「ほっ」と。キャンペーン

カテゴリ:呼吸器科( 5 )


2008年 11月 01日

スタチンと肺炎

スタチン服用者では肺炎による死亡率が低い
デンマーク・アールフス大学臨床疫学部門のReimar W. Thomsen氏らは肺炎による入院患者を対象とした調査結果から,入院前からスタチンを服用していた症例で肺炎による死亡率が低いことをArch Intern Med (2008; 168: 2081-2087)に報告した。

スタチンの抗凝固・抗炎症作用が免疫応答の改善に関与?
1997年1月1日~2004年12月31日にデンマーク北部の病院に肺炎で入院した2万9,900例の医療記録から,スタチンを含む服用薬剤,合併症,社会経済的指標,検査結果,菌血症,肺の合併症や死亡に関する調査が実施された。

回帰分析により,スタチン服用群(1,371例)と非服用群における入院後の予後を解析した結果,スタチン服用群で非服用群に比べ,入院30日後,90日後の死亡率が少なかった(各10.3% vs. 15.7%,16.8% vs. 22.4%)。
各種サブ解析やpropensity score matching法による追加解析を行った後も,スタチン服用による死亡率は明らかに減少していた。
特に,80歳以上の患者および菌血症を合併した患者で相対死亡率が最も低かったという。
スタチン服用群における菌血症の相対リスクは1.07(95%CI 0.69~1.67),肺合併症が0.69(95%CI 0.42~1.14)であった。

Thomsen氏によると,肺炎関連死が最も多く見られる入院後初期の数週間でスタチン服用群における死亡率の低下が見られており「感染早期からスタチン服用によるベネフィットがある」という。

一方,過去のスタチン服用や他の循環器用薬の服用と,肺炎による死亡率減少との関連は見られなかった。

同氏はスタチンの抗凝固,抗炎症に関連する作用が血管機能不全を抑制し,生体の免疫応答を改善していると考えられるとし,こうしたメカニズムが肺炎発症早期のおもな死因となる敗血症や菌血症の発症抑制につながるのではないかとの見方を示している。



原著
Arch Intern Med (2008; 168: 2081-2087)
Preadmission Use of Statins and Outcomes After Hospitalization With Pneumonia
Population-Based Cohort Study of 29 900 Patients
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/short/168/19/2081

出典 MT Pro 2008.10.29
版権 メディカル・トリビューン社


スタチン系薬で肺炎による死亡が半減 高齢になるほど大きな効果
Audie L. Murphy記念復員軍人病院・テキサス大学保健科学センター(テキサス州サンアントニオ)のEric Mortensen博士は,スタチン系薬服用により肺炎による死亡リスクが低下したとの知見をEuropean Respiratory Journal(ERJ,2008; 31: 611-617)に発表した。

さまざまなエビデンスが存在
肺炎を併発している65歳以上の入院患者の場合,スタチン系薬を服用しているとその死亡率はほぼ半減した。
ACE阻害薬を服用している場合でも,生存率は若干向上した。ACE阻害薬は,一般に心不全や高血圧患者に処方されている。
 
今回の研究では,これまで知られていなかったスタチン系薬の便益が明らかになった。
スタチン系薬は世界中で広く処方されており,この種類の脂質異常症治療薬は深刻な心血管リスク(特に糖尿病)を有する患者で,長期の死亡率を低下させることが示されている。
最近の研究では,スタチン系薬やACE阻害薬が敗血症や市中肺炎,糖尿病に伴う下肢感染などの患者の生存率を向上させることが示唆されている。
 
一方で,両薬剤の呼吸器感染症による生存率あるいは重症度に対する効果は認められないとする他のいくつかの研究もある。
Mortensen博士は「重要なのは,市中肺炎やインフルエンザは,感染症による死因の第1位となっていることである。
実際,これらを合わせると,米国全体で7番目に多い死因となる」としている。


復員軍人の膨大な記録を分析
Mortensen博士らは,呼吸器感染症のアウトカムに対するスタチン系薬とACE阻害薬の影響を調べるため,米国復員軍人局の膨大な患者コホートを分析した。
対象は,2000年に肺炎またはインフルエンザで入院した65歳以上のHIV陰性患者で,入院前3か月間に化学療法を受けていない8,652例。
このうち入院前にスタチン系薬を投与されていたのは18.1%,ACE阻害薬を投与されていたのは33.9%であった。
 
同博士らは,対象群の入院後30日の死亡率を調べた。これまでの研究では,呼吸器感染症が死因であることを明示するためには,期間枠として30日が適していることが示されている。
 
その結果,入院30日以内に10人に1人が死亡していたが,スタチン系薬かACE阻害薬,あるいは両方を服用していた患者では,その割合ははるかに低かった。
スタチン系薬のみを服用していた患者では,死亡リスクはほぼ半減した〔相対リスク(RR)0.58〕。
この結果は,スタチン系薬とACE阻害薬を併用していた患者ではさらに改善された(RR 0.45)。
 
さらに注目すべきことに,スタチン系薬による生存率の向上効果は高齢(特に85歳以上)になるほど大きくなった。
同博士らは「今回の結果はこの年齢層の対象者数が少なかったり,あるいはきわめて高齢な患者では健康が損なわれやすいことに関連した別の因子のためにバイアスがかかっている可能性がある。
例えば,長生きしようと思っていない人には,主治医がその便益が乏しいと考えてスタチン系薬を投与しないこともある」と述べている。
 
ACE阻害薬のみを服用していた患者では,死亡率の低下は有意であり,インフルエンザによる死亡を除外したRRは0.84であった。


女性への効果は検証中
Mortensen博士らは,スタチン系薬とACE阻害薬による保護作用は,その免疫調節作用と全身性サイトカインの産生減少作用に起因すると考えている。
全身性サイトカインの過剰産生は毒素性ショックや急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を生じうる。
同博士らは,今回の結果がランダム化比較試験でも確認できるかどうかを調べる試験を計画中である。
スタチン系薬による死亡率の低下が,今回の分析で対象となった復員軍人にはほとんど含まれない女性にも適応できるか否かを確認することも必須の条件である。
出典 Medical Tribune 2008.5.8
版権 メディカル・トリビューン社


<きょうの一曲> ”NATHALIE”
NATHALIE- BECAUD
http://jp.youtube.com/watch?v=asAepCRxpek&feature=related
GILBERT BECAUD - NATHALIE
http://jp.youtube.com/watch?v=qKoYJEekiKs&feature=related
Gilbert Becaud - Nathalie
http://jp.youtube.com/watch?v=cxvhG78121Y&feature=related
Gilbert Becaud - Nathalie 1964
http://jp.youtube.com/watch?v=otiyMbGUvMA&feature=related
Nathalie
http://jp.youtube.com/watch?v=iHgRj86cv6Q&feature=related
Nathalie
http://jp.youtube.com/watch?v=SYsBojx4W1I&feature=related
[PR]

by wellfrog2 | 2008-11-01 00:04 | 呼吸器科
2008年 08月 04日

米国胸部学会・国際会議(ATS2008)

Medical Tribune誌の記事で呼吸器の勉強をしました。
ATS2008に参加された先生の学会印象記です。

印象記
~第104回米国胸部学会・国際会議(ATS2008)~
基礎から臨床まで広範な演題が展開

東京大学大学院呼吸器内科学教授 長瀬 隆英
第104回米国胸部学会・国際会議(American Thoracic Society/ International Conference)が5月16~21日にカナダ・オンタリオ州トロント市で開催された。
同学会は,American Thoracic Society(ATS, 1905年創立)の年次学術総会であり,例年,北米およびカナダで開催されている。
ちなみに,カナダで開催されるのは1933年(トロント),75年(モントリオール),2000年(トロント)に次いで4回目である。
通称は”ATS Meeting”であるが,90年以降,国際会議に形を改めた。
近年,学会参加者数の増加は著しく,1万5,000人以上が参加するマンモス学会となっている。
また国際会議の名にふさわしく,世界各国から呼吸器臨床・研究にかかわる参加者が集合する。
最近では,「From Bench to Bedside」というキャッチフレーズを前面に出しているが,ベンチサイドトピックスとしての研究企画から,大規模臨床試験の検証に至るまで,実に広範なセッションが提示される。
今回,ベッドサイドの視点ではあるが,筆者が興味を持っている慢性閉塞性肺疾患(COPD)関連の発表を中心に寄稿する。


COPDは「取り残された生活習慣病
日本に限らず,先進諸国では高齢化が進んでいる。
高齢者呼吸器疾患の社会的重要性は世界中で急増しつつあり,なかでもCOPDは特に注目されている。
世界保健機関(WHO)によると,2020年には,世界の死亡要因の第3位がCOPDとなることが予想されている(図 1)。
f0174087_1912887.jpg


このような事態にあって,米国立心肺血液研究所(NHLBI)とWHOの参加のもと,Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD)という組織が発足した。
 
GOLDの目的は,COPDの認識を高め,予防・診断・治療に対する枠組みを提供することで,COPDの罹患,およびそれによる死亡を減少させることにある。
また,COPDは「喫煙という生活習慣」によって発症する疾患とも捉えられる。
死亡率の高さから,呼吸器関係者はCOPDを,「取り残された生活習慣病」と位置付けている(図 2)。
f0174087_1910306.jpg


COPDアウトカムをいかに検証するか
このように,COPDは呼吸器系のなかでも最重要疾患の1つであり,COPDに関する新知見は日常臨床に直結する。
GOLDガイドラインの 最新版は2006年版(GOLD updated 2006)であるが,その後の新知見を求める学会参加者が,COPD研究発表に多数集まった。
ATS事務局も,最大の会場を用意したようである。
さて,COPDアウトカムの検証・評価のセッションでは,最近の新データや仮説が提示された。
 
発表者のなかで目立ったのは,Sethi S(ニューヨーク州立大学バッファロー校)とSin DD(ブリティッシュコロンビア大学,バンクーバー)である。
Sethiは,COPDアウトカムの評価のためには,”Patient Reported Outcome(PRO)”,が重要であり,今後期待が持てることを強調していた。
 
これは,患者本人の自覚症状を重視する立場からのアプローチであり,聴いていて想起されたのは,2006年版気管支喘息ガイドラインGINAの変更点である。
今後,COPDにおいてPROがいかに評価(あるいは批判)されていくかが注目される。
 
また,Sinは,COPD予後因子(COPD Prognostic Index;CPI)についての多面的な解析結果を発表した(Arch Intern Med 2008; 168: 71-79)。
 
興味深いのは,
(1)COPD死亡に最も関連する因子は年齢であり,最も関連が乏しいのがQOLである
(2)COPD増悪については強く関連する因子はQOLであり,関連が乏しいのは年齢である
(3)%FEV1.0(1秒量の予測値に対するパーセント値)はCOPD死亡と増悪のいずれにも強く関連する
―ことである。
そして,いわゆるGP's Office (家庭医の診療所)においても実行可能なスコアを開発すべきであると主張していた。
 
また,Agusti(スペイン)はCOPDアウトカムの指標となるべきバイオマーカーの同定について現状報告を行ったが,従来のCRPあるいはインターロイキン(IL)-6に比べ,血清中surfactant protein(SP)-Dが有効である可能性に言及した。
 
これは,Sinらのグループのトライアル(289例, %FEV1.0平均値47.8%)において,フルチカゾン単独群とフルチカゾン+サルメテロール群を検証したところ,フルチカゾン+サルメテロール群で血清中SP-D値の低下が認められたからである(Am J Respir Crit Care Med 2008; 177: 1207-1214)。
 
血清中SP-D値が,果たして本当にCOPDアウトカムの指標バイオマーカーとなりうるのかどうか,今後の検証に期待したい。


COPD増悪を巡って
また,5月18日午後の「COPD増悪の疫学・予防・治療」のセッションにも,多数の参加があった。
 
初めに,まずCOPD患者本人の自己紹介があったのには驚かされた。
この患者さんは,30歳代前半に息切れが出現し受診したところ,「喘息」と診断(あるいは誤診misdiagnosed)された。
2年後に転医し,ようやくα1アンチトリプシン欠損症によるCOPDと正診された。
その後,両肺移植を受け,現在,壇上に立っている,というのである。
 
このセッションは,Wedzicha JA(英国),Celli(タフツ大学),Calverley(英国)といった著名な研究者がおもにレビュー的な解説を行った。
Wedzichaは,"exacerbation"という単語の語源がラテン語の"exacerbare”に由来すると解説し,筆者の参考になった。
 
また,Calverley は自らが中心となって遂行したTORCH study(N Engl J Med 2007; 356: 775-789)に加え,現在進行中のUPLIFT(Understanding the Potential Long-Term Impacts on Function with Tiotropium)試験にも触れていた。
 
このUPLIFT試験は,COPD患者を対象として,長時間作用型吸入抗コリン薬チオトロピウムの介入効果を4年間の長期にわたり検討するという大規模試験であり,その概要が公開されるのは今秋と言われている。
 
このセッションで興味深かったのは,現在進行中のCOPD増悪に対する5-リポキシゲナーゼ阻害薬(zileuton)による介入試験である。Make(コロラド大学)によると,同試験はCOPD患者(対象は,%FEV1.0 60%未満, 45歳以上)を,増悪時にステロイド単独投与群とステロイド+zileuton群に割り付け,それぞれ14日間投与し,30日後に入院期間をprimary outcomeとして検証するもの。
 
ちなみに,5-リポキシゲナーゼはアラキドン酸を基質とし,ロイコトリエン(LT)B4およびCys-LT(LTC4, LTD4, LTE4)の上流で産生される酵素である。
したがって,5-リポキシゲナーゼの阻害により,LTB4およびCys-LTsのいずれもが産生抑制され,炎症の制御,増悪の改善が期待される。アラキドン酸カスケードの代謝産物のなかでも特にLTB4およびCys-LTsは,ごく微量で強力な生理活性作用・炎症誘起作用を呈するのが特徴である。
呼吸器系において,ロイコトリエンはおもに気管支喘息の治療標的であったが,同試験はCOPD増悪に対する新しいアプローチであり,結果が注目される。

出典 Medical Tribune 2008.6.12
版権 メディカル・トリビューン社


f0174087_7523561.jpg

坂口紀良 「果物の静物」 油彩10号
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p123346648
[PR]

by wellfrog2 | 2008-08-04 00:07 | 呼吸器科
2008年 07月 23日

長時間作用型βアゴニスト

長時間作用型βアゴニストに関する論争は決着するか?Settling the Controversy About Long-Acting β-Agonists?
2008 June 03

業界とのつながりのない研究者によって実施された2006年のメタアナリシスにおいて、長時間作用型βアゴニスト(long-acting β-agonist:LABA)の使用は喘息関連死と関連していた(日本語版Journal Watch Jul 18 2006)。
この研究の制限は、LABAを投与された多くの患者が、吸入コルチコステロイドを併用していなかったことである。
今回、喘息患者を対象に吸入コルチコステロイド+salmeterolをコルチコステロイド単剤と比較した、業界の資金提供によるランダム化試験のメタアナリシスの結果が報告されている。
66件の試験(参加者計20,966人)はGlaxoSmithKline(AdvairおよびSereventの製造業者)、7件の試験(参加者計503人)は他の企業による援助を受けていた。

喘息による入院と全死因死亡は、併用療法を受けた患者とコルチコステロイド単剤を投与された患者とのあいだに有意差は認められなかった(入院は35件および34件、死亡は両群とも6例)。
併用療法を受けた患者1人において、1件の挿管が報告された。
併用療法は、コルチコステロイド単剤よりも重度の増悪が有意に少なかった(4.9%対8.3%)。

コメント
LABAと吸入コルチコステロイドとの併用により、重篤な有害事象のリスクは増加しないようである。
また、併用療法は重度の増悪が少なく、症状が緩和された。
エディトリアル執筆者は、このメタアナリシスに含められた研究は有効性を検討するものとしてデザインされており(すなわち頻度の低い有害事象は検出できない)、現実というよりも理想的な診療を反映していると述べている。
LABA-ステロイド併用療法は、吸入ステロイド単剤では喘息を適切にコントロールできない患者、および喘息がコントロールできないときに、密接なモニターとケアを受ける意思のある患者にとどめることが推奨される。
— Richard Saitz, MD, MPH, FACP, FASAM
Published in Journal Watch General Medicine June 3, 2008

Citation(s):
Bateman E et al. Effects of adding salmeterol to inhaled corticosteroids on serious asthma-related events. Ann Intern Med 2008 Jun 3; [E-pub ahead of print]. (http://www.annals.org/cgi/content/full/0000605-200807010-00229v1)

Weiss KB. Drug safety and salmeterol: The controversy continues. Ann Intern Med 2008 Jun 3; [E-pub ahead of print]. (http://www.annals.org/cgi/content/full/0000605-200807010-00230v1)

http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW08-0603-01.html


<コメント>
”業界とのつながりのない研究者によって実施された2006年のメタアナリシス” と ”業界の資金提供によるランダム化試験のメタアナリシス” のhead to head の様相を呈しています。
前者がnegative,後者がpositiveな結果というのもむべなるかなです。
しかしcommentが少し辛口過ぎるような気がします。

読んでいただいてありがとうございます。

コメントお待ちしています。
他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)
[PR]

by wellfrog2 | 2008-07-23 00:10 | 呼吸器科
2008年 07月 22日

肺年齢

喫煙者に肺年齢を伝えることが禁煙の可能性を高める
Telling Smokers Their Lung Age Increases Their Likelihood of Quitting
Cochrane reviewの著者らは、呼気一酸化炭素濃度やスパイロメトリーの結果など、生物医学的なリスク評価の結果を喫煙者に提供しても、禁煙率は上昇しないと結論づけている(Cochrane Database Syst Rev 2005; 4:CD004705)。
スパイロメトリーの結果を「肺年齢」に置き換えて伝える方がよいだろうか。
このことを解明するために、英国の研究者は喫煙者561人(年齢35歳以上、平均喫煙量17本/日)を対象に、スパイロメトリーの結果を肺年齢(健康な人が同様の結果となる年齢)で伝える群と、1秒量(forced expiratory volume in 1 second:FEV1)の生の数値を詳しい説明をせずに伝える群のいずれかにランダムに割り付けた。参加者全員に禁煙するように指導し、禁煙外来の連絡先を提供した。

1年後、対照群における禁煙率(一酸化炭素濃度および唾液検体に基づく)は介入群よりも有意に低かった(6.4%対13.6%)。
注目すべきこととして、全参加者のうち、閉塞性肺疾患が89人(16%)で新たに診断された。

コメント:喫煙者に肺機能の結果を理解しやすい言葉(たとえば肺年齢)で伝えることにより、生のFEV1の数値を伝えるよりも禁煙の確率が有意に上昇する。さらに、この介入は費用がかからず効果的である(治療必要数:14)。この介入が、薬物(nicotine代替薬、bupropion、vareniclineなど)および他の介入(医師の助言など)と共に行って、禁煙率を上昇させるかどうかは不明である。肺年齢を算出する公式は論文の原著に記載されている。

— Paul S. Mueller, MD, MPH, FACP
Published in Journal Watch General Medicine March 25, 2008

Citation(s):
Parkes G et al. Effects on smoking quit rate of telling patients their lung age: The Step2quit randomised controlled trial. BMJ 2008 Mar 15; 336:598. (http://dx.doi.org/10.1136/bmj.39503.582396.25)
Original article (Subscription may be required)
Medline abstract (Free)

http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW08-0325-09.html

2008 March 25

f0174087_724414.jpg

三塩 清巳 『古井戸のある寺院(オルタ・サン・ジュリオ島)』  油彩 キャンヴァス 8号
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p115891691

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)
[PR]

by wellfrog2 | 2008-07-22 00:09 | 呼吸器科
2008年 06月 18日

胸部単純X線撮影の有用性

胸部写真の読影についてはFelsonなどの名著も数多くあり、学問的体系も整っています(少なくともそう思っていました)。
当院のような診療所ではCTやMRIは当然なく、電子化もされておらず相変わらず(旧態依然の)フィルム現像を行っています。
今回のように、全否定(?)されてしまうと何だか侘しくなってしまいます。

胸部単純X線撮影はどこまで有用か
検査法を使い分けて肺所見を正確に描出

〔ベルリン〕CTやMRIが普及しているにもかかわらず,依然として胸部単純X線撮影も頻繁に実施されている。
そこで,聖マリア病院診断介入放射線学研究所(デュッセルドルフ)のStefan Diederich教授は,胸部単純X線撮影の適否を判断する際のポイントについて,ドイツ連邦医師会主催の第32回学際フォーラムで解説した。


巣状病変は検出困難
胸部単純X線撮影は特定の体位を取る必要がなく,ベッド上の臥位の患者に対しても実施可能で,検査結果がすぐに得られる低コストの検査法である。
しかも標準化されており,比較が可能であることから,特に経過観察に際して有用である。
被曝線量もCTの10分の1以下である。 
しかし,同時に胸部単純X線撮影の弱点も無視するわけにはいかない。
投影により肺の多くの部分が重層してしまうため,小さな巣状病変の検出はきわめて困難である。
加えて,軟部組織ではコントラストが欠如するため,詳細な形態学的診断には向いておらず,縦隔や腋窩などの隣接組織における病変の発見は困難である。
 
したがって,さしあたり大まかな目安を付けるために胸部単純X線撮影を用い,その結果を踏まえて他の検査を実施するのが望ましい。
 
ただし,
(1)免疫正常患者における肺炎の除外
(2)症候性の大量の胸水(200mL以上)の診断
(3)滲出液や浮腫などの経過観察
(4)気胸や気縦隔症の診断
(5)植え込み物の調節
―では多くの場合,胸部単純X線撮影で十分である。
 
これに対して,巣状病変の確実な除外が目的であれば,胸部単純X線撮影は役に立たない。具体的には,肺がんや転移がん,免疫抑制患者における非定型的な浸潤の検査がこれに該当する。
さらに,びまん性浸潤性肺疾患の除外診断,鑑別診断および活動性評価に際しても,胸部単純X線撮影では力不足である。
このような場合には,スライス厚を薄くして撮影するマルチスライスCTなどのほうがはるかに優れている。
また,最近では肺塞栓の疑いのある患者に対しても,胸部単純X線撮影を実施せずに直ちにCTやシンチグラフィーが実施されている。
 
以前は,病院に搬送されてきた患者に対して胸部単純X線撮影がルーチンに実施されていたが,もはや,それは時代遅れであり,現在では何を調べたいかにより診断方法は異なる。
また,喫煙を続けている高齢の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対して,がん検診目的での胸部単純X線撮影を繰り返し実施することも無意味である。

出典 Medical Tribune 2008.6.5
版権 メディカル・トリビュ-ン社

f0174087_7314647.jpg

エプコ(Epko)  『花束と果物』 リトグラフ  http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x36844059

一般医療ニュース [提供:毎日新聞社] 2008年 06月 17日 (火)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/newslist/
■採血器具使い回し
<みにニュース>笠岡市民病院で採血器具使い回し判明 /岡山 (2008/06/17)
<採血器具使い回し>鳥取市で延べ1078人に /鳥取 (2008/06/17)
<採血器具使い回し>津市中央保健センターなど 針周辺部を消毒、330人に /三重 (2008/06/17)
<採血器具使い回し>上越も使い回し /新潟 (2008/06/17)
<採血器具使い回し>10カ所で2125人に /神奈川 (2008/06/17)
<採血器具使い回し>所沢市の病院も 延べ4万5000人 /埼玉 (2008/06/17)
<採血器具使い回し>小山市でも1389人 /栃木 (2008/06/17)
<採血器具使い回し>秋田市保健所と市立秋田総合病院、1000人以上に使用 /秋田 (2008/06/17)
<採血器具使い回し>いわてリハビリセンター、患者10人に /岩手 (2008/06/17)

<コメント>
こんなに次々に見つかって常態化していることがわかっているのに、はたしてニュース性や事件性があるのかと思ってしまいます。
厚労省の指導が今まで行き届いていなかったということが露呈しただけです。
何かが起こってから調査をする。
いつもやることが付け焼刃(やいばではなくやきばというらしい。”漬け”も誤用のようです)です。
中世の「魔女狩り」を連想してしまいます。
省内の諸問題をつっつかれている厚労省の反撃といったところでしょうか。
当院にも、厚労省の通達ということでじきじきに某社MRがアンケート調査に来院しました。
ご苦労さまでした。

■医学部定員増へ 政府、「削減」閣議決定見直し
政府は17日、医学部の定員削減を定めた97年の閣議決定を見直すことを決めた。
閣議後に舛添要一厚生労働相が提案し、福田康夫首相が了承した。
来年度予算編成に向けた「骨太の方針」に反映させる。
政府は「22年度には医師不足は解消する」として、削減方針を変えてこなかったが、医師不足の深刻化を受け、政策を全面転換する。具体的な増員数は未定だが、削減分を戻したうえ、さらなる上積みができないか検討するとみられる。
舛添厚労相は福田首相との会談後「偏在ではなく、不足しているとの認識に立って医師を増やす」と述べた。
具体的な増員目標は明示しなかった。
医療費抑制を念頭に置いた医学部定員の削減は80年代後半に始まり、07年度の定員はピーク時(84年度)より8%少ない7625人。日本の人口1000人当たりの医師数は2・0人(04年度)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国中で最低レベルだ。
これに対し、舛添厚労相は自身もメンバーに加わる同省の「安心と希望の医療確保ビジョン会議」で、医学部の定員増を主張。提言に方針を明記し、政府として数値目標を打ち出すのが望ましいとの見解を示していた。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/news/20080617dde001010034/)。

<コメント>
増やせばいいってもんでもないはず。
わけのわからん「有識者」ではなく、医療現場の声を直接聞いてこなかったつけが今まわって来ているということ。
定員を増やしても卒後研修制度の問題や医師の仕事自体の魅力が失われてきている現状をどうみているのか。
医師のレベルの確保は担保されているのか、医師数が増えればますます魅力もなくなっていく(医療費削減政策をこのまま続けて医師数を増やせばその結果は明々白々)。
今後は国内1万人以下といわれ引く手あまたのパイロットを志す人が増えてくるかも(半分冗談半分本気。)。

今朝の朝刊に「消費税上げ」の首相発言が一面に出ていました。
当院は患者さんの便宜を図って今でも頑なに(へそ曲がりといわれればそれまで)院内処方を行っています。
本来は受益者負担のはずですが、現在医療機関が負担している納入薬剤の消費税が上がるということになるといよいよ院外処方に切り替えなければなりません。
近くには調剤薬局はないし。
医師会はそのあたりをまったくとりあげてくれません。
最近、医師会費の高額な請求が来るたびに○○団の上納金(みかじめ料)に思えてしまいます。
守ってももらえないのでそれ以下かもしれません。
そう思うのは私だけでしょうか?


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
[PR]

by wellfrog2 | 2008-06-18 00:09 | 呼吸器科