能障害は正常な老化から認知症への移行段階である。
過去の研究によって,軽度認知機能障害と糖尿病との相関性は既に明らかにされている。
長期にわたる血糖管理の不良はニューロンの喪失につながる可能性がある。
また,糖尿病は認知機能障害リスクの上昇につながる心血管疾患と脳卒中との関連性も指摘されている。
 
Roberts氏らは,ミネソタ州オルムステッド郡の住民(2004年10月1日時点で70~89歳)を対象に研究を行った。参加者に対して神経学的診察,神経心理学的評価,血糖値測定,糖尿病歴と治療および合併症に関する面接調査を実施。糖尿病歴については,医療記録リンケージシステムを用いて確認作業を行った。
 
その結果,軽度認知機能障害を有している329例と同障害を有していない1,640例の糖尿病有病率は同等であった(それぞれ20.1%,17.7%)。しかし,軽度認知機能障害は,65歳未満の糖尿病発症,10年以上の罹病期間,インスリン治療を受けていること,糖尿病性合併症を有していることなどと相関性が認められた。
 
同氏らは「重度糖尿病は,長期の高血糖と相関する可能性が高く,それがひいては脳における微小血管疾患の発症率を高め,ニューロンの障害,脳萎縮や認知機能障害の一因となっている可能性がある」と述べている。
 
糖尿病性網膜症に罹患している人では軽度認知機能障害を有する率が2倍高いという事実は,糖尿病による脳血管障害が認知機能障害発症の一因だとする理論を支持している。
 
同氏らは「今回の知見は,罹病期間および治療法と合併症の有無で判定した糖尿病重症度が,糖尿病患者の認知機能障害発症に重要である可能性を示している。対照的に,糖尿病が晩期発症型で罹病期間が短く,管理良好な患者では,認知機能障害発症はあまり影響しないであろう」と結論している。

出典 Medical Tribune 2008.10.9
版権 メディカル・トリビューン社


便秘薬長期服用で2人死亡 厚労省、注意呼び掛け
05年4月からの約3年間に、便秘薬などとして医師が処方した酸化マグネシウムを服用した15人が副作用の高マグネシウム血症になり、うち服用が長期間だったとみられる2人が死亡したと報告されていたことが27日、明らかになった。
酸化マグネシウムは副作用リスクが低いとみられていたが、厚生労働省は「一般用医薬品(大衆薬)は含有量は少ないが、長く服用すると同じなので気を付けてほしい」としている。
http://www.excite.co.jp/News/society/20081127/Kyodo_OT_CO2008112701000968.htmlexcite.ニュース 2008.11.27


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<医師と裁判員制>定例記者会見
「裁判員制度の施行にあたって、最高裁判所長官、法務大臣らに申し入れ」
―羽生田俊常任理事
http://www.med.or.jp/shirokuma/no1038.html
羽生田常任理事は、裁判員制度では、医療関係者も例外ではなく、原則として、指名されればこれに応じる必要があるため、医療提供に問題等が生ずる恐れがある場合も考えられることから、これを理由に辞退しなければならないケースが多数予想されることに言及。そのうえで、「地域住民の生命、安心・安全を担う医師・医療従事者の使命に鑑み、個別具体的な辞退申し出事由について、十分な理解を得るために、最高裁判所長官、法務大臣などに対して、文書で申し入れを行った」とその経緯を述べた。

 また、同常任理事は、医師・医療従事者が患者の診療上やむを得ず辞退を申し出る場合の取り扱いについて、(1)前年の12月頃、裁判員候補者名簿登載者に送付される「調査票」、(2)具体的な事件の裁判員候補者に裁判の約6週間前に送付される「質問票」、(3)裁判の当日に行われる選任手続き―等の局面において、辞退を申し出ることができるとし、裁判員候補者として指名された者が、当該事件を担当する裁判所に対して個別に辞退理由を説明し、裁判官によって辞退の可否が決定されることを改めて説明した。

問い合わせ先:日本医師会医事法制課 TEL:03-3946-2121(代)

<裁判員制度>明確でない辞退事由 「義務」と「仕事」板挟み
http://tottokotottoko.blog55.fc2.com/blog-entry-2901.html

医者が裁判員にならなくてすむ方法
http://ruhiginoue.exblog.jp/9587004/

司法に文句をいう千載一遇のチャンス到来:裁判員制度
http://intmed.exblog.jp/6664334/

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by wellfrog2 | 2008-11-28 00:14 | 認知症
2008年 11月 21日

脳室サイズとAD

脳室サイズの増大がADと直接関連

ウェスタンオンタリオ大学(UWO)Robarts研究所(カナダ・ロンドン)のRobert Bartha博士らは,脳室サイズの増大が認知機能障害やアルツハイマー病(AD)と直接関連していることを示す明確なエビデンスを見出したとBrain(2008; 131: 2443-2454)に発表した。

剖検を待たずに確定診断が可能

 脳室は髄液で満たされている脳内の空洞である。今回の研究では,周囲の組織が死滅すると脳室サイズが増加することが判明した。
 共同研究者で同研究所大学院生のSean Nestor氏らは,大規模多施設試験Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)の被験者データから入手した米国およびカナダ在住の504例(AD患者105例,軽度認知機能障害を有する患者247例,健康な高齢者152例)の試験開始前および6か月時点におけるMRI画像を分析した。
 その結果,AD患者では軽度認知機能障害を有する患者と健康な高齢者に比べて脳室サイズが増大していた(P=0.0004,P<0.0001)。また,軽度認知障害を有する患者は,健康な高齢者に比べて脳室サイズが増大していた(P=0.0001)。さらに,6か月後に軽度認知障害からADを発症した患者では,軽度認知障害を引き続き有する患者に比べて脳室サイズが増大していた(P=0.0270)。
 Bartha博士は「将来, MRIによる脳室サイズの変化の測定によって,早期により確定的な診断を下せる可能性がある。さらに,今後新たなADの治療法が開発されれば,脳室サイズの測定によってその治療法の効果を迅速に判定できる可能性がある」と述べている。
 また,今回の研究から,AD発症の危険因子として知られるアポリポ蛋白E遺伝子型を有するAD患者では脳室サイズの増大が速いことも明らかになった。

ソフトウエアにより可能に

 MRI画像による脳室サイズの測定は,Merge Healthcare社のOEM部門であるCedara Software社が開発したソフトウエアにより可能になった。これまでは,得られたすべての断面に対し脳画像上で脳室を手動または半手動でトレースしなければならなかった。共同研究者でMerge OEMソフトウエアチームを率いるVittorio Accomazzi氏は,他の研究者と共同でソフトウエアを改良し,大量のデータ処理を迅速に行うことを可能にした。
 なお,共同研究者でADNIの参加施設の1つであるローソン医療研究所(カナダ・ロンドン)のMichael Borrie博士は,パークウッド病院の老年医学臨床試験グループ,聖ヨセフ病院の医療ディレクター,UWO老年医学研究部門の責任者も務めている。
 同博士は「これは,ADNIのデータを利用して公表された主要な研究のうち最も早く発表された研究結果の1つである。今後も,ADNI関連プロジェクトからさらに多くの神経画像とバイオマーカーに関連する事実が明らかにされるだろう。世界中の研究者がADNIデータベースを活用し,最新の技術を用いて協力することで,AD研究をより迅速に,客観的に行え ,効果的な進展が期待できる。既にADNIからはこれまで想像できなかった新しい国際的な協力体制が築かれている」と述べている。
出典 Medical Tribune 2008.11.13
版権 メディカル・トリビューン社

<番外編>
Nikkei Medical 2008.1 「日経メディカルクイズ」より
■股関節痛、下肢屈曲位では可能性腸腰筋を考える
■喫煙者の嗄声ではポリープ様声帯も疑う
■肝内の腫瘍や腫瘍栓の診断には超音波造影を行う
■汎発性環状肉芽腫を診たら糖尿病を疑う
■気管支結核は、閉塞性無気肺を示す代表的感染症
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by wellfrog2 | 2008-11-21 00:06 | 認知症
2008年 10月 22日

オルメサルタンがアルツハイマー型認知症の抑制に有用?

第18回欧州高血圧学会&第22回国際高血圧学会(2008年6月14日~6月19日 Berlin Germany)の記事で勉強しました。
実は、阪大の森下竜一先生の講演を聞いた際に、「ARBと認知症」の話はすでに聞いていました。

降圧療法による認知症発症の減少は複数の大規模試験で報告されているが、機序の解明には至っていない。
6月19日、HYPERTENSION2008のポスターセッションにおいて大阪大の武田朱公氏らは、オルメサルタンがアルツハイマー型認知症の抑制に有用である可能性を、マウスを用いた検討で報告した。

まず武田氏らは12週齢雄性ddYマウスを「オルメサルタン1.0mg/kg/日」群、「ヒドララジン30mg/kg/日」群、「ニフェジピン10mg/kg/日」群に分け、28日間投与の後、側脳室にアミロイドβ1-40(200pmol/5μL)注入を2回行い、さら17日間、薬剤投与を継続した。

その結果、血圧は薬剤非投与群、対照群(不活性ペプチド、アミロイドβ40-1を注入)に対し、薬剤投与群では3群とも有意な降圧を認めた(p<0.05)。

薬剤投与3群間の血圧に有意差はなかったにもかかわらず、オルメサルタン群でのみ、認知機能の低下が有意に抑制された。
すなわち、Morris水迷路試験において、プラットフォームへの到達時間が対照群と同等だったのはオルメサルタン群のみであり、またprobe testにおいて薬剤非投与群に比べ記憶力の有意な改善が認められたのもオルメサルタン群のみだった。

そこでオルメサルタンによるこの学習・記憶機能改善の機序を探ると、アミロイドβ1-40注入により引き起こされる海馬長期増強現象(hyppocampal long-term potentiation)の減弱が、オルメサルタンにより有意に抑制されていた。またwhisker刺激に対する機能的脳血流増加の障害もオルメサルタンにより回復し(p<0.01)、正常化していた。

さらにAPP遺伝子改変マウス(アルツハイマー型認知症動物モデル)では、オルメサルタン1.0mg/kg/日投与により、減弱していたwhisker刺激に対する機能的脳血流増加反応を有意に改善した。
さらに同モデルで増加していた脳微小血管の酸化ストレスも、オルメサルタンにより抑制されていた。

武田氏らは今後、アルツハイマー病の発症メカニズムにおけるACE、AII、AIVなどレニン・アンジオテンシン系の因子の関与ならびにβアミロイドの相互作用を検討し、アルツハイマー病発症抑制に向けてRA系抑制の可能性を探索する予定だという。

出典 NM online 2008. 6. 20
版権 日経BP社


きょうの一曲> ” La Cumparsita”
Tango Fire - La Cumparsita
http://jp.youtube.com/watch?v=R7_rnucyZg8&feature=related
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by wellfrog2 | 2008-10-22 00:28 | 認知症
2008年 10月 10日

女性のアルツハイマー病に甲状腺刺激ホルモン値が関与

ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターおよびハーバード大学(ともにボストン)のZaldy S.Tan博士らは,甲状腺機能や甲状腺ホルモン値に影響を及ぼす甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低値または高値の女性はアルツハイマー病(AD)発症リスクが増大する可能性があるとArchives of Internal Medicine(2008; 168: 1514-1520)に発表した。

発症リスクが2倍に

臨床的に検出可能な甲状腺機能の亢進と低下が,治療可能な認知障害(思考,学習,記憶)の原因となることは周知の事実である。
これまでにも,複数の研究で甲状腺から分泌され,甲状腺機能調節の役割を担うTSH値が,甲状腺機能が正常な人の認知能力に関係があるか否かについて検討されてきたが,その結論は一貫性を欠いていた。
 
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その結果,平均12.7年間の追跡調査で209例がADを発症し,このうち142例は女性であった。
同博士らは,そのほかの関連因子を調整後,TSH値が最も低い(<1mIU/L)女性群と最も高い(>2.1mIU/L)女性群では,AD発症リスクが2倍以上高いことを明らかにした。
一方,男性ではTSH値とAD発症リスクとの関連性は認められなかった。
 
同博士らは「TSH値がAD発症前後のいずれの時点で変動するのかはわかっておらず,その神経病理学的機序も解明されてはいない」としながらも,「原因としては,ADに起因する脳内の変化がTSH放出量を減少させているか,TSHに対する身体の反応性に影響している可能性が考えられる」と述べている。
 
また,TSH値が高くても低くても神経や血管を損傷し,それが認知的困難につながっている可能性もあるとしている。
 
同博士らは,結論として「女性ではTSH高値または低値によりAD発症リスクが増大するが,男性では関連は認められない。これらの知見は新しい仮説で,臨床的な結論を出す前に他の母集団でもその正当性を立証すべきである」と述べている。

出典 Medical Tribune2008.10.9
版権 メディカル・トリビューン社


<2008.10.9 MR 面談記録>
興和
武田
大塚
■インフルエンザウイルスキット「クイックナビーFlu」紹介
 反応時間8分と最短
三和化学
中外製薬
万有
入ってくるなり一言。
MRさん「先生、新しい名刺ができたので見て下さい」
私「どれどれ」
MRさん「名刺の住所が東京都○○○区○段○に代わりました」
私「それってどういうこと?」
MRさん「全国の営業所がなくなって自宅が事務所になるんです。それでいまばたばたしてるんです」
私「そっか。SOHOってやつだね。たしか100%メルクになったんだよね。会社名が日本語だから錯覚しそうだけど外国の会社なんだ。きといいこともあるよ。でも思い切ったことをするもんだね。うまくいったら他のメーカーも真似するかもね」

アステラス
下痢型過敏性腸症候群治療剤(ラモセトロン塩酸塩錠)の紹介
■セロトニン5-HT3受容拮抗作用
■下痢型IBS治療薬
■ストレスによる脳腸相関の異常を改善
■長期にわたる男性の下痢型IBS治療が可能
■過敏性腸症候群としての適応  コロネル、セレキノン、チアトン
 過敏大腸症としての適応    トランコロン、イリコロンM
      (時代の流れを感じさせます)
■セレキノンとイリボーの併用可
■1日1回、服用はいつでも可

田辺三菱
■カルシウム拮抗剤とグレープフルーツジュースとの相互作用に関する質問(グレープフルーツもいけないか)への回答持参・・・

協和発酵キリン
■カルシウム拮抗剤とグレープフルーツジュースとの相互作用に関する質問(グレープフルーツもいけないか)への回答(学術)持参
・ ・・<結論>果肉に含まれるフラノクマリン類が酵素阻害を起こすため、グレープフルーツ(GF)もいけない。
■新会社のロゴが決まっていない。今までのロゴに愛着のある模様。

<きょうの一曲> “La boheme”
Charles Aznavour-La bohème
http://jp.youtube.com/watch?v=oMOsXXJw7pA&feature=related

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by wellfrog2 | 2008-10-10 00:23 | 認知症
2008年 09月 21日

高学歴者の認知症診断


MMSEカットオフ値の高位設定で精度改善
〔シカゴ〕テキサス工科大学保健科学センター(テキサス州ルーバック)のSid E. O'Bryant博士らは,認知機能検査のMini-Mental State Examination(MMSE)を用いて高学歴高齢者の認知症リスクを評価する場合,カットオフ値を高く設定することで,より効果的に診断を下せることが示唆されたとArchives of Neurology(2008; 65: 963-967)に発表した。

標準の24点から27点に
MMSEは認知機能(思考力・学習能力・記憶力)評価に最も一般的に使用されている検査である。
満点は30点で,一般的に24点以下で認知機能障害と診断される。
 
O'Bryant博士は「MMSEは認知機能障害患者のスクリーニングや長期的な認知機能変化の追跡に用いられており,認知機能に対する薬剤の影響を評価する際にもしばしば活用されている。
しかし,MMSEの得点は患者背景に影響され,高齢者や低学歴者では得点が低い」と述べている。
 
今回の研究では,メイヨー・クリニック・アルツハイマー病研究センターとアルツハイマー病(AD)患者登録から,就学期間が16年以上の1,141例(白人93%,平均年齢75.9歳)のデータを抽出し,MMSEスコアを比較した。
データの内訳は,認知症307例,軽度認知障害176例,非認知症の対照群658例であった。
 
認知機能障害診断の標準的なカットオフ値である24点で区切った場合,認知症の感度は66%,特異度は99%で,正診率は89%であった。カットオフ値を27点に変更した場合,感度は89%,特異度は91%となり,正診率は90%に改善された。
 
同博士は「今回の知見は,MMSEの総合スコアのみに基づいた認知障害・認知症の診断を奨励しようというものではなく,高学歴の高齢白人患者を適切に治療するための改訂基準を臨床医に提供しようというものである。
特に,本人の訴えか他人からの指摘であるかにかかわらず,記憶力に問題のある高齢患者で,大卒以上の学歴を有する者は,MMSEスコアが27点未満の場合,認知機能障害と認知症リスクが高くなるため,本格的な神経心理学的検査を含む包括的検査の対象とすべきである」と述べている。
 
さらに「今回の新たなカットオフ値を用いることで,高学歴者における認知症の早期発見が容易になると思われる。
高学歴者はADと診断された後,短期間で衰弱や死亡に至る例が多いことから,早期の対応は特に重要である」と指摘している。

出典 Medical Tribune 2008.9.18
版権 メディカル・トリビューン社
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by wellfrog2 | 2008-09-21 00:30 | 認知症
2008年 07月 17日

認知症の薬物療法

Pharmacologic Treatment of Dementia

米国内科学会(American College of Physicians)と米国家庭医学会(American Academy of Family Physicians)は、認知症に対する薬物療法の診療ガイドラインを公開している。
このガイドラインは、5種類のFDA認可薬(donepezil、galantamine、rivastigmine、tacrine、memantine)に関する16,000人以上の患者を対象とした59のランダム化試験のレビューに基づいており、薬物の有効性を比較するにはエビデンスが不十分であると結論し、以下の推奨を提示している。

・コリンエステラーゼ阻害薬の投与を開始するかどうかの決定は、個別の評価に基づいて行
う。
・治療薬の選択は、忍容性、副作用、投与しやすさ、費用に基づいて行う。
・臨床アウトカムに関して、薬物の単独投与または併用投与の有効性をさらに研究する
  必要がある。

いずれの臨床推奨も「弱い」(利益とリスクや負担とが微妙なバランスである)と評価されたものであり、低い~中程度の質のエビデンスに基づいている。
今回検討された薬物は、さまざまな測定法(認知や全体的な機能を測定する)においてスコアを有意に改善したが、臨床的重要性はあまり明白でない。
一部の患者では、改善が臨床的に意味のあるもののこともあるが、その予測は不可能である。また、薬物はさらなる低下を遅らせる上で役立つかもしれないが、[低下を遅らせるという]この目標は、すでに生活の質(quality of life:QOL)が低いと判断されている患者では重要とはならない可能性がある。
このガイドラインは、tacrineにより重度の副作用(消化管、肝)が引き起こされることから、この選択は「妥当でない」とも付け加えている。

コメント:
広範なエビデンスのレビューに基づくこの診療ガイドラインは、診療における知見、とくに、これらの薬物が、認知症患者の劇的な臨床的改善をもたらさないことを、反映するものである。
私としては、現在利用されている薬物をさらに研究するよりも、より意味のある臨床的利益を示す新薬の開発を優先すべきであると考えている。

— Richard Saitz, MD, MPH, FACP, FASAM
Published in Journal Watch General Medicine March 25, 2008

Citation(s):
Qaseem A et al. Current pharmacologic treatment of dementia: A clinical practice guideline from the American College of Physicians and the American Academy of Family Physicians. Ann Intern Med 2008 Mar 4; 148:370.
Medline abstract (Free)

Raina P et al. Effectiveness of cholinesterase inhibitors and memantine for treating dementia: Evidence review for a clinical practice guideline. Ann Intern Med 2008 Mar 4; 148:379.
Medline abstract (Free)



<番外編>
07年度医療費、過去最高の33.4兆円
07年度の医療費は前年度より3.1%増の33.4兆円で過去最高だったことが、厚生労働省が16日に発表した概算医療費の集計で分かった。国民1人当たりの医療費は26万2千円で、いずれも02年度以降、増え続けている。
概算医療費は、公的医療保険と公費から支払われた医療費。70歳以上の高齢者の医療費は14.5兆円と全体の43.4%を占めた。人口の高齢化にともない、高齢者の医療費は全体の伸び率を上回るペースで増えており、07年度も前年度より5.4%増えた。1人当たり医療費でみると、70歳以上は75万7千円で、70歳未満の約4.7倍だった。
06年度の医療費は32.4兆円。診療報酬改定が過去最大の下げ幅(マイナス3.16%)だったことなどが影響し、前年度比0.1%増にとどまったが、07年度は大きな制度改正がなく、再び伸び率が上昇した。1日当たりの医療費も4.1%増加しており、厚労省は「医療技術の高度化で、1回あたりの治療にかかるコストが増えた」とみている。
http://www.asahi.com/health/news/TKY200807160292.html
2008.7.16

要因は70歳以上の高齢者医療費が5・4%増の14兆5000億円に膨らんだことで、医療費全体に占める割合も43・4%となった。
概算医療費総額は01年度の30兆4000億円から6年で9・9%増だが、高齢者医療費はその間に23・9%増えた。医療費全体に占める割合も01年度の38・5%から04年度に4割を突破し、加速度的に増えている。
患者の受診延べ日数は26億7000万日で前年度比0・9%減。一方で医療の高度化などで受診者1人1日当たりの平均医療費は4・1%増の1万2500円と増加傾向が続き、総額を押し上げた。
概算医療費は、診療報酬明細書(レセプト)を集計したもの。約1年後に厚労省が公表している、労災保険の医療費などを加えた国民医療費(総医療費)の98%程度に当たる。
毎日新聞 2008年7月17日 東京朝刊(一部抜粋)
http://mainichi.jp/select/science/news/20080717ddm001010007000c.html

19年度の概算医療費33・4兆円 過去最高を更新
患者が受診した日数の総数は0・9%減ったが、1日当たりの医療費は技術の高度化などで4・1%増えた。診療科別では小児科2・4%減、外科0・3%減に対し、整形外科4・1%増、内科2・2%増だった。
医療機関別では、大学病院4・2%増に対し、個人病院は12・3%減で、患者の大病院志向が続いていることが浮き彫りとなった。
産経ニュース2008年7月16日(一部抜粋)
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/080716/wlf0807161817002-n1.htm

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by wellfrog2 | 2008-07-17 00:31 | 認知症
2008年 05月 23日

消化器内視鏡の最新情報 再掲

消化器内視鏡の最新情報

消化器内視鏡の進歩はめざましいものがあります。
胃カメラひとつをとりあげても経口式では患者さんが嫌がる時代です。
最近、解像度に関しては経鼻式は経口式に少し劣り、2割の早期がんを見落とすという話を聞きました。
相変わらず経口式でやっている私としてはグッドニュースです。
開業医では経鼻式が普及しつつあるようですが、病院ではどうなんでしょうか。
以下のカプセル式の解像度も気になります。

特別企画
第74回日本消化器内視鏡学会総会ランチョンセミナー
消化器内視鏡の最新情報

座長
杏林大学医学部第三内科教授
高橋 信一 氏
演者
大阪医科大学第二内科教授
樋口 和秀 氏
 
近年,臨床の場にさまざまな機能をもった内視鏡が登場し,食道や小腸など,従来は使用できなかった部位に特化した内視鏡も開発されている。また,コンピュータの画像解析による診断の効率化や操作性の向上もみられ,診断・治療の上で大きく期待されている。ここでは,当研究室で開発中の,日本初の自走式カプセル内視鏡を中心に,消化管内視鏡の最新情報を紹介したい。


小腸内視鏡
最近,患者に嚥下させることにより消化管内を撮影するカプセル内視鏡が登場し,これまで不可能であった小腸粘膜表層の病変を捉えることが可能となった。
一方,オーバーチューブと内視鏡の先にそれぞれバルーンが付いたダブルバルーンおよび,オーバーチューブのみにバルーンが付いたシングルバルーン小腸内視鏡も新たに登場し,小腸粘膜からの出血も,内視鏡下で治療を行うことができるようになった。
また,1人でも操作できるなど,操作性も向上している。
 
大阪市立大学医学部附属病院において,原因不明の消化管出血患者32例を対象に,カプセル内視鏡とダブルバルーンの病変認識率・診断率を比較したところ,病変の検出率はいずれも約70%であったが,陽性所見認識率はカプセル内視鏡が優れていた。
カプセル内視鏡はスクリーニング的要素が,ダブルバルーン内視鏡は治療的要素が強いと考えられる。
診断面では,カプセル内視鏡はびらんや血管異形成などの小病変を検出しやすいのに対し,ダブルバルーン内視鏡では憩室や腫瘍を検出しやすいなど,相補的な部分も多い。
現時点では,小腸出血で緊急治療を要する場合はダブルバルーン,時間的余裕のある場合はまずカプセル内視鏡を行うことが勧められる。
ただしカプセル内視鏡では,特に消化管閉塞・狭窄・瘻孔が疑われる症例では,その停滞・滞留に十分な注意が必要である。
 
カプセル内視鏡は2枚/1秒,計5万枚の撮影が可能で,付属のソフトにより連続する類似画像を1枚の画面に結合することで効率的にチェックできるオートマチックモードや,色調とパターンの変化に基づき,より特徴的な画像を抽出するクイックビュー,赤みを帯びた画像を抽出する赤色領域推定表示などの機能がある。また前処置薬服用により,病変の検出率が向上することも明らかとなった。
今後は,標準的な前処置法の検討が必要と考えられた。


NSAIDs小腸潰瘍 
従来,NSAIDs潰瘍は胃・十二指腸のみが注目されていたが,原因不明の小腸出血の約10%がNSAIDs小腸潰瘍であることが知られてきた。
カプセル内視鏡を用いると,NSAIDsを3か月以上毎日服用している変形性関節炎,関節リウマチまたは非特異的関節炎患者(nonspecific arthritis)では,小腸潰瘍がコントロール群に比べ,約60%も高い確率で認められるとのデータもある。
 
このような小腸潰瘍に対する予防法としては,例えばプロスタグランジン(PG)製剤や防御因子増強剤などが考えられ,胃潰瘍とは異なり,酸分泌抑制薬は無効である。
 
しかし,NSAIDsによる胃への影響を考えると酸分泌抑制剤の使用機会は多く,小腸の炎症を悪化させない,抗炎症作用を有するラニチジン(商品名:ザンタックR)のようなH2ブロッカーも選択肢の1-つとなると考えられる。


H2ブロッカーと潰瘍治療の質
胃潰瘍において,治癒の状態を平坦型と非平坦型とに分けて再発率を見ると,平坦型は再発しにくく,また潰瘍瘢痕局所の炎症が抑制されていることが明らかにされている。
平坦型の治癒を促すためには,PG産生作用や抗炎症作用のある薬剤が適していると考えられる。
 
H2ブロッカーのなかで,ラニチジンは,好中球浸潤抑制,好中球の活性酸素産生能抑制および好中球エラスターゼ放出抑制作用が認められることが,動物実験により証明されている。そこで実際にヒトの潰瘍について多施設で検討したところ(図1)12週目の胃潰瘍の治癒率はほぼ95%以上であったが,ラニチジンでは平坦型瘢痕治癒率が63%であり,潰瘍治癒の質(QOUH)が優れていることが示された。
例えばHelicobacter pylori(H.pylori)除菌後の治療においても,ラニチジンは,抗炎症作用による除菌後の再発抑制効果が期待されること,偽陽性などの問題も少ないため,除菌終了1か月後のH.pylori除菌判定がラニチジン内服中でも可能,PPI(Proton Pump Inhibitor)に比べマイルドで日本人に合った酸分泌抑制作用,さらにPPIよりも安価,というメリットがあると考えられた。


食道用,大腸用のカプセル内視鏡と今後の課題
食道用のカプセル内視鏡は,仰臥位で飲み込んだ後,徐々に頭を上げていくことで,食道内をゆっくりと写真をとるもので,海外では逆流性食道炎やバレット,食道静脈瘤などのフォローアップに用いられている。
ただし,今後これまでの内視鏡所見との比較検討が必要と考えられる。
 
大腸用のカプセル内視鏡は,前後にレンズが付いているためヒダの後方も撮影でき,憩室や腫瘍,ポリープなどが明瞭に描出できるのが特徴である。
 
すべての部位に共通するカプセル内視鏡の今後の課題としては,自立して動くカプセル,病変を認識しリアルタイムで観測できるシステム,体外からの電力供給,消化管内への治療薬・試薬の散布,腸液や腸内ガスの採取,および病変の自動認識システムなどが挙げられよう。


日本初の自走式カプセル内視鏡
われわれは現在,日本初の"自走式カプセル内視鏡"を龍谷大学理工学部・大塚尚武教授のグループと共同開発している。
構造が簡単であること,動力を非接触で供給できること,また遠隔制御が可能であることをコンセプトとし,磁場を利用した駆動制御を採用した(図2)。
磁石に交流磁場を与え磁石を振動させてカプセルの"ヒレ"に伝えることにより,ヒレが振動を推進力に変え自力で移動するもので,交流磁場の波形を変化させることにより速度や進行方向を制御でき(図3),バックや回転も可能である。現在,胃の模型に,ポリープに見立てたビーズを入れてカプセルを実際に動かし,撮像させる実験を行っている。
焦点距離や明るさなどの課題はあるものの,撮像可能な段階まできている。

以上,ここに紹介したのはほんの一部であり,最近注目されているNOTESと呼ばれる胃や子宮からの内視鏡下腹腔内手術をはじめ,内視鏡分野は今後さらなる進歩が期待される。

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出典 Medical Tribune 2008.2.28
版権 メディカル・トリビューン社



<番外編>

禁煙薬で意識消失 米航空当局「使用禁止」
【ワシントン21日共同】米製薬大手ファイザーの禁煙治療薬「チャンティックス」(一般名バレニクリン)の服用後に視覚障害やけいれん、意識消失などの症状が多数報告されたと、米国の民間団体「安全な薬物治療のための研究所」(ペンシルベニア州)が21日発表した。
この薬は日本でも今月8日に禁煙補助薬「チャンピックス錠」として発売されたばかり。
ロイター通信によると、米連邦航空局(FAA)の広報担当者は「航空機の操縦士にはこの薬の使用を禁止する」と述べ、ファイザーの株価も1997年以来、最低水準に下落した。
米ファイザーは「一部の副作用は注意書きに記してある。ほかの症状も因果関係がはっきりしない」としている。
同社の日本法人も「詳しいことは分からないが、国内の製品の添付文書には米国での報告も反映されている」と説明している。
チャンティックスは脳のニコチン受容体に作用し、たばこへの切望感や不安、不眠などの離脱症状を減らす飲み薬。
2008/05/22 11:45 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008052201000237.html

<コメント>
「チャンピックス」は米国では「チャンティックス」として発売されていることを知りました。
つい先日MRに詳しいパンフを貰い、しっかりを受けたばかりです。


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
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by wellfrog2 | 2008-05-23 00:35 | 認知症
2008年 05月 22日

レビー小体型認知症 再掲

画像のメモリがいっぱいになったため
新たに 
  井蛙内科開業医/診療録(2)
としてブログをたちあげました。


井蛙内科開業医/診療録(右のエキサイトブログでリンクしています)
ともどもよろしくお願いします。

このブログの内容は2008.5.20に「井蛙内科開業医/診療録」でとりあげた内容に画像を添付したものです。


レビー小体型認知症
レビー小体型認知症については昨年2007年9月28日のこのブログでとりあげました。
レビー小体型認知症(DLB)
http://wellfrog.exblog.jp/7065699

第26回日本認知症学会でのレビー小体型認知症の記事がたまたま目にとまりました。
きょうは認知症で勉強しました。


レヴィ小体型認知症
精神症状としては幻覚が最も多い
レヴィ小体型認知症(DLB)はアルツハイマー病に次いで多い神経変性認知症である。
滋賀県立成人病センター老年神経内科の長濱康弘氏らはDLB患者の精神症状を因子分析を用いて客観的に分類し,症状としては幻覚が78%と最も高頻度に見られたことを,第26回日本認知症学会で報告した。

妄想は女性性と正の相関
対象は,同科もの忘れ外来を受診した患者のうち,DLB国際合意基準に従って診断されたDLB患者100例(probable:臨床的確診96例,possible:臨床的疑診4例)である。
男性31例,女性69例と女性が多く,平均年齢は77.2歳。
それぞれの精神症状の有無を明らかにするため,患者とその主介護者に,精神症状(幻覚,妄想,誤認)と気分障害(気分変調)に関して構成された質問表を用いた半構造化面接を行った。
 
解析の結果,4因子解が得られた。
因子1~4の固有値はそれぞれ2.58,1.77,1.59,1.40であり,因子間の相関は非常に低かった。
因子1は,人物や場所の誤認,カプグラ症候群(既知の人が"そっくりの人物"に置き換わったと確信する錯覚),"幻の同居人",人物や場所の重複記憶錯誤が含まれる。
因子2は,人物の重複記憶錯誤,死亡した身内が生存していると信じている,来訪していない身内が家のなかにいると信じているというもの。
因子3は,動物や虫の幻視,物体の幻視,要素幻視。
因子4は,人物の幻視や実体意識性(実際はいないのに背後に人がいる気配を感じる)である。
なお,物盗られ妄想や迫害妄想は上記因子とは独立したものだった。
 
DLBの精神症状は表のように分類された。78%が幻覚カテゴリーの症状を,56%が誤認カテゴリーの症状を,25%が妄想症状を有していた。
幻覚や誤認は,性,教育レベル,気分変調,認知機能障害の重症度と関連しなかったが,幻覚のある患者はない患者よりも有意に年齢が高かった(78.2±6.4歳 vs. 73.5±5.3歳,P=0.0019)。
妄想の存在と女性性とには正の相関が見られた(妄想患者25例中22例と妄想のない患者75例中47例が女性,χ2=4.50,P=0.034)。また,この女性優位は特に物盗られ妄想において顕著であった(14例中13例)。
年齢や教育レベル,気分変調,認知機能障害の重症度に関しては,妄想の有無に有意差は認められなかった。
 
以上から,長濱氏は「DLBの基礎にある病態生理および精神病理を理解するうえで,幻覚,誤認,妄想は分けて考える必要がある」 と結論付けた。
なお,同研究の論文はAm J Geriatr Psychiatryの11月号(2007; 15: 961-967)に掲載されている。
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http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4050181&year=2007

出典 Medical Tribune 2007.12.13
版権 メディカル・トリビューン社


<番外編>
AD治療薬ドネペジル 中止率は予想より高く,重症例ほど高頻度
アルツハイマー病(AD)の治療にはコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジルが用いられているが,名古屋大学大学院老年科学の梅垣宏行氏らは,同薬の中止率は予想より高く,重症例ほど高頻度であることを明らかにした。
重症例では無効がおもな理由
対象は,2003年7月~05年6月に同科外来を訪れ,精神疾患の分類と診断の手引き第 4 版(DSM-IV)基準に従ってADと診断された患者である。
薬物治療はドネペジル3mg/日で開始し,1~2週間服用して耐容性が認められたら,5mg/日まで増量するというもの。
認知症の重症度は臨床認知症評価尺度(CDR)により評価した。
 
ドネペジルを処方されたのは264例(平均年齢79.6±6.5歳,男性87例,女性177例)で,内訳はCDR0.5が9例,同 1 が165例,同2が58例,同3が32例。ちなみにCDRは数値が大きくなるほど重症度が増す。
 
観察期間中に同薬を中止したのは140例(53.1%)で,継続群と中止群の平均年齢に差はなかった(それぞれ79.5±6.7歳,79.8±6.4歳)。
 
Kaplan-Meier解析の結果,認知機能障害がより重症な患者ほど,より早期に中止し,中止率も高いことがわかった。
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中止理由は,治療している医師の交替が71例,薬剤の無効が16例,消化器系の副作用が11例などであった。
年齢で補正してロジスティック回帰分析を行ったところ,中止に関連する変数として,年齢,性,CDR,独居が抽出されたが,そのうち中止に有意な影響を及ぼしているのはCDRだけであった(オッズ比1.654,95%信頼区間1.122~2.439,P=0.011)。
 
CDR 1~2の患者では医師の交替が中止理由として圧倒的に多かったが,CDR 3の重症患者では医師の交替と薬剤の無効がほぼ同数でおもな中止理由となっていた。
 
梅垣氏は「大学病院のもの忘れ外来においてドネペジルはわれわれが予想したよりも高い頻度で中止されており,とりわけ認知症が進展した患者で高かった。薬物治療をとぎれなく行っていくという観点からは,認知症が進展した患者への効果的な薬剤が切望される」と締めくくった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4050181&year=2007
出典 Medical Tribune 2007.12.13
版権 メディカル・トリビューン社


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)


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by wellfrog2 | 2008-05-22 00:03 | 認知症