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2008年 09月 30日

CKDの脂質管理としてのスタチン その1(1/2)

慢性腎臓病の脂質管理におけるスタチンの役割 (前編)
慢性腎臓病(CKD)は,米国腎臓財団(NKF)より提唱された疾患概念で,「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示す所見」あるいは「腎機能低下[糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73m2㎡未満]が3か月以上持続する状態」と定義されている。
CKDは末期腎不全(ESRD)発症の危険因子であるばかりでなく,心血管疾患発症の重要な危険因子であることからも,世界規模で対策が進められている。
 
アトルバスタチンをはじめとするHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は,近年の大規模臨床試験においてLDLコレステロール(LDL-C)を低下させることに加え,eGFRを上昇させることが明らかにされつつある。 

福岡大学腎臓・膠原病内科主任教授
斉藤 喬雄 氏
Professor, Chief, Division of Nephrology/Hypertension, Keck School of Medicine,University of Southern California
Vito Campese氏
 
CKDは心血管イベントの独立した危険因子
斉藤 
CKDの発症頻度は,近年日本においても増加しています。
久山町研究では,1974年から2002年にかけて男女ともにCKDの発症頻度が有意に増加していることが示されました(図1)。
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その要因として,食生活をはじめとする生活習慣の欧米化により,肥満,高コレステロール血症,耐糖能異常などの代謝性疾患が大幅に増加したことが挙げられています。
 
また,同研究において心血管疾患の累積発症率を12年間にわたり前向きに追跡した結果,CKDのある群はCKDがない群に比べて心血管疾患の発症率が有意に高く(図2),CKDが心血管疾患の独立した危険因子であることが明らかとなりました。
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Campese 
CKD患者において心血管疾患のリスクが高いことは,近年のスタチンの大規模臨床試験においても明らかにされています。
例えば,TNT(The Treating to New Targets)において,冠動脈疾患(CHD)を有するCKD患者の心血管イベントリスクは,CKDのない患者に比べて有意に高いことが示されています(文献1)。
これらはいずれも,久山町研究を裏付ける知見です。CKDが心血管イベントの危険因子であることに関しては,今や世界中でコンセンサスが得られていると言えるでしょう。

CKDと脂質異常症
斉藤 
CKDは以前より高血圧や糖尿病との関連が指摘されています。
しかし,近年,脂質との関連性も注目され始めました。
CKDにおいては,心血管イベント発症リスクが高いことからも厳格な脂質管理が必要となります。
CKDに対するスタチンのエビデンスはいかがでしょうか。

Campese 
CKDにおけるスタチンの有用性は,高血圧患者におけるLDL-C低下療法による冠動脈イベント発症に与える影響を検討したASCOT-LLA(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Lipid Lowering Arm)(文献2)やCHD症例における積極的LDL-C低下療法による心血管イベントに与える影響を検討したTNTのサブ解析(文献1)などで報告されています。

LDL-C低下療法の腎機能および蛋白尿に与える影響
斉藤 たいへん興味深い知見ですね。
CKDに対するスタチンのLDL-C低下療法は,腎保護の面からも注目されていますが,これに関してはどのようなエビデンスがありますか。

Campese 
TNTでは,CKD症例および腎機能正常例のいずれにおいても,アトルバスタチンのLDL-C低下療法により推定糸球体濾過量(eGFR)が試験開始前に比べて上昇しました(図3)。
また,その上昇率は,積極的にLDL-Cを管理したほうが高いことがわかりました。
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われわれもCKD患者56例を対象とした前向き試験において,アトルバスタチンによるLDL-C低下療法が蛋白尿の排泄を抑制することを報告しています。
同試験では,蛋白尿を有するCKD合併高コレステロール血症患者にレニン‐アンジオテンシン系阻害薬で血圧をコントロールしたうえで,アトルバスタチン投与群と非投与群に無作為に割り付けて1年間観察しました。
その結果,アトルバスタチン群においてLDL-Cが203mg/dLから121mg/dLまで低下し,尿蛋白排泄量も有意に減少しました(図4)。
CKDの進行が抑制されたのではないかと考えます。
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斉藤 
スタチンによる腎保護の機序としては,どのようなことが考えられるのでしょうか。

Campese 
腎細胞の炎症反応や線維化は,脂質異常により促進されますので,スタチンによる腎保護作用の一部は脂質低下を介したものだと考えられます。
一方で,スタチンは,脂質低下とは独立した機序で腎保護作用を表すこともin vitroの実験や腎疾患モデル動物を用いた研究から認められています。
スタチンには,炎症性サイトカインやケモカインの発現抑制,メサンギウム細胞や血管平滑筋細胞の増殖抑制,血管内皮機能改善などのさまざまな影響が知られています。
例えばCooperらは,部分腎摘ラットにおいて,アトルバスタチンの投与により蛋白尿や糸球体硬化が抑制され,同時に腎臓のTGFβ1遺伝子発現やマクロファージ集積が抑制されたことを報告しています(文献3)。

(文献1)J Am Coll Cardiol 51: 1448-1454, 2008
(文献2)LANCET 361: 1149-1158, 2003
(文献3)Kidney Int 56 (Suppl 71): S31-S36, 1999


出典 Medical Tribune 2008.9.25
版権 メディカル・トリビューン社


<自遊時間>
最初CKD(kidney)という言葉を聞いた時、どうしてCRD(renal)でないかと違和感がありました。
COPD(pulmonary)は形容詞です。
そんな中、患者さんで元高校英語教師(直接は教わってはいませんが、偶然にも私の出身高校の教師もしてみえた方で最近「英語ことわざ」関係の本も出版されました)が来院された時にこのことを訊いてみました。
即座に「名詞の形容詞化は普通にあること。たとえばboy friendとか」という返事がかえってきました。
目から鱗(うろこ)でしたが、でもなんだかまだ心にシコリが残ります。
(英語圏で使われているので何の文句もないのですが)


<きょうの一曲> 「それが大事」
YouTube - 大事MANブラザーズバンド / 「それが大事」LIVE
http://jp.youtube.com/watch?v=HKg7--TKVtU


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by wellfrog2 | 2008-09-30 00:19 | 腎臓病
2008年 09月 29日

挑戦しつづけるSU薬  その1(1/2)

日本人の2型糖尿病の病態に即した薬剤選択のあり方,第3世代SU薬グリメピリド(アマリールR)の位置づけなどをめぐり討議した座談会で勉強しました。

日本人の2型糖尿病は,インスリン抵抗性を主たる病態とする欧米人とは異なり,インスリン分泌不全を背景にした患者の比率が高いことが知られている。こうした観点から,SU薬でインスリン分泌の促進を図ることが,目標到達型治療法「The Treat to Target」を行ううえで,日本人の2型糖尿病の病態に即した治療法といえよう。
 

司会:
仲 元司 氏 佐久市立国保浅間総合病院地域医療部長
コメンテーター:
山内 俊一 氏 帝京大学内科学講座教授
出席(発言順):
山内 恵史 氏 長野赤十字病院糖尿病内分泌内科部長
西井 裕 氏 長野市民病院内分泌代謝科科長
駒津 光久 氏 信州大学大学院医学系研究科加齢病態制御学講師
近藤 照貴 氏 長野中央病院診療部長(糖尿病・内分泌・腎臓内科)
日本人の2型糖尿病はインスリン分泌不全型が多数
仲 
本日は,長野県内の基幹病院で糖尿病診療を担っておられる専門医の先生方にお集まりいただき,山内俊一先生にエビデンスをお示しいただきながら,目標到達型治療法「The Treat to Target」を行ううえでのSU薬の適切な使用法について討議したいと思います。
 
日本人の2型糖尿病はインスリン分泌不全が主たる原因であるとの指摘がありますが,初回治療ではどのように薬剤選択をされていますか。

山内(恵) 
服薬コンプライアンスなども考慮しながら,個々の症例に応じて薬剤選択しています。
高度な肥満のない患者さんに対しては,グリメピリドの少量投与から開始することが多いですね。

西井 
私は初回治療から複数の薬剤を併用して治療することが多いのですが,その際,グリメピリド少量投与を主体とし,食後血糖値が高い患者さんはα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)を,空腹時血糖値(FPG)が高い患者さんはビグアナイド薬を併用しています。
α-GI,ビクアナイド薬は消化器系の副作用のために使用を継続できないケースもありますが,グリメピリドは低血糖以外の副作用が少なく使用しやすい薬剤と感じています。

駒津 
インスリン分泌不全とインスリン抵抗性のいずれのタイプであるかを見極めて,SU薬かビグアナイド薬を選択しています。
最近,欧米ではインスリン分泌促進薬ではない薬剤を第一選択にしようという動きがありますが,日本人の病態には即していないと思います。肥満のない方に対しては,少量のSU薬から開始するのが合理的です。

近藤 
初回治療であっても,既にHbA1C値7.5%以上を示す症例,あるいはHbA1C値6.5%以上でFPGが高値を示す症例に対しては,SU薬を少量から用いて確実に血糖値を下げる必要があります。

経口血糖降下薬の二次無効は糖毒性が主たる原因
仲 
糖尿病治療の原則は"The Treat-to-Target"ですが,HbA1C値やFPGが高いにもかかわらず低血糖や二次無効を懸念するあまり非分泌系薬剤またはインスリン分泌を促さない薬剤が優先され,SU薬の投与のタイミングが遅れる例が多いとの指摘もあります。
そこで,血糖正常化への戦略として,SU薬の効果,低血糖,二次無効についてエビデンスをお示しいただきたいと思います。

山内(俊) 
グリメピリドは1~2mg/日と比較的少量の使用でも,速やかで確実な血糖低下効果が得られます(図1)。
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一方,実地医家の先生方には,SU薬の投与により膵β細胞が疲弊し二次無効を来すと危惧される方がおられますが,理論的な根拠は明確ではありません。
糖尿病の病歴が長くなるにつれ膵β細胞によるインスリン分泌能が低下する現象は,SU薬のみならず他の血糖降下薬でも同様に示されています。
実際Steno-2 Studyでは,強化療法群の約半数にSU薬が処方されていますが,明確な二次無効の傾向は見られませんでした(図2)。
欧米では,UKPDSなどの大規模臨床試験の結果より,二次無効は高血糖の持続によりもたらされ,SU薬の使用が原因ではないというコンセンサスが得られています。
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また聞き取り調査による低血糖の発現頻度では,食事療法群と比較して,有意差は見られなかったという報告もあります(Miller CD, et al : Arch Intern Med 161, 1653: 2001)。
 
以上より,グリメピリドをはじめとするSU薬は重篤な低血糖さえ注意すれば日本人の病態に即した効果が得られる薬剤であると考えられます。

出典 Medical Tribune 2008.9.18
版権 メディカル・トリビューン社


<コメント>
"日本人はインスリン分泌不全を背景にした患者の比率が高い"
"SU薬でインスリン分泌の促進を図ることが,目標到達型治療法「The Treat to Target」を行ううえで,日本人の2型糖尿病の病態に即した治療法といえよう"
・・・ちょっと待って。それって結論急ぎです。
日本人では諸外国に比べてカルシウムの摂取量が少ない。したがって諸外国並みにカルシウム摂取量を増やす必要がある。
・・・その論理と変わりません。日本はカルシウム摂取量のはるかに多い北欧より骨粗鬆症は少ないのです。

”実地医家の先生方には,SU薬の投与により膵β細胞が疲弊し二次無効を来すと危惧される方がおられますが,理論的な根拠は明確ではありません”
・・・ちょっと待って。問題ないという理論的根拠はあるんですか。

”低血糖の発現頻度では,食事療法群と比較して,有意差は見られなかったという報告もあります”

・・・とても信じられません。

メーカーがセッティングした座談会は注意しながら読み進む必要があります。

<きょうの一曲> "They Can't Take That Away From Me"
Diana Krall - They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=BEgScNZkIQU&feature=related




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by wellfrog2 | 2008-09-29 00:06 | 糖尿病
2008年 09月 28日

かえる切り抜き帖 2008.9.27

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出典 日本医事新報 No.4300 2006.9.23
版権 日本医事新報社


案の定、2008年の診療報酬改訂はひどいことになりました。

<関連サイト>
問題発言 - 新小児科医のつぶやき
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080208
リハ医の独白
http://d.hatena.ne.jp/zundamoon07/20080710/1215687218
厚労省 医療課長に原氏
http://www.yakuji.co.jp/entry734.html
総力特集『後期高齢者医療制度』:天下の大悪法を導入したコイズミの片棒を担いだ<原 徳壽>と言う男!
http://blog.livedoor.jp/hanatora53bann/archives/51199582.html
5分ルールで医療現場は大混乱 原課長罷免求め緊急要請
http://www.hokeni.org/introduction/activity/activity2008/080605harahimen.html
制度を作る側だけの論理
http://swedenhouse-oita.cocolog-nifty.com/pediatrics/2008/03/post_56ae.html
「良質な医療は限界]医師不足が重要課題 
http://skyteam.iza.ne.jp/blog/entry/365402/
厚労省保険局医療課長・原徳壽氏に聞く(中)
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080228_1.htmlリハビリ問題・厚生労働省保険局医療課長の「視点」
http://daikokukinkin.blog59.fc2.com/blog-entry-96.html
厚生労働省保険局医療課の「抗議文」について即時撤回と書面による謝罪ならびに説明を求めます
http://hodanren.doc-net.or.jp/news/tyousa/080625kougi.pdf
「後期高齢者診療料」の問題点 厚生労働省資料への反論
http://www.news.janjan.jp/living/0805/0804230578/2.php
厚生労働省が説明責任を果たされることを求めます
http://hodanren.doc-net.or.jp/news/tyousa/080630setumei.pdf

<きょうの一曲> 卒業写真
徳永英明 卒業写真
http://jp.youtube.com/watch?v=enbZG9OMG4g&feature=related


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by wellfrog2 | 2008-09-28 00:19 | 未分類
2008年 09月 27日

新型インフルエンザのワクチン接種

新型インフルエンザ:ワクチン接種、医師ら来年度から 97業種5段階に分け 
◇政府が試案公表
政府は18日、新型インフルエンザに備えたプレパンデミック(大流行前)ワクチンを接種する対象者の試案を公表した。
対象は97業種の従事者で、優先順位で5段階に分類。
総数は推計1000万~1500万人で、最も優先度の高い医師や救急隊員ら100万~200万人は来年度から接種を始める。
政府は国民から意見募集してさらに試案を示し、年度内の確定を目指す。
 
プレパンデミックワクチンは世界的に流行している高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)のウイルスから作り、新型インフルエンザを予防できる可能性がある。
国は現在2000万人分を備蓄、ガイドラインで「医療従事者と社会機能維持者に接種する」としているものの、詳細は決まっていなかった。
 
試案では、接種対象の業種を優先度の順に
▽カテゴリー1(即時に第一線で対応)
▽カテゴリー2(国民の生命・健康・安全・安心に関係)
▽カテゴリー3(国民の最低限の生活維持に関係)
−−と分類。
さらにカテゴリー2は3段階に分けた。
 
カテゴリー1の該当者は、来年度から接種を開始。
カテゴリー2以降は、新型インフルエンザ発生後に接種するが、今年度実施している臨床研究で効果が確認されれば、前倒しも検討する。
これ以外の希望する国民への接種も将来的な検討課題とした。
 
一方、発生後に全国民に接種する新型インフルエンザウイルスから作ったワクチンについては、どの年齢層から優先接種するかを明示せず、議論を先送りした。

 
<プレパンデミックワクチンの接種対象者>
カテゴリー1
(1)感染拡大防止、被害の最小化に資する業種
病院、一般診療所職員▽保健所職員▽救急隊員、消防職員▽在外公館職員▽税関・入国管理局・検疫所職員▽警察職員▽宿泊施設従事者▽自衛隊員▽海上保安庁職員▽航空運送事業者(国際線)▽空港管理者・機能維持者▽水運業(外航海運)▽外航海運代理店業▽水先業
カテゴリー2
(2)新型インフルエンザ対策に関する意思決定に携わる者(首長など)
国家機関▽都道府県機関▽市町村機関
(3)国民の生命、健康の維持にかかわる業種
病院、一般診療所、在宅看護サービス▽歯科診療所▽その他の医療業▽老人福祉・介護事業▽児童福祉事業▽障害者福祉事業▽医薬品製造業▽医薬品販売業▽医療機器製造販売業者
(4)国民の安全、安心の確保にかかわる業種
消防職員((1)以外)▽警察職員(同)▽自衛隊員(同)▽海上保安庁職員(同)▽海事関係職員▽港湾管理者▽国会議員▽国会議員公設秘書▽国会事務局職員▽都道府県議▽市区町村議▽地方議会議員事務局職員▽放送業▽新聞業▽電気通信業▽電気通信に付帯するサービス業▽矯正職員▽更生保護官署職員、保護司、更生保護施設職員▽検察庁従事者▽裁判官
カテゴリー3
(5)ライフラインの維持にかかわる業種
電気業者▽原子力事業者▽上水道事業者▽下水道事業者▽工業用水道事業者▽ガス事業者▽熱供給事業者▽石油精製業者▽石油販売業者▽LPガス事業者▽石油備蓄事業者▽石油採掘事業者▽航空運送事業者(国内線)▽港湾管理者▽空港管理者((1)以外)▽水運業(内航海運)▽海運代理店業▽港湾運送業▽その他の運輸付帯サービス業▽鉄道業▽道路旅客運送業▽道路貨物運送業▽運輸関連業者▽道路管理者▽倉庫業▽精穀・製粉業▽パン・めん類など製造業▽乳製品製造業▽缶詰製造業▽レトルト食品製造業▽冷凍食品製造業▽せっけん・合成洗剤製造業▽トイレットペーパー製造業▽ごみビニール袋製造業▽衛生用品など製造販売業▽食品流通関係者▽食料品・生活用品小売業▽金融機関▽日本銀行▽保険会社▽政府系中小企業金融機関▽ソフトウエア業▽情報処理・提供サービス業▽インターネット付随サービス業▽郵便局▽国家公務員▽都道府県職員▽市町村職員▽独立行政法人職員▽火葬・埋葬業▽廃棄物処理業
 ※(1)~(5)が優先順位
毎日新聞 2008年9月19日 東京朝刊


<コメント>
効果があるかどうか、そして安全かどうかもわからないワクチン。
ワクチンで防げない可能性の方がはるかに高いはずなのにその際の人工呼吸器の確保などはどうなっているのでしょうか。

<自遊時間>
少年、しかめっ面でたばこ購入 顔認証自販機、識別できず
http://www.excite.co.jp/News/society/20080926/Kyodo_OT_CO2008092601000655.html
<コメント>

私はタバコは吸いません。
結構な年なのですが童顔なので、笑顔で顔認証方式の自販機の前に立って成人と認識されるかどうか自信がありません。
それにしても、国側も馬鹿なことを真剣に考えるものです。
業界や技術の発展には寄与しますが、誰がこの高価な器械の金を出しているのでしょうか。
もちろん税金・・・・ですか。

税金を「吸い」上げるために税金を投入する、という図式ですか。


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by wellfrog2 | 2008-09-27 00:36 | 感染症
2008年 09月 26日

かえる切り抜き帖 2008.9.26

■ 吸入ステロイド薬の使用で喘息患者の心血管死と全死亡が有意に減少
吸入ステロイド薬(ICS)の使用が喘息患者の心血管死と全死亡の有意な減少につながることを示すデータが,米ハーバード大学などのグループによりChestの9月号に発表された。
 
ICS療法は喘息の悪化リスクを軽減する。最近の研究では,ICS療法は心血管疾患のリスク低下と全死亡の減少をもたらす可能性があることが示唆されている。
 
同グループは,1976年にNurses'Health Studyに登録された30?55歳の女性12万1,700人を対象に,2年ごとに「医師によって診断された喘息」の有無を調査。喘息を有する参加者に対して98年にICS使用を含む補足調査を実施し,その後,2003年までの死亡を調べた。
死亡のオッズ比(OR)は年齢,喘息の重症度,喫煙習慣,心疾患・がん・脳卒中の既往,アスピリンとスタチン使用により補正した。
 
登録基準を満たした喘息患者は2,671例で,54%がICSの使用を報告した。
その後5年間の追跡で,87例(3.3%)の死亡(心血管死22例,がん死31例,喘息4例を含むその他の死亡34例)が確認された。
 
解析の結果,ICS非使用の喘息患者と比べて,ICS療法を受けている患者では全死亡率が低かった〔OR 0.58,95%信頼区間(CI)0.36~0.92〕。
ICS使用患者では,心血管死の有意なリスク低下認められた(OR 0.35,95%CI 0.13~0.93)。
一方,がんによる死亡(OR 0.66,95%CI 0.32~1.38)と,その他の死亡(OR 0.62,95%CI 0.30?1.27)のリスク低下は有意ではなかった。
 
同グループは「これらの観察データはICSには気道のほかにも抗炎症ベネフィットがあることを示唆するものであり,さらなる研究を行う価値がある」と結論している。

Camargo CA, et al. Chest 2008; 134: 546-551.

出典 Medical Tribune 2008.9.18
版権 メディカル・トリビューン社



■ 低用量アスピリン投与に中高年者の認知機能を改善する効果はない
低用量アスピリン投与が心血管リスクのある中高年者の認知機能に有益な影響を与えることはないようだと,英国のグループがBMJの9月6日号に発表した。
 
対象は,無症候性の動脈硬化が確認された50歳以上の男女3,350例。低用量アスピリン(1日100mg)またはプラセボを5年間投与する群にランダムに割り付け,認知機能への影響を検討した。両群の登録時の認知機能は同等であった。
 
解析の結果,アスピリン群とプラセボ群の追跡中の一般認知スコアの中央値に差はなく(32.7%対34.8%),各認知機能検査の平均スコアにも有意差はなかった。
また,登録時に詳細な認知機能検査を施行した504例でも,5年間の認知機能の変化に有意差は認められなかった。

Price JF, et al. BMJ 2008; 337: a1198.

出典 Medical Tribune 2008.9.18
版権 メディカル・トリビューン社

■ 健康的ライフスタイルが脳卒中の予防に有効
男女それぞれの大規模前向き追跡研究から,健康的なライフスタイルが脳卒中の予防に効果的であることが示されたと,米ハーバード大学のグループがCirculationの8月26日号に発表した。
 
この知見は,Health Professionals Follow-up Study(男性4万3,685例)およびNurses'Health Study(女性7万1,243例)の参加者を対象に,健康的ライフスタイルと脳卒中との関係を検討した解析から得られた。
健康的ライフスタイルは,
(1)非喫煙
(2)BMI 25未満
(3)1日30分以上の適度な身体活動
(4)適度なアルコール摂取(男性5~30g/日,女性5~15g/日
(5)健康的食事スコアの上位40%以内
―と定義した。

追跡期間中の脳卒中の発症は女性1,559例(うち脳梗塞853例,脳出血278例),男性994例(うち脳梗塞600例,脳出血161例)であった。
健康的ライフスタイルの5つの因子がゼロであった女性と比べて,すべてを満たした女性の全脳卒中の相対リスク(RR)は0.21〔95%信頼区間(CI)0.12~0.36〕,脳梗塞のRRは0.19(95%CI 0.09?0.40)であった。
同じ比較における男性の全脳卒中のRRは0.31(95%CI 0.19~
0.53),脳梗塞のRRは0.20(95%CI 0.10?0.42)であった。
 
今回の解析では,女性の全脳卒中の47%と脳梗塞の54%,男性の全脳卒中の35%と脳梗塞の52%が,健康的ライフスタイルの5つの因子を遵守していないことに起因すると考えられた。

Chiuve SE, et al. Circulation 2008; 118: 947-954.

出典 Medical Tribune 2008.9.18
版権 メディカル・トリビューン社

■ 重度のいびきは頸動脈アテローム硬化の独立した危険因子
重度のいびきは頸動脈アテローム硬化の独立した危険因子であると,オーストラリアのグループがSLEEPの9月号に発表した。
 
同グループは,低酸素血症のない軽度の閉塞性睡眠時無呼吸患者110例を対象に,睡眠ポリグラフ検査と両側の頸動脈および大腿動脈の超音波検査を施行,さらに心血管危険因子を評価した。被験者は夜間のいびきの程度により軽度,中等度,重度の3群に分類された。
 
頸動脈アテローム硬化の有病率は,いびきの程度と有意な相関があった(軽度20%,中等度32%,重度64%,P<0.04)。
頸動脈および大腿動脈アテローム硬化に対するいびきの独立した影響を評価するため,ロジスティック回帰分析を行った。年齢,性,喫煙歴,高血圧を補正後,重度のいびきと頸動脈アテローム硬化との有意な関連が確認された(オッズ比10.5,P=0.004)。一方,重度のいびきと大腿動脈アテローム硬化とは関連していなかった。

Lee SA, et al. SLEEP 2008; 31: 1207-1213.

出典 Medical Tribune 2008.9.18
版権 メディカル・トリビューン社


<きょうの一曲> ET MAINTENANT
YouTube - ET MAINTENANT
http://jp.youtube.com/watch?v=6H9jQh44p3w


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by wellfrog2 | 2008-09-26 00:31 | 未分類
2008年 09月 25日

挑戦しつづけるSU薬  その2(2/2)

グリベンクラミドからグリメピリドに切り替えが進んでいる
仲 
次に,SU薬の選択に話題を移したいと思います。
グリメピリドとグリベンクラミド(ダオニールR)の違いについて,どのようにとらえていますか。

駒津 
1日1回投与で効果が得られること,症状に応じて0.5~6mg/日まで幅広い用量で使えること,体重増加や低血糖の頻度が少ないことなどから,初回はグリメピリドを投与します。

山内(俊) 
グリメピリドはグリベンクラミドに比して低血糖累積発現率が低いという報告もなされています(図3)。
f0174087_18145132.jpg

駒津 
既にグリベンクラミドにより良好な血糖コントロールが得られている患者さんに対しては,あえて変更しません。
ただ,グリメピリドは虚血プレコンディショニングを消失させないとの報告があり,より確かなエビデンスが示されれば処方を変更する必要があると考えています。

山内(恵) 
私もグリベンクラミドで良好な血糖コントロールが得られている患者さんはそのまま継続しますが,新規の処方はグリメピリドが多いですね。

近藤 
私の勤務先ではグリベンクラミド使用例はインスリン導入に踏み切れないことが多い傾向にあります。
そのため新規の処方はグリメピリドを選択しています。
 
ただ,高齢者の場合,腎機能障害を有する症例が多く,低血糖を防ぐ意味から少量より開始する必要があると思います。
また心筋梗塞の既往がある患者さんに対しても,心筋保護作用の観点から,グリメピリドを選択しています。

西井 
グリメピリドが虚血プレコンディショニングを消失させないと報告されてから,積極的にグリメピリドに切り替えてきました。
その際,グリベンクラミド2.5mg/日に対しグリメピリド2mg/日に換算して切り替えています。

仲 
専門医はSU薬を新規に処方する際,グリメピリドを選択し,グリベンクラミドからグリメピリドに切り替えることが多いようです。
私も,低血糖や心保護作用,インスリン感受性の改善など,インスリン分泌促進作用以外の作用も期待して使用しています。

SU薬とインスリングラルギンを併用するBOTはインスリン導入を容易にする
仲 
長野県内の糖尿病専門医の先生方に血糖コントロール状況をアンケート調査した結果,平均HbA1C値は6.9%でした。
血糖コントロールが経口薬のみで不十分となった場合,どのような治療をされているかお聞かせください。

駒津 
インスリングラルギンなど持効型のインスリン製剤の登場でBOT(Basal supported Oral Therapy)の有用性が注目されています。
今後は「次の一手」としてグリメピリドを用いたBOTを外来で用いる機会が増えると思います。

近藤 経口薬の組み合わせは,インスリン分泌促進薬同士の併用を除けばまさに多種多様です。
しかし,SU薬以外の薬剤の血糖改善効果はさほど強いとはいえず,長期にわたり血糖コントロールに難渋すれば,インスリン導入を考慮します。
ただ,外来でいきなりインスリン導入するのではなく, SU薬を残したままインスリン製剤を併用する方がスムーズです。

仲 
BOTによるインスリン導入を考慮する前段階として,グリメピリドをどこまで増量するかという点については,どのようにお考えでしょうか。

西井 
増量して効果があるか確認することが必要です。
グリメピリド3mg/日投与で血糖コントロールが不十分になれば,併用薬の副作用との兼ね合いから経口薬のみでは厳しいという印象を持っています。

グリメピリドは少量から開始し時間をかけて増量すべき
仲 
山内俊一先生は,グリメピリドを6mgまで増量した場合のHbA1C低下効果と低血糖の頻度を検討しておられますね。

山内(俊) 
グリメピリドを3mg/日から6mg/日に一気に増量した群,1mgごとに6mg/日まで増量した群で比較しますと,用量依存的にHbA1C値の低下効果を認めました(図4)。
f0174087_18155161.jpg

増量前のHbA1C値が7.0%台前半の患者では漸増する方が,低血糖を起こさないようです。
ただし,グリメピリド単独で6mg/日まで増量するのは現実的ではなく,2~3mg/日まで増量した時点で他の経口薬を併用するのは当然のことです。
そのうえで,6mg/日にステップアップできるというのが,このデータの正しいメッセージであると思います。
グリメピリドは少量より開始するのが原則であり,少量から血糖値を見ながら月単位で2mg/日,3mg/日と増量し,作用機序の異なる他の経口薬を併用し6mg/日まで増量することができます。

仲 
私自身,他の経口薬を併用しながらグリメピリドを6mg/日まで増量し,良好な血糖コントロールが得られた症例を数多く経験しています。
グリメピリド6mg/日を投与してなおもHbA1C値8.0%以上を示す症例はグリベンクラミドには変更せず,インスリン導入を図る必要があると考えます。
また,インスリン導入を躊躇される患者さんの場合,高血糖の状態で放置せず,「次の一手」としてグリメピリドの増量を試みることが大切なのではないでしょうか。
 
出典 Medical Tribune 2008.9.18
版権 メディカル・トリビューン社


<きょうの一曲> 秋桜
山口百恵  秋桜 Momoe Yamaguchi - Cosmos
http://jp.youtube.com/watch?v=nb-PvxXRsNM&feature=related


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by wellfrog2 | 2008-09-25 00:09 | 糖尿病
2008年 09月 24日

かえる切り抜き帖 2008.9.24

後発医薬品、世界最大手が日本進出 イスラエルのテバ・ファーマ
特許切れ成分を使った後発医薬品で世界最大手のテバ・ファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)が日本市場に本格参入する。
近く中堅製薬会社の興和と開発・販売の合弁会社を設立する。
新薬に比べ価格の安い後発薬は医療費削減の流れを受けて4、5年後に国内で1兆円超の市場規模となる見通し。
豊富な品種を持つテバの参入で需要増に弾みがつきそうだ。成長市場を巡り、国内の製薬再編が加速する可能性もある。
 
テバと興和は合弁会社の出資比率や幹部人事などで最終調整を進めており、月内に合意する見通し。早ければ2010年にもテバの製品を日本で販売するとみられる。

テバは年間売上高が約1兆円で、後発薬国内最大手の沢井製薬の約27倍の規模。
血圧降下剤や抗がん剤など主要な疾患領域をほぼカバーし、同業への買収攻勢で事業規模を急拡大している。

出典 日経新聞・朝刊 2008.9.23
版権 日経新聞社


<コメント>
当院は院内処方ですが、原則的に後発品を処方していません。
その理由はここでは述べません。
希望される患者さんには院外処方を書いていますが、その際にはかえって支払い額が高くなる可能性もお話します。

ジェネリックについては国策(?)もあり”馬の鼻先にニンジン”という医療政策がとられています。
しかし、”笛吹けど踊らず”というのが実情です。
まずは”隗より始めよ”です。
厚生省管轄の医療機関がジェネリックに変えた時点でゆっくり考えればいいと思います。

”独立”法人だからそんなの関係ない???

以下は心ある先生方の本音トークです。
<関連サイト>
よっしぃの独り言
http://blog.m3.com/yosshi/20080809/1
今、ジェネリックに何が・・?
http://blog.m3.com/DrTakechan/20080501/2
知らぬ間にジェネリック
http://blog.m3.com/yosshi/20080108/1
ジェネリックって安い?
http://blog.m3.com/yosshi/20071201/2
日本のジェネリックは?
http://blog.m3.com/DocMIHINani/20080615/1
<ボクの中のゾロとジェネリック>
http://blog.m3.com/DocMIHINani/20070808/1
ジェネリック推進 追記あり
http://blog.m3.com/yosshi/20080429/1

<きょうの一曲>My Way
Frank Sinatra-My Way
http://jp.youtube.com/watch?v=sEbgB6X6S5c&feature=related



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by wellfrog2 | 2008-09-24 00:30 | 小児科
2008年 09月 23日

2型糖尿病病態研究の最前線 その2(2/2)

特別企画
第51回日本糖尿病学会年次学術集会ランチョンセミナー
エキスパートが語る2型糖尿病病態研究の最前線(後編)


2型糖尿病と膵β細胞
膵β細胞機能維持を考慮した治療戦略が重要
綿田 裕孝 氏  
現在の過栄養に陥りがちなライフスタイルが糖尿病の増加に拍車をかけているが,肥満を呈していても糖尿病を発症しない人がいる一方で,非肥満でも発症する人もいる。
正常または高い膵β細胞機能を有する場合は,肥満によりインスリン抵抗性を来しても代償性に膵β細胞容積が増加して正常耐糖能が維持できるが,膵β細胞が脆弱な場合は代償不全が起こり,2型糖尿病を発症すると考えられており,このことから,糖尿病は膵β細胞の代償不全の疾患と言える(図1)。
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順天堂大学内科学・代謝内分泌学准教授の綿田裕孝氏は,2型糖尿病における膵β細胞の機能を考慮した治療が合併症予防のためにも重要であるとし,膵β細胞再生・増殖機序に関する最新知見を紹介した。

膵β細胞機能低下の回避には速やかな血糖コントロールが重要
2型糖尿病発症早期ではインスリンの分泌遅延だけが見られるのが特徴であり,治療は食事・運動療法から開始する。
綿田氏らは,食事療法により脂肪肝が改善して肝でのインスリン抵抗性が改善し,運動療法により骨格筋での脂肪筋が改善して末梢でのインスリン抵抗性が改善されることを見出している。
 
それでも血糖コントロール不十分な場合には薬物療法を開始するが,遺伝的なインスリン分泌不全の病態では,ごく早期であればインスリン分泌遅延を改善する速効型インスリン分泌促進薬が適応となる。
しかし,膵β細胞機能は経時的に低下するため,同氏は「糖毒性による膵β細胞死を回避するためには,同薬で効果不十分であれば速やかにSU薬に切り替え,なおも不十分の場合はインスリン製剤で基礎インスリン分泌を補充することが,膵β細胞機能維持に必要な治療法である」と述べた(図2)。
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膵β細胞増殖による機能維持の可能性を検索
2型糖尿病は進展に伴い膵β細胞が細胞死により減少するため,膵β細胞の再生あるいは増殖を誘導することが可能となれば,治療は飛躍的な進歩を遂げると期待されている。
 
綿田氏らは,インスリン分泌促進とともに膵β細胞の増殖作用も併せ持つグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の膵β細胞増生効果が,ガストリンの併存により増強することなどを認め,検討を進めている。
 
一方,上皮間葉転換により膵β細胞を増殖する試みとして,細胞増殖調節に重要なヘッジホッグシグナルが亢進したマウスを掛け合わせてみたが,得られた間葉細胞は上皮間葉転換を起こさないことが認められ,上皮間葉転換を用いた膵β細胞増殖法は困難であったという。
 
また同氏らは,膵β細胞再生に利用可能な細胞の探索において,骨髄幹細胞が膵β細胞に分化転換するかを検討したが,ほとんど分化しなかった。
ところが,膵β細胞を傷害するストレプトゾシン(STZ)で誘発した糖尿病マウスの耐糖能が骨髄移植により改善,すなわち膵β細胞機能が改善する現象が認められた。
 
これを検証するため,STZを5日間連続投与した糖尿病モデルマウスを用い,全身に放射線照射後,骨髄移植を施行し得た移植群について非移植群と比較検討した。
その結果,移植群では非移植群に比べ移植後の随時血糖値が有意に低下し,移植8週後の糖負荷試験では血糖値の有意な低下と膵β細胞からのインスリン分泌量の有意な増加が認められ,耐糖能の改善が示された。
さらに,移植群では膵組織全体に対する膵β細胞量および膵島内血管内皮細胞数が有意に増加したという。
 
これらの所見から,同氏は「移植した骨髄細胞が膵β細胞に分化転換するわけではなく,膵島内の血管内皮細胞の増加を伴って膵島が増大し,インスリン分泌量が増加することで耐糖能が改善した」とし,「膵β細胞の増殖には骨髄および膵臓への放射線照射が関わっており,そのシグナルに関与する化合物を発見すれば膵β細胞の増殖につながると考え,検討を重ねている」と今後の展開への期待をこめて講演を終えた。

出典 Medical Tribune 2008.9.11
版権 メディカル・トリビューン社


<きょうの一曲> 言葉にできない
言葉にできない  - オフコース - Kotoba ni Dekinai - Off Course
http://jp.youtube.com/watch?v=PLU5eDAoI90&feature=related



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by wellfrog2 | 2008-09-23 00:05 | 糖尿病
2008年 09月 22日

2型糖尿病病態研究の最前線 その1(1/2)

特別企画
第51回日本糖尿病学会年次学術集会ランチョンセミナー
エキスパートが語る2型糖尿病病態研究の最前線(前編)

増加の一途をたどる糖尿病に対し,早期からの効果的な治療介入や病態の進展を食い止める治療戦略が求められるが,種々の病態研究のなかから有望な治療ターゲットが見出され,臨床応用に向けた検討が進められている。
先ごろ開催された第51回日本糖尿病学会年次学術集会ランチョンセミナーにおいて,アディポネクチンとその受容体をターゲットとした糖尿病治療戦略について東京大学大学院糖尿病・代謝内科/22世紀医療センター統合的分子代謝疾患科学講座の山内敏正氏が,膵β細胞をターゲットした治療戦略について順天堂大学内科学・代謝内分泌学准教授の綿田裕孝氏が,それぞれ自身の研究成果をもとに解説し,アディポネクチンやインスリン抵抗性,膵β細胞の観点での第3 世代スルホニル尿素(SU)薬グリメピリド(アマリールR)の有用性にも言及した。

座長:
東京医科大学内科学第三講座教授
小田原 雅人 氏 
演者:
東京大学大学院糖尿病・代謝内科/22世紀医療センター統合的分子代謝疾患科学講座
山内 敏正 氏 
綿田 裕孝 氏 順天堂大学内科学・代謝内分泌学准教授

2型糖尿病の分子メカニズムと治療戦略
アディポネクチンとその受容体に着目した診断法・治療法が有用
山内 敏正 氏 
肥満・内臓脂肪蓄積では肥大化した脂肪細胞からの悪玉アディポカインの異常分泌とともに,善玉アディポカインであるアディポネクチンの低下がインスリン抵抗性やメタボリックシンドローム,動脈硬化を引き起こすと考えられている。
2003年に世界に先駆けてアディポネクチン受容体(Adipo R)を同定した東京大学大学院糖尿病・代謝内科/22世紀医療センター統合的分子代謝疾患科学講座の山内敏正氏は,同氏らがアディポカインネットワークに着目して解明を進める2型糖尿病の分子メカニズムおよび治療戦略について紹介した。

高分子量アディポネクチン比がインスリン抵抗性,メタボリックシンドロームの指標に
アディポネクチンの血中レベルが低下すると,2型糖尿病・冠動脈疾患の発症リスクが上昇することが臨床データにより示されている。山内氏らは,肥満に伴いアディポネクチンのみならずAdipo Rも発現レベルが低下することをモデル動物での測定で明らかにした。
 
アディポネクチンは血中では多量体構造で存在しているが,同氏らは,ヒトにおいて高分子量(HMW)アディポネクチンの比率が低下する遺伝子変異を有する場合,インスリン抵抗性や糖尿病を発症することを見出した。
さらに,HMW比は総アディポネクチンに比べインスリン抵抗性およびメタボリックシンドロームの診断において感度,特異度とも有用な指標であることが分かった。
同氏は,HMW比の測定により高リスク者を早期に同定して生活習慣への介入を行うことで,糖尿病や心血管疾患の発症予防が可能ではないかと考察している。
 
一方,肥大化脂肪細胞からは悪玉アディポカインの1つであるMCP-1が分泌される。
同氏らによると,このMCP-1の脂肪組織からの発現は,アディポネクチンを欠損すると増加し,補充すると有意に低下した。
また,Adipo R1・R2欠損マウスにおいても有意な増加が見られた(図1)。
これは,Adipo R1・R2欠損により酸化ストレス消去に関わる分子の発現が低下し,酸化ストレスを増加させたためと示唆された。
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これらの所見から,脂肪組織の肥大化に伴いアディポネクチンが低下すると酸化ストレスなどを介してMCP-1発現が増加しマクロファージが浸潤し,肥大化脂肪細胞との相互作用により炎症が惹起され,アディポネクチンが十分作用できないために,インスリン抵抗性,メタボリックシンドローム,動脈硬化といった病態が起こる,と同氏はまとめた。

グリメピリドはアディポネクチンを増加,
悪玉アディポカインを低下
大血管症抑制のための糖尿病治療戦略として,より厳格な血糖コントロールがその予防につながることから,低血糖が起こらないことを確認しながらHbA1c値5.8%未満を目指すことが望まれる。
 
また,2型糖尿病患者は糖代謝異常だけでなく脂質代謝異常や高血圧を合併することも多く,心血管疾患など血管合併症発症抑制を目指してこれら3因子をいずれもコントロールしていくことが重要である。
 
さらに山内氏は,同じ血糖値でも高インスリン血症があると総死亡率上昇,心疾患発症のリスクとなると警鐘を鳴らす。
 
それらを踏まえた糖尿病治療において,SU薬のなかでもグリメピリドは血糖値を低下させ,インスリン抵抗性をも改善することから,長期予後において有用に働く可能性が高いと考えられる,と同氏は述べた。
このメカニズムとして,グリメピリドはアディポネクチンを増加し,また悪玉アディポカインであるTNF-αやPAI-1を低下させることが報告されているという(図2)。
f0174087_22542525.jpg
 
同氏は「アディポネクチンとその受容体は生体内で炎症・酸化ストレス,また糖・脂質代謝の制御に重要な役割を果たしており,これらをターゲットとした2型糖尿病の診断・治療が有用と考えている」と述べた。

出典 Medical Tribune 2008.9.11
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by wellfrog2 | 2008-09-22 00:30 | 糖尿病
2008年 09月 21日

高学歴者の認知症診断


MMSEカットオフ値の高位設定で精度改善
〔シカゴ〕テキサス工科大学保健科学センター(テキサス州ルーバック)のSid E. O'Bryant博士らは,認知機能検査のMini-Mental State Examination(MMSE)を用いて高学歴高齢者の認知症リスクを評価する場合,カットオフ値を高く設定することで,より効果的に診断を下せることが示唆されたとArchives of Neurology(2008; 65: 963-967)に発表した。

標準の24点から27点に
MMSEは認知機能(思考力・学習能力・記憶力)評価に最も一般的に使用されている検査である。
満点は30点で,一般的に24点以下で認知機能障害と診断される。
 
O'Bryant博士は「MMSEは認知機能障害患者のスクリーニングや長期的な認知機能変化の追跡に用いられており,認知機能に対する薬剤の影響を評価する際にもしばしば活用されている。
しかし,MMSEの得点は患者背景に影響され,高齢者や低学歴者では得点が低い」と述べている。
 
今回の研究では,メイヨー・クリニック・アルツハイマー病研究センターとアルツハイマー病(AD)患者登録から,就学期間が16年以上の1,141例(白人93%,平均年齢75.9歳)のデータを抽出し,MMSEスコアを比較した。
データの内訳は,認知症307例,軽度認知障害176例,非認知症の対照群658例であった。
 
認知機能障害診断の標準的なカットオフ値である24点で区切った場合,認知症の感度は66%,特異度は99%で,正診率は89%であった。カットオフ値を27点に変更した場合,感度は89%,特異度は91%となり,正診率は90%に改善された。
 
同博士は「今回の知見は,MMSEの総合スコアのみに基づいた認知障害・認知症の診断を奨励しようというものではなく,高学歴の高齢白人患者を適切に治療するための改訂基準を臨床医に提供しようというものである。
特に,本人の訴えか他人からの指摘であるかにかかわらず,記憶力に問題のある高齢患者で,大卒以上の学歴を有する者は,MMSEスコアが27点未満の場合,認知機能障害と認知症リスクが高くなるため,本格的な神経心理学的検査を含む包括的検査の対象とすべきである」と述べている。
 
さらに「今回の新たなカットオフ値を用いることで,高学歴者における認知症の早期発見が容易になると思われる。
高学歴者はADと診断された後,短期間で衰弱や死亡に至る例が多いことから,早期の対応は特に重要である」と指摘している。

出典 Medical Tribune 2008.9.18
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by wellfrog2 | 2008-09-21 00:30 | 認知症