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カテゴリ:脳血管障害( 3 )


2008年 11月 14日

喫煙配偶者を持つ人と脳卒中リスク

喫煙配偶者を持つ人で脳卒中リスクが高い
受動喫煙が冠動脈性心疾患(CHD)の危険因子であることは広く認められているが,受動喫煙と脳卒中の関係を検討した研究はきわめて少ない。
ハーバード大学公衆衛生学部(ボストン)のM. Maria Glymour博士らは,喫煙する配偶者を持つ人の脳卒中リスクは喫煙しない配偶者を持つ人よりも高いとする知見をAmerican Journal of Preventive Medicine(2008; 35; 245-248)に発表した。


配偶者の禁煙でリスク低減

Glymour博士らは,米国立加齢研究所(NIA)の助成を受けた米国の高齢者研究であるHealth and Retirement Study(HRS)のデータを解析した。
HRSは,全米の50歳以上の成人とその配偶者を対象にした縦断的研究で,1992年,93年,98年,2004年に参加登録が行われた。
最終的に1万6,225人を分析対象とし,脳卒中の初回発症を平均9.1年間にわたり追跡。登録時に評価された配偶者の喫煙状況と脳卒中リスクの相関を検討した。
年齢,人種,ヒスパニック系,南部生まれ,親の教育レベル,親の職業分類,教育を受けた期間,収入,財産,肥満,過体重,飲酒,高血圧や糖尿病,心疾患の既往などの因子を調整した。
 
その結果,喫煙歴がない人の場合,現在喫煙している配偶者を持つ人の脳卒中リスクは,喫煙歴のない配偶者を持つ人に比べて42%高かった。
喫煙歴がある人の場合,現在喫煙している配偶者を持つ人の脳卒中リスクは,喫煙歴のない配偶者を持つ人に比べて72%高かった。喫煙歴がある配偶者を持つ人の脳卒中リスクは,喫煙歴のない配偶者を持つ人に比べて高まることはなかった。
 
この結果は,配偶者が喫煙者の場合には脳卒中リスクが高まるものの,配偶者が禁煙した場合には,そのリスクは消滅することを示唆している。
実際に,喫煙歴のない人の脳卒中リスクは,喫煙歴のある配偶者を持つ人と,喫煙歴のない配偶者を持つ人とではほぼ同等であった。
現在喫煙者の脳卒中リスクは,喫煙歴のない人に比べて著しく高く,配偶者が喫煙者か非喫煙者かによる影響は認められなかった。


非喫煙女性にも適用
先行して行われた国民保健栄養調査(NHANES)のフォローアップ研究において,喫煙男性と結婚した喫煙女性では,非喫煙者と結婚した喫煙女性よりも脳卒中リスクが高いことが明らかとなっているが,その知見は喫煙女性についてのみ当てはまり,非喫煙女性については適用できなかった。
 
今回の研究は,喫煙歴のない人でも,現在喫煙している配偶者を持つ人の脳卒中リスクは,喫煙歴のない配偶者を持つ人よりも高いことを示したものである。
この相違は,サンプリングの違いにより生じた可能性がある。
NHANESの参加者はHRSの参加者よりも若く,脳卒中の発症率も低い。
現在喫煙者の場合,配偶者の喫煙により若年時の脳卒中リスクが高まるが,非喫煙者の場合は脳卒中リスクは全般的に低いため,同リスクは高齢化した際に明らかになってくる可能性がある。
 
Glymour博士は「これらの知見は,配偶者が喫煙することにより,非喫煙者や元喫煙者(喫煙歴のある者)の脳卒中リスクが高まることを示している。
禁煙による健康上の利点は,喫煙者自身にとどまらず,場合によっては配偶者にも拡大して波及するものと考えられる」と述べている。
出典 Medical Tribune 2008.11.6
版権 メディカル・トリビューン社


<MR面談録 2008.11.13>
当院では月に1回、たっぷり時間をかけてMRと面談を行っています。
時節柄、カレンダーを持参するMRもいます。
気がついたら今年も後わずかになってしまいました。

1.サノフィ・アベンティス
■アレグラの紹介。
秋の花粉症と皮膚乾燥症のポスター持参。
相変わらず「ハクション大魔王」のキャラがいい・・・と褒める。
アンパンマンのドキンちゃんみたいなキャラも印刷されていたので訊くとあくびちゃんとのこと。
ドキンちゃんと違って素直ないい子らしい。
■パンフ
糖尿病治療:既存の薬物治療を考える
(アマリール:グリメピリド関連)

2.武田
■講演会の紹介 糖尿病の統合的治療を目指して DIRECT試験から 2008.11.17
3.アストラ・ゼネカ
■文献紹介
□Rosuvastatin to prevent vascular events in men and women with elevated C-reactive protein
 NEJM Nov20, 2008 vol.359 No21
□第40回日本動脈硬化学会総会・学術集会 ランチョンセミナー(パンフ)
 炎症マーカーは動脈硬化性疾患の治療Targetとなりえるか?
 medical Tribune 2008.10.16
■講演会の紹介 AZ TV Symposium 2008 2008.11.26,と12.9
4.キッセイ薬品
■「ユリーフが錠剤に変わります」のパンフ
最初ハルナールに対抗(意識)してカプセルで発売されたが、錠剤の希望が多く変更になった・・・一体何なんだ。

5.ノバルティス
■文献紹介
「治療抵抗性高血圧症に対するバルサルタン160mg錠の初期降圧効果の検討」
診断と新薬 44(4)371-375、2007
(バルサルタン増量による降圧効果の増大をいっているが、患者の経済的負担も増大。その点については触れられていない)

6.持田製薬
■パンフ
JELIS
サブ解析を振り返る
■論文
イコサペント酸エチル服用方法の変更による服薬アドヒアランスの変化と血清脂質への影響
診断と新薬 45(7)673-676、2008

7.万有
■文献(パンフ)紹介
食塩感受性とメタボリッックドミノ
■パンフ
肺炎球菌ワクチン  ニューモバックスNP
(万有は自宅オフィスのSOHOとなった模様)

8.グラクソ・スミス・クライン
■パンフ紹介
新型インフルエンザの脅威
医療機関における対策の重要性

9.シオノギ製薬
 NEJM Nov20, 2008 vol.359 No21
■パンフ
 第40回日本動脈硬化学会総会・学術集会 ランチョンセミナー(パンフ)
 炎症マーカーは動脈硬化性疾患の治療Targetとなりえるか?
 (アストラ・ゼネカと全く同じパンフ。クレストール併売のため当然といえば当然)
 medical Tribune 2008.10.16
■冊子 BEAT
頸動脈エコー〜どう評価し、どう伝えるか?
(頸動脈エコーに興味をもつ身としては有り難い冊子でした。バックナンバーも入手し たいものです)

<自遊時間>
あるMRが引き継ぎに新人MRを連れてきました。
出身は東京都H市とのことです。
中央高速で「右手に競馬場、左手にビール工場」が見えるのって訊いてもポカンとしています。
松任谷(荒井)由実(ユーミン)の「中央フリーウエイ」を知らない世代がMRになっている時代です。


<きょうの一曲> 中央フリーウェイ
中央フリーウェイ 荒井由実
http://jp.youtube.com/watch?v=9V439p0kapM&feature=related
中央フリーウェイ
http://jp.youtube.com/watch?v=StWiRsaHH8o
Yuming,Monsieur with Tin-Pan-Alley-中央フリーウェイ
http://jp.youtube.com/watch?v=Gx1CMzG8kPQ



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by wellfrog2 | 2008-11-14 00:30 | 脳血管障害
2008年 07月 07日

新しい脳梗塞治療

tPA治療を超える新しい脳梗塞治療 
組織型プラスミノーゲン・アクチベータ(tPA)を用いた脳梗塞急性期の血栓溶解療法が急速に普及しつつある。
しかし,tPA治療は発症後3時間以内に開始しなくてはならないなど困難な面がある。
横浜市で開かれた日本薬学会第128年会(組織委員長=明治薬科大学・久保陽徳学長)のシンポジウム「tPAを超える新しい脳梗塞治療薬開発のための病態解明と治療薬候補分子」(オーガナイザー=長崎大学大学院分子薬理学分野・植田弘師教授)では,新しいコンセプトに基づいた脳梗塞治療の研究成果が紹介された。


神経保護作用示すPACAP

昭和大学第一解剖学の塩田清二教授らは,脳下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)による虚血性神経細胞死抑制とその分子制御機構について検討。「PACAPは,脳梗塞あるいは脳虚血性疾患の治療・予防薬としておおいに期待される」と述べた。
遅発性神経細胞死を抑制
PACAPは羊視床下部から発見されたアミノ酸38および27から成る神経ペプチドであり,神経保護作用,神経分化誘導作用などが知られている。
PACAPの特異的受容体(PA CIR)は,脳内に広く分布し,特に嗅球,海馬,小脳などに遺伝子発現が多く見られる。
PACIRは脳内だけでなく体内のいろいろな部位にも存在している。
 
塩田教授らはPACIRによる海馬細胞死防御とその分子制御機構について,機能形態学的方法を用いて調べた。
ラットおよびマウスの虚血-再灌流モデルでは,海馬領域の特にCA1の多くの神経細胞が遅発性細胞死を起こす。
超微量(pM,nMオーダー)のPACAPを脳室内および静脈内投与すると,この遅発性神経細胞死は著明に抑制された。
さらに,虚血再灌流後からPACAPを脳室内および静脈内投与しても神経細胞死を有意に抑制した。
また,神経細胞死の起こる部位に一致して星状膠細胞にPACAP受容体が特異的に発現した。星状膠細胞に特異的なマーカーであるグリア線維性酸性蛋白質(GF AP)のプロモーターに調節されて強化型緑色蛍光蛋白質(EGFP)が発現するようにしたトランスジェニック マウスの外傷モデルでも,虚血実験と同じく星状膠細胞にPACAP受容体が特異的に発現した。
 
また,細胞死のシグナル伝達系路として最も重要であると考えられているMitogen-Activated Protein(MAP)キナーゼカスケードについて虚血モデル動物の海馬領域を採取して調べたところ,神経細胞死とともにこの系路が活性化しているのが明らかになった。PACAPはこの系路を介して遅発性神経細胞死を抑制した。
さらに,PACAPによる虚血性神経細胞死抑制作用として,PACAPが星状膠細胞を刺激してインターロイキン(IL)-6の産生・分泌を促進し,遅発性神経細胞死を抑制していることが,IL-6ノックアウトマウスを用いた実験で明らかになった。
これらのことから,PACAPは神経細胞に直接あるいは星状膠細胞を介して間接的に作用し,虚血性神経細胞死を防御することが明らかになった。
 
以上の結果から,同教授は「PA CAPを含む種々の神経ペプチドが,新しい脳虚血治療薬あるいは神経細胞死防御の新薬として今後おおいに期待される」と述べた。


新規蛋白質として注目されるプロサイモシン・アルファ 
オーガナイザーを務めた植田教授らは,ネクローシス(壊死)性の神経細胞死抑制作用を有する新規蛋白質プロサイモシン・アルファ(ProTα)を発見した。同教授は,ProTαの臨床応用の可能性について考察し「ProTαは新しい脳卒中治療候補薬と言える」と述べた。

神経細胞死をほぼ完全に抑制
脳卒中治療において一次性および二次性のネクローシス抑制は重要な意義がある。
しかし,ネクローシスの分子機構そのものの研究に取り組んでいる例はきわめて少ないのが現状である。
 
神経細胞をサプリメント無添加の無血清飢餓培養あるいは2時間にわたる低酸素・低グルコース虚血ストレスを負荷することで,電子顕微鏡的に典型的なネクローシスがほぼ全例に認められるが,植田教授らは,このネクローシスの分子機構はグルコーストランスポーター(GLUT1/4)の細胞膜上への移行の減少と,それに続く細胞内アデノシン3リン酸(ATP)レベルの急激な低下にあることを証明した。
 
また,その阻害分子については,同神経細胞を高密度に培養したときにネクローシスが抑制されるという知見から,培養上清中にネクローシス抑制分子の存在を確信し,ProTαの発見に至った。
ProTαは胸腺ホルモンであるαサイモンファミリーの1つで,最も酸性度の高い蛋白質とされる。
 
詳細な研究結果から,リコンビナントProTαは,Cキナーゼ(PKCβ2)の活性化を介して虚血ストレスによるGLUT1/4の細胞質への内在化とネクローシスを抑制することがわかった。
また,ProTαはラットおよびマウスを用いた一過性脳梗塞モデルによって引き起こされる神経傷害,機能障害および死亡率を,再灌流処置3時間後の全身投与でほぼ完全に抑制し,6時間後の処置においても有意な効果を示した。
恒久的脳梗塞モデルに対しても同様の結果が得られた。
さらに,組織化学的な解析でも,ProTαは脳虚血処置によって誘導される神経細胞死をほぼ完全に抑制することが明らかになった。
 
同教授は,ProTαを中心とした虚血時の脳保護機構を,以下のように推定した。
(1)虚血となって数時間後の脳では,虚血コアの部分でグルコース,酸素および周囲から供給される神経栄養因子が欠乏する飢餓状態となり,神経細胞内ATP低下が起こる
(2)このとき,細胞膜のGLUT1/4が内在化することで,エネルギー供給を抑制し,細胞の無駄な活動を避けようとする。しかし,その虚血がさらに持続するとネクローシスに陥る
(3)この時期にProTαは核から細胞質を経て,多くの伝達物質が含まれる遊離小胞を介する遊離機構とは異なる機構で細胞外に遊離され,自らあるいは周囲の神経細胞に働いてGLUT1/4の細胞膜移行を誘発し,ネクローシスからの回避を図る()。
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同教授は「強い脳虚血の場合には内在性のProTα量だけでは追い付かないので,治療薬として外からの投与によって補う必要があるだろう」と述べた。


シクロスポリンAに虚血性脳障害防御作用 
東京薬科大学の工藤佳久名誉教授,東京医科大学麻酔科の内野博之講師らは,一過性虚血による脳細胞内カルシウム(Ca)濃度恒常性の破綻とその防御について検討。
「シクロスポリンA(CsA)がミトコンドリアの安定化により虚血性脳障害防御作用を示すことが認められ,この作用を指標にすることが虚血性脳障害保護・治療薬開発に有効であることを確認した」と述べた。


ミトコンドリアレベルで強力に抑制
まず,ほぼ同じCa結合能を持つ蛍光Ca指示薬,fura-5F(細胞質のCa濃度計測用)とRhod-2(細胞質とミトコンドリア内Ca計測用)を併用し,虚血時の細胞質とミトコンドリア内Ca濃度の動態を解析した。
また,虚血性脳障害に強い保護作用を示すCsAを用いて評価を行った。
その結果,fura-5FとRhod-2の併用により細胞質とミトコンドリア内のCa濃度の動態を推測でき,一過性虚血による神経細胞死からの保護薬の解析に有効であることが明らかになった。
 
ミトコンドリア内膜透過性亢進(mPT)は分子量1,500以下の物質に対するミトコンドリア内膜透過性が急激に上昇する現象であり,mPT pore(mPTP)というメガチャネルがミトコンドリア内膜上に開口することで開始される。
mPTは,虚血刺激などによる細胞内Ca濃度の異常な上昇に続くミトコンドリア内へのCaの過剰な取り込みと酸化ストレスや無機リン酸の増加,adenine nucleotideレベルの低下などが相まって活性化(開口)される。
mPTPを開口したミトコンドリアは細胞死にかかわる因子を含むさまざまな蛋白を細胞質内に放出する。
最近になって,このmPTが虚血再灌流性障害などの神経細胞障害における神経細胞死誘発の主要な原因であることが明らかになった。
一方,CsAがmPTを抑制することもわかってきた。
これらの事実は,mPTの抑制により脳機能を保護することが可能であることを示唆している。
 
そこで,次にmPTの部位特異性とCsAの効果を検討した。
その結果,脊髄と大脳皮質ミトコンドリア間のmPT感受性,CsA感受性に差は認められず,Ca取り込み能の違い,Caユニポーター活性に差が認められた。
また,CsAは虚血性脳障害をミトコンドリアレベルで強力に抑制した。
CsAの作用を指標にすることで,mPTの状況を把握することが可能であった。
 
さらに,ミトコンドリアの機能を指標として既存の医薬品からCsAに勝るmPT阻害薬を探索した。
その結果,抗てんかん薬,トピラメートは新しい抗虚血障害薬開発の手がかりになることが示唆された。


tPAのパートナーとしての脳保護療法に期待
岡山大学神経内科の阿部康二教授は脳梗塞に対する脳保持療法の現状について述べ,「tPAのパートナーとして脳保護療法への期待は高い」と指摘した。

tPAとエダラボンの併用が可能に 
阿部教授によると,脳梗塞の急性期における治療の基本戦略は,この10年間で大きく進展し血流再開療法,脳保護療法,遺伝子・再生医療の3点であることが明確化してきた。
そのうち,脳保護療法については,フリーラジカルスカベンジャー・エダラボンが2001年6月から世界で初めて日本の脳卒中の臨床現場で使用開始され,多くの患者に恩恵をもたらしている。
 
脳細胞はミトコンドリアストレス,小胞体ストレス,プロテアソームストレスという3つの細胞内器官ストレスにさらされつつ,次第に細胞死の方向に進んでいくので,この3つのストレスをそれぞれ抑制することが重要である。
小胞体ストレスの軽減薬であるダントロレンの脳室内注入で脳梗塞サイズを小さくしたり,プロテアソームストレス軽減薬であるimmunophilin ligandによって脳障害を軽減することが可能である。
一方,障害脳細胞で最もフリーラジカルが発生しているミトコンドリア障害を軽減するのがエダラボンである。
 
また,最近発表されたフリーラジカルスカベンジャー・NXY-059について,同教授は「臨床効果がエダラボンより弱く,臨床開発が中止となった」と述べた。
 
また,tPAが2005年10月から「わが国でも脳卒中の臨床現場での使用が開始され,一部の患者では画期的な恩恵をもたらしている。
同教授は「世界中で日本でのみtPAとエダラボンの併用が可能となっており,tPAを用いた急性期血行再建療法における脳保護療法の意義があらためて期待されている」と述べた。
その1つとして,脳梗塞後3~6時間の患者を対象としたtPAとエダラボンの併用効果を検討する臨床試験が今秋から開始される予定となっている。
 
遺伝子治療は神経栄養因子遺伝子や抗炎症遺伝子,抗酸化蛋白遺伝子などが用いられてきている。
これらは単に狭義の脳保護効果を期待するだけでなく,脳血流改善効果も期待できるので,広義の脳保護療法と考えられる。
また,再生医療としては,内在性神経幹細胞活性化と外来性神経幹細胞移植の2つが研究されている。
これらの移植細胞から放出される神経栄養因子が細胞保護効果を持つことが知られている。
 
一方,脳卒中慢性期の基本治療戦略は,血行再建よりは機能修復や再生に重点が移る。
同教授らは慢性期の再生医療には神経再生のための足場が必要と考え,人工的に切除した大脳にシリカベースの蜂巣状足場を埋め込んだところ,慢性期における脳の変形が予防され,足場内部へ血管組織やグリア組織,神経細胞突起が新しく進入し,しかもこの足場内腔に神経栄養因子を同時に含ませておくと,対照と比べてこれらの新しい進入が増幅されることを見出した。
「このような慢性期の再生医療研究は,今後の発展が大きく期待されている」と同教授は述べた。


出典 Medical Tribune 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)
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by wellfrog2 | 2008-07-07 00:31 | 脳血管障害
2008年 06月 24日

高齢者の脳白質の変化が歩行異常と関連

高齢者の脳白質の変化が歩行異常と関連
〔米ミネソタ州セントポール〕 ループレヒト・カール大学(独ハイデルベルク)のHansjoerg Baezner博士らは,高齢者によく見られる脳白質の変化,いわゆる白質希薄化が歩行や平衡の異常と関連性のあることを突き止め,Neurology(2008; 70: 935-942)に発表した。
転倒リスクが増大
フィレンツェ大学(伊フィレンツェ)神経科学・精神科学部が中心となって行われた3年間のLADIS(Leukoaraiosis and Disability)研究では65~84歳の男女639例を対象に,脳のスキャン,歩行検査,バランス検査を行った。
脳の白質の変化は高齢者ではよく見られ,その程度は異なるが,639例中284例に加齢による軽度の,197例に中等度の,158例に重度の白質の変化が見られた。
 
白質変化の重度群は軽度群に比べ,歩行検査とバランス検査のスコアが悪くなる率が2倍であった。
また,重度群は軽度群に比べ,転倒歴も2倍であった。
さらに,中等度群は軽度群に比べ転倒歴が1.5倍であった。


高齢でも自活を目指す 
LADISの研究者でもあるBaezner博士は「歩行困難と転倒は白質変化の主たる徴候で,高齢者が寝たきりや死亡に至る重大な原因である。運動をすると歩行能やバランス能が改善するため,歩行困難や転倒リスクが低下するだろう。長期的に白質の変化した例でも運動することでリスクが改善するか否か調べる予定だ。高齢になっても自立した生活ができるか否かは,可動性にかかっている。可動性に制限があると,ナーシングホームへの入所や入院が必要になることが多い。
この問題は今後数十年,われわれの社会と経済において大きな課題となるだろう」と指摘している。


白質変化は高血圧と関連 
さらに,Baezner博士は「白質の変化をモニターすることは歩行障害を早期発見するうえで有用である。歩行は健康上の他の問題にも関連している。最近,歩行障害により非アルツハイマー型認知症を検出できることが示された。歩行障害やバランスの異常を早期に検出することにより機能障害の状態を認識し,早期に診断・治療することが可能となる。他の人よりも白質変化が進行しやすい人が存在する理由,あるいは白質が変化する原因は十分解明されていない。
ただ,高血圧の治療が不十分であることとは明らかな関連性が認められている」と述べている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41230011&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.6.5
版権 メディカル・トリビュ-ン社

<番外編>
グラス1杯のワインは肝臓にもよい
1日にグラス1杯のワインを飲むことは心臓だけでなく肝臓にもよい影響があるようだと,米カリフォルニア大学サンディエゴ校のグループがHepatologyの6月号に発表した。

同グループは,米国の第三次国民健康栄養調査の参加者のうち,全く飲酒習慣のない7,211人と1日のアルコール摂取量が10gまででワインを好んで飲む945人を対象に,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が疑われる人の割合を調べた。
 
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)のカット値を>43IU/Lとした場合のNAFLDの疑いは非飲酒群3.2%,ワイン群0.4%で,オッズ比(OR)は0.15であった。
カット値を健康人の95パーセンタイル値(男性>30IU/L,女性>19IU/L)とした場合にはそれぞれ14.3%,8.6%(OR 0.51)で,適度にワインを飲むことはNAFLDに保護的に働くことが示唆された。
Dunn W, et al. Hepatology 2008; 47: 1947-1954.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18454505
出典 Medical Tribune 2008.6.12
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
こんなことがあるんでしょうか。
1日にグラス1杯のワイン。
なみなみ一杯かどうかも知りたいところです。
一杯で済めば苦労はないのですが。

ちょっと前に休肝日を設ける方法は,アルコール脱水素酵素(ADH)の活性が低下するからよくないという話を聞いたことがあります。
そのことと関係があるのでしょうか。


読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
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by wellfrog2 | 2008-06-24 00:04 | 脳血管障害