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2008年 10月 03日

緑茶で血管内皮機能が改善

〔仏ソフィア・アンティポリス〕アテネ医科大学(ギリシャ・アテネ)循環器内科のNikolaos Alexopoulos博士は,心疾患危険因子に対する緑茶の効果に関する新たなエビデンスが得られたとEuropean Journal of Cardiovascular Prevention and Rehabilitation(2008; 15: 300-305)に発表した。

潜在的な抗がん作用も 
今回の研究では,緑茶を摂取することにより血管内皮細胞の機能が急速に改善されることが明らかになった。内皮機能の障害はアテローム動脈硬化症の進行に影響を与える重要なイベントである。
 
Alexopoulos博士らは緑茶,カフェイン,温水(プラセボ)をそれぞれ健康人に摂取させ,上腕動脈拡張径を測定するランダム化試験を行った。
測定はそれぞれ30分後,90分後,120分後に行われた。
上肢の虚血に続いて起こる血流増加の結果生じる上腕の拡張は,内皮機能と関連性があり,心血管疾患の独立した予測因子として知られている。
 
試験の結果,緑茶を飲んだ後に上腕動脈内皮依存性血管拡張が顕著に上昇し,30分後の上昇は最高で3.9%を示した。しかし,カフェイン(または温水)摂取後には有意な効果は認められなかった。
紅茶が内皮機能を短期的にも長期的にも改善することについてはこれまでにも報告されているが,大血管に対する緑茶の短期的便益を示した研究は初めてである。
緑茶が喫煙者の内皮機能障害を改善することを示した報告はある。
 
中国が起源の緑茶は世界中で飲まれている。
新鮮な茶葉からつくられ,精製過程における酸化がほとんどない。心血管疾患への効果は,すべての茶がチョコレートや赤ワインと同様に含有するフラボノイドの抗酸化作用によるものである。
しかし,同大学のCharalambos Vlachopoulos博士は「緑茶のフラボノイドは全く酸化されないため,紅茶のものよりも潜在的に抗酸化作用を有すると考えられる」と説明している。
 
同博士は「この知見は臨床的に重要な意味を持つ。今までの研究で茶の消費は心血管疾患の罹患率,死亡率の減少と関連があることが示されてきた。
欧米では緑茶は紅茶と比べ飲まれることが少ないが,内皮機能を改善させる点ではより効果的である可能性がある。同様に,最近の研究では抗酸化作用による緑茶の潜在的な抗がん効果も明らかになった」と述べている。

出典 Medical Tribune 2008.9.25
版権 メディカル・トリビューン社


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田崎廣助 「朱富士」 リト
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<苦いカルテ>
狭心症で通院中の70代後半の男性。
数か月前から腹部不快感を訴えてみえて胃透視を行いましたが異常ありませんでした。
便潜血も陰性。
時々、血液検査も行いましたが貧血もなく生化学も異常なし。
大病院を受診され、主膵管の拡張を指摘され、精査。
膵頭部に膵がんがみつかり今月手術予定です。
こちらで診断をつけて、できるだけ早く病院紹介が出来ればよかったと悔やまれます。
<反省点>
■定期検査(セット検査)にアミラーゼが入っていなかった。もう少し早く診断ができた
かも知れない。
■腹部愁訴を訴える患者さん、特に高齢者では腹部エコーを組み込む必要がある。
■循環器疾患の患者さんを診察している場合には1/3を診ているに過ぎず、残りの2/3
の疾患を診ていないということを常に認識する必要がある。

<きょうの一曲> "In My Life"
John Lennon Tribute In My Life
http://jp.youtube.com/watch?v=6d8VX8tcgao&feature=related


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by wellfrog2 | 2008-10-03 01:21 | 未分類


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