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2008年 11月 19日

低線量被曝と心疾患リスク

無視できない低線量被曝 心疾患リスクに影響
米国立がん研究所(NCI)のKiyohiko Mabuchi,Parveen Bhatti,Alice Sigurdsonの各博士は「放射線被曝によるがんリスクについては十分な報告があるが,低線量放射線の心血管疾患リスクに対する影響については,まだ多くの研究が必要である」とLancet(2008; 372: 697-699)に発表した。

難点は交絡因子の除外
例えば,乳がんの治療に用いられるような30〜40Gyを超える高線量の治療放射線が,心疾患リスクを増加させることは既に知られている。
しかし側弯症など,がん以外の特定の疾患に用いられる線量は,これよりはるかに低い。
そのなかで,心臓への被曝線量が1.6〜3.9Gyになる放射線療法を受けた消化性潰瘍の患者では,心疾患リスクが大幅に上昇するという用量反応関係のエビデンスがある。
英国における原子力産業の従事者を対象にした最近の研究でも,さらに低線量の被曝と心血管疾患リスクとの間に統計学的に有意な関連があることが判明した。
 
Mabuchi博士らは,低線量被曝の影響を効果的に評価することの困難さと,患者の心疾患の原因または原因の一部となりうる"交絡因子"を除外するという問題について述べている。
また,放射線は他の生物学的経路と同じ機序で損傷を引き起こす可能性があると指摘している。
例えば,アテローム動脈硬化症は炎症過程で血管内皮細胞の損傷を伴うが,これは放射線による組織への影響と共通の経路である可能性がある。
 
報告の最後で,同博士らは「放射線関連の心疾患リスクは放射線関連のがんリスクよりはるかに低いが,心疾患リスクについては未確定であるため,放射線被曝集団における莫大な数の心疾患患者を評価し始めるのは時期尚早である」と述べ,「現在実施中・計画中の放射線被曝集団の研究において,放射線と交絡因子の影響を見出すために,さらなる調査が必要である。
また,低線量放射線が心血管に及ぼす影響の生物学的機序を調べるには,新たな基礎実験が必要である。
低線量放射線の心血管疾患リスクに対する影響は難問で議論が続くと見られ,それは現在のがんリスクのLNT(linear no-threshold;無閾値直線関係)仮説に関する議論を超えるものになりそうだが,無視すべきではない」と結論付けている。

出典 Medical Tribune 2008.11.13
版権 メディカル・トリビューン社


<切り抜き帖>
日本医事新報 NO.4398 2008.8.9
エッセイ「クリーブランドの想い出」 名古屋セントラル病院長 斉藤英彦先生
(一部改変)
■クリーブランドはエリー湖に面した街である。
ジョージ・セル、ズービン・メータなどの名指揮者が育てたオーケストラ、クリーブランド・インディアンズや、クリーブランド・ブラウンズがあることでも知られている。
■緯度は函館市に近いので、冬は零下になるほど寒く、降雪も多い。
■北国なので、5月になるとマグノリア、ハナミズキ、桃、梅、ライラック、レンギョウなどの花々が一斉に咲き、とても奇麗である。
■Case Western Reserve大学の外来では多くの鎌状貧血、地中海貧血、G6PD欠乏症の患者をフォローしたし、病棟では通常の悪性リンパ腫とともにSezary症候群やmycosis fungoides の治療を行った。
■研究では、新しい血液凝固因子Fitzgerald因子(高分子キニノゲン)を発見できた。
■本年の6月には指導を受けたOscar D. Ratnoff博士が92歳で亡くなった。
一つの時代が終わりつつあるという感慨をもつこの頃である。
<関連サイト>
齋藤 英彦 病態内科学講座・分子細胞内科学・教授
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/eval/2001/13-1p01.html
Oscar D. Ratnoff (1916 - 2008)
http://www.hematology.org/education/legends/ratnoff/index.cfm
Oscar Ratnoff, 91, Expert on Blood Clots, Is Dead
http://www.nytimes.com/2008/06/06/health/06ratnoff.html?partner=rssnyt&emc=rss
Dr. Oscar Ratnoff, 91; blood clot specialist
ttp://www.boston.com/bostonglobe/obituaries/articles/2008/06/07/dr_oscar_ratnoff_91_blood_clot_specialist/
クリーブランド紹介
http://www.otasuke.com/clevshokai/index.html
■オハイオ州北端の都市、別名Forest City。
■オハイオ州クリーブランドは ガソリン・スタンドの創始者ロックフェラーを生んだ街。トーマス・エジソンも西方郊外(マイラン)で生まれている。
■大学院大学で有名なケース・ウェスタン・リザーブ大学(CWRU)があり、アメリカで最初のノーベル賞受賞者二人を生む。これまでに12人のノーベル賞受賞者を輩出している。
■未来のアメリカの気候温暖の最適都市は、 何とクリーブランドであるという。
■マグノリア
http://ja.wikipedia.org/wiki/モクレン属
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<コメント>
私自身アメリカといえば、メキシコへ観光旅行に行った時、ロスに立ち寄って半日の観光をしたこととハワイに行ったぐらいで、本当のアメリカに行った事がありません。
恐らく今後も一生、渡米の機会はないと思っています。
しかし今年の春、我が子がアメリカへ短期留学(ジョンズホプキンス)したため、俄然関心を持つようになりました。
こういったエッセイからでもアメリカ医学や留学の空気が読めたら(KY)いいなと思っています。

KYといえば、ある週刊誌にある国の首相をKY(漢字が読めない)と書いていました。
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by wellfrog2 | 2008-11-19 00:28 | 循環器科