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2008年 08月 31日

HRTと静脈血栓リスク

>〜HRTを受けている閉経後女性〜
凝固因子高値で静脈血栓リスクが上昇
〔米ジョージア州アトランタ〕バーモント大学(バーモント州バーリントン)内科のMary Cushman教授は,女性健康イニシアチブ(WHI)の 2 件の予備的研究データから,ホルモン補充療法(HRT)を受けている閉経後女性に血液凝固因子の異常値があれば静脈血栓症(VT)リスクが高いとの知見を,米国血液学会(ASH)の第49回年次集会で報告した。
これら因子の測定は,女性と医師がHRTを行うか否かを情報に基づいて決定する際の助けとなる。

測定の標準化が課題
HRTを受けている女性においてVTリスク上昇に関連する因子は,遊離プロテインS,D-ダイマー,α2-プラスミンインヒビター・プラスミン複合体(PIC)である。
 
HRTを受けている女性のなかでVT高リスク者を特定の凝固因子から同定できるか否かを明らかにするため,Cushman教授らは,ネスティッド症例対照研究を行い,VTを発症した女性215例と年齢を一致させた対照群867例を対象に,これらの因子のベースライン値を測定した。
対象女性は結合型ウマエストロゲン単独(E),エストロゲンと酢酸メドロキシプロゲステロン(E+P),プラセボを評価するためにWHIが行った 2 件のランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験のいずれかの被験者。
対象女性の年齢は50〜79歳(平均66歳)であった。
 
同教授らは,WHIの試験登録時に採取した被験女性の血液サンプルから凝固促進マーカー,抗凝固マーカー,および線溶系マーカーを分析した。
 
その結果,プロテインC,遊離プロテインSの値が低く,D-ダイマー,PAP,プロトロンビン断片1-2の値がきわめて高い場合,VTリスクが高くなることが明らかとなった。
 
VTリスクの最も重要な予測因子はD-ダイマーの高値であった。
例えば,HRTを受けていてD-ダイマー高値の女性は,ランダムにプラセボに割り付けられたD-ダイマーが最も低値の女性に比べるとVTリスクは 6 倍であった。
 
しかし,同教授は「現在,D-ダイマーの測定は標準化されていないという問題がある。
現段階では,D-ダイマーの検査をルーチン化するのは時期尚早である」と警告している。
 
同教授は「今回の結果は予備的なものにすぎず,知見を確認するためにはより多くの研究が必要である。しかし,今回の研究はHRTによりVTリスクが上昇する女性を比較的低リスクの女性と区別できるようにするための最初の一歩と考えている。この情報は女性自身がHRTを行うか否かを選択する際に必要である」と述べている。
出典 Medical Tribune 2008.1.17
版権 メディカル・トリビューン社

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by wellfrog2 | 2008-08-31 00:30 | 未分類
2008年 08月 30日

喫煙と脱毛

「あなたはそれでもタバコを吸いますか」の説明に使えそうな論文があります。

喫煙はアジア系男性の脱毛危険因子
〔米オハイオ州クリーブランド〕亜東記念医院(Far Eastern Memorial Hospital)のLin-Hui Su博士と国立台湾大学(ともに台北)のTony Hsiu Chen博士は,アジア系男性の頭部の脱毛に関して,喫煙が原因の 1 つであるとの知見を Archives of Dermatology(2007; 143: 1401-1406)に発表した。
複数の機序が関与
Su博士らは,40~91歳(平均年齢65歳)の台湾人男性740例を対象に個人面接を行い,脱毛の有無と脱毛が始まった年齢,喫煙などの危険因子について質問し,脱毛の原因となる環境因子の特定を試みた。
 
その結果,脱毛リスクは加齢に伴い増加したが,それでも同年代の白人男性と比べると小さかった。
年齢と家族歴で調整後,中等度~重度のアンドロゲン性脱毛症(AGA)と喫煙習慣,現在 1 日20本以上の喫煙,吸っているたばこの強さとの間に,それぞれ有意な正の相関が認められた。
 
同博士は「喫煙と脱毛の関係には,複数の機序が関与していると思われる」と指摘。
考えられる機序として,喫煙により毛包が直接破壊され,血液と発毛促進ホルモンを循環させている毛乳頭が損傷される可能性や,アンドロゲンの作用に拮抗するエストロゲン産生増大の可能性を挙げている。
出典 Medical Tribune 2008.1.17
版権 メディカル・トリビューン社


<追加>
■脱毛の程度の評価にはNorwoodとLudwigの分類を用いた。
■中等度~重度AGAのリスクは第一度近親者,第二度近親者および父方近親者の家族歴により上昇した。
■この研究では,台湾人男性のAGA有病率は韓国人男性とほぼ同等だったが,白人男性の有病率よりは低いことが示された。

<関連サイト>
喫煙と脱毛
http://www.ikumou-d.com/kiso/kiso10.html
たばこと薄毛・脱毛
http://www.ar266fp.com/datumou.html

<コメント>
タバコをプカプカ吸っていてもフサフサの髪の毛のおじいさんもいます。
女性の場合、同年齢で比較した場合顔のシワが喫煙者で有意に多いという論文もあります。
どちらにしても、皮膚や髪にいいわけがありません。

国際学会の会場の写真をよくみかけます。
聴衆の後ろ姿が写っているのですが、何だか景色が違うと思ってよくみるとハゲの人が多いためとわかります。
「白人男性にハゲが多い」・・・これには納得です。

個人的な話で恐縮です。
私は年齢の割りに毛が黒いのが自慢(?)です。
若白髪の人をある意味哀れみの目でみていました。
しかし、最近前額部の後退が俄かに著しくなってきました。

毛がなければ染めるにも染めれない。
最近、白髪でフサフサした人をみると羨望の目でみるようになってきました。

実は「飲酒」もよくないという話もあるようです。
飲酒が薄毛の原因になります
http://sekaiichi.bufsiz.jp/insyu.html


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by wellfrog2 | 2008-08-30 00:49 | 骨そしょう症
2008年 08月 29日

生物学的製剤によるRA治療

生物学的製剤による慢性関節リウマチの治療について勉強しました。

第81回日本整形外科学会
生物学的製剤によるRA治療で求められる最新知識
関節リウマチ(RA)の治療は生物学的製剤の登場により大きく改善したが,従来は問題とならなかった副作用の出現など,整形外科医として的確な知識と対応が求められている現状にある。
札幌市で開かれた第81回日本整形外科学会(会長=北海道大学大学院整形外科学・三浪明男教授)のパネルディスカッション「リウマチの最新治療における整形外科医の役割」(座長=東京女子医科大学東医療センター整形外科・井上和彦教授,名古屋大学大学院整形外科学・石黒直樹教授)では,生物学的製剤効果不十分例への対応や,安全な同製剤の使用法など,臨床に直結するテーマが討議された。

生物学的製剤効果不十分例に対する滑膜切除は有用
生物学的製剤の効果不十分例に対して,メトトレキサート(MTX)増量や,ステロイド静注を行う対処法は,副作用の観点から推奨できる方法ではない。
東京女子医科大学東医療センター整形外科の神戸克明准教授は,効果不十分例に対する関節鏡視下滑膜切除術の施行により有意な炎症改善を得ていることを報告した。
また,効果減弱例における腫瘍壊死因子(TNF)-α,インターロイキン(IL)-6などの発現パターンが生物学的製剤選択の指標となる可能性を唱え,今後の検討の必要性を訴えた。

後2年間の炎症の改善を認める
近年,RA治療は生物学的製剤を使用し,骨破壊抑制を目指す治療体系に進歩してきたが,同製剤の効果不十分例の対処法は十分に検討されていない現状にある。
 
神戸准教授は今回,同科でインフリキシマブを使用して治療したRA 269例のうち,効果不十分で関節鏡視下滑膜切除術を施行した22例(男性3例,女性19例,平均年齢58歳)の術後C反応性蛋白(CPR)の推移およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-3の変化を見たほか,採取した滑膜の免疫組織学的検討を行った。対象の平均罹病期間は11.6年,術前平均CRPは4.36mg/dLで,手術部位は19膝,7肩,5肘,3手,2足関節であった。
 
その結果,関節鏡視下滑膜切除術後のCRPは大部分の症例で低下(),MMP-3は減少が認められ,少なくとも術後2年間は手術の効果が持続していることが確認できた。
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また,インフリキシマブ効果不十分例から手術時に採取した滑膜の各種因子の発現を検討したところ,TNF-αはブロックされていたが,IL-6は間質の滑膜細胞で,MMP-3は滑膜表層に滑膜間質でのCD20発現などが認められた。
このときMTXやエタネルセプトの治療例では各因子の発現パターンが異なっていた。
 
以上をまとめて,同准教授は「インフリキシマブ効果減弱例でもTNF-αは抑制していたが,IL-6やCD68の発現が認められた病的滑膜を切除し,生物学的製剤を再開したことで2年後には有意な炎症の改善が認められた。さらに,TNF-α,IL-6,CD68,MMP-3などの発現パターンが生物学的製剤選択の指標となる可能性があり,この点についても今後検討を続けていく必要がある」と述べた。
 
なお,同施設ではエタネルセプト効果減弱例に対しても同切除術を施行し,術後CRPの低下が認められているという。

チェックシートや専任看護師を活用して万全な体制を
生物学的製剤の登場でRAの薬物治療は大きく改善した一方で,新たな副作用に気を配る必要が出てきている。
近藤リウマチ・整形外科クリニック(福岡県)の近藤正一院長は,各種チェックシートの活用や,皮下・自己注射指導などに対応するための専任看護師を育成して,安全面に心がけているという。
また,重篤な副作用である肺炎の発現を念頭に置き,医療連携システムを確立しておくことも重要なポイントになると訴えた。

医療連携システムの確立も大切
インフリキシマブ,エタネルセプトの市販後RA全例調査によると,両薬とも3割程度の副作用発現頻度が認められ,5〜6%は重篤な副作用が発現することを明らかにしている。
日本リウマチ学会では,こうしたエビデンスをもとに,TNF阻害療法施行ガイドラインを改訂し,感染症のリスク因子や禁忌・慎重投与例などを掲げている。
 
近藤院長はまず,生物学的製剤の安全な使い方のポイントとして「発症早期のMTX不応の非高齢者,肺・肝・心・腸疾患の合併がない例,ステロイド未使用者などは安全に寛解させる可能性が大きく積極的に使用すべきだが,とにかく情に流されないこと。RA活動性が高くても,リスクの高い患者には決して同製剤の投与は行わない姿勢が大切だ」と強調した。
 
また,同製剤を使用する際には,医師が生物学的製剤の禁忌・慎重投与例,副作用危険因子に習熟しておくだけでなく,専任看護師を育成・確保したり,各種チェックシートを活用したり,万一に備えて,医療連携システムを確立しておくことが重要となる。
 
例えば,点滴製剤であるインフリキシマブなどの薬剤の場合,点滴速度の調整や投与時反応・バイタルサインのチェックが必要となり,エタネルセプトなど皮下注射・自己注射の場合も,その指導のためには専門的知識を持つ専任看護師の養成が不可欠となる。
 
さらに,同クリニックでは生物学的製剤開始時の適正,点滴投与時のバイタルサインのチェック,維持治療時の定期的検査の場面などで各種のチェックシートを作成,活用し,臨床現場で役立てているという。
 
以上のような体制を整備している同クリニックでは比較的安全な同製剤によるRA治療を実現しているが,インフリキシマブ,エタネルセプトともに投与時反応が認められ,約3割の症例では病診連携を要するような事例も発生しているのが現実だ。
 
整形外科を標榜する同クリニックにとって,特に医療連携を要する有害事象は気管支炎,間質性肺炎,KL-6上昇,β-Dグルカン上昇など呼吸器障害であり,同院長は「呼吸器内科との連携は必須。リスクを有する患者は治療開始時に呼吸器内科に肺病変の評価を依頼しておくことで,治療開始後に病変が発現したときの連携もスムースになるようだ」と述べた。

SNP解析で治療前の有効性・副作用の予測が可能に
抗腫瘍壊死因子(TNF)製剤にはresponderとnon-responderが存在し,種々の副作用があることも知られているが,これらを治療前に予測する方法は確立されていない。
松原メイフラワー病院(兵庫県)の松原司院長は,一塩基多型(SNP)解析に基づくアルゴリズムが,生物学的製剤の有効性や副作用を治療前に予測しうると報告した。

テーラーメード医療実現にも貢献
抗TNF製剤の有効性および副作用の発現を治療前に推測し,治療無効患者や副作用発現高リスク患者の除外ができれば,効率のよい治療が実践でき,将来的なテーラーメード医療の実現に近付くことになる。
松原院長は今回,抗TNF製剤治療患者ゲノムの網羅的SNP解析を行い,同製剤の有効性と副作用に関連するSNPを同定し,治療前に予測可能なアルゴリズムの確立を試みた。
 
対象は,メトトレキサート(MTX)を含む2剤以上の抗リウマチ薬の使用にコントロール不良のため生物学的製剤に移行した117例(インフリキシマブ67例,エタネルセプト50例,平均年齢62歳,平均罹病期間11.1年)。
 
まず,有効性〔治療開始24または30週後の疾患活動性スコア(DAS)28〕と副作用について評価したところ,有効性を評価できた症例の81例が有効(good+moderate),31例がpoor,副作用については35例で認められた。
 
SNPの同定は,患者のDNA分離後にIllumina HumanHap 300K chipを用いて行い,28万5,548個を解析対象としたが,インフリキシマブ,エタネルセプトともに有効性および副作用発現と相関したSNPが同定できた。
なかでも同一遺伝子上の2か所以上のSNPが強い相関を示した遺伝子として,細胞内情報伝達および細胞内代謝に関与する遺伝子群と細胞接着分子の遺伝子群が導かれ,これらのSNPを利用して,治療前に有効性と副作用発現を予測するアルゴリズムを作成した。
 
同院長が作成したアルゴリズムに対象を当てはめて検証したところ,インフリキシマブ,エタネルセプトともに治療前に開始6か月後の有効性(responder/non-responder)と副作用の有無を高精度で予測することができたという。
 
以上から,同院長は「生物学的製剤使用前に有効性や副作用の有無を推測するうえで,SNP解析に基づくアルゴリズムが有効な手段になると思われた。
相関性の高いSNPを組み合わせることで,患者に適した同製剤の選択も可能になると考えられ,将来に向けてテーラーメード医療の実現につながるかもしれない」と述べた。

出典 Medical Tribune 2008.8.14
版権 メディカル・トリビューン社

<番外編>
早期発見・治療でRAの改善可能に  リウマチ・アクションプランも始動
〔独ウィースバーデン〕 ヨハン・ウォルフガング・ゲーテ(フランクフルト)大学病院のHarald Burkhardt教授は「早期発見と早期からの徹底的な治療により関節リウマチ(RA)などの炎症性リウマチ疾患の経過を大幅に改善できる」と第34回ドイツ・リウマチ学会で行われたヘッセン・リウマチ連盟主催の患者フォーラム(後援:Roche Pharma社)で報告した。

抗CCP抗体が予後不良を示唆
 Burkhardt教授は「RA患者の90%は発症後 2 年以内に関節びらんを生じるが,疾患早期からの治療により,これを阻止することは十分に可能だ」と指摘した。
早期診断に際しては,持続性の腫脹と疼痛などの関節徴候以外に,抗CCP(抗環状シトルリン化ペプチド)抗体をはじめとする臨床検査も特に重要である。
同抗体は多くの場合,疾患が臨床的に発現する数年前から血中に存在しており,不良な予後と相関している。
同教授によると,同検査の特異度は90%を上回っており,リウマトイド因子より有意義な検査法であるという。加えて,のちにRAを発症する患者では,通常C反応性蛋白質(CRP)値も明らかに上昇している。
生物学的製剤を使用すれば,RAが寛解に至る確率は上昇する。
同教授は「あるメタアナリシスでは,腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬による悪性腫瘍発生リスクの上昇が指摘されているが,こうした懸念は登録データからは実証されておらず,RA患者のリンパ腫発現リスクはもともと高いことを念頭に置く必要がある」と指摘した。また,最近では,B細胞に直接作用する初の治療薬としてリツキシマブも用いられている。
ドイツでは,RAをはじめとするリウマチ性疾患患者のケアを改善すべく,国内全域を対象としたキャンペーン「リウマチ・アクションプラン」が昨年10月から開始されている。
ドイツ連邦リウマチ連盟協会(ボン)のUrsula Faubel氏は「喫煙などの危険因子を周知させるとともに,予防策の活用をこれまで以上に積極的に推進する必要がある」と強調。
「ケアが不足している現状を認識し,ケアの最適化を目指すことが,今回のアクションプランの重要な目的である」と指摘した。
出典 Medical Tribune 2007.3.22
版権 メディカル・トリビューン社


炎症性リウマチ疾患の鑑別に有用な問診
〔独ウィースバーデン〕 エルランゲン大学病院(エルランゲン)第三内科のBernhard Manger教授は「背痛を訴える患者のなかから炎症性リウマチ疾患の可能性が高いグループを選び出すには,簡単な 4 項目の問診をするだけでよい」とPraxis Updateで報告した。
 
患者が,
(1)朝のこわばりが30分以上持続するか
(2)安静にしていても疼痛は軽減しないが,動くと軽減するか
(3)背痛による早朝覚醒があるか
(4)移動性の臀部痛があるか
―の 4 項目のうち少なくとも 3 項目に「yes」と回答した場合,97%の特異度で,強直性脊椎炎あるいは炎症性の背痛と診断でき,2 項目に「yes」と回答した場合の特異度は81%,感度は70%であるという。
 
したがって,同教授は「この質問法により患者を事前に選別したうえで,専門医に詳細な診断を依頼すればよい」と助言した。

出典 Medical Tribune 2007.8.16
版権 メディカル・トリビューン社


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by wellfrog2 | 2008-08-29 01:05 | 未分類
2008年 08月 28日

増加する成人の百日咳感染

かつては乳幼児が大半を占めていた百日咳であるが,近年では成人の割合が増加傾向にある()。
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軽いかぜと油断していると痙攣性の咳が長く続き,いずれは周囲を巻き込んでいく。
大学生などにおける大規模な集団感染の報告も相次いでおり,医療者や一般市民の関心が高まっている。
そこで,成人で百日咳が蔓延するようになった原因,今後の対策を独立行政法人国立病院機構福岡病院小児科の岡田賢司部長に聞いた。

大学などで集団感染が報告
今年4月,東京大学の教養学部で新入生を中心に百日咳が流行,5月には島根大学でも数人の学生の感染が確認された。
一方,全国約3,000か所の小児科定点から国立感染症研究所に寄せられた患者の報告数も確実な上昇を見せ,第18週に200人の大台を突破,翌週には300人を超え,過去最高を記録した。
 
もっとも,徴候は既に2007年からあった。
同研究所がまとめたデータによると,香川大学では5月の中旬以降,医学部に加え,教育・法・経済学部のキャンパスで長引く咳に悩まされる学生や教職員が続出,7月初旬までにその総数は361人に達している。
それだけでなく,血清学的検査から,うち290人の百日咳感染が明らかになった。
 
この事態を前に高知大学医学部も水際作戦を展開するが,7月19日に実施したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査では対象とした28人中24人が陽性と判明,急きょ,休講措置を取った。
その後の調査データを見ると,学生は5月下旬~6月下旬に,職員は6~7月に発症のピークがあり,講義や部活の参加者の間でまず感染が拡大,臨床実習などを通じて職員へと受け渡された可能性が強い。
また,PCR検査の陽性率は学生(医学部・看護学部)が45.7%,職員(医師・看護師)では69.8%と高いものの,症状との相関は乏しかった。
学生610人と職員473人に抗菌薬の服用を強いた同大学の集団感染は9月下旬,終息にこぎ着けた。
 
一方,青森県板柳町の消防署でも5~6月にかけて隊員4人(26~54歳)とその家族5人(9~53歳)が持続性の咳を訴え,うち2人から百日咳菌が分離された。
このほか,8?12月には患者の散発的な発生を重く見た愛媛県宇和島市がサーベイランスを試み,小流行を報告している。

土着の菌が流行を呼び込む
百日咳は好気性グラム陰性桿菌,百日咳菌(Bordetella pertussis)によって引き起こされる急性の呼吸器感染症で,通常は感染から7?10日の潜伏期間を経て発症し,臨床的にはカタル期,痙咳期,回復期に区分できる。
うちカタル期はくしゃみや軽い咳などのかぜ様の症状から始まり,痙咳期に入ると,連続的な短い咳(スタッカート)とヒューという笛のような吸気音(whoop)を伴う発作を繰り返す(レプリーゼ)。
息を詰めながら咳き込むため,顔面のむくみや鼻出血,嘔吐に見舞われるほか,肋骨を疲労骨折する場合もある。
また,乳幼児では典型的な症状を欠いたまま無呼吸発作や痙攣,呼吸停止を呼び込むなど,重篤化しやすい。
 
最も有効な予防策はワクチンの接種である。
わが国では1950年代,小児を中心に1年につき10万例以上の患者が発生し,うち約10%が死亡したと言われる。その打開に向け,58年に百日咳(P)とジフテリア(D)を組み合わせたDPワクチン,68年からは破傷風(T)を追加した三種混合(DPT)ワクチンの接種がスタート,患者数の大幅な減少が見られた。
 
ところが,2002年を境に20歳以上の世代の感染が目立ち始め,現在では全国約3,000か所の小児科施設(定点)の累積報告数のうち36.7%を占めている。
この集計は小児科からの報告のため,成人の患者はかなりの数に及ぶと考えられる。
香川大学や高知大学のケースのような規模の大きな集団感染が報告されるようになったのは,これまでにない現象と言える。
 
あるいは,百日咳菌の遺伝子に変異が生じ,ワクチンを無効化させているのか。
しかし,国立感染症研究所はMLST(multilocus sequence typing)法を応用,青森や高知,愛媛などで採取されたサンプル(患者のスワブや分離株)の分析を試み,それぞれの地域の株が遺伝的に異なると結論付けた。
したがって,百日咳菌の病原性が変化し,特定の地域から全国へと波及したわけではなく,各地に定着していた菌がたまたま同時に流行したと見るのが妥当だろう。

成人が小児に菌を受け渡す
小児の百日咳とは違い,成人では症状が穏やかで発熱も少ない。
そこで,キャリア状態のまま学校や職場に出向き,結果的に菌をまき散らしてしまう。
感染の経路はおもに飛沫感染だが,感染力は麻疹に次いで強い。
 
発症が医療施設への受診につながらないのも,若者や働き盛りの壮年層の特徴である。
ようやく受診したころには1か月ほどが経過し,既に菌の排出は終わっている。
 
「発作性の咳は夜間に集中し,日中にはおさまる。そこから,受診を先延ばしにしがちだが,体内から菌が消えても毒素は残るため,咳症状は持続する。
つまり,マクロライド系などの抗菌薬で菌の増殖を抑えて症状を軽減させる意味でも,早い段階の受診と診断が望ましい」(岡田部長)
 
特に,小児の感染の大半は家族内感染と考えてよく,両親,姉妹,同居中の叔父や叔母,祖父母がキャリアになるという。
むろん,成人についても,百日咳と診断されたり,咳が長く続く家族や同僚,クラスメートの有無を洗い出し,検査データをもとに診断を確定させる必要がある。
 
その検査法には菌培養検査,血清学的検査,遺伝子検査などが含まれる。
うち,菌培養検査は保菌量の少ない成人の患者には適していない。遺伝子検査(LAMP法;loop mediated isothermal amplificationやPCR法)は感度こそ高いものの,相応のコストと技術が要求される。他方,最も一般的な方法が細菌の菌体に対する凝集抗体価を測る血清学的検査で,急性期に東浜株(ワクチン株)ないし山口株(流行株)のいずれかが320倍以上のケースは感染が疑われるなど,一応の参考にはなる(シングル血清)。
しかし,確定診断のためには山口株の抗体価が320?640倍に達する健康人を視野に入れ,急性期と回復期(およそ2週間後)の抗体価を測定,4倍以上の上昇を確認するペア血清が基本とされている。

追加ワクチンで感染予防の徹底を
成人の感染の増加を促すもう1つの要因と目されるものにワクチンの効果の減衰がある。
現行の予防接種法では生後3~12か月の期間に3回( I 期初回),12~18か月に1回(追加接種)と,計4回のDPTワクチンの接種が組み入れられ,近年の接種率は約95%と高い。
しかし,免疫の持続期間は5?10年程度と短く,成人になる前に薄れていく。
300人近い感染者を出した香川大学でも患者の86%はワクチンの接種を経験しており,こうした実情を裏づける形となった。
 
米国では,1980年代後半から青年層や成人層の罹患率が増加傾向を示し,2004年には患者全体の27%に達した。
このため,従来の生後2か月,4か月,6か月,15~18か月,5歳の5回に加え,11~18歳で成人用のDPTワクチン(Tdap)を1回追加する方針を打ち出し,欧州の一部の国も類似の方式を採用している。
 
これを受け,日本ワクチン学会や厚生労働省研究班も小学校6年を対象としたDTワクチンの接種(第 II 期)をDPTに切り替える方向で検討を開始,今秋から臨床試験を行う予定という。
 
成人の百日咳は修飾麻疹と同様,ワクチンが普及し,病原体にさらされる機会が減ったお陰で顕在化した現象と言える。
成人では乳児に比べ,症状そのものは軽くてすむ。
しかし,なかには喘息やがんを疑い,ドクターショッピングを繰り返す患者もいる。
また,慢性閉塞性肺疾患(COPD)を抱えた高齢者では,感染が原因で死亡する例が見られるという。
 
「患者数の増加や集団感染は必ずしも百日咳の流行を意味しない。むしろ医療関係者や一般の関心が高まった結果,感染の実態が明確化したと見るのが順当だろう。一般内科にもそれを考慮に入れた対応が求められる」(岡田部長)

出典 Medical Tribune 2008.8.14
版権 メディカル・トリビューン社


<コメント>
一時期、百日咳の抗体検査が検査センターで出来ないか、結果がかなり遅れるという事態が続きました。
最近、件体を出していないのでわかりませんがこの異常事態(?)は解消されたのでしょうか。
麻疹ワクチンもそうですが、こういうことが起こる度に島国日本の懐(ふところ)の浅さを感じてしまいます。


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by wellfrog2 | 2008-08-28 00:18 | 感染症
2008年 08月 27日

検査の併用でRAの診断精度上昇も

今どき、血沈とC反応性蛋白(CRP)についての話というのも少しびっくりしました。
健診項目で血沈はほとんどされなくなり、臨床現場でもCRPにとって代わられた感があります。
私も思い出したようにオーダーするようになってきています。
しかし、心不全では血沈が亢進しないとか、貧血や多発性骨髄腫などで亢進するなど、思わぬ疾患の診断の糸口になることがあります。
おそらく数少なくなった結核療養所では今でも必須検査ではないでしょうか。

〔独ウィースバーデン〕関節リウマチ(RA)が疑われる患者に対して血沈とC反応性蛋白(CRP)の検査を両方とも実施すべきか。
また,
抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体のほうがリウマトイド因子より診断上の価値は高いのか。
このような疑問に対して,聖ボニファチウス診療センター(ミュンヘン)のKlaus Kruger教授は「日常的には血沈またはCRPのどちらか一方を検査するだけで十分だが,状況によってはこれらの検査を併せて実施することが有意義なこともある」と学会"Rheuma Update"で解説した。


大半は血沈かCRPで十分
ある米国の臨床試験では,2,069例の患者に対し,血沈とCRPの測定が同日のうちに実施された。
患者の96%で双方の検査結果は一致したが,感染症,腎不全,アルブミン低値の患者では一致しなかった。
感染症ではCRPが急激に上昇するのに対し,血沈は徐々に速くなり,その後,長期間高値を維持する。
したがって, CRPは正常でも血沈が高値との検査所見が得られることが多い。
腎不全でもほぼ同様である。
一方,血清アルブミンが低値のときは,血沈が正常でCRPが高値であることも,血沈が高値でCRPが正常ということもある。
 
抗CCP抗体とリウマトイド因子の診断上の価値については,RA患者262例(一部未治療の患者を含む)を対象とした日本の試験では,リウマトイド因子陰性患者の38%に抗CCP抗体が認められた。
また,陰性患者の43%がリウマトイド因子陽性であった。
したがって,RA初期にこれら2つの検査を併用すれば診断精度は高まると考えられる。

出典 Medical Tribune 2008.8.14
版権 メディカル・トリビューン社


<抗CCP抗体関連サイト> 
肝疾患関節症とRAの鑑別に抗CCP抗体が有用
C型肝炎患者など一部の肝疾患患者では、しばしば関節痛がみられるため、関節リウマチ(RA)との鑑別が必要になる。
その際、リウマトイド因子(RF)は、肝疾患でも陽性例が多いのに対し、抗CCP抗体は特異度が高く、肝疾患ではほとんど発現しないため、有用なマーカーになり得ることが示唆された。長崎医療センター総合診療科の古賀智裕氏が、第51回日本リウマチ学会の一般口演で4月28日に報告した。

古賀氏らは、C型慢性肝炎患者45人、自己免疫性肝炎(AIH)患者55人、原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者76人、関節リウマチ患者50人、健常人23人について、RFと抗CCP抗体を測定した。

その結果、RFについては、健常人からは検出されなかったが、C型肝炎患者の約22%、AIH患者の約24%、PBC患者の約18%が陽性を示した。RA患者では約81%が陽性だった。

これに対して抗CCP抗体検査では、健常人とC型慢性肝炎患者ではいずれも陰性。
AIH患者では55人中6人(10.9%)、PBC患者でも73人中2人(2.7%)が陽性を示した。
RA患者では89.5%が陽性だった。

ただし、抗CCP抗体陽性だったAIH患者6人のうちの5人と、同じくCCP抗体陽性だったPBC患者2人はRAを合併していた。

こうした結果から古賀氏は、C 型肝炎患者や自己免疫性肝疾患患者でRAの合併を診断する際、抗CCP抗体は有効な血清学的マーカーになり得るとしていた。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcr2007/200705/503126.html
日経メディカル・オンライン 2007. 5. 1



抗CCP抗体検査
http://hosaka-clinic.com/anticcp.htm

「整形外科診療所における抗CCP抗体によるRA早期診断」
http://www.mbl.co.jp/diagnostic/print/pdf/ccpapli_1.pdf

リウマチ因子と抗CCP抗体について
http://www.shikoku.ne.jp/racenter/doc/doc_ccp.html

抗シトルリン化蛋白抗体(抗CCP抗体)のリウマチ性疾患診断における有用性
http://www.epu.ac.jp/tosyokan/kiyou/kiyou1-1/kiyou25-34-sada.pdf

抗CCP抗体はリウマチ因子より特異度が高い
http://comet-log.blogspot.com/2008/07/ccp.html

<血沈・赤沈関連サイト>
赤沈とは?
http://medical-checkup.info/article/43766788.html

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by wellfrog2 | 2008-08-27 00:20 | 感染症
2008年 08月 26日

糖尿病の動脈硬化対策

第40回日本動脈硬化学会の記事で、糖尿病と動脈硬化の関連について勉強しました。

糖尿病の動脈硬化対策に向けて―注目すべき因子探る
糖尿病やインスリン抵抗性,メタボリックシンドロームに端を発する動脈硬化が増えてきている。
つくば市で開かれた第40回日本動脈硬化学会(会長=筑波大学大学院人間総合科学研究科内分泌代謝・糖尿病内科・山田信博教授)のシンポジウム「糖尿病と動脈硬化症」(座長=自治医科大学内分泌代謝学部門・石橋俊教授,千葉大学大学院医学研究院臨床遺伝子応用医学・武城英明教授)から,動脈硬化の危険因子に関する検証や血管内皮機能障害を標的にした検査法について報告された。


■ 適切管理にはわが国独自のエビデンス必要
糖尿病は動脈硬化疾患を大幅に増加させるが,その対策を考えたとき,肥満度など病態背景が異なる欧米の研究のエビデンスを日本人にそのまま当てはめることには問題がある。
お茶の水女子大学人間文化創成科学研究院生活習慣病医科学の曽根博仁准教授や会長の山田教授らは,日本人2型糖尿病患者を対象 に現在進行中のJapan Diabetes Complications Study(JDCS)の登録患者の解析から,欧米の糖尿病患者の心血管危険因子とは異なる部分があることや,現行のメタボリックシンドローム診断基準が,わが国の糖尿病患者の心血管疾患の予知マーカーとしては使いにくいことを見出した。

JDCSで欧米との違いが明らかに
糖尿病が冠動脈疾患(CHD)発症のリスクを上げることに疑う余地はない。世界37地域のコホートのメタ解析でも,糖尿病患者は非糖尿病者より男性で2倍,女性で3倍強,CHDのリスク増加が見られ,このことはアジア,非アジアで違いがないことが報告されている。 

曽根准教授は今回,わが国の2型糖尿病患者に対する治療法の開発を目的とした大規模介入研究JDCS(全国の59糖尿病専門施設の外来患者約2,000人を登録;登録時平均年齢59歳,罹病期間11年)の解析結果の一部を紹介したが,同研究のCHDと脳卒中の絶対発症率を見ても,日本の一般人口と比較して2~3倍高かった。
さらに,脳卒中が多いというわが国の一般的な傾向とは逆に,糖尿病ではCHDが上回るという結果となっており,糖尿病においては脳卒中だけでなくCHD対策も重要であるとした。
 

JDCSでは,脳卒中の場合,HbA1cおよび血圧の上昇がもたらす発症リスクの上昇度はほぼ同じであり,わが国の糖尿病患者に対して血圧をコントロールすることは血糖コントロールと同程度に重要であることが示され,一方,CHDに関してはHbA1cよりもむしろLDLコレステロール(LDL-C)上昇のほうが発症リスクを高めたという結果が示されており,糖尿病患者のLDL-Cを是正することは血糖コントロールと同等以上にCHD対策として効果的である可能性が示された。
CHD,脳卒中を合わせた危険因子では,LDL-C,トリグリセライド(TG),血圧,HbA1c,喫煙といった動脈硬化の古典的危険因子がそろうことになったという。
 
ところで,日本,英国,米国の糖尿病患者の臨床的特徴を見ると,
欧米と比較して,わが国の糖尿病ではBMIが著明に低いことがわかり(各23.1,29.4,32.3),インスリン抵抗性をはじめとする病態背景の違いが,CHDや脳卒中の危険因子にも影響を及ぼしている可能性が考えられる。 

事実,JDCSとUKPDSから導かれたCHD発症リスクの上位3位は,1位がLDL-C,3位がHbA1cであることは共通するものの,英国の2位がHDCコレステロールであるのに対して,わが国ではTGとなっており,同准教授は,わが国独自のエビデンスに基づく対策が必要だと強調した。 

なお,メタボリックシンドロームの診断基準がわが国の糖尿病患者の心血管疾患の予測マーカーになるかという問題については,わが国と同様に腹部肥満を必須項目とする国際糖尿病連盟(IDF)の基準に当てはめた限りでは,CHDおよび脳卒中ともに予測できない結果が示されたという。

■ CAVIにより早期血管機能異常の把握が可能
動脈硬化の進展を考えたとき,血管内皮機能異常の位置付けはきわめて重要である。
東邦大学医療センター佐倉病院内科学講座・宮下洋准教授は,器質病変だけでなく,
早期血管機能異常の検出が期待できる検査法としてcardio ankle vascular index(CAVI)を紹介した。
血管機能の定量分析が可能という同検査の特徴は,定量的治療ストラテジーの確立にもつながると思われた。


器質病変の検出も
従来の心電図,心エコー,内膜中膜複合体厚(IMT)測定では血管内皮異常の把握は難しい。
特に健診受診者の多くは器質病変のない段階のため,各種危険因子を測定することで対処するほかない現状にある。
 
宮下准教授は,
(1)測定が容易
(2)血圧に依存しない
(3)再現性に優れる
(4)血管機能の定量的解析が可能
―という脈波伝播速度(PWV)とStiffness parameterβの欠点を解消した特徴を有するCAVIを用いて検査した結果を報告。

CAVIはIMTよりも冠動脈の重症度判定に有用であることがわかったほか,剖検ができた3例では生前のCAVIが高値であるほど大動脈病変重症例であることが確認でき,器質病変の検出は可能であることがわかった。
一方で,血流依存性血管拡張反応(FMD)が低下するほど,CAVIは高値を示す相関があることも明らかとなり,血管内皮機能異常も正確に把握可能だったという。
 

そこで同准教授は,健診受診者1万4,728人を対象に,正常CAVI値の設定を行うとともに,早期血管異常検出の可否,早期血管異常の影響因子などを明らかにする試みを行った。
CAVI値と各種背景因子の関連を見ると,年齢と性のr値が高く,両因子を調整した共分散解析により,今回対象とした受診者から5.06+0.06×年齢(男性:+0.14,女性:-0.14)というCAVI正常値が導かれた。
つまり,CAVI値0.06の上昇で血管年齢は1歳老い,同年齢では男性の血管年齢が5歳上ということになるという。
この違いは男女の平均寿命の違いと一致しており興味深い。
 

また,BMIや耐糖能異常,血圧,LDLコレステロール,トリグリセライド(かつ/または HDLコレステロール)など動脈硬化危険因子の重複数が多いほど,CAVI値は有意に高くなり,年齢で調整すると,耐糖能異常と高血圧がCAVIの上昇(=血管機能異常)に重大な影響を与える因子であった。これら両因子の異常がある場合,血管年齢は各5歳老いることになる。
さらに,メタボリックシンドロームではそうでない場合に比べてCAVI値が高値であることから,CAVIにより早期血管機能異常の検出が可能なうえ,耐糖能異常と高血圧が早期血管機能の悪化に寄与することが示唆された。
なお,各危険因子を定量的に分析したところ,収縮期血圧10mmHg,HbA1c1%上昇でそれぞれ血管年齢が2歳老いることがわかったが,同准教授は「例えば血圧148/80mmHg,HbA1cが7.9%の人のCAVI値が8.4ならば,血圧を20mmHg下げたとき,HbA1cを2%下げたときのCAVIは0.188,0.1948と算出でき,定量的治療ストラテジーとしての応用も可能となる」と期待を述べた。

■ 2型糖尿病のCKDは動脈壁硬化に関連
慢性腎臓病(CKD)と心血管イベントとの関連を認めた報告は多いが,糖尿病患者の動脈硬化指標とCKDの関連は明らかでない。
大阪市立総合医療センター代謝・内分泌内科の細井雅之部長は,CKD発症は2型糖尿病において動脈壁硬化に関連し,アルブミン尿の有無が冠動脈の石灰化に関連することを示唆する知見を明らかにした。


アルブミン尿と石灰化に関連
細井部長は今回,2型糖尿病においてCKDとプレクリニカルな指標との関連を調べるために,2型糖尿病423例(45~75歳,平均61.7歳)の冠動脈石灰化指数(CCS)と脈波伝播速度(PWV)と腎機能との関連を見た。
推算系球体濾過量(eGFR)はMDRD式を用い(30mL/分/1.73㎡未満は除外),CCSに影響を与える血清クレアチニン(Cr)1.1mg/dL超,およびABI 0.9未満の症例も除外している。
 
対象の平均像は,血圧131/77mmHg,HbA1c 8.9%,総コレステロール(TC)205mg/dL,HDLコレステロール(HDL-C):56mg/dL,トリグリセライド157mg/dL,尿中アルブミン114.5mg/gCr,eGFR 82.5mL/分/1.73㎡,上腕―足首間のPWV(ba PWV)1,726cm/秒,CCS 221。
入院患者が多くを占めたため,血糖やbaPWVが高値だったほか,CCSは広範囲に分布していたため,log分析値を使用した。
 

まず,アルブミン尿との関連を見ると,baPWVはその有無で有意差は認められなかったが,石灰化についてはアルブミン尿が認められた群で有意に高いスコアを示していた。 

CKDステージ別に患者背景を検討したところ,血圧とHbA1cにはステージ間の差はなかったが,年齢に差が見られたほか(加齢とともにステージ進行),ステージ進行とともに,
(1)尿中アルブミン値は高値傾向
(2)baPWVは有意に高値
(3)logCCSはステージ3のみで有意に高値

―だった。
 
また,臨床の場ではアルブミン尿がなくてもCrが上昇したり,Crが低値でもアルブミン尿や蛋白尿が著明に認められる症例が存在するが,ステージングとアルブミン尿との関連を見ると,baPWVはCKDステージの進行とともに上昇する,eGFRと関連が深い因子であることがわかった。
一方で,logCCSはアルブミン尿の影響の強さが示された。
 
重回帰分析の結果,糖尿病患者のbaPWVは収縮期血圧,TC/HDL-C比,eGFRが有意の関連因子として,CCSはアルブミン尿の有無だけが有意の因子として浮かび上がった。
 
以上から,同部長は「2型糖尿病においては,CKD発症は動脈壁硬化に関連し,アルブミン尿の有無が冠動脈の石灰化に関連していると考えられた」と述べた。

出典 Medical Tribune 2008.8.14
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by wellfrog2 | 2008-08-26 00:18 | 糖尿病
2008年 08月 25日

がん検診における超音波検査の位置付け高まる

がんは増殖するとともに転移しやすくなるため,早期であればあるほど治療による治癒率は高まる。
そこで,がんを早期に発見することが重要課題とされ,がん検診の体制が確立されてきた。
第81回日本超音波医学会のシンポジウム「検診ではここは見逃さないように」(座長=アーバンクリニック・小西豊院長,長野県立こども病院循環器科・里見元義副院長)では,これまで超音波検査の位置付けがあまり高くなかった乳がんや腹部がんの検診などにおいてその有用性が明らかになりつつあることが示された。


<子宮体がん>
経腟超音波カラードプラによる血流診断で早期発見の可能性

子宮がんによる死亡率は子宮頸がんの検診の普及で年々減少していたが,1990年以降,高齢化,生活スタイルの欧米化に伴い,子宮体がんが急増してきたことから増加に転じた。
そこで子宮体がんの早期発見が重要課題となっているが,有用な検診方法は確立されていない。
福岡大学産婦人科の江本精・准教授らは,子宮内膜生検で診断が確定した患者を対象にした検討から,
経腟超音波Bモード法で子宮内膜の厚みを測定し,カラードプラ法を併用して血流の有無を確認することにより,子宮体がんを早期に発見できる可能性を示唆した。

子宮内膜肥厚のみでは鑑別できず
江本准教授らは,子宮内膜の厚みを経腟超音波Bモード法で調べた後,子宮内膜生検で診断が確定した子宮内膜増殖症25例と子宮体がん55例を対象にカラードプラ法にて腫瘍内血流の有無を調べ,組織型,分化度,進行期,筋層浸潤,リンパ節転移の有無との関連を後方視的に検討した。
対照は,健常閉経後女性60人。
子宮内膜の厚みは,子宮体がんが18.7mm,子宮内膜増殖症が16.2mm,健康人が3.8mmと,前2者は健康人に比べて有意に子宮内膜肥厚が認められたが,前2者間に有意差はなかった。
しかし,血流は子宮体がんに有意に多く認められ,子宮内膜増殖症では留膿症合併の1例を除いて検出されず(71.7% vs. 5.6%,P<0.0001),健康人では1例も検出されなかった。
また,子宮体がんの血流の陽性率は,進行期,分化度,筋層浸潤が進むほど高くなり,リンパ節転移のあるほうが高かった。
 
同准教授は「子宮内膜増殖症と子宮体がんの鑑別はBモード法だけでは難しく,カラードプラ法の併用が有用()。
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また,血流の検出が低分化がんや肉腫,筋層浸潤例の予後不良の予知に役立つことも判明した」と結んだ。


<肝細胞がん>
3cm以下なら生存期間に影響なし
大垣市民病院消化器科の熊田卓部長らは,肝細胞がん(HCC)と診断された患者のサーベイランス形態を調査し,HCCの早期発見・早期治療が生存率に与えるインパクトを解析したところ,腫瘍径3cm以下で発見されれば生存期間に与える影響は少ないことを明らかにした。
また,近年,高リスク群のサーベイランス体制の確立で早期発見例が増加し,予後が改善していることも明らかになったと報告した。


サーベイランスの質向上と意識改革が必要
熊田部長らは,1989~2007年に経験したHCC 1,596例のうち,単発および多発の2,3,4,5cmで治療を開始した421例を対照とした。
そして3cm未満の単発で発見され,3か月以上の間隔で超音波検査(US)が2回以上行われて腫瘍倍加時間(DT)の測定が可能,かつ肝切除,局所治療あるいは動注化学塞栓療法(TACE)が施行された109例を対象に,DTを用いて各症例で腫瘍が対照症例のサイズに増大するまでの期間を算出し,その期間を実際の生存期間から減算してlead-timeバイアスを補正した生存期間を求め,同サイズの対照の生存期間と比較した。
その結果,補正生存期間は,対照の生存期間に比べ,3cmまではほぼ同等であったが,4cm以上になると有意に長くなり,長期生存には早期治療開始が望ましいことが示唆された。
 
また,1968~2004年に初発HCCと診断された1,850例のうち,初発時のサーベイランスの形態が判明した1,641例を診断年代別に4群( I 期1968~80年151例,II期1981~90年409例,III期1991~2000年757例,IV期2001~04年324例),サーベイランス形態別に3群(同院,近医診療所,なし)に分け,ステージ分類や生存率を検討。
それによると, I 期ではほとんどがステージIVで,サーベイランスなしの飛び込み例であったが,それらは年々減少し,近年ではステージ I および同院や近医診療所でのサーベイランス例が増加していた。
同院や近医診療所でのサーベイランス例ではステージ I が年々増加しており,飛び込み例より明らかに多かった。
また,HCCの生存率は,年々高くなっており,同院や近医診療所でサーベイランスされた例が飛び込み例より有意に高かった。
 
しかし,現在でもなお,近医診療所サーベイランス例ではステージ I が2割以下と少なく,初発HCCの約2割が飛び込み例で,その約半数がステージIVであった。
 
同部長は「近医診療所において侵襲性のないUSを活用するなどサーベイランスの質の向上を目指すとともに,一般市民を含めてサーベイランスに対する意識を改革し,HCCを3cm以下で発見していくことが大切だ」と強調した。


<乳がん>
超音波検査の導入・普及を
ちば県民保健予防財団の橋本秀行診療部長らは,自験例の検討から,乳がんの検出率がマンモグラフィでは40歳代だと約10%低下するのに対して,超音波検査(US)では年齢に関係なく同等であったことを明らかにし,乳がん検診には,USを導入・普及させることが望ましいことを訴えた。

悪性を見分けるポイントはhalo,境界線の断裂,縦横比
現在,日本の乳がん検診は,40歳以上の女性を対象に,2年に1度,マンモグラフィ(40歳代は2方向撮影)を原則とし,その精度を補完するために視触診を併用する形で実施されている。
橋本診療部長らは,乳がん症例694例についてマンモグラフィ,USの乳がん検出率をレトロスペクティブに比較。
すると,乳がん検出率は,マンモグラフィ,USそれぞれ全年齢が82.3%,86.6%,40歳代が76.5%,87.6%,50歳代以上が85.7%,86.0%と,USでは年齢による差がほとんど見られなかったのに対し,マンモグラフィでは40歳代が50歳代以上に比べて約10%低くなることがわかった。
同診療部長は「今のところ,USが乳がん死亡率を低下させるという科学的根拠はないが,検診にUSを導入したほうが望ましい」と述べた。
千葉県では行政の理解によりマンモグラフィやUSを用いた乳がん検診を実施しているという。
 
同診療部長は,マンモグラフィで発見できない5mm未満から10mm前後の浸潤がんを確実に発見するために,腫瘤像形成性病変のUS所見から悪性の可能性(カテゴリー3以上)を判定するポイントについて言及した()。
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すなわち,腫瘤が嚢胞であれば良性で,混合性パターンであれば良性のことから悪性のこともあり,症例に応じて判断する。
充実性パターンの場合はまず境界部高エコー像(halo),および乳腺境界線の断裂の有無を確認し,いずれかが認められれば悪性(疑い)と判断する。
また,いずれもない場合でも,微細・点状高エコーを有したり,縦横比(D/W:最大径断面における腫瘤の低エコー像の縦方向の長さを横方向の長さで除したもの)がカットオフ値の0.7以上(縦長)であったりすれば悪性を疑うという。


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by wellfrog2 | 2008-08-25 00:07 | 未分類
2008年 08月 24日

かえる切り抜き帖 2008.8.24

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(画像をクリックすると拡大されます)
出典 日経新聞・朝刊 2008.8.18
版権 日経新聞社

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by wellfrog2 | 2008-08-24 00:14 | 未分類
2008年 08月 23日

大腸がんスクリーニング

大腸がんスクリーニング 40歳代での実施が望ましい
〔米オハイオ州クリーブランド〕コロンビア大学メールマン公衆衛生学部(ニューヨーク)のAlfred I. Neugut教授とAndrew Rundle助教授は,大腸がんのスクリーニングに最適の年齢は50~59歳ではなく40?49歳であるとGastroenterology(2008; 134: 1311-1315)に発表した。

がん化する腺腫は40歳代で形成
この知見は,集中デジタル記録システムの分析から得られたものである。
今回の研究では,40~49歳の患者553例と50?59歳の患者352例に対する大腸内視鏡スクリーニング検査の結果をレビューした。
大腸がんの家族歴を有する患者や,炎症性腸疾患または大腸がん以外のがんに罹患しているために高リスクと考えられる患者は除外した。
 
その結果,両群において検出された腺腫の数はほぼ同等であった。しかし,進行がんは50?59歳群で2倍で,これらの腺腫は被験者が既に40歳代のときに存在したと見られる。
 
Neugut教授は「のちにがんとなりうる腺腫は,今日われわれがスクリーニングを行う年齢よりも早期に形成されている。
このような情報から,40歳代での大腸がんスクリーニングを推奨すれば,有病率をさらに低下させることが可能だと考えるのは理にかなっている」と述べている。
出典 Medical Tribune 2008.8.23
版権 メディカル・トリビューン社


<参考サイト>
PDQ癌情報要約:スクリーニング
http://cancerinfo.tri-kobe.org/for_patient/pdq/summary/screening.html
(各種のがんのスクリーニング検査方法およびその手順について”患者様向け””医療専門家向け”にわけて説明しています)
大腸癌の発生率が高いグループには家族性腺腫ポリポーシスおよび遺伝性非ポリポーシス大腸癌(常染色体優性に遺伝)などの遺伝性疾患を有する者が含まれる。
これら2つのグループを併せても大腸癌の6%に過ぎない。
これよりも、大腸癌または腺腫の病歴;大腸癌の第一度近親者;60歳以前に腺腫と診断された第一度近親者 ;卵巣癌、子宮内膜癌または乳癌の病歴;および長期間にわたる慢性潰瘍性大腸炎または大腸クローン病の病歴の方がさらにリスク増大に関連している。
これらの高リスク群は全大腸癌の約1/4を占めている。
スクリーニングまたは早期癌の発見をこれらの高リスクグループに限定してしまうと、大腸癌の大部分を見逃すことになる。

大腸がんスクリーニングは大腸がん死のリスクを低減
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/post_370.html
国立がんセンターの津金昌一郎氏を主任研究官とする厚労省の研究班が、便潜血検査(FOBT)を用いたスクリーニングにより、大腸がんによる死亡率は7割低下すると報告した。
ただし、今回の研究では自己選択バイアス(注)を完全に調整することはできなかった。
(注)自己選択バイアス
スクリーニングに参加する者は非参加者に比べ、健康意識が高い傾向があり、生活習慣も健康的であるため、結果がよくなるというバイアス。

遺伝子による大腸がん検査
http://tfunato.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_24ba.html
10年以上前に、K-rasというがん遺伝子の変異(塩基の置換)を便中の細胞からのDNAを抽出して、大腸がんを診断しようとする試みが注目されました。K-ras変異は多くのがんにおいて見出されており、K-ras変異の有無ががんの指標とされています。

便の潜血反応は、がん細胞が存在すれば出血をして遊離してくる赤血球からのヘモグロビンを検出するものです。検出方法は、感度の低かった古典的な染色法から、感度の高い免疫学的な方法へと変わりました。やり方も綿棒にこするだけですので簡便です。問題は、ヘモグロビンの濃度(量)をいくら以上から陽性とするかです。低く設定すれば、多くの人がひっかかりますが、偽陽性者が増えます。高く設定すれば、偽陽性は減りますが、見逃しも出てきます。設定をいくらにするかについては、随分と議論され、現在に至っています。

スクリーニング検査では感度の高いことが要件です。スクリーニングでは見逃すこと(偽陰性であること)が一番問題であり、あやしい判定に迷うものを取りこぼさないことが必要です。がんを見逃すことは、大きな問題ですし、スクリーニング検査は健診で行われますので、簡単でなければなりません。

しかし、K-ras遺伝子による便のスクリーニング検査は普及しませんでした。K-ras遺伝子の変異は大腸がんで頻度は高いのですが、方法の問題もありました。

大腸がん検診
http://minds.jcqhc.or.jp/G0000070_0016.html
「大腸がん検診のAnalytic Frameworkと対応する検討課題」について論じられています。



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by wellfrog2 | 2008-08-23 00:54 | 消化器科
2008年 08月 22日

かえる切り抜き帖 2008.8.16

■老化などの記憶障害、神経活動が過剰に抑制 理研チーム
老化やアルツハイマー病に伴う記憶障害では、アミノ酸の一種「ギャバ」による神経活動の抑制作用が過剰に働くことを、理化学研究所のチームがマウスの実験で突き止めた。
神経細胞の興奮・抑制のバランスを調節する新薬を開発すれば、アルツハイマー病の症状を改善できる可能性があるという。
米科学誌の電子版に21日、論文を掲載した。

認知症の原因となるアルツハイマー病は、脳に特殊なたんぱく質が凝集することがきっかけで起きる。
ただ記憶障害にまで至る道筋は不明なうえ、長年かかって発症するため、通常の老化による記憶力低下との共通点を指摘する声もあった。

研究チームは、神経伝達物質の一種であるギャバが、神経の興奮を抑えて脳機能を正常に保つ「ギャバ抑制」の効果に注目した。
アルツハイマー病や老齢のマウスに、ギャバ抑制効果を妨げる薬を注射すると、記憶力が回復。
記憶障害は、ギャバ抑制が過剰になって起きると分かった。

アルツハイマー病の治療は現在、たんぱく質の異常凝集を防ぐなどの戦略をとっている。
だが、今回発見した神経メカニズムを標的にすれば、新たな治療法の開発が期待できるという。

出典 日経新聞・夕刊 2008.8.21
版権 日経新聞社


γ-アミノ酪酸
http://ja.wikipedia.org/wiki/%CE%93-%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%AA%E9%85%B8
アルツハイマー病治療に新たな可能性
http://www.excite.co.jp/News/society/20080821/Cabrain_17768.html
[PDF] 知っておきたいギャバの基礎知識Q&A
http://www.albin-q.net/pdf/gaba_qa.pdf

■ iPS細胞:親知らずから作成…産総研など
抜歯した親知らず(歯胚=しはい)の細胞から、さまざまな細胞に分化できる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ることに、産業技術総合研究所などが成功し21日、発表した。
親知らずの利用は初めてで、入手のしやすさなどの利点がある。
大量のiPS細胞を蓄えて再生医療に生かす「iPS細胞バンク」などへの応用が期待できる。

産総研の大串始・研究グループ長らは、歯列矯正の治療で抜歯した10歳女児の生えてくる前の未成熟な親知らずの提供を受けた。
ここから骨や筋肉などに分化できる未分化細胞「間葉系幹細胞」を取り出し、3年間冷凍保存した後、京都大の山中伸弥教授が見いだした3種類の遺伝子を導入。山中教授のiPS細胞と同性質のものを作った。

今後は完全に生えた後の親知らずからも、iPS細胞が作れるか調べる。
大串グループ長は「親知らずは毎日、膨大な数が歯科医で抜歯され廃棄されている。
長期の冷凍保存後もiPS細胞が作れることも確認できた。
バンクだけでなく、自分の親知らずを保存し、病気になった時にiPS細胞にして治療に生かす方法がより現実的になる」と話している。
http://mainichi.jp/select/science/news/20080822k0000m040112000c.html
毎日jp


<コメント>
方法論が確立するまで親知らずのある方は、抜歯を延ばした方がいいかも知れません。
現状では歯医者さんに捨てられてしまいます。


■ 阪大、潰瘍性大腸炎の発症要因を解明
大阪大学の竹田潔教授と本田賢也准教授らは、腸に炎症を起こす難病「潰瘍(かいよう)性大腸炎」が発症する仕組みをマウスの実験で解明した。
腸内細菌によって過剰に放出された「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質が免疫細胞を増やし、炎症の誘発物質を作り出していた。
ATPの働きを抑えられれば病気を治せる可能性もあるという。
成果は英科学誌ネイチャー(電子版)に21日掲載される。
潰瘍性大腸炎や同様に腸に炎症を起こす「クローン病」は、免疫システムの異常が発症の引き金と考えられている。
阪大チームは、免疫細胞の「Th17細胞」に着目。
腸管に存在する「樹状細胞」が活性化すると、Th17細胞が増え、炎症を誘発する物質も増加していた。
樹状細胞を活性化するのが、ATPで、腸内にいる細菌によって放出されることも分かった。

出典 日経新聞 2008.8.21
版権 日経新聞社


<コメント>
Th17細胞が「医学のあゆみ」 での特集としてとりあげられています。
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.cfm?bookcode=922604
Th17細胞
http://plaza.umin.ac.jp/~suzukih/cgi-bin/lab/juku49.pdf
T細胞
http://ja.wikipedia.org/wiki/T%E7%B4%B0%E8%83%9E
Th17細胞は最近発見された新たなT細胞集団でIL-6、TGF-β存在下で分化し、分化後はIL-17を産生する。

 ■ 高齢者医療の拠出重荷、健保を解散 西濃運輸、政管へ
トラック陸運業界大手セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市)のグループ企業の健康保険組合が今月解散したことがわかった。
4月の高齢者医療制度の改革で負担金が大幅に増えて事業継続が困難になった。
加入者は5万人を超え、倒産以外で大規模な健保組合の解散は極めて異例だ。

加入者は、国が運営し、医療給付費の13%を補助している政府管掌健康保険(政管健保)に移った。
高齢者医療の負担金が増え、今年度は約1500ある健保組合の9割が赤字になる見通し。
今回の医療制度改革は、国の負担軽減が狙いの一つだが、政管健保への移行が広がれば国庫負担増につながる。

解散したのは西濃運輸健保組合で、グループ31社の従業員と扶養家族計約5万7千人が加入していた。
グループ中核の西濃運輸によると、西濃健保が07年度、75歳以上が対象の老人保健制度と、サラリーマンOBのための退職者医療制度に支出したのは計35億8700万円。

08年度は、経過的に残った両制度への負担金(計11億6200万円)に、65~74歳の前期高齢者納付金(25億2500万円)、75歳以上の後期高齢者支援金(21億1千万円)が加わった。
高齢者関連は総額58億円と前年度比で62%増え、加入者から集める保険料の6割に相当する。

この負担増を賄うには、保険料率を月収の8.1%から10%以上に引き上げることが必要だ。
財政的に立ちゆかなくなり、今年3月に解散を決めて厚労相に解散認可を求めた。
担当者は「65~74歳の前期高齢者納付金の負担が重すぎた。積立金を取り崩しても赤字。
健保組合継続の意義も薄らいだ」としている。

赤字組合数の割合は02年度に8割に達した後、負担金を抑制する制度改正で3~4割台に減少。
しかし、昨年度は7割近くに上昇し、今年度は9割近くになる見通し。解散組合数はすでに、昨年度の12に並んだ。

国が進める医療制度改革は、大企業の従業員が入る健保組合の負担で、国が多額の負担金を投入する市町村国保と、中小企業の従業員が入る政管健保の財政負担を抑えるのが狙いだ。
今後、負担に耐えかねた健保組合の解散が続けば、国の狙い通りに進まない可能性がある。(高岡喜良、浜田陽太郎)
      ◇
政府管掌健康保険 
社会保険庁が運営する医療保険で、中小企業の従業員と扶養家族約3600万人が加入し、4兆3千億円の給付を受ける。給付費の13%、後期高齢者支援金の16.4%を国が負担する。
07年度決算は1350億円の赤字。健保組合から政管健保(保険料率8.2%)に移ると保険料率が上がるなどデメリットが生じる場合が多い。

出典 朝日新聞・朝刊 2008.8.21
版権 朝日新聞社


<コメント>
医療保険制度が音を立てて崩れていきます。

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/
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by wellfrog2 | 2008-08-22 00:26 | 未分類