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2008年 05月 26日

食後高血糖  その1(1/3)

昨年11月の世界糖尿病デーに合わせて開催されたバイエル社主催のワークショップ(大阪)に関する記事です。
どうしてもアカルボースに関する話題が多くなっていますが、タダで勉強できるので我慢するしか仕方がありません。
いつも思うのですが、製薬メーカーはどれだけ儲けているのでしょうか。
外国から演者を呼ぶ莫大な交通費(決してエコノミーではないはず)。
国内の司会者、演者への謝礼。、
ホテルの会場費、全国からの参加者の交通費(航空運賃、新幹線グリーン車)や宿泊費。
このことを考えれば招待されなかった私もタダで勉強してもバチは当たらないと思います。

さて、最近出席した糖尿病の研究会で会場から質問があり、胃切後で食後高血糖がある患者(?)に心血管イベントが増えるというエビデンスがあるか」という質問が演者に浴びせられました。
グルコーススパイク云々といった説明がありましたが、結局はエビデンスははっきりしていないというような判然としない回答でした。

私も時々会場で質問をするのですが、口達者の演者にベラベラと要領を得ない回答をされることが多いのです。
そんな時には回答をいただいた誠意を汲み取って、深く突っ込んだ再質問はしないことにしています。
他の質問予定者もあるだろうしKYと思われるのも癪(しゃく)だからです。

大概は心にわだかまりが出来ますが、懇親会の食事ですっかりわだかまりがとれている自分が情けないです。


4th International Glucobay Workshop(Osaka 2007)
食後高血糖
―糖尿病および心血管イベント進展の推進力―
 
東京タワーや通天閣など日本を含め,世界各地のランドマーク約180か所が青くライトアップされた世界糖尿病デー(2007年11月14日)は記憶に新しい。
生活習慣病の1つとして扱われてきた糖尿病に対し,10秒に1人がその合併症で命を落とす疾患であるという脅威を広くアピールし,発症の抑制を図る世界規模のキャンペーンは社会的な注目を集めた。
 
世界糖尿病デーと前後して開催された4回目の「International Glucobay Workshop」では,致死的合併症である心血管イベントの発症に重要な役割を担う食後高血糖に焦点を当て,そのメカニズムや治療などさまざまな角度から検証が行われた。
以下にその概要を紹介する。


Opening Remark
ドイツ・Academic Hospital第三内科主任教授 Eberhard Standl 氏
 
糖尿病の罹患人口は現在2億4,600万人,このまま手をこまねいていれば2025年には3億8,000万人に達すると推測されている。
この糖尿病の爆発的な波"tsunami"を回避するために,さまざまな研究や啓発活動が精力的に行われており,本日のワークショップにその中心となる研究者たちが参集したことを,座長の1人として誇りに思う。
 
今回は,心血管イベント発症を抑制するための糖尿病治療について,これまでに得られた知見やエビデンスを紹介したのち,食後高血糖がもたらす悪影響について疫学および分子生物学的観点から解説する。
また,アカルボースを用いた基礎および臨床研究を集めたパートを最後に設けた。本日の講演が糖尿病のbig waveを乗り切る一助となれば幸いである。


血糖異常とCVD
臨床試験で得た知見を実地医療に活かす試みが盛んに
 
ワークショップの最初のパートでは,糖尿病と心血管疾患(CVD)が関連すること,それを念頭に置いた治療についての講演が行われた。
糖尿病とCVDの治療と予防における3つの課題
まず,オーストラリア・International Diabetes Institute准教授のJonathan Shaw氏が,糖尿病とCVDの治療と予防に関する未解決の重要課題を3点挙げた。
 
第一は「実地医療においても糖尿病予防は可能か」。
フィンランド糖尿病予防研究(DPS)は,ライフスタイル介入によって肥満の耐糖能異常(IGT)例の2型糖尿病発症リスクが58%低下することを示した。
しかし,これを実地医療に近い形で検証すべく行われたフィンランドとオーストラリアの2試験では,体重減少の達成率が著しく低かった。Shaw氏は「この結果は臨床試験で得られた知見を実地医療,さらには健常人の糖尿病予防に広く取り入れることの難しさを物語っている」と述べた。
 
第二の課題は「血糖低下によってCVDリスクは低下するのか」。
UKPDSにおいて,厳格な血糖・血圧コントロールにより糖尿病患者のCVDリスクは低下したものの,有意差には至らなかった。
プラセボとピオグリタゾンを比較したPROactiveでも一次エンドポイントで有意差が得られないなど,決定的なエビデンスは確立されていない。
ただし,IGT例を対象としたSTOP-NIDDMでα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)のアカルボースによるベネフィットが示されており,同氏は「CVD発症予防のための適切なターゲットが食後高血糖であることが示唆された」として,研究のさらなる進展に期待を寄せた。
 
第三は「糖尿病の自然経過を変える薬剤はあるのか」。
Shaw氏は再びUKPDSの結果に触れ,どんな治療もHbA1cの増加を抑制しえなかった点を指摘。
糖尿病の病態の本質はβ細胞機能の悪化だが,β細胞機能を保護できる薬剤はなかったと説明した。


糖尿病と冠動脈疾患は表裏一体:死の二重奏に打ち勝つには早期介入を
このように今後さらに検証すべき課題もあるものの,高血糖とCVDとの関連性を踏まえた治療や予防への取り組みは着実に前進している。
欧州糖尿病学会(EASD)と欧州心臓病学会(ESC)による合同ガイドラインも策定された。続いて登壇した,座長を務めるStandl氏は,同ガイドラインについて「最大のメッセージは糖尿病と冠動脈疾患(CAD)は表裏一体だということだ」と説明した。
 
糖尿病とCADとが予想以上に共存していることを示すエビデンスは枚挙にいとまがない。
またEuro Heart SurveyやChina Heart Surveyにみるように,血糖異常は糖尿病発症が明らかになる以前から心血管にも負の影響を及ぼす。
GAMI研究でも示されたように血糖異常の患者はCVDの予後も不良で,より注意して観察する必要がある()。
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同ガイドラインでは,糖尿病と診断されればCADの,CADと診断されれば糖尿病の検査を行うというように,どちらが先に診断されても双方の検査を行ったうえで予防と治療に進むアルゴリズムが示されている。
「血糖異常とCAD,この死の二重奏に打ち勝つには早期介入が重要だ」と語るStandl氏が推奨事項として特に重要視するのは,
1)CADリスク低下の治療目標をすべて達成する,
2)すべてのCVD患者にOGTTによる糖尿病・IGTのスクリーニングを行う,
3)ライフスタイルカウンセリングが糖尿病治療と糖尿病およびCAD予防の基本である,
という3点だという。


エビデンスの集積に伴い,世界的な広がりをみせる糖尿病予防への取り組み 
ライフスタイル介入による糖尿病予防については,世界的にもエビデンスが集積されつつある。
DPS,Diabetes Prevention Program(DPP)と同様に,ライフスタイル介入によって,中国のDa Qing試験では2型糖尿病発症リスクが42%,日本でも男性のみを対象とした試験だが,糖尿病の進展リスクが67%低減するとの成績が得られている。
臨床研究の場では,ライフスタイルの改善が糖尿病リスクを低下させうることに,もはや疑いがない。
 
Shaw氏は本パートの最後に,各地域における糖尿病・CVD予防への取り組みを紹介した。
それによると,欧州や日本,オーストラリアなど資金豊富な国では,糖尿病が経済や生産性に大きな損失を及ぼすとの認識から,政府主導で国家レベルあるいは国際的な予防プログラムに参加している場合が多い。
日本でも厚生労働省の資金援助のもと, J-DOIT試験が開始されている。
 
一方,発展途上国では,バスで農村を巡る移動糖尿病クリニック(インド)など,散発的で地道な地域活動が多く見受けられ,人々の啓発だけでなく,コミュニティの積極的な関与を生むといった成果にもつながっているという。
同氏は「今後数年間で,資金豊富な行政プログラムと小規模な地域プログラムが,それぞれどのような成果を挙げるのか興味深い」と語った。


α-GI・アカルボース
食後高血糖の是正でCVD発症を抑制

CVDの発症抑制を目的とした糖尿病の至適治療が模索される一方,その進展を上回るスピードで糖尿病患者が世界的に増加している。
本パートでは,なかでも悲観的な状況が予測される中国・香港の現状について,香港・香港中文大学内科・薬物治療学教授のJuliana Chan氏が紹介。
カナダ・Toronto大学内科教授のRobert G. Josse氏からは,2型糖尿病患者に対して心血管イベントの発症抑制を証明したα-GI・アカルボースについて解説が行われた。

糖尿病の早期発見・早期治療が急務 
現在,経済成長が爆発的に進む中国では,人口の増加と生活環境の変化が相まって,疾病構造の変動と患者数の増加が著しい。
しかも未治療の患者が多く,Chan氏によると,2002年の段階で,高血圧患者1億6,000万人,糖尿病患者とIGT例でそれぞれ2,000万人,肥満者6,000万人が未治療であったという。
 
CADによる入院患者3,513例の糖代謝を調べたChina Heart Survey(2006)では,約4分の3の患者が糖代謝異常を呈するという,Euro Heart Surveyとほぼ同じ結果であった。ただし,糖代謝異常を呈する患者の約6割が既知の糖尿病であったEuro Heart Surveyに対し,China Heart Surveyのそれは約4割にすぎず,糖代謝異常を呈する患者の大半が見逃されていたことが示された。
 
続いて同氏は中国で行われた研究から,耐糖能の悪化とアルブミン尿を呈する患者の割合の相関を示したコホート研究(2,934例)や,アルブミン尿が存在すると死亡率が3~5倍に高まることを明らかにした検討(対象: 2型糖尿病患者3,773例)など中国で行われた研究を紹介し,糖代謝異常の早期発見・早期治療の重要性を訴えた。


CVD発症に重要な役割を担う食後高血糖をアカルボースが改善
以上のような状況下,Chan氏は糖尿病におけるCVD発症抑制を望める薬剤である,アカルボースに期待を寄せていると述べた。
同薬の作用機序やエビデンスについては,Josse氏より解説がなされた。
 
アカルボースは,小腸における炭水化物の吸収を遅延させることで,食後の急激な血糖上昇を抑える薬剤である。
また,食後の血糖値のみならず,HbA1cも低下させ,長期にわたる良好な血糖コントロールが報告されている。
なお,同薬は腹部膨満感や鼓腸・放屁といった腹部症状を伴いやすいが,初期投与量を通常の半量に減らし,徐々に通常量まで増量する漸増療法で腹部膨満感などを最小限にとどめることができる。
 
アカルボースがCVDの発症を抑制するエビデンスとなった成績が,同薬を1年以上投与したプラセボ対照二重盲検比較試験7試験のメタ解析であるMeRIA7 (Meta-analysis of Risk Improvement under Acarbose-7)である。
同解析によると,アカルボース群では対照群に比して,すべての心血管イベントの発症を35%,心筋梗塞の発症を64%も有意に抑制する効果が認められた()。
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食後高血糖を改善するアカルボースが,なぜCVDの発症をも抑制するのか。
それは,CVD発症において食後高血糖が多彩な役割を担うためと考えられている。
血糖変動そのものが血管内皮細胞を傷害し,さらに食後高血糖は血液凝固・線溶系や,NF-κB活性,血清CRP値など各種因子にも異常をもたらすとされる。
アカルボースはこれら食後高血糖の悪影響を抑制することになる。
 
Josse氏は,各種因子の異常においても効果が期待できるアカルボースを"現在望める最適な治療薬"と称した。
なおChan氏によると,糖尿病予備群を大量に抱えた中国において,同薬による心血管死などを含めた心血管イベントの発症,および2型糖尿病の発症抑制作用を検討する臨床試験が開始されたという。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41150481&year=2008

出典 Medical Tribune
版権 メディカル・トリビューン社

読んでいただいて有難うございます。
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# by wellfrog2 | 2008-05-26 00:10 | 糖尿病
2008年 05月 23日

消化器内視鏡の最新情報 再掲

消化器内視鏡の最新情報

消化器内視鏡の進歩はめざましいものがあります。
胃カメラひとつをとりあげても経口式では患者さんが嫌がる時代です。
最近、解像度に関しては経鼻式は経口式に少し劣り、2割の早期がんを見落とすという話を聞きました。
相変わらず経口式でやっている私としてはグッドニュースです。
開業医では経鼻式が普及しつつあるようですが、病院ではどうなんでしょうか。
以下のカプセル式の解像度も気になります。

特別企画
第74回日本消化器内視鏡学会総会ランチョンセミナー
消化器内視鏡の最新情報

座長
杏林大学医学部第三内科教授
高橋 信一 氏
演者
大阪医科大学第二内科教授
樋口 和秀 氏
 
近年,臨床の場にさまざまな機能をもった内視鏡が登場し,食道や小腸など,従来は使用できなかった部位に特化した内視鏡も開発されている。また,コンピュータの画像解析による診断の効率化や操作性の向上もみられ,診断・治療の上で大きく期待されている。ここでは,当研究室で開発中の,日本初の自走式カプセル内視鏡を中心に,消化管内視鏡の最新情報を紹介したい。


小腸内視鏡
最近,患者に嚥下させることにより消化管内を撮影するカプセル内視鏡が登場し,これまで不可能であった小腸粘膜表層の病変を捉えることが可能となった。
一方,オーバーチューブと内視鏡の先にそれぞれバルーンが付いたダブルバルーンおよび,オーバーチューブのみにバルーンが付いたシングルバルーン小腸内視鏡も新たに登場し,小腸粘膜からの出血も,内視鏡下で治療を行うことができるようになった。
また,1人でも操作できるなど,操作性も向上している。
 
大阪市立大学医学部附属病院において,原因不明の消化管出血患者32例を対象に,カプセル内視鏡とダブルバルーンの病変認識率・診断率を比較したところ,病変の検出率はいずれも約70%であったが,陽性所見認識率はカプセル内視鏡が優れていた。
カプセル内視鏡はスクリーニング的要素が,ダブルバルーン内視鏡は治療的要素が強いと考えられる。
診断面では,カプセル内視鏡はびらんや血管異形成などの小病変を検出しやすいのに対し,ダブルバルーン内視鏡では憩室や腫瘍を検出しやすいなど,相補的な部分も多い。
現時点では,小腸出血で緊急治療を要する場合はダブルバルーン,時間的余裕のある場合はまずカプセル内視鏡を行うことが勧められる。
ただしカプセル内視鏡では,特に消化管閉塞・狭窄・瘻孔が疑われる症例では,その停滞・滞留に十分な注意が必要である。
 
カプセル内視鏡は2枚/1秒,計5万枚の撮影が可能で,付属のソフトにより連続する類似画像を1枚の画面に結合することで効率的にチェックできるオートマチックモードや,色調とパターンの変化に基づき,より特徴的な画像を抽出するクイックビュー,赤みを帯びた画像を抽出する赤色領域推定表示などの機能がある。また前処置薬服用により,病変の検出率が向上することも明らかとなった。
今後は,標準的な前処置法の検討が必要と考えられた。


NSAIDs小腸潰瘍 
従来,NSAIDs潰瘍は胃・十二指腸のみが注目されていたが,原因不明の小腸出血の約10%がNSAIDs小腸潰瘍であることが知られてきた。
カプセル内視鏡を用いると,NSAIDsを3か月以上毎日服用している変形性関節炎,関節リウマチまたは非特異的関節炎患者(nonspecific arthritis)では,小腸潰瘍がコントロール群に比べ,約60%も高い確率で認められるとのデータもある。
 
このような小腸潰瘍に対する予防法としては,例えばプロスタグランジン(PG)製剤や防御因子増強剤などが考えられ,胃潰瘍とは異なり,酸分泌抑制薬は無効である。
 
しかし,NSAIDsによる胃への影響を考えると酸分泌抑制剤の使用機会は多く,小腸の炎症を悪化させない,抗炎症作用を有するラニチジン(商品名:ザンタックR)のようなH2ブロッカーも選択肢の1-つとなると考えられる。


H2ブロッカーと潰瘍治療の質
胃潰瘍において,治癒の状態を平坦型と非平坦型とに分けて再発率を見ると,平坦型は再発しにくく,また潰瘍瘢痕局所の炎症が抑制されていることが明らかにされている。
平坦型の治癒を促すためには,PG産生作用や抗炎症作用のある薬剤が適していると考えられる。
 
H2ブロッカーのなかで,ラニチジンは,好中球浸潤抑制,好中球の活性酸素産生能抑制および好中球エラスターゼ放出抑制作用が認められることが,動物実験により証明されている。そこで実際にヒトの潰瘍について多施設で検討したところ(図1)12週目の胃潰瘍の治癒率はほぼ95%以上であったが,ラニチジンでは平坦型瘢痕治癒率が63%であり,潰瘍治癒の質(QOUH)が優れていることが示された。
例えばHelicobacter pylori(H.pylori)除菌後の治療においても,ラニチジンは,抗炎症作用による除菌後の再発抑制効果が期待されること,偽陽性などの問題も少ないため,除菌終了1か月後のH.pylori除菌判定がラニチジン内服中でも可能,PPI(Proton Pump Inhibitor)に比べマイルドで日本人に合った酸分泌抑制作用,さらにPPIよりも安価,というメリットがあると考えられた。


食道用,大腸用のカプセル内視鏡と今後の課題
食道用のカプセル内視鏡は,仰臥位で飲み込んだ後,徐々に頭を上げていくことで,食道内をゆっくりと写真をとるもので,海外では逆流性食道炎やバレット,食道静脈瘤などのフォローアップに用いられている。
ただし,今後これまでの内視鏡所見との比較検討が必要と考えられる。
 
大腸用のカプセル内視鏡は,前後にレンズが付いているためヒダの後方も撮影でき,憩室や腫瘍,ポリープなどが明瞭に描出できるのが特徴である。
 
すべての部位に共通するカプセル内視鏡の今後の課題としては,自立して動くカプセル,病変を認識しリアルタイムで観測できるシステム,体外からの電力供給,消化管内への治療薬・試薬の散布,腸液や腸内ガスの採取,および病変の自動認識システムなどが挙げられよう。


日本初の自走式カプセル内視鏡
われわれは現在,日本初の"自走式カプセル内視鏡"を龍谷大学理工学部・大塚尚武教授のグループと共同開発している。
構造が簡単であること,動力を非接触で供給できること,また遠隔制御が可能であることをコンセプトとし,磁場を利用した駆動制御を採用した(図2)。
磁石に交流磁場を与え磁石を振動させてカプセルの"ヒレ"に伝えることにより,ヒレが振動を推進力に変え自力で移動するもので,交流磁場の波形を変化させることにより速度や進行方向を制御でき(図3),バックや回転も可能である。現在,胃の模型に,ポリープに見立てたビーズを入れてカプセルを実際に動かし,撮像させる実験を行っている。
焦点距離や明るさなどの課題はあるものの,撮像可能な段階まできている。

以上,ここに紹介したのはほんの一部であり,最近注目されているNOTESと呼ばれる胃や子宮からの内視鏡下腹腔内手術をはじめ,内視鏡分野は今後さらなる進歩が期待される。

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出典 Medical Tribune 2008.2.28
版権 メディカル・トリビューン社



<番外編>

禁煙薬で意識消失 米航空当局「使用禁止」
【ワシントン21日共同】米製薬大手ファイザーの禁煙治療薬「チャンティックス」(一般名バレニクリン)の服用後に視覚障害やけいれん、意識消失などの症状が多数報告されたと、米国の民間団体「安全な薬物治療のための研究所」(ペンシルベニア州)が21日発表した。
この薬は日本でも今月8日に禁煙補助薬「チャンピックス錠」として発売されたばかり。
ロイター通信によると、米連邦航空局(FAA)の広報担当者は「航空機の操縦士にはこの薬の使用を禁止する」と述べ、ファイザーの株価も1997年以来、最低水準に下落した。
米ファイザーは「一部の副作用は注意書きに記してある。ほかの症状も因果関係がはっきりしない」としている。
同社の日本法人も「詳しいことは分からないが、国内の製品の添付文書には米国での報告も反映されている」と説明している。
チャンティックスは脳のニコチン受容体に作用し、たばこへの切望感や不安、不眠などの離脱症状を減らす飲み薬。
2008/05/22 11:45 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008052201000237.html

<コメント>
「チャンピックス」は米国では「チャンティックス」として発売されていることを知りました。
つい先日MRに詳しいパンフを貰い、しっかりを受けたばかりです。


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# by wellfrog2 | 2008-05-23 00:35 | 認知症
2008年 05月 22日

レビー小体型認知症 再掲

画像のメモリがいっぱいになったため
新たに 
  井蛙内科開業医/診療録(2)
としてブログをたちあげました。


井蛙内科開業医/診療録(右のエキサイトブログでリンクしています)
ともどもよろしくお願いします。

このブログの内容は2008.5.20に「井蛙内科開業医/診療録」でとりあげた内容に画像を添付したものです。


レビー小体型認知症
レビー小体型認知症については昨年2007年9月28日のこのブログでとりあげました。
レビー小体型認知症(DLB)
http://wellfrog.exblog.jp/7065699

第26回日本認知症学会でのレビー小体型認知症の記事がたまたま目にとまりました。
きょうは認知症で勉強しました。


レヴィ小体型認知症
精神症状としては幻覚が最も多い
レヴィ小体型認知症(DLB)はアルツハイマー病に次いで多い神経変性認知症である。
滋賀県立成人病センター老年神経内科の長濱康弘氏らはDLB患者の精神症状を因子分析を用いて客観的に分類し,症状としては幻覚が78%と最も高頻度に見られたことを,第26回日本認知症学会で報告した。

妄想は女性性と正の相関
対象は,同科もの忘れ外来を受診した患者のうち,DLB国際合意基準に従って診断されたDLB患者100例(probable:臨床的確診96例,possible:臨床的疑診4例)である。
男性31例,女性69例と女性が多く,平均年齢は77.2歳。
それぞれの精神症状の有無を明らかにするため,患者とその主介護者に,精神症状(幻覚,妄想,誤認)と気分障害(気分変調)に関して構成された質問表を用いた半構造化面接を行った。
 
解析の結果,4因子解が得られた。
因子1~4の固有値はそれぞれ2.58,1.77,1.59,1.40であり,因子間の相関は非常に低かった。
因子1は,人物や場所の誤認,カプグラ症候群(既知の人が"そっくりの人物"に置き換わったと確信する錯覚),"幻の同居人",人物や場所の重複記憶錯誤が含まれる。
因子2は,人物の重複記憶錯誤,死亡した身内が生存していると信じている,来訪していない身内が家のなかにいると信じているというもの。
因子3は,動物や虫の幻視,物体の幻視,要素幻視。
因子4は,人物の幻視や実体意識性(実際はいないのに背後に人がいる気配を感じる)である。
なお,物盗られ妄想や迫害妄想は上記因子とは独立したものだった。
 
DLBの精神症状は表のように分類された。78%が幻覚カテゴリーの症状を,56%が誤認カテゴリーの症状を,25%が妄想症状を有していた。
幻覚や誤認は,性,教育レベル,気分変調,認知機能障害の重症度と関連しなかったが,幻覚のある患者はない患者よりも有意に年齢が高かった(78.2±6.4歳 vs. 73.5±5.3歳,P=0.0019)。
妄想の存在と女性性とには正の相関が見られた(妄想患者25例中22例と妄想のない患者75例中47例が女性,χ2=4.50,P=0.034)。また,この女性優位は特に物盗られ妄想において顕著であった(14例中13例)。
年齢や教育レベル,気分変調,認知機能障害の重症度に関しては,妄想の有無に有意差は認められなかった。
 
以上から,長濱氏は「DLBの基礎にある病態生理および精神病理を理解するうえで,幻覚,誤認,妄想は分けて考える必要がある」 と結論付けた。
なお,同研究の論文はAm J Geriatr Psychiatryの11月号(2007; 15: 961-967)に掲載されている。
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http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4050181&year=2007

出典 Medical Tribune 2007.12.13
版権 メディカル・トリビューン社


<番外編>
AD治療薬ドネペジル 中止率は予想より高く,重症例ほど高頻度
アルツハイマー病(AD)の治療にはコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジルが用いられているが,名古屋大学大学院老年科学の梅垣宏行氏らは,同薬の中止率は予想より高く,重症例ほど高頻度であることを明らかにした。
重症例では無効がおもな理由
対象は,2003年7月~05年6月に同科外来を訪れ,精神疾患の分類と診断の手引き第 4 版(DSM-IV)基準に従ってADと診断された患者である。
薬物治療はドネペジル3mg/日で開始し,1~2週間服用して耐容性が認められたら,5mg/日まで増量するというもの。
認知症の重症度は臨床認知症評価尺度(CDR)により評価した。
 
ドネペジルを処方されたのは264例(平均年齢79.6±6.5歳,男性87例,女性177例)で,内訳はCDR0.5が9例,同 1 が165例,同2が58例,同3が32例。ちなみにCDRは数値が大きくなるほど重症度が増す。
 
観察期間中に同薬を中止したのは140例(53.1%)で,継続群と中止群の平均年齢に差はなかった(それぞれ79.5±6.7歳,79.8±6.4歳)。
 
Kaplan-Meier解析の結果,認知機能障害がより重症な患者ほど,より早期に中止し,中止率も高いことがわかった。
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中止理由は,治療している医師の交替が71例,薬剤の無効が16例,消化器系の副作用が11例などであった。
年齢で補正してロジスティック回帰分析を行ったところ,中止に関連する変数として,年齢,性,CDR,独居が抽出されたが,そのうち中止に有意な影響を及ぼしているのはCDRだけであった(オッズ比1.654,95%信頼区間1.122~2.439,P=0.011)。
 
CDR 1~2の患者では医師の交替が中止理由として圧倒的に多かったが,CDR 3の重症患者では医師の交替と薬剤の無効がほぼ同数でおもな中止理由となっていた。
 
梅垣氏は「大学病院のもの忘れ外来においてドネペジルはわれわれが予想したよりも高い頻度で中止されており,とりわけ認知症が進展した患者で高かった。薬物治療をとぎれなく行っていくという観点からは,認知症が進展した患者への効果的な薬剤が切望される」と締めくくった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4050181&year=2007
出典 Medical Tribune 2007.12.13
版権 メディカル・トリビューン社


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# by wellfrog2 | 2008-05-22 00:03 | 認知症