井蛙内科開業医/診療録(2)

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2008年 06月 30日

糖尿病治療/基礎インスリン その1(1/2)

糖尿病治療 なぜ,基礎インスリンが重要なのか
経口糖尿病薬のみで十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に対しては,膵β細胞の疲弊が軽度な早期からのインスリン治療導入が望ましい。
こうした観点から従来,経口糖尿病薬+基礎インスリン併用療法が試みられてきたが,NPHインスリンでは作用持続時間が短いことなどから分な効果が期待できないとの指摘もあった。
 
インスリングラルギン(商品名:ランタス)は,1日1回投与で24時間にわたり血中インスリン濃度をほぼ一定に維持しうる持効型溶解インスリンアナログ製剤であり,経口糖尿病薬+基礎インスリン併用療法に対する有用性が期待されている。
 
そこで,臨床試験JUN-LAN STUDY4において,ともに経口糖尿病薬+インスリングラルギンの併用効果を検討した聖マリアンナ医科大学内科学代謝・内分泌内科教授の田中逸氏と順天堂大学内科学代謝内分泌学講座准教授の弘世貴久氏に,糖尿病治療における基礎インスリンの重要性とインスリン グラルギンの位置づけについて討議していただいた。


患者が受け入れやすい説明と方法でインスリン治療の導入を
田中 
経口糖尿病薬使用患者のHbA1c値を検討した報告によると,HbA1c7%以上を示す例は単剤で37%,併用で58%と高い割合を占めています。
また,DAWN JAPAN調査で医師を対象にアンケートした結果,ご自身が糖尿病であった場合はHbA1c 7.7%でインスリン治療を開始するのに対し,患者さんにインスリン治療を考慮するHbA1cは8.3%でした。
さらに,実際に医師がインスリン治療を勧めた患者さんのHbA1cは平均9.2%です。
 
科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドラインで血糖コントロール「不可」とされるHbA1c8%以上を示していながら,漫然と経口糖尿病薬の投与を継続し,インスリン治療の導入が遅れている患者さんが多い現状が推察されます。
その背景にはどのような要因が考えられますか。

弘世 
一般的に,HbA1c8%以上が3か月続けばインスリン治療の適応となると言われています。
しかしその導入が遅れる背景には,患者さんの納得が得られるような説明が難しいという事情があります。
当施設は大学病院という性格上,HbA1c 10%前後の患者さんの紹介も多く,その場合,インスリン頻回注射療法の適応となります。
その際,当教室の河盛隆造教授が提唱する"糖の流れ""インスリンの流れ"の図などをお見せし,「1日3度の食事に合わせて注射するのが合理的です」と説明に努めてきました。
多くの患者さんは納得してくださいますが,納得してくださらない場合,限られた診察時間のなかで数か月にわたってやっとの思いで口説き落としてきたというのが実情でした。
つまり、そういう患者さんでは適切なタイミングでインスリン導入ができていないのが現状です。
 
患者さんによっては,まだ経口糖尿病薬での治療で他の手立てがあるのではないかと,1日3回注射するのは躊躇されることもあります。

田中 
私たち医師は,患者さんに病態的必要性からインスリン治療を勧めます。
しかし,患者さんの側には生活環境,指が不自由であったり目が見えにくいといったハンディキャップ,注射が怖い,周囲に知られたくないといった心理的要因などがあり,インスリン治療に踏み切れないということもあると思います。

弘世 
確かに,病態的必要性を説明するだけでインスリン治療に踏み切れる患者さんは2〜3割程度だと思います。
インスリン導入を躊躇する患者さんのなかには,入院しなければいけないと誤解されている方もおられますが,その場合はご自宅や職場で自己注射できることを説明する必要があるでしょう(表 1)。
f0174087_1519310.jpg

患者さんのインスリンへのハードルを低くするという観点からは,1日1回の注射から始め,必要に応じて回数を増やしていくという方法を選んであげてもよいと思います。
注射が怖いと思っておられる方が多いため,私は診察室で患者さんに実際に自己注射を試してもらい,簡便で苦痛が少ないことを実感していただくなどして不安の解消に努めています。

田中 
患者さんに説明する際,もう1つ大事なのはインスリン治療は単に血糖値を下げる手段ではない点を理解していただくことです。
血糖を正常範囲内に保つことがインスリンの最終的作用ではなく,インスリンは同化ホルモンとして体の様々な機能を調整しています。
インスリン不足で高血糖になるのは,いわば氷山の一角であり,水面下で全身の細胞が機能異常を来している可能性があります。
つまり,インスリン治療の目的は,高血糖の是正に加え,全身のインスリン欠乏状態を救うことにあることを理解していただきたいと思っています。


インスリン頻回注射療法で内因性インスリン分泌を回復

田中 
ADA/EASDコンセンサスにおける2型糖尿病治療のアルゴリズムを見ますと,生活習慣改善+メトホルミンの次の段階としてSU薬治療や基礎インスリン治療が,さらに次の段階でインスリン頻回注射が位置づけられています。
このように欧米で主流の,基礎インスリンでまず空腹時血糖を是正するというインスリン療法が,日本ではあまり普及していない理由としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。

弘世 
日本人は欧米人に比べ,インスリンの基礎分泌が少ないだけでなく,特徴的に追加インスリンの分泌が少なく遅れぎみであるため,どちらかというと食前の追加インスリンの補充の重要性が着目されてきました。
 
また,従来基礎インスリンには作用時間の短いNPHが用いられてきました。しかし,就寝前に注射しても早朝の空腹時血糖値(FPG)の上昇が抑え切れなかったり,夜間に低血糖を起こすといった問題がありました。

田中 
ご指摘のように,河盛先生は毎食前に追加インスリンを注射することによって,糖毒性を解消するとともに内因性インスリン分泌能を回復させるという新しい方法を提唱されてきました。
しかしながら,日本全体を見ると混合型インスリン注射2回法が圧倒的に多く用いられています。
混合型2回注射によって,どこまでコントロールが改善できるのかということを考え直す必要があると考えています。
 
弘世先生は,臨床で広く行われている経口糖尿病薬を継続しながら持効型インスリングラルギンを1日1回併用するという治療について,どのように評価されていますか。

弘世 
混合型インスリン1日2回投与と持効型インスリン1日1回+経口糖尿病薬併用の効果を比較したLAPTOP試験〔Janka HU, et al: Diabetes Care 28(2): 254-259, 2005〕を見ますと,HbA1cの改善については同等ですが,低血糖の頻度は持効型インスリン+経口糖尿病薬併用のほうが明らかに低い結果です。
実際の臨床では,外来で低血糖を起こさずにインスリン量を増やすのは難しいこともあり,混合型インスリン1日2回投与では結果的にHbA1cが8%前後にとどまっています。
混合型インスリン1日2回投与が有用だと考える理由は,理想的な食事・運動療法を徹底できる入院という環境でインスリン導入しているからであり,退院後は血糖コントロールを乱す可能性が高いことに留意すべきだと考えています。

田中 
私の印象でも,混合型インスリン1日2回投与で低血糖を起こさずにHbA1c7%を切ることは可能ですが, 6%を切るのは難しく,それができる方は経口糖尿病薬に替えてもコントロールできる方だと思います。

出典 Medical Tribune 2008.4.24
版権 メディカル・トリビューン社



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by wellfrog2 | 2008-06-30 00:12 | 糖尿病
2008年 06月 29日

前立腺がん細胞増殖、遠赤外線が抑制

遠赤外線が前立腺がん細胞の増殖を抑制する効果があることを、兵庫医科大の島博基教授(泌尿器科学)が突き止め、同大学が27日、発表した。遠赤外線を発する特殊加工ゴムをがん細胞の近くに置くと、がん細胞の自滅(アポトーシス)を促す遺伝子が活性化し、がん細胞が減少。抗がん剤と併用すると、がん細胞が死滅したという。23日付の米科学論文サイト「Nature Precedings」に発表した。

ヒト前立腺がん細胞を移植したマウスをカゴに入れ、周りを大阪市の化学メーカーが開発した、微弱な遠赤外線を放射する金属などを混ぜた特殊加工ゴムで囲って、マウスのがん細胞増殖の推移を観察した。

その結果、遠赤外線を当てられたマウスの体温が0・36度上がり、マウスに移植されたがん細胞内の遺伝子にあるアポトーシス回路が活性化。約70日後に、がん細胞の増殖が半分以下に抑制された。

これに加え、がん増殖抑制機能があるとして米国で抗がん剤として使われている腸管内物質「酪酸ナトリウム」を3類類の前立腺がん細胞に投与したところ、いずれも死滅したという。

島教授は「原理的にはすべてのがんに効果があるはず。臨床応用を進めて、治療法を確立したい」と話している。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/080627/bdy0806272246001-n1.htm
出典 産経ニュース 2008.6.27 22:44
版権  産経新聞社
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by wellfrog2 | 2008-06-29 00:48 | 泌尿器科
2008年 06月 28日

かえる切り抜き帖 2008.6.28

正常範囲内でも空腹時血糖値が高いと2型糖尿病を発症しやすい
空腹時血糖値が正常範囲内であっても,高値になるほど2型糖尿病の発症リスクが高まると,米Kaiser Permanente NorthwestのグループがAmerican Journal of Medicineの6月号に発表した
 
他の危険因子を調整後の正常範囲内の空腹時血糖と2型糖尿病発症との関連を検討するため,1997~2000年に空腹時血糖値100mg/dL未満で2型糖尿病とIFG(impaired fasting glucose)がない4万6,578例を登録。
空腹時血糖値により85mg/dL未満,85~89mg/dL,90~94mg/dL,95~99mg/dLの4群に分類し,2007年4月まで追跡した。
 
平均追跡期間は81か月で,1年当たりの2型糖尿病発症率は1%未満であった。
年齢,性,BMI,血圧,血清脂質,喫煙,心血管疾患,高血圧を調整後,空腹時血糖値1mg/dLの上昇に伴って2型糖尿病のリスクが6%高くなった(P<0.0001)。
 
85mg/dL未満群と比較した95~99mg/dL群と90~94mg/dL群の2型糖尿病発症ハザード比は,それぞれ2.33,1.49であった(ともにP<0.0001)。性を除く他のすべての危険因子が,2型糖尿病の診断と有意に関連していた。
Nichols GA, et al. Am J Med 2008; 121: 519-524.
出典 Medical Tribune 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社



TC値が高くなるにつれパーキンソン病のリスクが上昇 
総コレステロール(TC)値が高いことがパーキンソン病(PD)の発症リスクと関係している可能性があると,フィンランドのグループがNeurologyの5月20日号に発表した。
 
同グループは,登録時にPDおよび脳卒中の既往のない25~74歳のフィンランド人男性2万4,773人と女性2万6,153人を平均18.1年追跡し,血清TC値別のPD発症ハザード比(HR)を調べた。
 
追跡期間中に男性321例と女性304例にPD発症が確認された。交絡因子(年齢,追跡期間,BMI,収縮期血圧,学歴,余暇の身体活動,喫煙,飲酒,コーヒーと紅茶の摂取,糖尿病歴)を補正した結果,TC値193 mg/dL未満群と比較した193?232 mg/dL未満,232?270mg/dL未満,270mg/dL以上群のPD発症HRは,男性が1.33,1.53,1.84(P=0.035),女性が1.55,1.57,1.86(P=0.113),全体では1.42,1.56,1.86(P=0.002)であった。
 
男女とも登録時年齢が25?44歳の群と45?54歳の群,また喫煙者と非喫煙者の両方でTC値が高くなるにつれPDのリスクが上昇した。しかし,登録時年齢が55歳以上の群ではこうした関係は認められなかった。

Hu G, et al. Neurology 2008; 70: 1972-1979.
出典 Medical Tribune 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社


経口造影剤として牛乳がバリウムの代わりに 
牛乳がバリウムに代わる経口造影剤になりうると,米聖ルカ・ルーズベルト病院のグループがAmerican Journal of Roentgenologyの5月号に発表した。
 
同グループは,経口造影剤と経静脈性造影剤を使用して腹部・骨盤部CT検査を受ける患者を対象に,経口造影剤としての牛乳と0.1%バリウム溶液の有効性,コスト,患者の耐容性を前向きに比較した。
 
外来患者215例を,脱脂されていない全乳を使用する115例とバリウムを使用する100例にランダムに割り付けた。
結果は,使用した経口造影剤がマスクされた2人の放射線科医が別々に評価した。
 
その結果,検査した腸管区域の膨張度と腸壁の描出度に両群間で有意差はなかった。
味を含め,バリウムより牛乳を好む患者が有意に多かった(P<0.0001)。
牛乳群はバリウム群と比べて腹部の不快感と痙攣(ともにP=0.019),悪心(P=0.016),下痢(P=0.0002)が有意に少なく,耐容性に優れていた。
患者1人当たりのコストは牛乳が1.48ドル,バリウムが18ドルであった。

Koo CW, et al. Am J Roentgenol 2008; 190: 1307-1313.
出典 Medical Tribune 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社


フラバノール含有ココアが糖尿病患者の血管機能を改善
フラボノイド類の1つであるフラバノールを豊富に含むココアが糖尿病患者の血管機能を改善すると,ドイツのグループがJournal of the American College of Cardiologyの6月3日号に発表した。
 
疫学データから,フラバノールが豊富な食事が心血管リスクの低下と関係することが示唆されている。
同グループは,フラバノール含有ココアの日常的摂取が薬物療法を受けている糖尿病患者の血管機能を改善するかを検討した。
 
まず,10例に75mg,371mg,963mgのフラバノール含有ココアのいずれかを1回摂取させ,上腕動脈の血流依存性血管拡張反応(FMD),血中フラバノール値を検討。
次に,41例を1杯中にフラバノール321mgまたは25mgを含むココアを1日3杯摂取する2群(治療群とコントロール群)にランダムに割り付け,30日後のFMDの変化を評価した。
 
その結果,フラバノール含有ココアの1回摂取により,用量依存的に有意な血中フラバノール値の上昇とFMDの増加(2時間後で3.7~5.5%の増加,P<0.001)が認められた。
30日後,治療群のFMDは登録時と比べて有意な増加を示した(30%の増加,P<0.0001)。治療群ではFMDの急性増加が研究期間を通じて維持され,効果が減弱することはなかった。
 
また,フラバノールを豊富に含むココアの摂取は血管内皮非依存性の反応や血圧,心拍数,血糖コントロールに影響はなく,患者の耐容性も良好であった。

Balzer J, et al. J Am Coll Cardiol 2008; 51: 2141-2149.
出典 Medical Tribune 2008.6.26
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by wellfrog2 | 2008-06-28 00:54 | 未分類
2008年 06月 27日

肥満を伴う2型糖尿病患者

インスリン抵抗性で肥満を伴う2型糖尿病患者 強化インスリン療法より減量が有効
〔米テキサス州ダラス〕テキサス大学サウスウェスタン医療センター(ダラス)タッチストーン糖尿病研究センター内科のRoger Unger教授らは,インスリン抵抗性と肝臓および筋肉における脂肪の過剰蓄積との関係を検討し,コントロール不良でインスリン抵抗性を伴う過体重の2型糖尿病患者の治療には,強化インスリン療法よりも体重減少と大幅なQOL改善のほうが有効だとする論評をJAMA(2008; 299: 1185-1187)に発表した。

インスリンが脂肪蓄積を加速
米国立衛生研究所(NIH)の米国立心肺血液研究所(NHLBI)は糖尿病と心疾患に関する臨床試験を行っていたが,血糖値を現行の臨床ガイドラインの目標値より低い値に保つ治療を受けた患者のうち250例以上が死亡したため試験を一部中止した。
 
インスリン値が高い場合,一部の組織では脂肪分子による過負荷の状態となるため,インスリン抵抗性が生じることを示すエビデンスがある。
インスリン抵抗性および肥満を伴う2型糖尿病患者の多くは,インスリン抵抗性にも対処すべく高用量のインスリンによる治療を受けている。
インスリンの用量を上げると血糖値が下がる一方で,脂肪分子が増え,臓器損傷の原因となる。

食生活の変化に対処できない
糖尿病,肥満とインスリン抵抗性について50年以上研究してきたUnger教授は「インスリン抵抗性および肥満を伴う2型糖尿病患者に対する強化インスリン療法は,糖尿病の原因となる脂肪酸を増加させるため禁忌である」と述べている。
最も妥当な治療法は,カロリー摂取を抑えて血液中のインスリン量を減少させ,インスリン増加により刺激される脂肪酸の合成を低減させる方法である。
インスリンの用量を上げても,体脂肪が増えるだけだという。
 
同教授は「近年,米国人は高カロリー食を多く摂取しているが,身体は高カロリーの食事に対応していない」と述べている。
 
インスリンが発見されるまでは,糖尿病の唯一の治療法は絶食であった。
同教授は「現在では,必要なら肥満治療手術など多数の治療選択肢があり,インスリンの投与開始前に脂肪を減らしておくことができる。
脂肪はインスリン抵抗性の原因で,膵臓内でインスリンを産生しているβ細胞をも死滅させてしまう。
これが2型糖尿病の原因だ」と説明。
「インスリンを増量すると,ブドウ糖が脂肪産生に回る。
現在では,体脂肪を減らしてインスリン抵抗性に対処することで糖尿病を改善する治療法がある。
インスリン療法は,このような治療法がすべて不成功な場合にのみ用いるものだ」としている。
 
同教授は,インスリンはインスリン欠乏症の患者に投与すべきで,インスリン値が既に高いが無効な患者には投与すべきでないとし,「インスリン抵抗性の患者に,より多くのインスリンを投与することは,血流抵抗に対抗しようとして高血圧患者の血圧をさらに上げるのと同じことだ。
抵抗を下げるよう試みる治療こそが必要である」と述べている。
 
現在,米国には1,800万~2,000万人の2型糖尿病患者がいる。

出典 Medical Tribune 2008.6.19
版権 メディカル・トリビューン社



ACG バレット食道の治療ガイドラインを改訂
〔米オハイオ州クリーブランド〕米国におけるバレット食道の罹患率増加とこの前がん症状の治療における最近の進歩を背景に,米国消化器病学会(ACG)は検査と治療のためのガイドラインを改訂し,American Journal of Gastroenterology(2008; 103: 788-797)に発表した。

追跡調査で高グレード異形成を確認
今回発表されたガイドラインによると,異形成のグレードにより検査間隔を定め,内視鏡を用いて検査を実施すべきであり,また,どのようなグレードの異形成であっても高グレードの異形成が存在しないことを確認するために,6か月以内の追跡調査が必要であるとしている。
 
異形成が認められない場合,内視鏡検査で2回連続して認められなくなるまで同検査を年1回行うことが推奨されている。
 
内視鏡により平坦な粘膜に高グレードの異形成が認められた場合は,この所見を病理学者が確認し,3か月以内に再度同検査を行うとしている。
 
また新しいガイドラインでは,低グレードの異形成は病理学専門医が確認し,内視鏡検査と生検を定期的に実施する必要があるとしており,高グレードの異形成は病理学専門医が確認し「インターベンション治療」を開始するとしている。
 
予防に関しては,前がん病変段階の可能性があるにもかかわらず,現時点ではこの疾患を予防する方法は証明されていないとしている。
ガイドラインは,現時点で最も有望な予防法として非ステロイド抗炎症薬の投与を挙げているが,ランダム化試験では確認されていない。
 
逆流症状については,大半の患者がプロトンポンプ阻害薬により管理できるものの,現時点ではこれががんへの進行を予防するというデータはない。
また,外科手術の候補となる患者は,大きな併存症がない場合,噴門部固定を受けてもよいとしている。
しかし,5年間の追跡調査では失敗率が20%にのぼるという。

出典 Medical Tribune 2008.6.19
版権 メディカル・トリビューン社


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トレンツ・リャド 「カロリーナ・アミーゴ嬢」
http://page6.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f69134677

<自遊時間>
昨日、慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症の方が薬を[とり」にみえました。
(診察を受けるというよりこの表現の方があっている方です)
半年前から、近くの大学病院の紹介で診察しています。
ご他聞にもれず大病院での処方のため90日処方ということで当院でもそれに倣って長期処方していました。
私「前回に3か月後に採血して検査するようにお話しました。きょう検査させていただけますか。」
患者「大学病院では年に1回検査」するかしないかでした。7年前から同じ薬(チラージン)を同じ量で飲んでいます。年に2回、3回の検査といわれても納得いきません」
私「ホルモン剤ですから時々検査が必要です。3か月分出すのは心配ですから検査できないならきょうは1か月分で処方します」
患者「とにかくきょうは薬だけのつもりで来ました。忙しいのでこれで帰ります。」
(診察中というより会話中、患者の携帯電話が鳴る)

医師と患者の関係が築けない両者。
多分この方は当院には来ないでしょう。
また来てもらっても私の考える医療が出来ません。

大病院の方が当人にとってラクかもしれません。
本人が勝手に転医するのは自由ですが、医療難民にならないことを祈るばかりです。

よその医療機関が気に入らないからといって当院に来院される方が時々います。
さんざん前医の悪口をいいますが、半分聞き流しています。

そんな患者さんは、気づいたら来院されなくなることが多いことを経験上知っているからです。
今度は当院が悪口を言われる番です。


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by wellfrog2 | 2008-06-27 00:19 | 糖尿病
2008年 06月 26日

充実するCKD関連領域の診療指針

『CKD診療ガイド高血圧編』 『CKD診療ガイドライン』など続々
慢性腎臓病(CKD)の関連領域の診療指針が充実しつつある。
昨年(2007年),日本腎臓学会から発刊された『CKD診療ガイド』は医学書としては異例の14万部のベストセラーとなったが,同ガイドの高血圧に関する記述をより詳細にした『CKD診療ガイド高血圧編』が近日発行される。
また,専門医向けの『CKD診療ガイドライン』も今秋発行予定だ。
一方,厚生労働省の「進行性腎障害に関する調査研究班」(以下,厚労省研究班)では,IgA腎症などCKDを構成する各種腎疾患に関する診療指針の改訂を進めている。


専門医向けにエビデンスに基づいた「ガイドライン」を作成
第51回日本腎臓学会(5月30~6月1日,福岡市,総会長=福岡大学教授・斉藤喬雄氏)の特別企画「進行性腎障害における診療指針の作成」で,CKD関連領域における各種診療指針の作成・改訂状況が報告された。

昨年,日本腎臓学会が発行した『CKD診療ガイド』はベストセラーになったが,同学会では今秋,『CKD診療ガイドライン』を発行する予定である。
 
東京医科歯科大学(腎臓内科)教授の佐々木成氏によると,「診療ガイド」はかかりつけ医(一般医)が対象で,専門家のコンセンサスに基づいて記述されるのに対し,「診療ガイドライン」は専門医が対象で,おもにエビデンスに基づいて記述されるという。
診療ガイドラインと診療ガイドが並存する実例としては,日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン』と『糖尿病治療ガイド』がある。

『CKD診療ガイドライン』は,テーマごとにエビデンスレベル,ステートメント,解説,アブストラクトテーブルを記載。
ステートメントでは,勧告の強さを4段階で表記する。
今秋,書籍として出版するほか,日本腎臓学会誌に掲載。
また,日本腎臓学会のホームページでも公開する。
3~4年後をめどに改訂を行う予定だという。


「高血圧編」では降圧薬の選択を明確化
全体で116ページの『CKD診療ガイド』だが,「降圧療法」に充てられたのは3ページ。
そこで,日本腎臓学会では日本高血圧学会とともに「CKD対策合同委員会」(委員長=名古屋市立大学教授・木村玄次郎氏)を組織し,より詳しく使いやすい内容のガイドの作成を進めてきた。
近日中に『CKD診療ガイド高血圧編』として発刊される。

委員の1人,防衛医科大学校(内科2部門)准教授の熊谷裕生氏は,『CKD診療ガイド高血圧編』で新たに詳述した重要なテーマとして降圧薬の選択を挙げる。
『CKD診療ガイド』では,ACE阻害薬およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を推奨し,降圧目標が達成できない場合は他剤(Ca拮抗薬や利尿薬など)併用の必要性を指摘していたが,『高血圧編』では,選択法をより明確に記載する方針である。

すなわち,
(1)第1選択薬:ACE阻害薬またはARB,
(2)第2選択薬:利尿薬とCa拮抗薬を同等に位置付ける。体液過剰(食塩感受性)が認められる場合は利尿薬,心血管疾患(CVD)の危険因子を多数保有する場合はCa拮抗薬,
(3)第3選択薬:第2選択薬と逆の薬剤
―とのステップを提案する。
ただし,腎硬化症や間質性腎障害では,推奨する降圧薬の種類を問わないという。


原疾患別診療指針の改訂も進む
一方,CKDを構成する各種原疾患についても,診療指針の作成が進められている。
最近まで厚労省研究班の班長として診療指針の作成を主導し,同セッションの司会を務めた順天堂大学(腎臓内科学)教授の富野康日己氏によると,厚労省研究班では,IgA腎症,急速進行性糸球体腎炎(RPGN),難治性ネフローゼ症候群,多発性嚢胞腎の4疾患の診療指針を作成しており,改訂作業を重ねている。
今後,改訂案は日本腎臓学会のホームページに掲載し,学会員の意見を聞いた後,正式発表されるという。さらに,日本腎臓学会では関連学会と合同で糖尿病性腎症の診療指針も新たに作成中で,腎硬化症については『CKD診療ガイドライン』のなかで取り上げられる。

課題は診療指針間の整合性である。
原疾患別の診療指針と「CKD診療ガイド(ガイドライン)」,あるいは関連学会のガイドラインなどとの間で,記載内容に異同があれば利用する医師を混乱させることになるだけに,指針作成者間の連携が求められている。

CKD診療の目的は,末期腎不全への進展抑制とCVDの発症予防。
診療指針が充実し,整備されることで,これらの目標達成に近づくことが期待される。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0806/080610.html

国を挙げたCKD対策が始まる
-積極指導による全国規模の介入試験を実施
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0804/080408.html


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柏本龍太『花鳥風月』
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x37776836

<自遊時間>
日本医事新報 No.4391 2008.6.21 P14
厚労省課長が「総合科」創設に改めて意欲
日医の藤原氏、国主導の構想に反対表明

記事の内容を読むと厚労省と日医が全くの対立関係にあることが分かります。

同床異夢ならぬ異床異夢。
日本の医療は崩壊の真っただ中です。


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by wellfrog2 | 2008-06-26 00:14 | 腎臓病
2008年 06月 25日

アクトス糖尿病発症抑制試験―ACT NOW

昨日、T社のMRがこんな内容のパンフを持って来ました。
2008年6月6日~10日の第68回 米国糖尿病学会でのアクトスに関連したハイライトニュースです。
古くはトログリタゾン(商品名ノスカール)がこけ、最近ではロシグリタゾン騒動でピオグリタゾンの一人勝ちの感があります。


アクトス糖尿病発症抑制試験―ACT NOW
University of Texas Health Science Center at San Antonio, TX, USA
Ralph A. DeFronzo 氏

耐糖能異常(IGT)はインスリン感受性と膵β細胞のインスリン分泌能低下によって特徴付けられる糖尿病前駆状態であり,2型糖尿病(T2DM)へと移行するリスクが高い。
一方,チアゾリジン誘導体のピオグリタゾンはT2DM患者のインスリン感受性を改善し,β細胞機能を保護する作用を有することから,IGTからT2DMへの進行を抑制することが期待される。
DeFronzo氏が今回のLate Breaking Clinical Studiesセッションで発表したACTos NOW for the Prevention of Diabetes Study(ACT NOW試験)の結果は,平均2.6年の追跡においてピオグリタゾンがIGTからT2DMへの移行率を81%抑制したことを明らかにした。


対象は2型糖尿病発症リスクの高いIGT 602例
ACT NOW試験はT2DMを発症するリスクが高いIGT症例を対象として,ピオグリタゾンがその発症率を抑制できるか否かを検討した前向き無作為化プラセボ対照二重盲検試験である。
1回の経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間値が140~199mg/dLであることをIGTの条件とし,さらに空腹時血糖値(FPG)が95~125mg/dLであるほか,次のうち1つ以上の項目を満たす症例を登録した。
(1)ATP IIIのメタボリックシンドローム診断項目が1つ以上該当,
(2)T2DMの家族歴,
(3)妊娠糖尿病の既往歴,
(4)多嚢胞性卵巣症候群,
(5)T2DMリスクが高い少数民族。
 
同様の症例を対象にライフスタイルの介入やメトホルミンによるT2DM発症抑制効果を検討したDiabetes Prevention Program(DPP)試験では,プラセボ群におけるT2DM移行率が年11%であった。DeFronzo氏らはこれをもとに,ピオグリタゾンがプラセボに比べT2DM移行率を50%抑制すると仮定して,90%の検出力が得られるようにACT NOW試験における必要症例数を600例と算出した。
そこで,2年間で1,850例をスクリーニングし,条件を満たすIGT症例602例を登録した。
このうち407例が空腹時血糖異常(IFG)とIGTの合併例,195例がIGT単独例であった。
 
無作為にピオグリタゾン群またはプラセボ群に割り付け,ピオグリタゾン群には同薬を30mg/日から開始した。
可能であれば1か月後に45mg/日に増量することとし,実際95%が増量可能であった。
追跡期間は最後の登録から2年後までとし,各症例の追跡検査は1年目は2か月ごと,2年目以降は3か月ごとに行った。
ただし,HbA1cとOGTTは年1回とした。主要評価項目は無作為割り付けからT2DM発症までの時間であり,IGTからT2DMへの移行は追跡検査時にFPG≧126mg/dLまたはOGTT2時間値≧200mg/dLであった場合,再度OGTTで確定診断した。


ピオグリタゾン群の2型糖尿病発症リスクは相対的に81%低下
無作為に割り付けられたプラセボ群299例とピオグリタゾン群303例の背景因子は,年齢,body mass index(BMI),性比,ウエスト周囲径,HbA1c,FPG,OGTT2時間値,脂質プロファイル,血圧などいずれも同等であった(表1)。
f0174087_1542483.jpg

また,β細胞機能の各指標やインスリン感受性の各指標なども同等であった。
 
平均追跡期間は2.6年であり,kaplan-Meier法による解析の結果,ピオグリタゾン群はプラセボ群に比べ,T2DM発症リスクが著明に低いことが明らかになった。
プラセボ群と比較したピオグリタゾン群のT2DM発症のハザード比は0.19(95%信頼区間0.09?0.39,P<0.00001)であり,81%の有意なリスク低下が認められた(図1)。 
f0174087_15394723.jpg

IGTからT2DMへ移行した実数はプラセボ群が45例(15%)に対し,ピオグリタゾン群が10例(3%)であり,その移行率はプラセボ群が年6.8%に対し,ピオグリタゾン群が年1.5%であった(P<0.00001)。また,IGTから正常耐糖能への復帰は,プラセボ群が84例(28%)に対し,ピオグリタゾン群が127例(42%)と,ピオグリタゾン群で有意に多かった(P<0.001)。
ピオグリタゾン群では投与開始後すぐにFPGの低下が認められており,試験期間を通じてプラセボ群との差が維持された(図2)。

f0174087_15401043.jpg

ピオグリタゾンは指標の違いにかかわらず一貫してβ細胞機能やインスリン感受性を改善 
ACT NOW試験には8施設が参加しているが,うち5施設では追跡期間の前後でOGTTのほかに頻回測定静脈内ブドウ糖負荷試験(FSIVGTT)も実施しており,それぞれの異なる指標でβ細胞機能やインスリン感受性を評価することができる。
DeFronzo氏はこの結果についても報告したが,それによるとインスリン抵抗性に対するβ細胞の代償能は,OGTTによるもの(ΔI/ΔG×Matsuda Index)でも,FSIVGTTによるもの(Disposition Index=AIR×SI)(Diabetes 2002, 51, S212-220)でも,プラセボ群では変化が見られなかったが,ピオグリタゾン群では有意(P<0.005)に改善していた(図3)。 
f0174087_15422911.jpg

また,インスリン感受性についても,OGTTによるもの(Matsuda Index)(Diabetes 2002, 51, S212-220),FSIVGTTによるもの(SI)のいずれもが,プラセボ群では変化がなかったのに対し,ピオグリタゾン群ではおよそ50%の有意(P<0.001)な改善が認められた。
インスリン感受性指標(空腹時インスリン値×FPG)(註;405で除すればHOMA-Rである)についても,プラセボ群では変化がなかったが,ピオグリタゾン群では有意(P<0.002)な改善が認められた。
IGTのなかでもベースラインのβ細胞機能やインスリン感受性が低い例ほどT2DM発症リスクが高いことが確認された。


Number Needed to Treat(NNT)は3.5人
なお有害事象に関しては,ピオグリタゾン群のほうが浮腫が多かったものの,うっ血性心不全は両群で各1例が認められたのみであり,心血管イベントに差はなかった(表2)。 
f0174087_15403567.jpg

DeFronzo氏は,以上の結果から「IGT症例に対するピオグリタゾン投与は4年の試験期間中,安全かつ有効であった」と述べた。
さらに「3.5人のIGT症例を1年間ピオグリタゾンを投与すれば,うち1人のT2DM発症を防げる計算になる」として,高い発症抑制効果を強調した。


【監修者のコメント】
DPPで薬物による介入よりも生活習慣の変更による介入のほうがIGTから2型糖尿病への移行を有意に抑制できるとの報告(N Engl J Med 2002, 346, 393-403)の後,実は肝毒性のため中途(平均0.9年の経過観察)で終了していたtroglitazoneのほうがもっと抑制効果が強いのではないかとする考え方が根強く存在した(Diabetes 2005, 54, 1150-1156)。
 
ACT NOWは,この3年来待ち焦がれていた,他のチアゾリジン薬を安全に使用した場合に,糖尿病発症抑制効果がどのようになるか,についての答をはっきり出してくれた。
すなわち,ピオグリタゾンはプラセボに対して81%発症抑制効果を示したのである。この数値は,DPPにおいてtroglitazoneがプラセボに対して示した75%の発症抑制と同等かそれ以上の効果ということになる。
 
さらに重要なことに,安全性も確認された。2万例を超える市販後調査の結果から糖尿病患者に対する有効性と安全性が確立しているピオグリタゾンであるが(Diabetes Res Clin Pract 2007, 76, 229-235),ACT NOWによりIGT症例に対する有効性と安全性も確立されたと言えよう。
 
今後の経過観察期間も含めて,この糖尿病発症抑制効果が持続するのか,また,血糖以外の要素(高血圧発症,心血管疾患発症)にもよい効果があるのかなどの報告を待ちたい。

http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/ada2008.cgi/6-09/6-09-09.html
出典 MTpro 2008.6.9
版権 メディカルトリビューン社



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by wellfrog2 | 2008-06-25 00:22 | 糖尿病
2008年 06月 24日

高齢者の脳白質の変化が歩行異常と関連

高齢者の脳白質の変化が歩行異常と関連
〔米ミネソタ州セントポール〕 ループレヒト・カール大学(独ハイデルベルク)のHansjoerg Baezner博士らは,高齢者によく見られる脳白質の変化,いわゆる白質希薄化が歩行や平衡の異常と関連性のあることを突き止め,Neurology(2008; 70: 935-942)に発表した。
転倒リスクが増大
フィレンツェ大学(伊フィレンツェ)神経科学・精神科学部が中心となって行われた3年間のLADIS(Leukoaraiosis and Disability)研究では65~84歳の男女639例を対象に,脳のスキャン,歩行検査,バランス検査を行った。
脳の白質の変化は高齢者ではよく見られ,その程度は異なるが,639例中284例に加齢による軽度の,197例に中等度の,158例に重度の白質の変化が見られた。
 
白質変化の重度群は軽度群に比べ,歩行検査とバランス検査のスコアが悪くなる率が2倍であった。
また,重度群は軽度群に比べ,転倒歴も2倍であった。
さらに,中等度群は軽度群に比べ転倒歴が1.5倍であった。


高齢でも自活を目指す 
LADISの研究者でもあるBaezner博士は「歩行困難と転倒は白質変化の主たる徴候で,高齢者が寝たきりや死亡に至る重大な原因である。運動をすると歩行能やバランス能が改善するため,歩行困難や転倒リスクが低下するだろう。長期的に白質の変化した例でも運動することでリスクが改善するか否か調べる予定だ。高齢になっても自立した生活ができるか否かは,可動性にかかっている。可動性に制限があると,ナーシングホームへの入所や入院が必要になることが多い。
この問題は今後数十年,われわれの社会と経済において大きな課題となるだろう」と指摘している。


白質変化は高血圧と関連 
さらに,Baezner博士は「白質の変化をモニターすることは歩行障害を早期発見するうえで有用である。歩行は健康上の他の問題にも関連している。最近,歩行障害により非アルツハイマー型認知症を検出できることが示された。歩行障害やバランスの異常を早期に検出することにより機能障害の状態を認識し,早期に診断・治療することが可能となる。他の人よりも白質変化が進行しやすい人が存在する理由,あるいは白質が変化する原因は十分解明されていない。
ただ,高血圧の治療が不十分であることとは明らかな関連性が認められている」と述べている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41230011&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.6.5
版権 メディカル・トリビュ-ン社

<番外編>
グラス1杯のワインは肝臓にもよい
1日にグラス1杯のワインを飲むことは心臓だけでなく肝臓にもよい影響があるようだと,米カリフォルニア大学サンディエゴ校のグループがHepatologyの6月号に発表した。

同グループは,米国の第三次国民健康栄養調査の参加者のうち,全く飲酒習慣のない7,211人と1日のアルコール摂取量が10gまででワインを好んで飲む945人を対象に,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が疑われる人の割合を調べた。
 
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)のカット値を>43IU/Lとした場合のNAFLDの疑いは非飲酒群3.2%,ワイン群0.4%で,オッズ比(OR)は0.15であった。
カット値を健康人の95パーセンタイル値(男性>30IU/L,女性>19IU/L)とした場合にはそれぞれ14.3%,8.6%(OR 0.51)で,適度にワインを飲むことはNAFLDに保護的に働くことが示唆された。
Dunn W, et al. Hepatology 2008; 47: 1947-1954.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18454505
出典 Medical Tribune 2008.6.12
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
こんなことがあるんでしょうか。
1日にグラス1杯のワイン。
なみなみ一杯かどうかも知りたいところです。
一杯で済めば苦労はないのですが。

ちょっと前に休肝日を設ける方法は,アルコール脱水素酵素(ADH)の活性が低下するからよくないという話を聞いたことがあります。
そのことと関係があるのでしょうか。


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by wellfrog2 | 2008-06-24 00:04 | 脳血管障害
2008年 06月 23日

USPSTF・2型糖尿病スクリーニングガイドライン改訂

USPSTFが成人に対する2型糖尿病スクリーニングガイドラインを改訂 
米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)が6月3日,一次(発症)予防における2型糖尿病ならびに前糖尿病状態の成人へのスクリーニングガイドラインを2003年から5年ぶりに改訂した(Annals of Internal Medicine; 2008, 48: 855-868)。
血圧値135/80mmHg超の無症状成人に糖尿病スクリーニングを推奨 
今回の改訂では持続血圧値135/80mmHg超で糖尿病症状のない成人に対する2型糖尿病スクリーニングを実施することが推奨されており,135/80mmHg以下の人に関しては「適切なエビデンスがない」とされた。

また,改訂にあたり行われた解析では,糖尿病治療に関するほとんどのデータが一次予防試験ではなくサブ解析が対象となった。

USPSTFは「スクリーニングによる2型糖尿病の発見が健康上のメリットをもたらす直接的な証拠は認められていない」としながらも,現在各種ガイドラインでも示されているように,糖尿病患者の目標血圧値が非糖尿病者に比べ低く設定されていることから,高血圧者に対するスクリーニングの意義を認めた。

さらに,厳格な生活習慣改善と薬物療法による介入は前糖尿病状態から糖尿病の発症を抑制するが,こうした介入が長期予後にもたらす効果はまだ明らかになっていないと結論付けている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0806/080605.html
版権 メディカル・トリビューン社
(表についてははサイトでご覧下さい)

<原著>CLINICAL GUIDELINES
Screening for Type 2 Diabetes Mellitus in Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
http://www.annals.org/cgi/content/full/148/11/846


2型糖尿病スクリーニングの新ガイドラインを発表
米国予防医療サービス対策委員会

〔ニューヨーク〕 米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)はこのほど,成人の 2 型糖尿病のスクリーニングガイドラインを発表した。同ガイドラインは1996年発表の改訂版である。USPSTFは,米公衆衛生総局が招集する民間のプライマリケア・予防専門家で構成される独立委員会。
十分な根拠に基づく 
USPSTFは,高血圧や高脂血症を持つ成人の 2 型糖尿病スクリーニングを推奨しており,「その理由は高血圧と臨床的糖尿病を有する成人では,従来の降圧目標値以下に降圧すれば心血管事故発生率と心血管死亡率が低下することを示す十分な根拠があるため」としている。

さらに,高脂血症患者では糖尿病の発見が冠動脈性心疾患(CHD)リスクを大きく改善させることを示す根拠もある。
しかし,2 型糖尿病,impaired glucose tolerance(IGT),空腹時血糖異常のスクリーニングを無症状の成人に実施すべきか否かについて,ガイドラインは「ルーチンなスクリーニングの是非を勧告するには根拠が不十分」と結論。
したがって,「個々の患者のスクリーニングを決めるのは臨床での判断の問題」とし,心血管リスクファクターの管理が主要な心血管事故の抑制につながることから,特に心血管疾患リスクを有する患者が,2 型糖尿病スクリーニングから最も恩恵を受けるだろうと見ている。
さらに,医師は患者がスクリーニングの選択ができるよう助け,多飲多尿の症状がある患者にはスクリーニングを受けさせるよう強調している。


FPGをスクリーニングに推奨 
糖尿病スクリーニングのランダム化比較試験(RCT)はまだ行われておらず,スクリーニングにどのような検査をすべきかは明確ではない。
今回のガイドラインは空腹時血糖(FPG),経口ブドウ糖負荷試験(OGTT) 2 時間値,HbA1cを挙げ,「FPGは検査がより容易かつ短時間で行え,費用も少なく患者に受け入れられやすい」ことから,FPG(≧126 mg/dL)をスクリーニングに推奨している。
 
さらに「FPGは再現性がOGTT 2 時間値より高く,個体内の変動がより少ない。
糖尿病細小血管合併症に対しても予測効果がある。ランダムの毛細血管血糖値(CBG)検査は,糖尿病スクリーニングとして十分に標準化されていない」と説明している。
 
糖尿病の診断は,日を改めてFPGを再試行し確認すべきで,特にFPGが境界域の患者,糖尿病の疑いが強いがFPGは正常である患者で,そうすべきであるとしている。
 
ガイドラインは「糖尿病の診断規準を満たす人の約 3 分の 1 が診断されていないことを示した研究がきっかけで,スクリーニングの関心が高まった」と,ガイドライン作成の経緯を説明している。


厳格な血圧管理で恩恵
ガイドラインはスクリーニングによる糖尿病の早期発見が,より良い治療やアウトカムの向上につながるのかについては複雑な因子が関与すると述べ,「現在の根拠は,非糖尿病患者に比べて糖尿病患者のほうがより厳格な血圧管理の恩恵を受けるという結論を支持している」と説明。
しかし,非糖尿病患者と異なる降圧薬で糖尿病患者を治療すべきかについては不明であるとしている。
糖尿病患者に特徴的と思われる血栓症傾向と合わせて,トリグリセライド高値とHDLコレステロール低値については,「糖尿病を早期発見し,抗高脂血症薬またはアスピリンを使用した場合の恩恵増加の程度は明確でない」としている。
 
しかし,「未診断の糖尿病がCHDリスクを 2 倍以上高め,アスピリンと抗高脂血症薬が 5 年間にわたりCHD事故の抑制に効果があることを考慮すると,恩恵の増加の程度は大きい可能性がある」と見ている。


早期介入の恩恵はCVDで大きい
厳格な血糖管理,より積極的かつ目標を絞った降圧薬の使用,より積極的な抗高脂血症薬とアスピリン使用,フットケアプログラムの実施,食生活改善,運動,禁煙のカウンセリングなどの介入を臨床診断後に始めれば,アウトカムが向上するという根拠は明らかである。
 
スクリーニングが有意な恩恵につながるのか否かについて,ガイドラインは「間接的根拠から推測しなければならない」としている。
 
相当数の患者が糖尿病の診断後約15年で,網膜症,腎症,下肢切断などの合併症を発症する。ガイドラインによると,これらの合併症に標的を絞った厳格な血糖管理などの早期介入の恩恵は断定できないが,数年間は小さいと思われる。
一方,心血管疾患(CVD)事故は網膜症に比べ早期に高率に発生するため,CVD事故に的を絞った厳格な血圧管理などの恩恵は,診断後10年以内で大きい傾向が見られる。
 
妊娠糖尿病(GDM)スクリーニングに関して,ルーチンのスクリーニングをすべきかどうかを勧告するには根拠が十分でないものの,ガイドラインは同リスク上昇と最も強く関連する妊婦の特徴を見出している。
周産期肥満,25歳以上,糖尿病の家族歴または既往歴,GDM既往歴などである。
東アジア系米国人はGDMリスクが高いことも指摘している。
 
ガイドラインは,スクリーニングと診断を行ううえで最適のアプローチは明らかでないとしている。
世界保健機関(WHO)の勧告と異なるアプローチを米国糖尿病学会(ADA)専門委員会が勧めているためで,USP STFは特定のアプローチの優劣を決定できなかった。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M3615271&year=2003&type=article
出典 Medical Tribune 2003.4.10
版権 メディカル・トリビューン社


<自遊時間>
2008.6.20の
ADVANCE試験・血糖管理アームの成績
http://wellfrog2.exblog.jp/d2008-06-20
というブログに対して「アーム」に関するご丁寧な回答をいただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。

北の搭の住人様より。
アームは群の意味で使われることが多いですが、ACCORD試験のように一本の試験で複数の比較を行う場合に、そのサブスタディをアームと呼ぶことがあるようです。今回の血糖治療スタディが血糖アーム、2年後に結果が出るのが血圧アームとフィブラート・アームになります。

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by wellfrog2 | 2008-06-23 00:47 | 糖尿病
2008年 06月 21日

糖尿病診断基準に新判定区分

空腹時血糖値100~109mg/dLを「正常高値」に 
空腹時血糖値による糖尿病の診断基準に新たな判定区分が設けられることになった。
日本糖尿病学会が委員会報告としてホームページに掲載したところによると,これまで正常域としていた空腹時血糖値110mg/dL未満のうち,100~109mg/dLは「正常高値」とするのが適切だという。
同学会では空腹時血糖値で正常高値と判定された場合は,経口糖負荷試験(OGTT)による診断を行うことなどを推奨している。


正常域と境界域との閾値引き下げの是非は国際的にも議論続く状況 
わが国の糖尿病の診断基準は1999年に日本糖尿病学会が改定したものが広く用いられてきた。
それによると,空腹時血糖値126mg/dL以上またはOGTT2時間値200mg/dL以上を「糖尿病域」,同様に110mg/dL未満または140mg/dL未満を「正常域」と規定したうえで,
(1)空腹時血糖値,OGTT2時間値のいずれかが糖尿病域の場合を「糖尿病型」,
(2)いずれも正常域の場合を「正常型」,
(3)糖尿病型にも正常型にも属さない場合を「境界型」
と判定する。
 
なお,糖尿病と診断するためには,別の日に行った検査で糖尿病型が2回以上認められる場合,1回の検査で糖尿病型と判定され,かつ糖尿病の典型的症状,HbA1c6.5%以上,明らかな網膜症状のいずれかが認められる場合としている。

今回発表された「糖尿病・糖代謝異常に関する診断基準検討委員会報告」の骨子は,空腹時血糖値による判定区分「正常域」のうちの100~109mg/dLを「正常高値」と亜分類しようというものだ。

2003年以降,空腹時血糖値における正常域と境界域の閾値を引き下げることの是非が議論されてきた。
米国糖尿病学会(ADA)の新基準,国際糖尿病連合(IDF)のメタボリックシンドロームに関する基準,米国コレステロール教育プログラムの成人治療パネル(NCEP-ATP III)の新基準では100mg/dL未満を正常域としたのに対し,European Diabetes Epidemiology Group(EDEG)は現時点では100mg/dL未満に引き下げる十分な根拠がないとして,変更を見送っている。
また,世界保健機関(WHO)もEDEGの立場を踏襲している


正常高値者にはOGTTの実施を推奨
今回の委員会報告では,正常域と境界域との閾値を110mg/dLから100mg/dLに引き下げた場合のメリットとデメリットが整理されている。
 
それによると,メリットとしては,
(1)110mg/dL未満であっても,100mg/dL以上の場合は100mg/dL未満に比べ,糖尿病への移行率が高い,
(2)空腹時血糖値100~109mg/dLの者のうち25~40%がOGTT2時間値では境界型や糖尿病型と判定される,
(3)空腹時血糖値100 mg/dLはOGTT2時間値での境界型との閾値である140mg/dLにほぼ対応する
―などで,基準値引き下げにより糖尿病や糖尿病への移行リスクが高い者の見逃しを防止できることが要点だ。
一方,デメリットとしては,糖尿病に悪化するリスクがそれほど高くない者まで境界域と判定されることが挙げられている。

これらの点を踏まえ,委員会が示したのは「空腹時血糖値100~109mg/dLは正常域ではあるが,正常高値とする」という見解。
いわば,閾値引き下げに関する国際議論の中庸を取ったと見ることもできる。

委員会では正常高値と判定された場合は,OGTTを行って正常型,境界型,糖尿病型のいずれに判定されるかを確認することを推奨。
OGTTが行われるまでは個々の病態や経過に応じて適切な生活習慣や肥満の是正などを行うべきだと提案している。


http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0806/080612.html
出典 MTpro
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by wellfrog2 | 2008-06-21 00:40 | 糖尿病
2008年 06月 20日

ADVANCE試験・血糖管理アームの成績

ADVANCE試験・血糖管理アームの成績が示される
“ACCORDショック”から約4か月,対照的な結果
第68回米国糖尿病学会(ADA,米サンフランシスコ,6月6~10日)において,現地時間の6日,ADVANCE試験の血糖管理アームの解析結果が発表された。
それによると,HbA1c 6.5%以下を目標とした厳格な血糖降下療法の実施により,主要血管合併症ならびに細小血管合併症の有意な減少が確認された。
血糖管理強化療法による死亡率の有意な増加は認められず,試験の一部が中止されたACCORD試験とは対照的な結果となった。


血糖管理強化療法で主要血管合併症の発症リスクが有意に低下 
今年(2008年)2月,ACCORD試験における血糖管理アームが強化血糖管理群での死亡率増加により中止され,大きな波紋を呼んだ。
同じくハイリスク2型糖尿病患者を対象に血糖管理強化療法の意義を検討していたADVANCE試験委員会は,すぐに同試験の結果解析に影響はないとする声明を発表している。

ADVANCE試験では積極的な降圧と血糖管理が2型糖尿病患者の予後をどう改善するかが2×2のデザインで検討された。
昨年(2007年),降圧管理のアームにおいて,ACE阻害薬と利尿薬の追加により厳格な降圧目標を達成した群で血管合併症・死亡の有意な抑制が報告されている〔Lancet 2007; 370(9590): 829-40.〕。


今回の血糖管理アームにおける試験デザインは次の通り。
同試験の全被験者1万1,140例は標準血糖管理群,ならびに同群に比べ頻回の通院,積極的な生活習慣管理の実施に加え,スルホニル尿素(SU)薬をはじめとする血糖降下薬,持効型インスリンなどの投与を行った強化血糖管理群(目標値≦HbA1c 6.5%)の2群にランダムに割り付けされた。
各群の症例数は標準血糖管理群5,569例,強化血糖管理群5,571例で,ベースラインの背景因子は平均年齢66歳,32%が脳卒中や心臓発作などの心血管イベントの既往を有しており,平均HbA1c値は7.5%であった。追跡期間は66か月。

追跡期間中の両群のHbA1c中央値は標準血糖管理群7.3%,強化血糖管理群6.5%であった(P<0.001)。
その結果,強化血糖管理群において,主要な大血管/細小血管合併症の発症リスクが10%減少(P=0.013,95%CI 2~18%)したほか,主要細小血管合併症(腎症・網膜症)の発症リスクは14%減少(P=0.014,95%CI 3~23%)した。
心血管合併症(非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,心血管死)について,有意なリスク減少効果は確認されなかった。


腎症の新規発症/悪化が21%減少,死亡率は標準血糖管理群と有意差なし
同試験では,血糖管理強化療法により腎イベントの大幅な抑制効果が示された。
既に降圧管理のアームでも積極的な降圧治療により同様の効果が認められているが,血糖管理アームにおいても,強化血糖管理群ですべての腎イベントが-11%(P<0.001),微量アルブミン尿の新規発症が-9%(P=0.02),ならびに腎症の新規発症または悪化は-21%(P=0.006)とそれぞれ有意に減少していた。

また,注目されていた血糖管理強化療法による総死亡率の増加については,両群に有意差は認められなかった。

さらに血糖管理強化療法では低血糖にも留意する必要がある。
同試験では検査値に応じて主治医自身が薬剤の量や選択を判断することとされ,日常臨床に近い形の検討が実施されている。
同試験統括研究者の1人Stephen MacMahon氏(The George Institute for International Health)は,当初,強化血糖管理群で多くの低血糖が発生すると予想していたという。
1回以上重篤な低血糖エピソードを起こした人の割合は強化血糖管理群で2.7%,標準血糖管理群で1.5%で,両群に有意差が見られたものの,この数値は同氏の予測よりかなり低かったとしている。

今回の結果について,同試験ディレクターのAnushka Patel氏(The George Institute for International Health)は,一次評価項目とされていた心血管合併症で有意なイベントリスクの低下が見られなかった点については,「有意ではないが改善する傾向が認められ,心血管合併症については血圧,血清脂質といった複合的なアプローチの必要性が示唆された」と考察。さらに特筆すべき点として「血糖管理強化療法により目標血糖値を積極的に達成することが,2型糖尿病における腎合併症の予防に重要な意義を持つことが証明された」ことを挙げた。


出典 Medical Tribune 2008.6.9
版権 メディカル・トリビューン社

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http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k58887627

ACCORD試験の経過も報告-2009年以降に追加解析結果が発表予定
同学会ではADVANCE試験の発表と同じ日にACCORD試験についても同試験関係者らの声明が出された。
ACCORD試験では強化血糖管理群においては標準血糖管理群に比べ死亡リスクが22%増加したため,血糖管理強化療法ならびに新規患者の登録が中止された。
一部試験中止時のHbA1cの中央値は強化血糖管理群6.4%,標準血糖管理群では7.5%,医療対応を要した低血糖の発症率はそれぞれ10.5%,3.5%であった。

ACCORD試験統括責任者のRobert Byington氏(Wake Forest University School of Medicine)は,同試験の被験者の35%が,登録時心血管イベントの既往を有するなど,全例がハイリスクの2型糖尿病患者であったことに留意すべきと述べた。
さらに,3年半の試験期間で言えることとして,「同様のプロフィールを持つ患者に6%台のHbA1cを目標とした血糖管理強化療法を行うことでなんらかのリスクがあることがこの試験から明らかになった」とコメントしている。
また,同氏は現在も検討を継続している全例の経過について,2009年をめどに追跡を続け,あらためて解析結果を発表する意向を示している。

なお,両試験の論文は6月6日配信の NEJM 電子版に掲載されている(ADVANCE試験:10.1056/NEJMoa0802987,ACCORD試験:10.1056/NEJMoa0802743)。

一律に比較はできないが,ハイリスクの2型糖尿病患者を対象とした血糖管理強化療法の意義について対照的な成績が示された両試験。
今後,専門家,臨床現場が至適方針をどう判断するのか,さらに詳しい解析が期待される。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0806/080609.html



強化血糖管理治療で死亡率が増加
大規模臨床試験は早期中止
〔米メリーランド州ベセズダ〕 米国立衛生研究所(NIH)に属する米国立心肺血液研究所(NHLBI)は,北米で現在進行中の糖尿病・心血管疾患(CVD)リスクを検討する大規模臨床試験ACCORD(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)において,現在入手可能なデータをレビューした結果,強化血糖管理治療による安全性に懸念が示されたことから,同治療を計画より18か月早く中止した。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M41150051&year=2008&type=article


血糖コントロールの厳格性と安全性をいかに両立させるか?
―J-DOIT3試験のプロトコルに学ぶ
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0802/080215.html

J-DOIT3の継続決まる
ACCORD試験の血糖管理強化療法中止で広がる不安,10日で“断”
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0802/080210.html


<コメント>
文中の「アーム」の意味がよくわかりません。
ネットで調べてみました。
すると
「臨床試験のデザインと解析(アーム), 」
とか
「そこで,実地臨床においては,現在進行中の進行再発胃癌に対する化学療法の第3相試験のアームを参考にするとの対応も考慮される。すなわち第3相試験に選択されるアームは現在「もっとも有効か,それよりも有効かもしれない」治療法だからである。」
  とか
「膵癌に対する外科治療をアームとする臨床試験の問題点」
といった使い方をされていることがわかりました。

armを英和辞書で調べてみました。
「腕」「武器」以外の訳は出ていません。
「手法」「手段」といった意味でしょうか。
どなたか教えていただけないでしょうか。


医療ニュース 毎日新聞社 2008.0619
脱「医療費亡国論」/3 効率追求なし
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/news/20080619ddm002040107/
大手製薬会社エーザイ(東京都文京区)に05年3月、その英国から想定もしていなかった知らせが届いた。
同社のアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」について、NICEが軽度の患者への使用制限を打診してきたのだった。
アリセプトは97年に発売。
アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる効果があり、この分野では世界トップシェアを誇る。07年には世界で2910億円を売り上げ、同社の主力商品の一つだ。
同社側は効果のデータを出したが、NICEは06年に発行した治療指針で「軽度の患者に対しては費用対効果が十分ではない」と、新規の軽度の患者には英国の公的医療制度であるNHSでの使用を認めないことにした。
同社側は英国の裁判所に指針作成プロセスの開示を求め、主張が認められたが、現在は開示待ちの段階で、使用制限は継続している。

<コメント>
英国の言い分ももっともなような気もします。

患者、過去最多に 注意を呼びかけ  県調査 /愛知
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/news/20080619ddlk23040174/
乳児では死亡する可能性もある百日咳(ぜき)の患者数が99年の調査開始以来、最も多くなっていることが、県健康対策課の調査で分かった。
患者数はさらに上昇傾向にあり、最近では乳児だけでなく、成人がかかる例も多く、同課が注意を呼びかけている。
同課によると、県内の182の医療機関を受診した1週間の百日咳の平均患者数は、5月26日?6月1日の週で0・14と過去最高を記録した。今月2?8日の週は0・07と減少したが、同課は「百日咳の患者数は週ごとの上下動が激しく、依然として注意が必要だ」などと分析している。

<コメント>
2~3日前、百日咳抗体の検査が出来ない旨、利用している検査センターから連絡がありました。
昨年の麻疹騒動の再現です。
デジャヴ・・・嗚呼。

恐怖記憶にブレーキ役 群馬大が特定 PTSD治療へ応用期待 /群馬
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/news/20080619ddlk10040191/
動物が過去の体験を「恐怖記憶」として形成するのにブレーキをかけるたんぱく質を、児島伸彦群馬大講師の研究チームがマウス実験で突き止めた。
過剰な恐怖記憶が原因とみられる心的外傷後ストレス障害(PTSD)の研究や治療に役立つ可能性がある。米神経科学誌に掲載される。
研究チームは、神経細胞の興奮状態が過剰な恐怖記憶を作ると考え、興奮時に作られるたんぱく質「ICER(アイサー)」に注目した。
そこで、遺伝子操作でアイサーを作らないマウスを作り、電気ショックと同時にブザー音を聞かせた。
翌日ブザー音だけを聞かせると、このマウスは体をすくめたが、その時間は通常のマウスに比べて2倍も長いことが分かった。
逆に、アイサーを過剰に作るマウスでは、すくんでいる時間が通常マウスの半分以下だった。

一方、砂糖水を与える「楽しい記憶」の実験では、3種類のマウスの行動に大きな差はなく、アイサーが恐怖記憶の「ブレーキ役」になっていることが裏付けられた。

記憶形成の「アクセル役」のたんぱく質として「CREB(クレブ)」が知られているが、ブレーキ役は不明だった。児島講師は「2種類のたんぱく質のバランスを調節できれば、恐怖記憶の強さを変えられるかもしれない」と話す。


県下全域に警報発令 「目洗い、うがいを」 /鹿児島
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/news/20080619ddlk46040773/
<コメント>
学校の現場では、目洗いをどのように考えて実際に指導しているのでしょうか。

プールで注意 目の病気
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2008/6/19
感染対策でプールでは洗眼するよう指導されるが、これにも気をつけた方が良さそうだと思わせるデータが出てきている。
外部環境と触れる角膜上皮は感染を防ぐ役割がある。
それを、涙液ムチン層という部分が保護している。
国立病院機構東京医療センター(東京都目黒区)の山田昌和・視覚研究部長は、都内の屋内外のプールで塩素濃度を測って平均的な濃度を割り出し、健康な男女10人の協力を得て、この濃度の塩素を入れた水に5分間目を浸してから、水道水で洗眼してもらった。
その結果、角膜上皮が塩素の入った水で傷つけられ、水道水の洗眼で涙液のムチン層も洗い流されてしまうことが分かった。


読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)
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by wellfrog2 | 2008-06-20 00:06 | 糖尿病