2008年 11月 25日

hs-CRPとロスバスタチン

C反応性蛋白値が上昇した男女の血管イベント予防におけるロスバスタチン投与
Rosuvastatin to Prevent Vascular Events in Men and Women with Elevated C-Reactive Protein
P.M. Ridker and others
背 景
炎症バイオマーカーである高感度 C 反応性蛋白(CRP)の上昇により,心血管イベントを予測することが可能である。
スタチンはコレステロールとともに CRP を低下させることから,われわれは,高感度 CRP が上昇しているが高脂血症を伴わない人も,スタチン投与により利益が得られるという仮説を立てた。
方 法
低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが 130 mg/dL(3.4 mmol/L)未満で,高感度 CRP が 2.0 mg/L 以上の一見健康な男女 17,802 例を,ロスバスタチン 20 mg/日投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けた。
複合主要エンドポイントを,心筋梗塞,脳卒中,動脈血行再建,不安定狭心症による入院,心血管死亡とし,その発生について追跡した。
結 果
試験は追跡期間中央値 1.9 年(最長 5.0 年)後に中止された。
ロスバスタチン投与により,LDL コレステロールは 50%,高感度 CRP は 37%低下した。
主要エンドポイントの発生率は,追跡 100 人年あたりロスバスタチン群 0.77,プラセボ群 1.36 であり(ロスバスタチン群のハザード比 0.56,95%信頼区間 [CI] 0.46~0.69,P<0.00001),心筋梗塞の発生率はそれぞれ 0.17,0.37(ハザード比 0.46,95% CI 0.30~0.70,P=0.0002),脳卒中は 0.18,0.34(ハザード比 0.52,95% CI 0.34~0.79,P=0.002),血行再建または不安定狭心症は 0.41,0.77(ハザード比 0.53,95% CI 0.40~0.70,P<0.00001),心筋梗塞・脳卒中・心血管死亡の複合エンドポイントは 0.45,0.85(ハザード比 0.53,95% CI 0.40~0.69,P<0.00001),全死因死亡は 1.00,1.25(ハザード比 0.80,95% CI 0.67~0.97,P=0.02)であった。
評価した全サブグループで効果は一貫して認められた。
ロスバスタチン群ではミオパチーおよび癌の有意な増加は認められなかったが,医師の報告による糖尿病の発症率が高かった。
結 論
高脂血症を有しないが高感度 CRP の上昇した一見健康な人を対象としたこの試験では,ロスバスタチン投与により,主要心血管イベントの発生率が有意に低下した。
(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00239681)
本論文(10.1056/NEJMoa0807646)は,2008 年 11 月 9 日に www.nejm.org で発表された。
(N Engl J Med 2008; 359 : 2195 - 207 : Original Article)
<原文アブストラクト>
http://content.nejm.org/cgi/content/short/359/21/2195

<高感度CRP 関連サイト>
CRPと高感度CRPの違いを教えてください。
http://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/08.html
最近、動脈硬化は慢性炎症が関係していることが分かってきました。0.01mg/dLまで測定できる高感度検査では、慢性炎症を持っていて将来心筋梗塞を起こすかもしれない人を見つける研究が行われています。

心筋梗塞のリスクを予知  高感度CRP検査  超早期の治療が可能に
http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0106crp.html

[PDF] 12.高感度 CRP (high sensitive C_reactive protein:hs_RP)
http://www.kessen-junkan.com/2004121204/46.pdf

感度CRP検査 心筋梗塞を超早期に予知
http://kumanichi.com/iryou/kiji/heart/34.html

日本人の高血圧を予測する高感度CRPの値は約0.1mg/L−−循環器疾患コホート研究
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200503/365655.html

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# by wellfrog2 | 2008-11-25 00:18 | 循環器科
2008年 11月 24日

新型インフルエンザとタミフル

厚生労働省は、新型インフルエンザの流行時に、特定の患者には電話診療だけでタミフルなどの治療薬を処方できるようにすることなどを盛り込んだ対策指針の改定案をまとめ、11月20日開かれた専門家会議に示し、了承された、というニュースがありました。
「患者の殺到が予想される医療機関の混乱を抑えるのが狙い」とのことですが、無診療投薬を厳しく戒める厚生労働省自らが例外を作った形になりました。

電話診療でタミフル処方も 新型インフル対策で厚労省 「医療ニッポン」
http://www.m3.com/news/news.jsp?articleLang=ja&articleId=83282&categoryId=&sourceType=GENERAL&

そこで誰もが疑問に思う事があります。
それは、タミフルが新型インフルエンザに効くかということです。
そこでちょっと厚生労働省のホームページでの記載をチェックしてみました。

出典は
新型インフルエンザに関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html
です。

「抗インフルエンザウイルス薬はどのようなものがあるのですか」という質問に対して
「新型インフルエンザの治療薬としては、毎年流行する通常インフルエンザの治療に用いられているノイラミニダーゼ阻害薬が有効であると考えられています。
ノイラミニダーゼ阻害薬には、経口内服薬のリン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)と経口吸入薬のザナミビル水和物(商品名:リレンザ)があります。」

結局は「有効であると考えられています。」とさらっと流しています。
想定質問は「タミフルは新型インフルエンザに訊くのでしょうか」とすべきです。
言語明瞭、意味不明の典型例です。


さらに新型インフルエンザ対策の現状を読売新聞はこう伝えています。

新型インフルエンザ対策  タミフル頼み限界
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20051206ik08.htm

国は新型インフルエンザの感染者数を国民の25%と想定して2500万人分の備蓄を計画、タミフルを巡り各国や国内の綱引きが過熱している。
だが、この薬が新型ウイルスに確実に効く保証はない。
新型インフルエンザへの変化が懸念されている鳥インフルエンザ「H5N1」に対し、タミフルは作用メカニズムから効果が予想され、試験管内の実験でもウイルスの増殖を防ぐことは確認されている。
こうした理論上や実験では有効でも、人に使うと効果がみられない薬も多く、タミフルの場合も人で確かめなければ分からない。
鳥から人への感染が起きた東南アジアで、治療に使われたケースもあるが、効果があるとされる発症2日以内に使った症例が少なく、有効性は証明できていない。


最後に、新型インフルエンザワクチンについての厚生労働省のホームページでの見解です。

新型インフルエンザに関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html
Q:
新型インフルエンザにワクチンは効きますか。
A:
通常のインフルエンザの予防接種は、新型インフルエンザとはウイルスの種類が異なるため、感染防止の効果はほとんど期待できないと考えられています。
新型インフルエンザに対して効果が期待できるワクチンとして、プレパンデミックワクチンとパンデミックワクチンがあります。
プレパンデミックワクチンとは、新型インフルエンザウイルスが大流行(パンデミック)を起こす以前に、トリ-ヒト感染の患者または鳥から分離されたウイルスを基に製造されるワクチンを指します。
政府は現在流行している鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に対するワクチンをプレパンデミックワクチンとして製造、備蓄しています。
パンデミックワクチンとは、ヒト-ヒト感染を引き起こしているウイルスを基に製造されるワクチンです。
プレパンデミックワクチンと異なり、ワクチンの効果はより高いと考えられます。
ただし、パンデミックワクチンは実際に新型インフルエンザが発生しなければ製造できないため、現時点で製造、備蓄は行えません。

というように、現在のインフルエンザワクチンが完璧でないのと同様ないしはそれ以下のはずです。
現在のインフルエンザワクチンでさえ、私達医療提供側は予想株と実際の流行株を知らされないまま毎年「粛々と」予防接種を行っているのが現状です。
誰一人文句を言わないのが不思議です。

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# by wellfrog2 | 2008-11-24 00:46 | 感染症
2008年 11月 23日

第2回「世界糖尿病デー」

世界糖尿病デーについては2008年11月15日のこのブログで書かせていただきました。

世界糖尿病デー
ttp://wellfrog2.exblog.jp/9663522/

きょうはその続編です。

糖尿病増加の流れ止まらず
糖尿病820万人,“予備軍”1,050万人,4年で250万人の増加

2006年における日本の糖尿病患者は約820万人,その“予備軍”は約1,050万人と推計され,両者を合わせると約1,870万人に達することがわかった。
厚生労働省(厚労省)が4月30日に発表した調査結果によるもので,4年前の調査に比べ,両者合計で約250万人増加していた。
近年,国は糖尿病対策を健康政策の重点項目に位置づけ,自治体による糖尿病予防の取り組みもさかんだが,今回の調査結果からは,増加の流れを食い止めるだけの効力はないことが示唆された。
より強力な対策の導入が必要かもしれない。


糖尿病の増加傾向が加速した可能性も 
調査は「平成18年国民健康・栄養調査」の一部として,厚労省が2006年11月に実施したもので,解析対象者は20歳以上の4,296例。
同集団における糖尿病,“予備軍”の割合を2006年10月1日現在の推計人口に乗じることで全国の有病者数を推計した。

なお,調査では判定基準として,HbA1c値が6.1%以上または糖尿病治療中の人を「糖尿病が強く疑われる人」,HbA1c値が5.6%以上6.1%未満で糖尿病治療中でない人を「糖尿病の可能性を否定できない人」と定義している。
日本糖尿病学会の診断基準ではHbA1cを糖尿病の正式な診断指標に採用していないが,前者を糖尿病型,後者を境界型などの“予備軍”に相当すると判断しても大きな問題はないというのが糖尿病専門家の見解だ。
そこで,ここでは前者を糖尿病,後者を“予備軍”と呼称している。

その結果,2006年における糖尿病患者は約820万人,“予備軍”は約1,050万人と推計された。厚労省では同様の調査を1997年と2002年に実施しているが,2002年の調査との比較では4年間で糖尿病患者が約80万人,“予備軍”が約170万人増加し,全体では約250万人の増加。
1997年と2002年の比較では5年間で糖尿病患者が約50万人,“予備軍”が約200万人増加し,全体では約250万人の増加であり,今回のほうが前回との調査間隔が1年短いことを考えると,糖尿病患者を中心に増加傾向が加速した可能性もある(図1)。

f0174087_12493870.jpg

また,性・年齢層別の有病率を見ると,今回は高齢女性での増加が顕著であった(図2)。 
f0174087_12501235.jpg

  


食事内容や食事パターンの見直しが必要か
「平成18年国民健康・栄養調査」では,生活習慣や栄養に関する調査も実施しており,今回結果が発表され,過去の調査との比較データも示されたが,そこからは糖尿病増加の要因が見え隠れする。

2型糖尿病の重要な成因である肥満については,男性では20年前の1986年調査に比べ,すべての年齢階級において肥満者の割合が増加していた。
一方,女性では肥満者の割合の増加は認められず,40歳代では20年前,10年前(1996年)の調査に比べ減少。20歳代の女性の約2割が低体重であった。

男性における肥満傾向が糖尿病増加に大きく影響していることが示唆されるが,エネルギー摂取量は男女ともにこの10年間で漸減傾向にある。
ただし,食事内容や食事パターンについては,多くの問題点を指摘できる。例えば,脂肪エネルギー比率が30%以上の人は成人男性で18.1%,女性で27.2%であり,男女ともに25%未満の人の割合が漸減し,30%以上の人の割合が漸増している。
また,若年層を中心に朝食の欠食率が増加,20歳代では男性30.8%,女性22.5%に及ぶ一方,夕食の開始時間は男女ともに20~60歳代の幅広い年齢層で午後9時以降と答えた人の割合が増加。
男性の30~40歳代においては午後11時以降の人が7%以上を占めていた。

運動についても,1週間にまったく行わない人が男女とも20~50歳代で約3割。運動習慣のある人の割合(1回30分以上の運動を週2日以上実施し,1年以上継続)は男女とも全体では3割程度であったが,男女とも30歳代では17.5%であるなど若年層で低かった。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0805/080502.html
MTpro 記事   2008年5月1日掲載
版権 メディカル・トリビューン社




最後に 北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟先生の「世界糖尿病デー」についてのエッセイを紹介させていただきます。

糖尿病に関わる医療従事者は奮起すべき
ブルーに染まる東京タワーをロマンチックな風物詩にしてはいけない

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0811/081119.html

MTpro 記事  2008年11月18日掲載
(一部改変)


ブルーライトアップは日本発の発想
2006年12月20日に「糖尿病の脅威を認知する決議」が国連総会で採択され,11月14日は国連公認の「世界糖尿病デー」となった。
この日はインスリンの発見者でその功績によりノーベル生理学医学賞を受賞したバンティング博士の誕生日であり,ブルーのライトアップは,世界が一致団結して糖尿病に立ち向かおうという「Unite for Diabetes」キャンペーン〔2006年6月から国際糖尿病連合(IDF)がはじめたキャンペーン〕のロゴマークであるブルーサークルに由来している。
IDFのシリンク会長によれば,ブルーの色には糖尿病患者の明るい明日の意味がこめられているそうである。

世界糖尿病デーやブルーサークルの認知度は低い
世界糖尿病デーやブルーサークルに対する認識について問うアンケートを実施したところ,世界糖尿病デーを知っている方は3割に満たず,ブルーサークルに至ってはほんの数人しか知らなかったのである。
これは乳がん対策のシンボルマークであるピンクリボンを知る方に比較して格段に低い数値であった。
そして,さらに衝撃的であったのは翌15日の患者友の会で会員患者さんから出た発言である。「(糖尿病患者ではない)友人から“糖尿病になる人は悪い生活をしている人だ”と言われた」というのである。

“普通に生活をしていれば普通にかかってしまう疾病”であることを啓発すべき
2006年度の厚生労働省の調査によれば,糖尿病患者は820万人であり,予備軍を合わせると1,870万人を数える(成人の5〜6人に1人)。
すなわち,糖尿病は国民病であり,「今の日本人が普通に生活をしていれば普通にかかってしまう疾病」である。
しかしながら,今なお多くの国民は糖尿病に大きな関心を寄せず(乳がんも頻度の高い疾患であるが女性の20人に1人程度),なかには「糖尿病は悪い生活習慣を持つ人がなる特殊な疾病」ととらえている人がいるらしい。

糖尿病患者が抱える苦痛に思いをはせ,糖尿病患者が糖尿病療養を苦労しないで継続できる社会を作り上げるべく,社会に向かって情報を発信していく機会とするべきである。

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# by wellfrog2 | 2008-11-23 00:10 | 糖尿病
2008年 11月 22日

腹囲・ウエスト/ヒップ比

腹囲・ウエスト/ヒップ比は死亡リスクと関連:欧州の大規模研究より 
ドイツ栄養研究所疫学部門のTobias Pischon氏らは,大規模データベースによる研究から死亡リスクの評価にウエスト周囲径(腹囲),ウエスト/ヒップ比が有用との報告を行った(N Engl J Med 2008; 359: 2105-2120)。

BMIに加え,腹囲・ウエスト/ヒップ比の有意な相関が確認
Pischon氏らは,欧州最大規模の疫学データベースEPIC(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition)を用いて,BMI,腹囲,ウエスト/ヒップ比と死亡リスクの関連を調査。
欧州9か国,35万9,387人が登録された。

9.7年(中央値)の追跡期間中,1万4,723人が死亡。
最も死亡リスクが低いBMI値は,男性25.3,女性24.3であった。
 
男女を問わず,BMI補正後の死亡リスクと腹囲,ウエスト/ヒップ比には強い相関が見られた。それぞれの相対リスク(RR)は,腹囲の最高五分位における男性の相対リスク(RR)は2.05〔95%信頼区間(CI) 1.80~2.33〕,女性のRRは1.78(95%CI 1.56~2.04)(各P for trend<0.001),ウエスト/ヒップ比の最高五分位におけるRRは男性1.68(95%CI 1.53~1.84),女性1.51(95%CI 1.37~1.66)であった。
 
また,腹囲あるいはウエスト/ヒップ比を含めた解析を行っても,BMIは死亡リスクと有意な相関を示していた(P<0.001)。

以上の結果から,同氏らは全身肥満と腹部肥満は死亡リスクと関連することが明らかで,リスク評価にはBMIに加え腹囲,ウエスト/ヒップ比が必要としている。

疾患や死亡の予防における腹囲の意義については,いまだ結論が出ていない。
 
今年(2008年)9月のMedical Tribuneアンケートでは,今春より開始された特定健診・特定保健指導制度で必要のない診断項目の第1位が腹囲となり,他を大きく引き離す回答結果となった。

過度の肥満が疾患や死亡のリスクを高めることは明らかだが,BMIや腹囲を一律に採用することで,やせ型の高リスク症例の取りこぼしを懸念する意見もある。病的な脂肪蓄積がもたらす代謝異常への至適アプローチについては,まだまだ議論が続きそうだ。

出典 MT pro 2008.11.19
版権 メディカル・トリビューン社


<コメント>
何だかよく理解できない論文です。
われわれが知りたいのは「腹囲」と「ウエスト/ヒップ比」のどちらが、より死亡リスクの評価に有用かということです。
どちらも有用といわれても、結局どっちでもいいんでしょということになってしまいます。
隔靴掻痒の感がありますが、NEJMにどうして受理されたのか不思議な結論です。
原著にはきっといい内容が散りばめられているのでしょうが・・・。
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# by wellfrog2 | 2008-11-22 00:07 | メタボリックシンドローム
2008年 11月 21日

脳室サイズとAD

脳室サイズの増大がADと直接関連

ウェスタンオンタリオ大学(UWO)Robarts研究所(カナダ・ロンドン)のRobert Bartha博士らは,脳室サイズの増大が認知機能障害やアルツハイマー病(AD)と直接関連していることを示す明確なエビデンスを見出したとBrain(2008; 131: 2443-2454)に発表した。

剖検を待たずに確定診断が可能

 脳室は髄液で満たされている脳内の空洞である。今回の研究では,周囲の組織が死滅すると脳室サイズが増加することが判明した。
 共同研究者で同研究所大学院生のSean Nestor氏らは,大規模多施設試験Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)の被験者データから入手した米国およびカナダ在住の504例(AD患者105例,軽度認知機能障害を有する患者247例,健康な高齢者152例)の試験開始前および6か月時点におけるMRI画像を分析した。
 その結果,AD患者では軽度認知機能障害を有する患者と健康な高齢者に比べて脳室サイズが増大していた(P=0.0004,P<0.0001)。また,軽度認知障害を有する患者は,健康な高齢者に比べて脳室サイズが増大していた(P=0.0001)。さらに,6か月後に軽度認知障害からADを発症した患者では,軽度認知障害を引き続き有する患者に比べて脳室サイズが増大していた(P=0.0270)。
 Bartha博士は「将来, MRIによる脳室サイズの変化の測定によって,早期により確定的な診断を下せる可能性がある。さらに,今後新たなADの治療法が開発されれば,脳室サイズの測定によってその治療法の効果を迅速に判定できる可能性がある」と述べている。
 また,今回の研究から,AD発症の危険因子として知られるアポリポ蛋白E遺伝子型を有するAD患者では脳室サイズの増大が速いことも明らかになった。

ソフトウエアにより可能に

 MRI画像による脳室サイズの測定は,Merge Healthcare社のOEM部門であるCedara Software社が開発したソフトウエアにより可能になった。これまでは,得られたすべての断面に対し脳画像上で脳室を手動または半手動でトレースしなければならなかった。共同研究者でMerge OEMソフトウエアチームを率いるVittorio Accomazzi氏は,他の研究者と共同でソフトウエアを改良し,大量のデータ処理を迅速に行うことを可能にした。
 なお,共同研究者でADNIの参加施設の1つであるローソン医療研究所(カナダ・ロンドン)のMichael Borrie博士は,パークウッド病院の老年医学臨床試験グループ,聖ヨセフ病院の医療ディレクター,UWO老年医学研究部門の責任者も務めている。
 同博士は「これは,ADNIのデータを利用して公表された主要な研究のうち最も早く発表された研究結果の1つである。今後も,ADNI関連プロジェクトからさらに多くの神経画像とバイオマーカーに関連する事実が明らかにされるだろう。世界中の研究者がADNIデータベースを活用し,最新の技術を用いて協力することで,AD研究をより迅速に,客観的に行え ,効果的な進展が期待できる。既にADNIからはこれまで想像できなかった新しい国際的な協力体制が築かれている」と述べている。
出典 Medical Tribune 2008.11.13
版権 メディカル・トリビューン社

<番外編>
Nikkei Medical 2008.1 「日経メディカルクイズ」より
■股関節痛、下肢屈曲位では可能性腸腰筋を考える
■喫煙者の嗄声ではポリープ様声帯も疑う
■肝内の腫瘍や腫瘍栓の診断には超音波造影を行う
■汎発性環状肉芽腫を診たら糖尿病を疑う
■気管支結核は、閉塞性無気肺を示す代表的感染症
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# by wellfrog2 | 2008-11-21 00:06 | 認知症