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2008年 07月 02日

サッカー観戦と心血管イベント

オーストリアとスイスで共催のサッカー欧州選手権は6月29日、ウィーンで5万人の観客を集めて決勝が行われ、スペインがドイツを1―0で下して1964年以来、44年ぶり2度目の優勝を果たしました。
次回2012年大会はウクライナとポーランドの共催で実施されるそうです。
サポーターの熱狂振りはすごいですね。
スタンドであんなに飛び跳ねていては、それだけで心血管イベントを起こしそうです。
もっともそんな人はスタンドには行かないかも知れません。
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http://www.nikkei.co.jp/news/main/im20080630SSXKB000230062008.html
NIKKEI NET
サッカー観戦による情動ストレスで心血管イベントが増加
〔ニューヨーク〕スポーツイベントの観戦ではだれもがおおいに盛り上がるが,ストレスの多い出来事は心血管疾患,さらには死を誘発しうるのだろうか。
ルートウィヒ・マクシミリアン大学(独ミュンヘン)のUte Wilbert-Lampen博士らは,2006年にドイツで開催されたサッカーのFIFAワールドカップ期間中に,選手ではなく観客を対象とした心血管イベントの調査を行い,その結果をNew England Journal of Medicine(2008; 358: 475-483)に発表した。
それによると,同期間中,ドイツチームの試合があった日には心疾患の急患発生率が対照期間の2.66倍にのぼった〔95%信頼区間(CI)2.33~3.04,P<0.001〕。


性と心疾患歴でリスクに差
ワールドカップ前後の期間を対照として4,279例の急性心血管イベントを評価するために行われたこの前向き研究について,Wilbert-Lampen博士らは「情動ストレスと心血管イベントの関係を検討する機会となった。
ストレスの多いサッカー観戦は,急性心血管イベントリスクを倍加させる」と結論している。
 
同期間中の心血管イベント発生率の上昇には,男女差があった。
男性の場合,ドイツチームの試合があった日の急性心血管イベント発生率は,対照期間の3.26倍であった(95%CI 2.78~3.84,P<0.001)のに対し,女性の場合は1.82倍であった(95%CI 1.44?2.31,P<0.001)。対照期間中に心血管イベントを起こした症例の56.7%が男性だったのに対して,試合のあった7日間では71.5%が男性だった。
 
同博士らは「特に冠動脈疾患(CHD)の持病がある男性については,予防措置が早急に必要である」と述べ,一定期間の一定群に冠動脈イベントが起こる可能性を減少させるような予防措置を取ることを提案している。
なお,心疾患歴も重要因子であった。
 
同博士らは「ドイツチームの試合があった日に冠動脈イベントを起こした症例のなかで,CHDの持病があった者の割合は47.0%であったのに対して,対照期間中では29.1%であった」と述べている。
関連イベントの増加率は,CHDの既往歴を持つ者が,持たない者より大きかった(発生率比4.03対2.05)。


自国の試合観戦がより危険

重要なのは,ドイツチームの出場する試合当日に起きた冠動脈イベントが軽度ではなかったことである。
 
対照期間と比べて,ドイツチームの試合があった日にはST上昇を伴う心筋梗塞発生率が2.49倍になった(95%CI 1.47~4.23,P<0.001)。また,STの上昇や不安定狭心症のない心筋梗塞の発生率は2.61倍(95%CI 2.22~3.08,P<0.001),心不整脈の発生率は3.07倍(95%CI 2.32?4.06,P<0.001)になった。
 
Wilbert-Lampen博士らは「重要なのは,他国同士の試合中に起こる1日当たりの心疾患急患の平均件数は対照期間中の平均件数の範囲内におさまったことだ」と報告している。
ドイツチームの試合があった日,イベント発生率は試合開始の数時間前から上昇し始め,試合後の数時間も高いままであった。
これらの日にイベントの平均発生率が最も高かったのは,各試合開始から最初の2時間であった。
さらに,ドイツチームの試合があった7日間の患者の平均年齢は65.4歳で,対照期間の68.5歳に比べて若い傾向があった。
加えて,この7日間では患者の平均心拍数と最大血圧はわずかに低かった。


急に予防措置が必要
救急科の記録を利用したため,Wilbert-Lampen博士らは,サッカーの試合の時間と救急通報がなされた時間との経時的関係を正確に分析することができた。
同博士らは,心疾患における急患の増加分はほとんどが男性だった理由については推測を控えているが,この調査結果はこれまでの研究と一致しているという。
 
同博士らは「性による病態生理学的違いと,男性のほうがサッカーの試合に興味がある,あるいは感情的な刺激に反応しやすいという事実には関連があるかもしれない」と述べている。
また,この調査結果は,心臓を原因とする疾患や死亡の発生率と,地震や戦争といったストレスの多い他の出来事との関連を意味するのかもしれないとも示唆している。
 
同博士らは予防措置に関して,特にCHDの持病がある症例には予防措置が必要と指摘。
「考えられる治療法としては,β遮断薬,スタチン系薬や抗血小板薬の処方や増量およびストレスをもたらすレセプターの遮断などがある。
さらに,ストレスに対処する行動療法といった非薬物療法も考慮すべきである」と述べている。

出典 Medical Tribune 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社


<コメント>
本当の予防措置はサッカーに過度な思い入れをしないこと、ということになります。
昔、国内でもプロレスのテレビ観戦で年寄りの死者が出たことを思い出します。
ワールドカップやオリンピック、そしてそれらの予選競技の若者達の過度な応援。
これって純粋な愛国心なんでしょうか?
へそ曲がりものとしては、いつも考えてしまいます。

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by wellfrog2 | 2008-07-02 00:12 | 循環器科